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3年振りの新iPad miniはどれだけ変わったのか?iPhone 16 Pro、M1/M4 iPad Proと性能比較
2024年10月30日 06:30
Appleは新型タブレット「iPad mini(A17 Pro)」を10月23日より販売開始した。「A15 Bionic」を採用した前モデル「iPad mini(第6世代)」が発売されたのが2021年9月24日。実に3年ぶりにニューモデルが登場したことになる。
第7世代に相当する今回のモデルは、製品名の通り「A17 Proチップ」を採用。日本では2025年にリリースされる予定のパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」に対応する。
このiPad miniの製品版を借用したので、実機レビューをお届けする。ベンチマークでは「iPhone 16 Pro」や、M1、M4搭載「iPad Pro」などとスコアを比較。どのような用途にそれぞれのモデルが向いているのかについても言及していこう。
「A15 Bionic」から「A17 Proチップ」へと大幅アップデート
「iPad mini(A17 Pro)」はOSに「iPadOS 18」、プロセッサに「A17 Proチップ」(高性能コア×2+高効率コア×4を搭載した6コアCPU、5コアGPU、16コアNeural Engine)を採用する。
メモリ容量については、Appleは公表していないが、ベンチマークソフトのシステム情報によれば8GB。ストレージは128GB、256GB、512GBを用意している。
Wi-Fiモデルと、Wi-Fi+Cellularモデルがラインナップされており、スペック的には下記の6モデルが存在する。
Wi-Fi | Wi-Fi+Cellular | |
---|---|---|
128GB | 7万8,800円 | 10万4,800円 |
256GB | 9万4,800円 | 12万800円 |
512GB | 13万800円 | 15万6,800円 |
ディスプレイは8.3インチLiquid Retinaディスプレイ(IPS液晶、2,266×1,488ドット、326ppi、P3、500cd/平方m、耐指紋性撥油、反射防止、Apple Pencil Pro/Apple Pencil[USB-C])対応)を採用。サウンド機能は、ステレオスピーカー(横向き)、デュアルマイクを備える。
インターフェイスはUSB-C(充電、DisplayPort、USB 3[最大10Gb/s])。1台の外部ディスプレイを接続した際に、最大4K解像度/60Hzで表示可能だ。ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポート。Wi-Fi+Cellularモデルは5Gに対応しているが、eSIMのみ。物理SIMカードは利用できない。
カメラは12MP広角(F1.8、5枚構成のレンズ、最大5倍のデジタルズーム、Focus Pixelsを使ったオートフォーカス)、12MP超広角フロント(F2.4)を搭載。また背面にはLEDフラッシュが配置されている。
本体サイズは134.8×195.4×6.3mm、重量はWi-Fiモデルが293g、Wi-Fi + Cellularモデルが297g。19.3Whのリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間はWi-Fiでネット利用/ビデオ再生した際には最大10時間、モバイルデータ通信でネット利用した際は最大9時間とされている。
購入を検討している方に注意してほしいのが、iPad mini(A17 Pro)には「Magic Keyboard」などのApple製キーボードが用意されていないこと。サードパーティ製のキーボードカバー、またはBluetooth接続キーボードを選ぶ必要がある。
製品名 | iPad mini(A17 Pro) |
---|---|
OS | iPadOS 18 |
CPU | A17 Proチップ (高性能コア×2+高効率コア×4を搭載した6コアCPU、5コアGPU、16コアNeural Engine) |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 128GB、256GB、1TB |
ディスプレイ | 8.3インチLiquid Retinaディスプレイ (IPS液晶、2,266×1,488ドット、326ppi、P3、500cd/平方m、耐指紋性撥油、反射防止、Apple Pencil Pro/Apple Pencil(USB-C)対応) |
サウンド | ステレオスピーカー(横向き)、デュアルマイク |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
WWAN | 5G(eSIM) |
インターフェイス | USB-C (充電、DisplayPort、USB 3[最大10Gb/s]) 1台の外部ディスプレイで最大4K解像度/60Hz |
カメラ | 12MP広角(F1.8、5枚構成のレンズ、最大5倍のデジタルズーム、Focus Pixelsを使ったオートフォーカス) 12MP超広角フロント(F2.4) |
センサー | 3軸ジャイロ、加速度センサー、環境光センサー、気圧計 |
バッテリ容量 | 19.3Wh(リチウムポリマーバッテリ) |
バッテリ駆動時間 | Wi-Fiでネット利用/ビデオ再生:最大10時間 モバイルデータ通信でネット利用:最大9時間 |
バッテリ充電時間 | 非公表 |
本体サイズ | 134.8×195.4×6.3mm |
重量 | Wi-Fiモデル : 293g、Wi-Fi + Cellularモデル : 297g |
セキュリティ | Touch ID(指紋認証) |
同梱品 | USB-C充電ケーブル(1m)、20W USB-C電源アダプタ、説明書 |
カラー | ブルー、パープル、スターライト、スペースグレイ |
価格 | 7万8,800円~ |
AnTuTu Benchmarkの総合スコアはM1の82%、M4の62%相当
まずはパフォーマンスからチェックしていこう。今回は、A17 Pro 搭載iPad miniの比較対象機種として、A18 Pro搭載iPhone 16 Pro、M1搭載iPad Pro、M4搭載iPad Proを使用している。ただし、M4搭載iPad Proについては、各ベンチマークソフトの公式ランキングデータからスコアを引用した。
iPad mini(A17 Pro) | iPhone 16 Pro(A18 Pro) | iPad Pro(M1) | iPad Pro(M4) | |
---|---|---|---|---|
SoC | A17 Pro | A18 Pro | Apple M1 | Apple M4 |
CPU | 6コア | 6コア | 8コア | 10コア |
GPU | 5コア | 6コア | 8コア | 10コア |
Neural Engine | 16コア | 16コア | 16コア | 16コア |
メモリ | 8GB | 8GB | 16GB | 不明 |
ストレージ | 512GB | 1TB | 1TB | 不明 |
AnTuTu Benchmark V10
まず総合ベンチマークAnTuTu Benchmark V10の総合スコアは、iPhone 16 Pro(A18 Pro)の81%、iPad Pro(M1)の82%、iPad Pro(M4)の62%相当のスコアとなった。
項目を個別に見てみると、iPad Pro(M4)に対してCPUは56%、GPUは47%相当のスコアだ。CPU、GPUの1コアごとの性能も異なっているが、当然のことながらコア数の差が大きな影響をおよぼしている。
Geekbench 6
Geekbench 6でCPU性能に注目すると、iPad Pro(M1)との違いが興味深い。iPad mini(A17 Pro)はiPad Pro(M1)に対して、Single-Core Scoreについては125%相当のスコアだが、Multi-Core Scoreについては86%相当のスコアと逆転している。とはいえ、2021年発売の最上位機種に対していい勝負をしている。クリエイティブ系アプリも快適に動作するはずだ。
3DMark/BASEMARK METAL
一方、3Dグラフィックス性能については、3DMark Steel Nomad LightのOverall score、BASEMARK METALのOverall、Lighting、Compute、Instancing、Post-Processingで、ほぼ同じ傾向となった。トップはiPhone 16 Pro(A18 Pro)で、iPad mini(A17 Pro)はその66~93%相当のスコア。平均値としては80%相当となる。
リフレッシュレートはiPhone 16 Pro(A18 Pro)のほうが高いとしても、画面サイズを考慮すると、ゲームをするのであればiPad mini(A17 Pro)をおすすめしたい。
Geekbench AI
AIベンチマークのGeekbench AIについても興味深い結果だ。すべての項目において、iPad Pro(M1)、iPad mini(A17 Pro)、iPhone 16 Pro(A18 Pro)……と、プロセッサの世代順にスコアが向上している。今回の3機種はどれもApple Intelligenceの対応機種だが、ローカルでの処理速度に変化が出るのか気になるところだ。
Jazz Disk
ストレージ速度はやや不思議な結果となっており、シーケンシャルリード/ライトはiPad Pro(M1)がトップだが、ランダムリード/ライトはiPad mini(A17 Pro)が逆転している。ただ逆転していると言っても、ランダム性能の差は小さい。Proシリーズのストレージのほうがグレードの高いパーツを採用していると思われる。
バッテリ性能
バッテリ駆動時間については、iPad mini(A17 Pro)でディスプレイ輝度、ボリューム50%でYouTube動画を2時間連続再生したところ、バッテリ残量は88%となった。バッテリ残量0%まで動作させるとすると、単純計算で16時間40分動作することになる。あくまでも簡易計測なので参考に留めてほしいが、カタログスペックの「Wi-Fiでネット利用/ビデオ再生:最大10時間」というのは問題なく達成できると思われる。
携帯性がよいだけにカメラは使いやすい
カメラ画質については下記のテスト撮影画像をご覧いただきたいが、基本的な画質については十分綺麗だと感じた。建物(グリーンセンター)の写真などを見ても、周辺の歪曲はまったく気にならない。ただし大きな画面で見ると、5倍ではいかにもデジタルズームっぽい解像感だし、夜景では暗部ノイズがかなり目立つ。
iPhoneに次いでコンパクトなiPad mini(A17 Pro)では、とっさに撮影したくなる機会が多い。シングルカメラのままでもよいが、もう少し高性能なカメラを搭載してほしいところだ。
携帯性と操作性、視認性のバランスが取れた手放せなくなるタブレット
iPad mini(A17 Pro)は3年ぶりのニューモデルだけに、前モデルから大幅に処理速度が向上している。ディスプレイやカメラのスペックについては前モデルから変わらず、カラーやデザインも同じだが、Apple Pencil Proに対応し、ホバー機能を利用できるなど細かな強化が図られている。Apple Intelligenceが利用できるようになることも大きなアドバンテージだ。
iPhoneとiPadの間を埋めるサイズということで、ターゲットはある程度絞られる製品だ。しかし、携帯性と操作性、視認性のバランスが取れており、特に日本ではファンが多いシリーズだ。バイブルサイズのシステム手帳を彷彿とさせるサイズ感のiPad mini(A17 Pro)は、一度使ったら手放せなくなるタブレット端末と言える。