買い物山脈

テレワーク初心者よ、今すぐいい椅子を買え

~痔になったので自宅用に11万円の「アーロンチェア リマスタード ライト」をポチった話

製品名
アーロンチェア リマスタード ライト アームレストなし Bサイズ
購入金額
11万ちょい
購入時期
2020年3月末
使用期間
会社の椅子と合算で半年ちょっと
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

 自宅に籠もりきりになる運命を受け入れて、会社と同じ椅子をあえてポチった。

 基本的に家には仕事を持ち込まない主義だったのだが、コロナウイルスで出社すらできなくなる状況が刻一刻と迫ってる今、配送が動いているうちがチャンスと思い切った話。

満足度 ★★★★★(自分ではなく嫁さんが)

四川料理食ったら痔になった

 お恥ずかしながら、シモの話からストーリーは始まる。

 筆者の名前はぴーたん。PC Watchデスクの劉氏とは週に3日くらい一緒に中華料理を食っていた仲で、とくに真っ赤な四川料理を好んでいた。元はアキバのPCパーツ屋店員。一時期は中国在住で北京中関村事情のITライターをしたりして、いまは日本にもどりデータ分析のエンジニアをしながらペンネームで中華料理のライターをしている。

原因はこいつ。筆者の大好物 リアル四川料理@赤坂 望蜀瀘

 最近は老化のせいで辛いものを胃腸が受け付けず、四川料理を食べるのは年にほんの数回。 しかし知人たちは「ぴーたん=四川料理」というイメージをいまだに持っていて、私と集まる、というと四川料理を希望するのだ。

 そして赤坂の四川料理屋で控えめ注文の四川料理を食って花椒(香り高い四川山椒)の「爽」(シビレてラリる感覚)がキマった後からストーリーははじまる。

尻が焼けるのが治らない まさかこいつが噂の痔主様か?

 四川料理の宴会翌日は盛大にお腹をこわすのが宿命。しかしその後数日たってもいったん治まったはずの痛みが復活する。トイレでお尻を拭くときに、なにかひっっかかるものを指先に感じるのは、こいつが噂のイボ痔か! 子供の頃に好きだったヒサヤ大黒堂の「ぢ」巨大看板が目の前をよぎる。

 忘れもしない三連休あけ、早速、肛門科の門を叩き診察してもらうと優しい先生に触診を受け「あー、典型的なイボ痔ですね。みんななるから気にしないで」という診断をいただき、ついに私も痔主様デビュー。

 あんなに好きだった四川料理ともお別れかと運命を悟り、軟膏を塗る日々が始まった。そういえば知人で四川料理の専門家をしている人もよく痔を発症するらしい。

突然始まった在宅勤務 椅子は折りたたみ

 筆者は数年前から在宅勤務制度のある会社に数社勤めているため、在宅ワーク自体は普通にできるのだが、作業場所はあぐらをかいてのちゃぶ台(こたつトップPC)が長く続いた。半日働くととにかく腰が痛いので、折りたたみの机とちゃんとした椅子を買おうとしたところ、アネサマと呼ばれる強い嫁(中国最凶と言われる上海女性化した微妙な日本人)にブロックされ、しぶしぶ折りたたみ椅子に。

 筆者は一瞬だけ当時一脚20万円くらいしたと記憶するアーロンチェアに座れる職場に3カ月いて、半年ほど前から働くシェアオフィスの椅子もアーロンチェア(廉価版)。

 しかし今のオフィスの椅子は脚の部分が昔と違って金属ではなく樹脂製。コストダウンかなーと思ってたら、最近はもともとのフル装備に加えて廉価版が出ていることを知ったのだ。座り心地も悪くない。終日座っていても、前の会社の布張りオフィス椅子よりずっと具合がいい。

 そして会社のトップからはほぼ強制に近い在宅勤務命令が出た。

 「ケツ痛いし、買っちまおうか」と思いついた横で嫁は酔っ払ってひっくり返って寝てる。今がチャンスだ! これは今買うしかない!

 この外出自粛は少なくとも1カ月、おそらく3カ月くらいの長期戦になると考え、3月下旬のある日にポチった。10万円オーバー値段は高いと思ったが、3年しか持たないスマホと大差ないし、グラボだってもっと高いので今回はズササササと欲望にまかせていってみた。

思った以上にでかい箱で着弾。佐川急便ありがとう

 配送は1週間後くらいと書いてあったものの、正確に記憶していないが3日くらいで到着。狭い我が家に箱をいれると少し後悔する大きさ。

 いやこれは非常時なので仕方ないと開梱しセット。ところがオフィスでいつも座ってる椅子が家にあるのは、想像以上に良かった。

 オフィス仕様の椅子が家にあって、なにが良かったかをこれから紹介していこう。

座面のハンモックの反発が小気味よく、車輪の滑りもいい

 データ分析でマウスを使ったり、キーボードで原稿を書いたりしているとき、無意識のうちに体が左へ右へ動いていく。打鍵やマウスの動きのような小さな動作ですら、絶えず身体は数ミリから数センチのバランス取りをしているのだ。その微妙だけれど無視できない動きを、うまく椅子が吸収してくれる。これはじつに快適だ。

この座面がキーボードを打つ動きに反応して小気味よく左右に回転する。身体への衝撃をうまく回転で押さえてくれるのだ。長い文章を書くときは結構体力温存できる

 今こうしてキーボードを打ってる瞬間に、身体のリズムに合わせて左右に動き前後方向や上下方向に動くモーションも小気味よく座面が吸収してくれている。

 またもう1つ白眉なのは、車輪のスムースさ。これはオフィスのカーペットの上ではわからなかったことで、自宅のフローリングの上にアーロンチェアを設置してはじめてわかった。ちょっと姿勢を変えたいときに足を動かすとわずか数センチ、思い通りに椅子の場所が調整できるのだ。ちょうど筆者の65kg程度の体重で、床の上を滑りすぎず自由自在に動かせるにもかかわらず、椅子を動かしたくないときはしっかりホールドしてくれるので下半身の筋肉が非常に楽。

 アーロンチェアの中でも廉価版にもかかわらず、自宅にあってこそ実力が光るバリューモデルだった。

 多くのにわか在宅ワーカーがリビングの机や、折りたたみ机と折りたたみ椅子で仕事をするとき、完全に位置が固まった椅子にどっかりと腰を落として作業することになる。これは最終的に腰に応力が集中することになる。腰もいたいしお尻も痛い。

 病院に行くと案外お金もかかるし、なにより「できるかぎり仕事をしないでスマートに仕上げる」ことがモットーながら全然実現できてない筆者としては、仕事の効率アップの出費は投資として惜しみなく放り込みたい。椅子自体は10年くらい使えそうな雰囲気なので、時間で割れば仕事の時間で年間2,000時間として10年で20,000時間と考えると、1時間あたり5円の利用料だ。

 キーボードにHHKBを買うとか、目玉焼きができるグラボを持ってる人なら躊躇なくいい椅子を買うべきだ。

機構をこまかく見ていく

 「アーロンチェア リマスタード ライト」の詳細は輸入代理店の回し者ではないので割愛する。

 まずは光り輝くMade in CHINAのシール。ここから紹介するのは狂ってると個人的に思うが買い物山脈のネタなのであえて書く。これを見てちょっとと思う人は価値観それぞれ。このお先真っ暗の時節柄、中華ネタを扱っている筆者ももちろん言いたいことがあるが、中国では製造業も業務が再開しているので、今後も購入できる気がするのは頼もしい。

Made in Chinaのシール。ちなみに微妙に斜めっているのは目の錯覚ではない

車輪はまあまあ

 少し安っぽさを感じるが、車輪の滑りは非常にいい。安いといっても10万円オーバーの椅子なので、回転系のコストもあるていど掛かっている。分解こそしていないから断言はできないが、ブッシュではなくベアリングが入っていると思う。

見た目やすっちい車輪だが、滑りはガタツキなくかなり良い

椅子の下の謎の機構が萌ポイント

 高級モデルのアーロンチェアと違うのは、調整機構が少ないのが最大の違いらしい。このごつい調整ユニットがその心臓部の模様。しかし筆者は高級版に一瞬だけ座ったときも、この半年職場で廉価版に座ったときもそんなに違和感なかったので、我慢することにした。上を見ればきりがない。

 写真の手前に写っているのが左手で操作するリクライニング範囲の調整(3段階)。しかし仕事中は一番動きのすくない範囲で問題ない。右手で操作する奥は前傾チルト。

 調整機構の少なさも、最初から高レベルの椅子なので本当に姿勢にたいして要求の多い事情のある人以外は問題ないと感じる。1回ポジションが出てしまえば前のめりの集中姿勢で仕事をガンガンすることができる。

ホコリは積もるが結構掃除しやすい形状の調整ユニット

腰をサポートするパーツ。高級版と廉価版の効果の違いのほどは?

 背もたれにへんなパーツが付いている。これは腰の骨をサポートするパーツ。メッシュの椅子なので構造がスケルトンで丸見えなのが楽しい。

 高級版はこのサポート部品が2つ付いていて、骨を優しくサポートするらしいが違いが、どれほどあるかは不明。筆者のふところ事情のせいでこの差のために2倍の値段は払えなかったのだ。

大きさ的に効果があるのかよくわからない腰骨サポート部品

 この部品は後ろから見るとわかりやすい。Y字型のフレームからパット部品が生えている。ちょうどバネになっているのでメッシュの左右の張りで支えられない応力を真ん中でフォローしているのだ。

 しかし効果のほどは比較のしようがないのでまったく不明だ。

裏側からみると面白いかたちをしている。ちょっとしたものなら引っ掛けられる

最後に座面の紹介

 アーロンチェアで筆者が最も気に入っているのはここ、涼しげな座面。ファブリックや人工革の椅子は、長時間座っていると温まってきて、かなり眠くなる。これがアーロンチェアだとメッシュで少し涼しさを感じるので眠気が起きにくい気がする。

 座面はあぐらがかけるくらい広さがあり、気分をかえて椅子の上であぐらをかくことも可能。長時間座って仕事するには嬉しい機能性だ。

 たぶん、コーヒーをぶっこぼしたら、ベランダに出して水をぶっかければきれいになるはず。リビングに奥には少し味気ない殺風景デザインではあるが、仕事用と割り切れば我慢ができると思う。

 そして筆者は会社と違う、アームレストなしのモデルを選んだ。狭い自宅に置くので、値段そんなに変わらない肘当てはほしいのはやまやまだがコンパクトさを優先した。

 自分の親父が自分と同い年くらいの頃は、肘当て付きの書斎椅子に座っていたので少し情けない部分はあるが、仕方ない。見えを張るのはやめた。

一般のオフィスチェア最大の不満は、温まって食後にすぐ眠くなることろ。アーロンチェアでは結構耐えられる

大問題発生。乗っ取られた……

 さて、この椅子を買ってわずか数日後、嫁の会社でも在宅勤務が急遽決定。筆者は家庭内の力関係によりワークスペースを乗っ取られることとなった。もちろん購入反対されたこの椅子も一緒に取り上げられたわけだ。世知辛いにもほどがある。

 嫁は自宅用キーボードもいるというので、漢らしくRealforceを導入した。いったいどれだけ贅沢なんだ。

 しかし筆者も痔主さま。いま症状が悪化したら病院いきたくても行けない外出自粛の状況になるかもしれぬ。やむを得ず自分用としてもう1個同じアームレストなしのアーロンチェア リマスタード ライトをポチった。数日前買ったときは即納だったのに、同じことを考える人達がおおいせいで、次回入荷は4月中旬。

 東京ロックダウンで物流が止まるのが先か、配達されるのが先かひやひやしながら待っている。おねがい、はやくとどいて。