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「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」は性能や機能に優れているだけでなく、お財布にも優しいハイエンドスマホだった
2022年10月13日 02:00
Googleから、最新スマートフォン「Pixel 7」および「Pixel 7 Pro」が登場した。今回、発売前にいち早く実機を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。なお、試用機はファームウェアやアプリなど製品版とは異なる部分が残されている可能性があるため、その点はご了承願いたい。
Pixel 6シリーズのデザインを継承
Pixel 7およびPixel 7 Proのデザインは、従来モデルのPixel 6シリーズのデザインコンセプトをほぼ踏襲している。
側面がメタルフレーム、ディスプレイ面および背面には強化ガラスを採用するとともに、背面上部には両側面まで帯状に大きく飛び出したカメラユニット「カメラバー」を配置。側面メタルフレームは、Pixel 7がマット仕上げ、Pixel 7 Proが光沢仕上げとなっている点も、Pixel 6シリーズ同様だ。
そういった中、カメラバーはデザインが変更されている。Pixel 6シリーズのカメラバーは上下がメタルフレームでそれ以外の部分はガラスで覆われていた。それに対しPixel 7シリーズでは、カメラバーのほぼ全体がメタル素材で構成され、カメラやLEDライトの部分がくり抜かれたデザインに変更。
これによって、カメラバーの側面フレームとの一体感が高められるとともに、レンズの存在感がより強調された印象を受けるようになった。個人的には、レンズがあまり目立たないPixel 6シリーズのデザインが好みだが、このあたりは意見が分かれそうだ。
カメラバーの突起の高さは、いずれも実測で2.5mmほど。Pixel 6シリーズのカメラバーも実測で約2.5mmの突起だったため、高さは従来とほぼ同等だ。
なおカメラバーのメタル部分は、側面フレーム同様にPixel 6がマット仕上げ、Pixel 6 Proが光沢仕上げとなっている。
側面およびカメラバーのメタル素材には、100%リサイクル素材のアルミニウムを採用。Pixel 6シリーズでもリサイクルアルミニウムを採用していたが、その点はPixel 7シリーズでも受け継がれている。
側面フレームはなだらかな曲線となり、ディスプレイ面および背面のガラスとわずかな段差で接合されている。これによってゴツゴツとした手触りが少なくなっている。ただし、大きく突起しているカメラバー部分が手に触れるとゴツゴツとした印象が一気に高まるのは従来同様。また、フレーム、ガラスともになめらかで滑りやすいため、安心して持ち歩きたいならケースの装着をお勧めしたい。
ディスプレイ面と背面の強化ガラスには、Pixel 7、Pixel 7 ProともにCorning製強化ガラス「Gorilla Glass Victus」を採用。Pixel 6では背面ガラスにGorilla Glass 6を採用していたので、この点は強化された形だ。ガラスはいずれも光沢仕上げとなっている。
本体カラーは、Pixel 7がObsidian、Snow、Lemongrassの3色を、Pixel 7 ProはObsidian、Snow、Hazelの3色をそれそれ用意。今回の試用機は、Pixel 7がSnow、Pixel 7 ProがObsidianだったが、Snowは清潔感があって好印象。Pixel 7 ProのObsidianは光沢感のある黒ということで重厚感が伝わってくる。指紋の痕は比較的つきにくいようだが、Obsdianではやや目立つ印象で、そこが少々気になった。
Pixel 7は小さく軽くなった
本体サイズにも従来モデルから変更が見られる。
まずPixel 7は、サイズが73.2×155.6×8.7mm(幅×奥行き×高さ)となった。Pixel 6と比べると、幅が1.6mm、奥行きが3mm、厚さが0.2mmと、それぞれ短くなっている。実際に手に持って持ち比べてみても、それほど違いは分からないものの、横に並べてみると結構小さくなったという印象を受ける。
この小型化の要因は、ディスプレイサイズが6.3型に小型化しているからだ。とはいえ、まだまだ小型とは言えないほどのサイズなのは間違いない。ただ個人的には、Pixel 5までのようにさらなる小型化を追求してもらいたかったように思う。なお、従来モデルと比べてディスプレイサイズの違いはそれほど気にならなかった。
また、重量も197gと200gを切っている。Pixel 6は207gだったため、10gの軽量化を実現している。持ち比べると、わずかながらPixel 7が軽いかな、といった程度で、そこまで大きな違いとは感じない。それでも、数字を見ると200gを切っていることが印象を大きく変える。もちろん、まだ重いのは事実だが、少なくとも200gを切ってきた点は評価したい。
続いてPixel 7 Pro。こちらはサイズが76.6×162.9×8.9mm(同)となっている。Pixel 6 Proと比べると、厚さは双方同じだが、幅が0.7mm増え、高さは1mm短くなっている。このサイズの違いは、側面フレームの形状の違いによるものと考えられる。実際にPixel 7 Proでは上下側面のフレームの厚みがPixel 6 Proよりも薄くなっているようだ。
このようにサイズにわずかな違いは見られるが、双方を横に並べて比べない限り、その違いはほとんど感じない。実際に手に持っても手も、違いは全く感じなかった。
重量は212gと、Pixel 6 Proから2g増えている。こちらも持ち比べて違いが分かるほどではないものの、重量増はやはり残念な部分。このサイズと、内蔵される機能などを考えると仕方がないかもしれないが、軽量化にももう少し真剣に取り組んでもらいたいと感じる。
SoCに第2世代「Tensor G2」を採用
Pixel 6シリーズでは、SoCとしてGoogle初の独自設計SoC「Google Tensor」の採用が大きな話題となった。その次世代モデルであるPixel 7シリーズには、Tensorの第2世代モデルとなる「Google Tensor G2」を搭載している。
Tensor G2では、CPUコアが超高性能コアを2コア、高性能コアを2コア、高効率コアを4コアの計8コア搭載する点は従来のTensorと同じ。ただ、超高性能コアのCoretex-X1は動作クロックが高められ、高性能コアはコアがCortex-X78に変更するとともに動作クロックが高められている。これによって処理能力の向上を実現するとともに、電力効率も高めている。
GPUはMali-G710 MP7に変更されており、こちらも従来のTensorから描画能力の向上が期待できる。
そして、特にGoogleが大きな進化点として強調しているのが、機械学習用プロセッサとして「次世代TPU(Tensor Processing Unit)」を採用している点。従来のTPUと比べて処理能力が60%高められ、電力効率も20%改善しているという。これによって、Pixelシリーズが得意とする機械学習を活用した機能の多くで性能強化が期待できる。Pixel 7シリーズでは、後ほど紹介するように写真関連機能を中心として機械学習機能が進化しており、そこに次世代TPUの性能向上が大きく寄与している。
以下の表にまとめたのがPixel 7、Pixel 7 Proの主な仕様だが、SoC以外のスペックも、Pixelシリーズのフラグシップモデルとして納得の仕様となっている。
RAMは、Pixel 7が8GB、Pixel 7 Proが12GBと十分な容量を搭載。内蔵ストレージ容量は、Pixel 7が128GBまたは256GB。Pixle 7 Proはグローバルモデルでは512GBも用意されるが、日本向けモデルでは128GBまたは256GBとなる。OSはAndroid 13で、5年間のセキュリティアップデートが提供される。
Pixel 7 | Pixel 7 Pro | |
---|---|---|
SoC | Google Tensor G2 | |
メモリ | 8GB LPDDR5 | 12GB LPDDR5 |
内蔵ストレージ | 128GB/256GB UFS3.1 | |
セキュリティチップ | Titan M2 | |
OS | Android 13 | |
OSの更新 | 5年間のセキュリティアップデート | |
ディスプレイ | 6.3型有機EL、1,080×2,400ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比100万:1、リフレッシュレート最大90Hz | 6.7型LTPO有機EL、1,440×3,120ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比100万:1、リフレッシュレート最大120Hz(10~120Hz可変) |
背面カメラ | 超広角:F値2.2、画角113度、1,200万画素センサー(ピクセルピッチ1.25μm) 広角:F値1.85、画角82度、5,000万画素 1/1.31型Octa PD Quad Bayerセンサー(ピクセルピッチ1.2μm)、光学式手ブレ補正 | 超広角:F値2.2、画角125.8度、1,200万画素センサー(ピクセルピッチ1.25μm)、オートフォーカス 広角:F値1.85、画角82度、5,000万画素 1/1.31型Octa PD Quad Bayerセンサー(ピクセルピッチ1.2μm)、光学式手ブレ補正 望遠:F値3.5、画角20.6度、4,800万画素 Octa Bayer PDセンサー(ピクセルピッチ0.7μm)、光学式手ブレ補正 |
前面カメラ | F値2.2、画角92.8度、1,080万画素センサー(ピクセルピッチ1.22μm) | |
モバイル通信 | 5G Sub-6: n1/2/3/5/7/8/12/14/20/ 25/28/30/38/40/41/48/66/71/75/76/77/78 4G LTE: 1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/ 20/25/26/28/29/30/32/38/39/ 40/41/42/46/48/66/71 3G:1/2/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1,800/1,900MHz | 5G Sub-6: n1/2/3/5/7/8/12/14/20/ 25/28/30/38/40/41/48/66/71/77/78 5G ミリ波:n257/258/260/261 4G LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/ 20/25/26/28/29/30/38/39/ 40/41/42/46/48/66/71 3G:1/2/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1,800/1,900MHz |
対応SIM | nanoSIM+eSIM | |
無線LAN | IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6) | |
Bluetooth | Bluetooth v5.2 | |
センサー | 近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力計、気圧計 | |
おサイフケータイ | 対応 | |
防水・防塵 | IP68 | |
生体認証性能 | ディスプレイ埋め込み型指紋認証センサー、顔認証 | |
外部ポート | USB 3.2 Gen2 USB Type-C | |
バッテリ容量 | 4,355mAh | 5,000mAh |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 73.2×155.6×8.7mm | 76.6×162.9×8.9mm |
重量 | 197g | 212g |
カラー | Obsidian、Snow、Lemongrass | Obsidian、Snow、Hazel |
モバイル通信は、いずれも5G通信に対応で、Pixel 7はSub 6のみ、Pixel 7 ProはSub 6とミリ波に対応となる点は従来同様。SIMは、nano SIMとeSIMのデュアルSIM対応となる点も同様だ。Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)準拠の無線LANとBluetooth 5.2も搭載する。また、Pixel 7 Proには正確な距離測定と空間定位に使用する超広帯域無線チップも搭載される。
生体認証機能は、いずれもディスプレイ内蔵型の指紋認証センサーと顔認証に対応。ただし、顔認証は2Dの前面カメラを利用するため、赤外線カメラを使った顔認証に比べると安全性に劣ることもあり、端末のロック解除にのみ利用でき、アプリのサインインや決済時の認証などには利用できない。
指紋認証センサーの認証速度や精度は、Pixel 6シリーズとほぼ同等と感じる。認証速度はまずまずといったところだが、超音波式センサーに比べると一瞬待たされる印象。認証に失敗することも利用中に何度かあったが、認証エリアにしっかり指を合わせれば、ほぼ問題なく認証できた。
顔認証は、室内はもちろん明るい屋外でもスピーディに認証できる印象。ただ、マスクを装着していると認証できない。また、薄暗い場所では問題なく認証できたが、深夜の街灯のない屋外など、かなり暗い場所では認証できない場合があったので、ある程度の明るさは必要そうだ。
ポートの仕様も双方同じで、下部側面にUSB 3.2 Gen2準拠のUSB Type-Cを用意し、オーディオジャックは従来同様非搭載。この他、左側面にSIMカードトレイ、右側面の電源ボタンとボリュームボタンを配置している。
センサー類は、近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁力センサー、気圧センサーを搭載。NFC/FeliCaも搭載しており、おサイフケータイもサポート。
バッテリ容量は、Pixel 7が4,355mAh、Pixel 7 Proが5,000mAh。別売のGoogle 30W USB-C充電器などの対応する充電器を利用することで、約30分で50%の容量を充電できる急速充電が可能。また、Qi準拠のワイヤレス充電および他のQi対応機器を充電するバッテリシェアにも対応。別売のGoogle Pixel Stand(第2世代)を利用することで、Pixel 7では最大20W、Pixel 7 Proでは最大23Wでワイヤレス充電が可能だ。
製品パッケージの付属品も双方同じで、USB Type-CケーブルとUSB Type-A Type-C変換コネクタ、各種インストラクションカードなど。充電器は付属しない。
Pixle 7はディスプレイがわずかに小型化
ディスプレイは、従来同様に両モデルとも有機ELディスプレイを採用している。
Pixel 7では、アスペクト比20:9、フルHD+(1,080×2,400ドット)表示対応の6.3型有機ELパネルを採用。リフレッシュレートが最大90Hz対応で、60Hzと切り替えて利用できる点や、側面までフラットなディスプレイとなっている点などはPixel 6同様だ。
このほかの仕様は、コントラスト比が100万:1で、HDR表示をサポート。最大輝度は1,000cd/平方m、ピーク輝度は1,400cd/平方mとなっており、Pixel 6から輝度が25%高められており、屋外での視認性が向上しているという。
Pixel 7 Proのディスプレイは、従来モデルと同じ仕様だ。アスペクト比20:9、QHD+(1,440×3,120ドット)表示対応の6.7型LTPO有機ELパネルを採用。左右側面付近が本体のカーブに合わせてわずかに湾曲している点も同様だ。
リフレッシュレートは、ディスプレイに表示する内容に合わせ、10Hzから120Hzの間で自動的に調節される。そのため、高リフレッシュレートでのスムーズな表示を行ないつつ、不要な時にはリフレッシュレートを下げてバッテリ消費を抑えられるようになっている。
双方ともディスプレイの発色の鮮やかさは申し分なく、写真や動画なども本来の色をしっかり再現して表示できると感じる。このあたりは有機ELディスプレイ搭載の他のスマートフォンと大きく変わるものではないが、やはり鮮やかな発色でコンテンツを表示できる点はうれしい。
また、リフレッシュレートを高めることで、スクロール表示などがなめらかになる点も、見やすさという点で非常にありがたいと感じる。Pixel 7の場合は60Hzと90Hzを切り替えて利用する必要があるものの、Pixel 7 Proでは自動的に調節されるため、その点でも有利だ。
ただし、ディスプレイ上部に前面カメラ用のパンチホールが存在する点はやはり気になってしまう。これは従来モデルから変わらない部分であり、映像コンテンツをフル画面表示すると、どうしてもその部分が欠けてしまう。ただ、ディスプレイからカメラを追い出すと、どうしてもベゼル幅が広くなってしまう。このあたりはなかなか難しい部分だが、個人的には多少ベゼルが広くなってもいいので、ディスプレイ上からカメラを追い出してほしいと感じる。
Pixel 7は2眼、Pixel 7 Proは3眼カメラを搭載し、一部仕様を強化
背面カメラは従来モデル同様に、Pixe 7が超広角レンズと広角レンズの2眼仕様、Pixel 7 Proが超広角レンズと広角レンズ、望遠レンズの3眼仕様となっている。このカメラの仕様は、従来モデルから受け継がれている部分もあるが、強化されている部分もある。
Pixel 7の背面カメラは、広角レンズがF値1.85、画角が82度で光学手ブレ補正機能を備え、5,000万画素の1/1.31型(ピクセルピッチ1.2μm)Octa PD Quad Bayerセンサーとの組み合わせ。超広角レンズはF値2.2、画角が114度で、1,200万画素センサー(ピクセルピッチ1.25μm)との組み合わせとなる。
それに対しPixel 7 Proの背面カメラは、広角レンズがF値1.85、画角が82度で光学手ブレ補正機能を備え、5,000万画素の1/1.31型(ピクセルピッチ1.2μm)Octa PD Quad Bayerセンサーとの組み合わせとなり、こちらはPixel 7と同じ。しかし超広角レンズは、F値2.2、画角が125.8度で、1,200万画素センサー(ピクセルピッチ1.25μm)との組み合わせとなり、Pixel 7よりも画角の広いレンズを採用している。
望遠レンズは、F値3.5、画角23.5度で、光学手ブレ補正機能を備え、4,800万画素(ピクセルピッチ0.7μm)Quad Bayer PDセンサーとの組み合わせ。従来モデルは4倍望遠レンズだったが、Pixel 7 Proでは5倍望遠レンズとなっている。
デジタルズームは、Pixel 7が最大8倍、Pixel 7 Proは最大30倍となっており、いずれも従来モデルよりも倍率が高められている。
前面カメラは双方とも同じ仕様。F値2.2、画角92.8度のレンズに、ピクセルピッチ1.22μmの1,080万画素センサーの組み合わせで、固定フォーカス仕様となっている。そして、双方とも前面カメラで4K/60FPS動画の撮影が可能となっている。
撮影機能も強化されている。まずデジタルズーム機能。従来モデルでは、広角レンズの5,000万画素のセンサーは隣接する4つのピクセルを1つのピクセルとして統合し利用することで約1,250万画素の情報を取り出していたが、デジタルズーム時もピクセル統合したまま処理していたため、ズーム時の画質低下を招いていた。それに対しPixel 7/7 Proでは2倍以上のズーム時にピクセル統合を解除してズーム処理を行なうようになったことで、画質が高められている。
以下に、実際にズーム撮影した作例を掲載しているが、いずれもかなり高画質にズーム撮影できていることが分かる。
Pixel 7だが、最大の8倍ズーム時はかなり細部が潰れてしまっているものの、2倍ズームでも細部がほとんど潰れることなく高精細に撮影できている。
Pixel 7 Proは5倍望遠レンズを搭載していることもあって、高倍率時もさらに高品質となっている。広角レンズを利用する2倍ズームや、望遠レンズを利用する10倍ズームは、いずれも細部までしっかり描写されている。しかも、最大の30倍ズーム時でも、細部の潰れがあまり気にならず、かなりの高画質となっている。デジタルズームでここまで高画質で望遠撮影できるのは、かなり驚きだ。
また、Pixel 7 Proのみとなるが、超広角レンズを使用して、最大3~5cmまで近付いて撮影できるマクロ撮影機能「マクロフォーカス」が新たに用意された。カメラを被写体に近づけると自動的にマクロフォーカスに切り替わり、マクロ撮影が可能となる。
実際にマクロフォーカスで撮影した写真を見ると、小さな葉に近付いて、葉脈や水滴まで綺麗に撮影できている。このマクロフォーカスによって、従来のPixelシリーズではできなかった新たな撮影が可能となり、より撮影の自由度が高まったと言える。
このほか、人の肌をより美しく忠実に再現する「リアルトーン」や、評価の高い夜景モードは、従来より効果が高められている。特に夜景モードは、高画質化だけでなく撮影時間や処理時間の短縮も実現。同時に、夜景モードの撮影時間をスライドバーで調節できるようになった。標準では画質と撮影時間のバランスに優れる設定となっているが、撮影時間を増やして画質を向上させることも可能となった。撮影時間はシーンに合わせて最大6秒まで設定できる。
こういった撮影機能は、GoogleオリジナルSoCであるTensorに内蔵される機械学習用プロセッサのTPUを活用して実現している。つまり、Pixel 7シリーズでは次世代TPUを内蔵するするTensor G2を搭載したことによって、撮影機能も強化されているわけだ。
そして、Tensor G2の優れた機械学習処理能力を利用した特徴的な機能となるのが「ボケ補正」だ。Pixel 6シリーズでは、撮影後に背景の不要物を取り去る「消しゴムマジック」や、目立つ部分を目立たなくする「カモフラージュモード」などが用意され、Pixel 7シリーズにも受け継がれている。ボケ補正も機械学習を活用した新たな編集機能で、撮影後にボケたりブレた写真をクリアに修正する機能だ。撮影した時には綺麗に撮影できていると思っても、あとで見るとボケたりブレていた、といったことはよくあることだ。そういった写真を機械学習を利用してクリアに修正できる。
さすがに盛大にボケたりブレたりした写真を綺麗に修正するのは難しいが、軽いボケやブレであれば、ほとんど気にならない程度まで修正してくれる。いくつかの写真で試してみたが、かなり便利に活用できると感じた。
このボケ補正は、「Googleフォト」アプリの編集機能として用意される。そのため、Pixel 7シリーズで撮影した写真だけでなく、過去に撮影した写真にも適用可能。もちろんPixelシリーズ以外で撮影した写真でも構わない。
動画撮影機能としては、「シネマティックぼかし」や、10bit HDR動画などの撮影機能を追加している。このうちシネマティックぼかしは、特定の被写体から後方の風景を機械学習を利用してぼかし処理を加えることで、被写界深度の浅い風な動画が撮影できるというもの。本来は人間を浮き立たせた動画を撮影するのが基本だが、物体にも応用できる。
今回は植木を被写体に撮影してみたが、輪郭が判断しづらい部分などでぼけ処理がぎこちない部分も見られるものの、なかなか印象的な動画が撮影できた。人物が被写体なら、輪郭がはっきりするので、より印象的な動画が撮影できそうだ。
コストパフォーマンスに優れるフラグシップスマホとして魅力的
今回は、試用機が発売前の評価機だったこともあり、ベンチマークテストは行なえなかった。また、短時間の試用だったこともあり、用意されている機能の全てを細かく試せてはいない。そのため、Pixel 6シリーズとの客観的な比較は難しいが、搭載アプリが非常にキビキビと動作するのはもちろん、機械学習を活用した各種機能も高速に動作することから、Tensor G2の性能はフラグシップモデルのSoCとして申し分ないものと感じる。
また、機能面で魅力を感じたのは、やはり機械学習関連機能だ。中でもカメラ関連機能は、従来よりも性能が向上しつつ、より短時間で利用できるようになっており、より便利に活用できるように進化している。そのほかの新機能も多く追加されており、さすが最新のフラグシップモデルといった印象だ。
気になる点としては、やはりサイズと重量だ。できれば、もう少し筐体を小さく軽くしたモデルも用意してもらいたいと強く感じる。それでも、機能面を考えると、サイズや重量を十分に補う魅力がある。
そして、なによりうれしいのが価格だ。2022年は円安が大きく進行したこともあって、Pixel 7シリーズもかなり高価になるのではないかと考えられていた。しかし実際の価格は、Pixel 7は128GBモデルが8万2,500円、256GBモデルが97,900円。Pixel 7 Proは128GBモデルが124,300円、256GBが139,700円と、思ったほど高くなかった。
しかも旧世代Pixelなど指定スマートフォンの下取りによる値引も、10月23日23時59分まで実施される。たとえば、Pixel 4やiPhone 11などは最大6万1,500円で下取りしてもらえる。同時に、10月16日23時59分までの購入の場合には、次回以降の購入に利用できるストアクレジットも還元。Pixel 7では2万1,000円分、Pixel 7 Proでは3万5,000円分のストアクレジットが還元される。
指定スマートフォンの下取りとストアクレジットの還元を活用すれば、Pixel 7は実質0円から、Pixel 7 Proは実質2万7,800円から購入できる計算だ。こういった価格設定や割引施策は、Googleが日本市場をかなり重要視していることの表れと考えていいだろう。もちろん、Pixel 7シリーズの購入を考えているなら、このタイミングを有効活用すべきなのは言うまでもない。
この価格的な魅力を省いたとしても、Pixel 7シリーズは最新フラグシップスマートフォンとしてかなりの魅力を備えている。そのため、Pixelシリーズのファンはもちろんのこと、カメラなど機能面に優れるフラグシップスマートフォンを手に入れたいと考えている人や、コストパフォーマンス重視のスマートフォンが欲しいという人まで、広くお勧めしたい。