Hothotレビュー
1+1は2じゃない!作業効率10倍だぞ10倍!筋金入りの縦2画面ノートPC「GPD DUO」
2024年10月28日 06:17
GPD Technologyの最新製品「GPD DUO」、ランドスケープの2つのディスプレイを縦に2画面並べつつ、伝統的なクラムシェルノートPCのようなフォームファクタを実現したユニークなノートPCだ。クラウドファンディングサイトのIndiegogoで出資を募っており、製品を入手するために必要な出資額は19万1,298円(Ryzen 7 8840Uモデル)からで、出荷は11月を予定している。
日本でも代理店の天空が12月13日に発売予定で、最下位モデルは24万6,700円からとなっている(先行予約価格)。正式版出荷を前にサンプルを入手したので、レビューをお届けしていこう。なお、今回入手したものは製品版ではないエンジニアリングサンプルであり、実際の製品とは異なる可能性があることをお断りしておく。
先に結論から述べさせてもらおう。GPD DUOを2週間程度試用したが、筆者のこれまでのノートPCに対する仕事における作業効率の概念が完全に覆った。猫も杓子もAIと言われる現代において、GPD DUO以外のノートで作業する時代にはもう戻れなくなりそうだ。
モバイルモニターが売れる理由と、その不便さ
GPDのCEOであるWade氏から「このような縦2画面のノートのコンセプトを考えているんですよね」と言われコンセプト図を見せられたのは、2023年8月まで遡る。その時は「いやいやジョークっぽい!ミニノートで名を馳せるGPDが、こんなデカいやつを?」などとと笑ったりした。
しかし、よく考えてみれば新型コロナの流行以降にハイブリッドワークが定着して、ノートPCを使う機会が増える中で、その上での作業効率が課題になってきたように思う。性能やメモリ容量などはさておき、ノートPCのメインストリームであるフルHD(1,920×1,080ドット)解像度では、複数の資料を並べて参照して作業する際に、ウィンドウ切り替え操作が多発し、作業効率が大きく低下する。
こうしたニーズを汲み取ってか、2020年辺りからモバイルモニターが多数市場に現れた。画面1つで足りないのであれば2つにすればいいというわけだ。また、モバイルモニターは未使用時にコンパクトにしまえるので場所も取らない。そんなわけで、作業効率を向上させる有力なアイテムとしてPC Watchでも人気が高いジャンルの1つとなっている。
しかし、モバイルモニターにも課題がないわけではない。1つ目は「(工夫しないでそのまま設置すると)横方向に場所を取る」ことだ。ワークスペースがしっかり取れる場所であれば問題はないが、たとえばカフェなどで横に2画面を広げたりするのは仰々しいので、持ち歩いたけど結局使わずじまいになる可能性が大きい。また、横2画面は首の動きが増える。縦2画面であればということで考察された「VAIO Vision+」が登場したりもしたが、まだメジャーな形態とは言えない。
縦2画面にしたとしても、そのほかの課題が解決されるとは限らない。今使っているノートPCの画面とサイズが違ったり、解像度が違ったりすると、思わぬシーンでストレスになったりする。たとえそれらが揃っていたとしても、かたやタッチ対応でかたや非対応、かたや光沢でかたや非光沢……なんてこともありえる。購入時に仕様で揃えても、「発色が違うじゃん!」となったりする。さらに言えば、配線したり設置したりする手間も省けるわけではない。
この不満を一挙解決するGPD DUO
GPD DUOはこれらの課題や悩みを一挙に解決する。2,880×1,800ドット表示対応の13.3型OLEDパネルを2枚採用し、いずれもタッチとペンに対応。メイン画面(下の方)とサブ画面(上の方)下部を360度回転するヒンジ、さらにメイン画面とキーボード部をヒンジでつなげることで、2段階のクラムシェル開閉操作でシンプルに展開できる構造とした。
画面のスペックとしてはこのほか、10億7,000万色表示、色域Adobe RGB 100%/sRGB 133%、中間色応答速度1ms、ピーク輝度500cd/平方m、コントラスト比100万:1、画面占有率90%、Corningのゴリラガラス採用といったハイスペックなもの。実際に見た印象もすこぶる美しい。4,096筆圧レベルのペンもサポートしているため、写真やお絵かきといったクリエイティブ用途にもしっかり使える。
工夫されているところとしては、メイン画面を上下逆に配置していることが挙げられる。一般的にディスプレイは下部に制御回路を搭載しているが、GPD DUOではメイン画面を逆配置にし、2画面間のヒンジ部のスペースを稼いでいる。そのため、メイン画面はソフトウェア的に画面を上下回転するよう設定されている。
また、メイン画面は内部的にeDPで接続されているが、サブ画面はDisplayPort接続(おそらくUSB Type-CのDisplayPort Alt Mode相当)だ。サブ画面側は輝度調節がボタンで独立しているほか、USB Type-C入力を備えており、GPD DUO本体の電源がオフの際に、USB Type-Cからの映像入力が可能になっているなど、完全に独立したモニターになっていると言ってもいい。イメージとしては「モバイルモニターをノートPCの上にくっつけました」的な点もユニークだ。
なお、サブ画面の重みでメイン画面がグラつかないよう、メイン画面の後ろに革や金属板を使ったキックスタンドも装備されている。メイン画面のヒンジが硬いため、使っていたら勝手に角度が変わるということはないのだが、それでもタイピングなどの際にサブ画面が揺れることがある。本機はキックスタンドでこの問題を解消している。やや強引な解決策で、フットプリントがやや増加するが、いずれにせよ画面の後ろには何も置かないだろうから、問題はないだろう。
重くても持ち歩こうという気にさせてくれる便利さ
利便性とトレードオフになったのが重量で、本機は2,285gと15.6型のゲーミングノート級になっている。モバイルモニターの重量はモデルやサイズにもよるが、タッチ対応の13.3型OLEDかつスタンド付きとなると大体600g超え。これに保護カバーなどをつければ1kg近いところまで来る。GPD DUOはこの重さに、1.2kg前後という数世代前のモバイルノートをプラスした重量と考えればまあ納得もいくのではないだろうか。
重いことには重いのだが、使ってて思ったのは「それでも1日仕事するなら、ほかのノートではなくこれを持ち運ぶ気にはなる」ということに尽きる。
筆者の普段の仕事はニュースの執筆なのだが、実際にやっている作業を赤裸々に書くと
- 報道資料やスペック表を参照しながら執筆する
- 撮影した写真をエクスプローラーのプレビューから選んで編集する
- テキストエディタで書いた原稿をCMS(コンテンツマネジメントシステム)に入れる
- 原稿を読みながらライターとチャットで相談する
- 原稿を書きながらSlackで部内スタッフとやりとりをする
- 原稿を書いて行き詰まった際に溜まったメールを処理する
- 原稿を書きながら、サイトがアクセスされている状況を監視
といった具合。「原稿を書きながら~」が多いのは職業柄当たり前なのだが、少なくとも2つ以上のウィンドウを開いて作業を並行させている。よって、フルHD 1発だけではまず論外、最低でもフルHDが2画面以上、理想的にはやはりWQHDが2枚ほしい。
というのも、見ていないウィンドウは自動的に後ろに隠れるは隠れるが、10個を超えた辺りから目的にウィンドウを探す時間が無駄だし、最小化したことを忘れてもう1つ同じ内容のウィンドウを開いてしまうことがしばしある。マルチモニター環境は、こうした作業の散漫を最小限に防げる。そのため筆者もモバイルモニターや縦2画面にできるモバイルモニター用スタンドなどを導入してきた。
ただ、この環境は家で使えても、外出先やカフェでは使えない。これがGPD DUOでは可能になるわけで、家と同じ環境をどこでも再現できるようになるわけだ。「だったら2,285gになったとしても許すかな」という気にさせてくれるのがGPD DUOのポイントだ。
ちなみにサブ画面は先述したUSB Type-Cによるほかのデバイスの映像入力のほか、背面に回してプレゼン用として対面の相手に見せる使い方もできる(センサーで自動的に回転する)。GPDはヒンジでそれぞれの画面の角度を好みに調整できるので、実用度も高い。また、サブ画面を背面にしてからメイン画面を畳めばタブレットPCとしても使える。
新しさと懐かしさが融合するデザイン
2画面のメリットを語ったところで、デザインやインターフェイスを見ていこう。閉じた状態では、厚みが25mmほどあることや本体の重さも相まって、MacBook Airに倣わなかった2000年代後半のモバイルノート的なデザイン。天板の革素材のキックスタンドはほかにはないが、手前に設けられた横のエンボスのストライプは、かつての名機「HP 95LX」を彷彿とさせる。
しかし液晶を開けば、今度は一気に「Razer Blade」シリーズのようなシンプルな現代的なデザインに様変わり。ディスプレイは光沢でタッチ対応なので、今度は筆者手持ちの「Razer Blade Stealth 13(2019 Late)」と雰囲気そっくりという印象だ。
一方で、メイン画面とキーボード(本体)を接続するヒンジ部がキーボード後部に隠れるのではなく上部に来ているのは、GPD自身の「GPD Pocket 3」や「GPD WIN Max」を踏襲するデザインである。このレトロっぽさと現代的なデザイン、そしてGPDならではの言葉を1つに融合させている点が、PCマニアの心をくすぐるポイントだ。
インターフェイスは左側面が奥から3.5mm音声入出力、SDカードスロット、USB4 1基、USB 3.2 Gen 2 Type-C 1基(DisplayPort Alt Mode対応)。右側面が奥から指紋センサー兼電源ボタン、USB 3.2 Gen 1 2基。背面にHDMI出力とOCuLink、2.5Gigabit Ethernetを備える。キックスタンド利用時はOCuLinkやHDMIにアクセスしにくくなるが、これはサブ画面を向こうに回して使え……ということかもしれない。
キーボードは一般的な英語配列で、キーピッチもしっかり確保されているため、英語キーボードに慣れているのであれば戸惑うことはないだろう。バックライトもあり、暗所でも視認しやすい。スイッチは若干硬めな印象を受けるが、ストロークは1.3mmと深めかつクリック感がしっかりしているためミスタイプが起きにくい。なお、試作機ではファンクションキーはFnキーと併用する設定で、そのまま押すとメディアキーなどになるが、製品版では逆にするとのことだった。
タッチパッドはこのクラスとしては小さめだが、ユニークなのはMacBookなどと同様ハプティクスでクリックをフィードバックする点。このためタッチパッドのどこでも押下してクリックできる。ちなみにこのハプティクス技術はかなり成熟しており、筆者は当初、物理ボタンクリックだと思ったほどだ。
指紋センサー兼電源の反応はまずまず。ただ、USB接続であるためか、試作機ではWindowsからは外部指紋センサーとして認識され、そのままではWindows Helloが使えず、設定で「外部カメラまたは指紋リーダーでサインインする」にチェックを入れる必要があった。WebカメラはUSB接続だが、暗所でも画質は悪くない。ただ、Windows Hello顔認証はサポートしないほか、現時点ではWindows Studio Effectsも使えなかった(これにはMicrosoft側の認証やBIOSの対応が必要)。
本機の冷却機構はデュアルヒートパイプのデュアルファン。片方は主にCPU、もう片方はマザーボードなどを補助的に冷やすとしている。試作機の騒音は軸音/風切り音ともに多い印象(軸音の方が強め)だが、CPUのTDPを56Wまで引き出す高性能セッティングのため致し方ないだろう。一方、負荷時にパームレストが熱くなるといったことは一切なく快適だ。
最高クラスの性能
GPD DUOのCPUには、Ryzen 7 8840UまたはAMD最新のRyzen AI 9 HX 370が採用されている。今回入手したモデルは後者である。Ryzen AI 9 HX 370には最新のXDNA 2アーキテクチャのNPUが内蔵されており、現時点でも有効かつOS上から認識されているが、これを活用したCopilot+ PCにはWindows Updateを介して対応予定となっている。
CPU | Ryzen AI 9 HX 370 |
---|---|
メモリ | 64GB |
SSD | 1TB |
ディスプレイ | 2,880×1,800ドット表示対応13.3型OLED 2枚 |
OS | Windows 11 Home |
インターフェイス | USB4、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、HDMI 2.1出力、OCuLink、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、電源ボタン一体型指紋認証センサー、UHS-II SDカードスロット、500万画素Webカメラ、音声入出力 |
本体サイズ | 約297×209.65×23.8mm(公称値) |
重量 | 約2,285g(公称値) |
国内発売製品の仕様と価格
- Ryzen 7 8840U+メモリ32GB+SSD 1TB - 25万700円(先行予約価格は24万6,700円)
- Ryzen AI 9 HX 370+メモリ32GB+SSD 1TB - 29万4,000円(同29万円)
- Ryzen AI 9 HX 370+メモリ64GB+SSD 2TB - 32万5,000円(同32万1,000万円)
今回テストしたのは、CPUを計測する「Cinebench R23」、PC性能全体を計測する「PCMark 10」、GPUの3D性能を計測する「3DMark」、および実ゲーム性能を反映した「ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシー ベンチマーク」。比較用として、Ryzen 7 8840Uを搭載する「GPD WIN Mini(2024)」と、Core i9-12900HおよびGeForce RTX 4060を搭載した小型ゲーミングPC「M1A TANK 03」の結果を並べてみよう。
そのスコアだが、さすが最新のCPUでかつそのCPUの性能を引き出せるTDP 56Wが設定されているだけあって高い。Ryzen AI 9 HX 370は、Intelで言うところのPコアに相当するZen 5コアを4基、Eコアに相当するZen 5cコアを8基内蔵しているが、CPUのアーキテクチャはほぼ共通で、違いはL3キャッシュ容量や最大動作クロック程度となっている。このため演算処理が中心のCinebench R23などでは、モバイル向けとしては破格のスコアを示す。
PCMark 10においても7,914という高いスコアを示しており、一般用途においては一部デスクトップPCを凌駕する性能を達成している。また、GPUも改良されたRDNA 3.5となり、CU数が向上していることもあって、3DMarkでも高いスコアを示し、実ゲームにおいても優れた性能を発揮している。外出先で息抜きにゲームをプレイするのも十分な性能だろう(もちろんゲーミングノートほどは望めない)。
バッテリ駆動時間だが、メイン液晶で輝度設定40%、サブ液晶輝度20%(上下の値を同じにするとサブの方が明るくなるため、ほぼ同じ見た目に設定)、電源プラン:バランスに設定したところ、PCMark 10のModern Officeで残容量6%まで5時間30分駆動した。普通のモバイルノートからするとやや短い印象だが、2つの画面があることを踏まえれば十分健闘しており、外出先で3~4時間作業する分にはなんら支障がないだろう。
ちなみに、本機はBIOS上でバッテリ充電の上限容量を設定することが可能になっている。一応ポータブルなモバイルノートではあるのだが、そこまで持ち歩く機会がなく、据え置きが多くて、外出先で使っても2時間程度……というユーザーは、80%などに設定しておけばバッテリの製品寿命を伸ばすことが可能だ。
Ryzen AI 9 HX 370の性能と2画面を生かす最新の使い方
先述の通り、筆者の場合は普段の作業で2画面の恩恵を得ることができるのだが、まだまだ活用法を見出していないのなら、「LM Studio」というローカルでLLM(大規模言語モデル)を実行するソフトの活用をおすすめしておく。ソフトは無料だ。
生成AIをローカルのPCで実行するというとなんとなく「GeForce RTX 3060(12GB)/4060 Ti(16GB)以上が必要だ」という認識があるようと思うが、この認識はあながち間違いではない。今回は画像生成AIを省いてLLMに話を絞るが、LLMのモデルはパラメータ数別で複数用意されている。概ね「2B~3B」、「7B~9B」、「それ以上」の3段階に分けられるのだが、このうち3B未満は応答する内容がちょっと微妙(日本語だけかもしれないが)で、実用的なのは7B以上だ。
そしてこの7B前後のモデルは、たとえ量子化で容量削減を行なったとしても、メモリ上に置くと概ね9GB前後になる。するとビデオメモリが8GBのGPUだと、メインメモリの共有領域にデータを置くことになり、PCI Expressバス経由でアクセスするため性能が大幅に低下する。これが“12GBスタート”であるゆえんだ(もちろん10GBのGeForce RTX 3080もあるがさておき)。
一方、LM Studioは標準ではCPUでLLMを実行するが、モデルロード時に「GPU Offload」を選択することでGPUに処理させることができる。しかもVulkanが使われ、GeForceだけでなくRadeonもサポートされるようで、Ryzen内蔵のRadeonでも使えた。そして、実は今回のGPD DUOの標準の状態では、メインメモリ64GBのうち16GBがGPU専用メモリとして割り当てられている状態だった(なんて贅沢な)。これならそこそこ大きいLLMをGPUにオフロードして使える。
今回は時間が限られている関係で、膨大な量のLLMを片っ端から試すことはできなかったが、筆者が比較的実用的だと感じた「Tiger Gemma 9B v3(Q4_K_M)」などは概ね10tok/s前後の速度で出力され、「まあまあ使える」という印象だった。ちなみCPUで実行してもほぼ同じ速度であるため、Radeon 890Mにオフロードできたからと言って高速化されるわけではないのだが、「CPUリソースをほかのことに集中させつつ、普段の作業でほとんど使わないGPUを活用する方法の1つ」として捉えておきたい。
ちなみに、MINISFORUMのAtomMan G7 PtのRadeon RX 7600M XTで同様のモデルを使ってみたところ、ROCmに対応しているためか40tok/s以上で処理できた。また、別のマシンのGeForce RTX 4090は85tok/s以上で圧倒的なので、さすがにまだ開きがある。不満があるなら、OCuLinkで別途ビデオカードを接続するのも手だろう。
とはいえ、セキュアなローカル環境で、本体だけでもここまでAI処理ができるのなら、LM Studioをサブ画面などに常駐させておいて、仕事中に疑問に感じることがあったり、手伝ってもらったりしたかったらとっさに尋ね、その結果を作業中のメインアプリケーションにコピー&ペーストするという使い方は大いにアリで、筆者のノートPCでの作業の概念を覆すほどだ。
ノートPCを、デスクトップPCと遜色のないツールに
ニュース記事の中でも述べているが、GPD DUOのフォームファクタは前例がなく実に独創的だ。つまり2画面だが、
- メイン/サブ画面ともに同じサイズでスペックも共通
- サブ画面はヒンジで調節可能
- サブ画面を相手側に回すことが可能
- メイン画面とサブ画面が上下に並ぶ
- 着脱式ではないキーボードを装備している
といういずれの条件も満たしている製品がGPD DUOである。もしかしたら過去にもどこかのメーカーが同じものを作ろうとして、開発を裏で進めていたのかもしれないが、それを実際に個人が普通に買って使えるレベルの製品にしてしまったというのは、実に頭が下がる思いだ。
そしてGPD DUOはこれまでのどの2画面よりも実用性が高い。横2画面だと無駄に横のスペースは取るし、サブ画面のサイズが小さいと本当に補助的にしか使えないし、スクリーンキーボードだったりしたら生産性が下がるだけだし、キーボード外付けだとしたらラップトップで2画面が使えない……からだ。
こうした大胆で実用的な2画面設計によってユーザーにもたらされたのは、やはり言うまでもなく圧倒的な生産性。ここまで来たら下手なデスクトップPCをも凌駕し、「メインマシン」に据えてもその名に恥じないレベルだろう。最上位モデルの国内価格は32万円超えで正直値が張るが、その価値は十分にある。
新規で本気のノートPCを購入したいユーザーはもちろんのこと、「PCを買い替えるタイミングで、今あるPCの環境を一気にブラッシュアップして作業効率をアップさせたい」と考えているユーザーに、GPD DUOを強く勧めたい。特にAIを併用させるなら、なおさらだ。