買い物山脈

ノイズキャンセリングヘッドセットがリビングでの仕事に最適だった

~仕事道具は「買ってから怒られる」のがテレワークのコツだ!

製品名
WH-1000XM3とWI-1000XM2
購入金額
それぞれ3万ちょい
購入時期
2019年9月と2019年12月
使用期間
半年ちょっと
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
WH-1000XM3とWI-1000XM2

 まずは前回紹介した「アーロンチェア リマスタード ライト」の2台目だが、納期前倒しで無事着弾した。

 前回記事を読んでいただいた方のTwitterでは「PC作業で肘当てなしなどありえない」、「そもそも痔ならクッションだろう」と突っ込まれたが、痔はおかげさまで数日前に治った。2台買ったので、片方は肘当て付きにしたかったのはやまやまなのだが、狭い住宅事情で肘当てがあたって机の下からはみ出るのがどうしても床スペースの関係で思い切りがつかなかった。

 もちろん、不満が出てきたら肘当て付きの椅子が「雨後の森のキノコみたいに生えてくる」のが我が家なので問題ない。 先週は長い暇つぶし用にギターが生えてきた。ギターを弾くには肘なしのほうが都合いい。テレワークという名の引きこもりに便利なものをいろいろ生やすのがこの記事の狙いだ。

「買い物山脈」というより「ダンボール山脈」的なビジュアルだ

閑話休題

 さて編集デスクの劉氏からは、テレワーク支援のテーマとしてキーボードかディスプレイの記事を打診されたのだが、実際にテレワークで一番問題になるところは、腰のケアの次に「周囲の騒音」ではないかと感じた。

 じつは家庭内のノイズとビデオ会議の音声や電話の声が混ざるのが大きなストレスになる。筆者は同僚の犬やキッズの声を毎日聞いており、同僚たちが気まずそうにしているのを感じている。

 またテレワークでは基本的にキーボードを扱いながらとなるため、PCのスピーカーで音声を流したり電話をスピーカーフォン状態にして使うことになるのだが、家のリビングに会社やお客様の情報が大きな音で流れるのは望ましくない。

 同居のアネサマの電話会議も聞きたくないし、こちらの電話会議も聞かれたくない。壁の薄い我が家では部屋をわけていても、壁1枚で1mの距離にいればお互いの業務が雑音になってしまうのだ。

 そんな筆者の本格テレワークも3週間が経過し、一番役に立っているのがノイズキャンセリング機能つきヘッドフォンだ。毎日数時間、テレカンをこなす身としてはテレワーク開始の事前に買っておいてよかった筆頭になる。

世の旦那たちよ、買い物のコツは「買ってから謝る」だ

 今回は我が家のテレワークで大活躍しているソニーのワイヤレスノイズキャンセリングヘッドセット2種類を紹介する。

WH-1000XM3(左)とWI-1000XM2(右)いずれも音質は良好

 筆者、昔はオーディオ小僧で、ヘッドフォンはSTAXを愛用していた。いまでもあの透き通った金属音の再現性はよく覚えている。 しかし電車の中で英会話の教材を聞くなどの用途にはもちろん向かないので、まわりの原理主義的知人たちには後ろ指さされながら隠れキリシタン化した。

 筆者が最初に買ったのは大きいサイズのオーバーイヤー型「WH-1000XM3」。電池は30時間持ち、非常に優秀なノイズキャンセリング機能を持っている。これは欧州便などの長距離便の飛行機に乗るときに絶大な効果を発揮する。耳栓と併用すればジェット機のエンジン音も気にならず、横で寝ている人のいびきもかなり気にならず熟睡できる。飛び立って機内サービスのワインを飲んで寝てしまい、目がさめたときにはもうすぐ現地。

 新幹線で出張するさいも、現地についたときの疲労がかなり軽減されるのを感じる。若い頃は気にならなかった爆音も、いまでは気力を削る大きな原因になっているのだ。

 最初はこれを毎日会社にもっていって電車内の耳栓およびテレカン用に使っていた。しかし通勤カバンにいれて運ぶには大きすぎることもあり、その後発売された首掛けカナル型「WI-1000XM2」を追加購入。 カナル型の「WI-1000XM2」はオーバーヘッド型のものに比べ、電池の稼働時間が10時間と少し心もとないが、1日仕事するにはじゅうぶんだ。

 普通のレビューであれば、使用感をつらつらと続けるかたちになるのだが、今回の記事で全国のテレワーク初心者に伝えたいのは本質的な「バリュー」と「買い物戦略」部分だ。 身体に接触する製品のレビューは体格によりマッチするしないがあるので、本人が使ってみないとわからない。あくまで参考だ。

 そもそも同じようなものを2つも買うなど正直に家庭内で言い出したら、同居のアネサマに知られると購入ブロックされるのは確実。

 そこで読者の皆様におすすめしたいのは「買ってから怒られる作戦」だ。特性や利用シーンが違うとはいえ、似たものを2つ買うことを、ガジェットに興味のない家族が理解などできるわけがないから、理解を得ることそのものを諦めるのだ。

 もちろん荷物の着弾後に冷たい視線と三回転半捻りの効いたお小言をいただいたが、これは仕事用だと押し通した。

 ところがこの勇気あるポチリが、このコロナテレワーク開始で我が家の平和に役に立つことになる。同居のアネサマも在宅ワークになったのでヘッドセットは2台必要だったのだ。

 ここで迷わずポチれる買い物山脈上級者は、この先読まなくても大丈夫、すぐに幸せになれる。費用対効果は筆者が実証済みだ。まだ迷う人向けにその費用対効果をこれから解説していこう。

 これは今回紹介の製品だけではなく、ノイズキャンセリングヘッドセット全般に言えることだと思うので、好きなものをポチってほしい。

食洗機の音も洗濯機の音もだいたいカットしてくれる、テレカンの強い味方

 我が家には書斎はない。同居のアネサマと2人で在宅ワークなので、リビングに置いた無印の折りたたみ机と、毎朝寝室で布団を畳んでセットす折りたたみ机の2カ所を交代で利用している。

 もちろん40平方mに満たない2DKの間取りなので、台所の部屋には洗濯物が盛大にぶらさがり、浴室入り口では洗濯機が地響きをたて、台所では食洗機がうなりをあげる。仕事開始は朝8:30だとして、電話会議がはじまる9時頃にはリビングの部屋も寝室もかなり盛大な音がする状況である。

 空気の入れ替えで窓を開けると数百m離れた電車の鉄橋から、盛大なガラガラ音が数分おきに飛び込んでくる。こんな音でも真剣勝負の顧客テレカンのときはストレスである。

 がらんがらんという生活騒音のなかで、Zoomの会議に出るのは気が引けるし、なにより相手の声を取りこぼすことが多くなる。 相手の表情が見えにくいテレカンでは聞いているだけでも精神的消耗度が高いので、まわりのノイズを遮断してくれるノイズキャンセリングヘッドフォンは強い味方だ。

 もう1ついいことは、キーボードを叩いてメモを取るのも楽なところ。これがPC内蔵スピーカー/マイクだと打鍵音が盛大に参加者に伝わる。 会議の主催者兼ロガーになるとミュートを外した状態で話しながら打鍵することもあるので、PC内蔵スピーカーやスピーカーフォンではなくヘッドセットで仕事をしたい。

 両機種とも、周りの音が気にならなくなる程度に外部の騒音を低減してくれる。集中作業のさいには昔から耳栓を愛用していた筆者としては完全に近い無音化を期待したいのだが、そうすると外界で何が起きているかわからなくなるので、それはそれで製品として問題だろう。

 少し不満は残るものの、本気で集中するときは耳栓とノイズキャンセリングヘッドフォンのダブルで使うとかなり静かで、考え事に集中できるのだ。

耳や頭のかたちにあわせて機種選びを。女性は髪型との兼ね合いで首掛け式が有利か?

 騒音の多い家庭内で使う分においては、機能的には問題ない2機種だが、大きく違うところがある。髪型との兼ね合いだ。

 筆者は1回の散髪で2カ月もたせるために髪はかなり短い。そのためオーバーイヤー型のごつい方で何ら問題はない。イヤーパッドに入った耳が2時間くらいで蒸れてきて痒くなるのが不快だが、仕事なので仕方ない。

 ただ、女性のアネサマは髪型によりヘアボリュームがあるため、オーバーイヤー型は不快に感じたということで、首掛け型を選択した。こちらは耳の穴に挿すカナル型イヤフォンを採用しているため、耳の穴に合うサイズのイヤーパッドに交換することでフィッティングを良くすることができる。

 こういうわけで、キャラの違う2種類がちょうど2人の事情にマッチした。「迷ったら両方買え」という格言はまったく正しい。なんなら新型が出たタイミングで予備としてもう1台買ってもいいのだ。

 こうして狭い自宅の2部屋で同時にテレカンが行なわれていても、お互い気にすることなく仕事ができるようになった。年間数百万円の収入を得ている、生活のかかった本業なのでじつに安い設備投資であった。

有線接続が地味に役立つ。会社携帯がiPhoneなら変換器を買うべし

 テレワークがはじまって、筆者が追加で購入したのは、会社用iPhoneに挿す「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」だ。

Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ

 いままでは有線接続の優位性を感じていなかったが、テレワークになると30分単位で、ZoomのPC経由の会話と、電話による会話がお客様ごとにどんどん切り替わる。 そのたびにPCと電話のBluetoothの接続先切り替えはやっていられないので、BluetoothはPC接続に固定、電話は有線接続というかたちにした。

 これで電話のときはスピーカーフォンを使わずに済むようになって、テレカンの運用がものすごく楽になった気がする。問題は、有線ケーブルを抜くと電源が切れる仕様のようで、電話からPCへの切り替えは電源再投入で数秒時間がかかる。しかし以前よりずっと楽だ。

 ソニーのヘッドセットに限らない弱点として、例えば「iPhone」、「iPad」や「Macbook Pro」の3台と接続登録していると、接続は先取り優先になるみたいで、いちいち使わない端末のBluetoothをオフにしていく作業が発生する。 筆者は電車のなかで何度もPCを開く羽目になっているので、Bluetooth登録は1台がおすすめだ。

1日数時間使うのであれば買って損はなし

 筆者はまったく予想だにできなかったが、毎日かならずビデオ会議がどこかで発生するような状況になってしまった。1年前は冗談でやって1回かぎりだったリモート飲み会まで、会社人事主催ではじめるような状況となった。

 仕事を自宅に持ち込みたくない筆者だったが、なんとかヘッドセットを導入することで、仕事の空気が自宅に土足で上がってくるのを防いでいる気分だ。

 製品については細かい部分で文句をいいたいところもある。たとえばWI−1000XM2の電源ボタンが見にくいとか。しかし昔のすぐ壊れた時代のソニー製品の修理をしまくってきた筆者からすると許容範囲だ。

 ソニーのオーバーヘッド型ノイズキャンセリングヘッドセットWH-1000XM3は先月辺りから新型の噂が流れている。モデル末期のためか値段も以前より割安になってきた。 新型の登場を待ちたい気持ちはもちろんわかるが、早めに買っておいたほうが家庭の平和に貢献すると筆者は思っている。

 コロナ騒ぎのご時世で、店頭のデモ実機を触るのもリスクになるため、この記事がテレワークに悩む読者の役に立てば嬉しい。