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「GeForce RTX 4090」ベンチマークテスト。DLSS 3で性能が飛躍するモンスターGPU
2022年10月11日 22:00
10月12日、NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 4090」がついに発売される。今回は、先日外観レビューをお届けしたGeForce RTX 4090 Founders Editionで実行したベンチマークテストの結果を紹介する。2年ぶりにアーキテクチャが刷新されたNVIDIAのハイエンドGPUが実現するパフォーマンスをぜひとも確かめてもらいたい。
新世代の訪れを告げるハイエンドGPU「GeForce RTX 4090」
GeForce RTX 4090は、NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 40シリーズ」として最初に発売されるハイエンドGPUで、新設計のAda Lovelaceアーキテクチャに基づいて、NVIDIA向けにカスタマイズされたTSMC 4Nプロセスで製造されている。
そのGPUコアでは128基のSM(Streaming Multiprocessors)が有効化されており、16,384基のCUDAコアや、128基の第3世代RTコア、512基の第4世代Tensorコアなどが利用できる。メモリインターフェイスは384bitで、21Gbpsで動作する24GBのGDDR6Xと接続することによって、1,008GB/sものメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、TGPは450W。
【表1】GeForce RTX 4090の主な仕様 | ||
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GPU | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 3090 |
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Ampere |
製造プロセス | TSMC 4nm | Samsung 8nm |
SM | 128基 | 82基 |
CUDAコア | 16,384基 | 10,496基 |
RTコア | 128基 (第3世代) | 82基 (第2世代) |
Tensorコア | 512基 (第4世代) | 328基 (第3世代) |
テクスチャユニット | 512基 | 328基 |
ROPユニット | 176基 | 112基 |
ブーストクロック | 2,520MHz | 1,695MHz |
メモリ容量 | 24GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 21Gbps | 19.5Gbps |
メモリインターフェイス | 384bit | 384bit |
メモリ帯域幅 | 1,008GB/s | 936GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TGP) | 450W | 350W |
GeForce RTX 40シリーズでは、新設計であるAda Lovelaceアーキテクチャの採用によって、RTコアやTensorコアの世代も進んでおり、これらの進化によりTensorコアを活用するDLSS(Deep Learning Super Sampling)も機能を強化した「DLSS 3」へとアップデートされた。
DLSS 3では、従来のDLSSが担っていたAIベースの「超解像機能」に加え、システム遅延を軽減する「Reflex」と、AIベースの「フレーム生成」という3つの機能によって構成されている。Reflexは既存の機能をDLSSの一部として取り入れた格好だが、フレーム生成についてはGeForce RTX 40シリーズで新採用されたものだ。
フレーム生成は、レンダリングによって描画したフレームの間に、AIベースで生成した補完フレームを挿入する技術だ。これを利用することで、フレームレートはレンダリングしたフレーム数の2倍になるので、ゲーム画面をより滑らかに表示できるようになるという。
なお、DLSS 3の利用にはゲーム側の対応が必要だ。従来のGeForce RTX 30シリーズなどの旧世代GPUでもDLSS 3対応ゲームを動作させることは可能だが、フレーム生成を利用できるのはGeForce RTX 40シリーズのみで、旧世代GPUで利用できる機能は超解像とReflexに限られる。
GeForce RTX 4090 Founders Edition
今回テストするのは、GeForce RTX 4090を搭載するNVIDIA純正ビデオカード「GeForce RTX 4090 Founders Edition」だ。
3スロットを占有する超大型GPUクーラーを搭載しており、補助電源コネクタには新規格の「12VHPWR」を採用。ブラケット部の画面出力端子はDisplayPort(3基)とHDMI(1基)。
比較用GPUとテスト環境
GeForce RTX 4090の比較対象には、従来のハイエンドGPUである「GeForce RTX 3090」と、AMDのハイエンドGPU「Radeon RX 6900 XT」を用意した。各GPUを搭載するビデオカードは、いずれもGPUメーカー純正のリファレンスモデルだ。
各ビデオカードの動作時仕様は以下の表の通り。GPUドライバについては、NVIDIA製GPUにはレビュアー向けに配布された「Game Ready Driver 521.90」、Radeon RX 6900 XTには「Adrenaline 22.10.1」を導入している。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||
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GPU | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 3090 | Radeon RX 6900 XT |
ビデオカードベンダー | NVIDIA | NVIDIA | AMD |
製品型番 | Founders Edition | Founders Edition | リファレンスモデル |
ベースクロック | 2,235MHz | 1,395MHz | 1,825MHz |
ゲームクロック | ─ | ─ | 2,015MHz |
ブーストクロック | 2,520MHz | 1,695MHz | 2,250MHz |
メモリ容量 | 24GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6X) | 16GB (GDDR6) |
メモリスピード | 21Gbps | 19.5Gbps | 16.0Gbps |
メモリインターフェイス | 384bit | 384bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 1,008GB/s | 936GB/s | 512GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
電力リミット | PowerLimit=450W | PowerLimit=350W | GPU PPT=255W |
Resizable BAR | 有効 | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | GRD 521.90 (31.0.15.2190) | GRD 521.90 (31.0.15.2190) | Adrenaline 22.10.1 (31.0.12019.16007) |
ビデオカードをテストするベース機材には、Core i9-12900Kを搭載したIntel Z690環境を用意した。
そのほかの機材や条件については以下の通り。
【表3】テスト機材一覧 | |||
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GPU | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 3090 | Radeon RX 6900 XT |
CPU | Core i9-12900K (8P+8Eコア/24スレッド) | ||
CPUパワーリミット | PL1=PL2=241W、Tau=56秒 | ||
CPUクーラー | ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%) | ||
マザーボード | ASUS ROG STRIX Z690-F GAMING WIFI [UEFI=2004] | ||
メモリ | DDR5-4800 16GB×2 (2ch、40-39-39-76、1.1V) | ||
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | ||
アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | ||
電源 | Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum (1050W/80PLUS Platinum) | ||
OS | Windows 11 Pro (Ver 22H2、build 22621.608、VBS有効) | ||
電源プラン | バランス | ||
モニタリングソフト | HWiNFO64 Pro v7.30 | ||
ワットチェッカー | ラトックシステム RS-BTWATTCH2 | ||
室温 | 約26℃ |
ベンチマーク結果
今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」、「Topaz Video Enhance AI」、「Topaz Gigapixel AI」、「DaVinci Resolve Studio」。
なお、今回のテストにおいてDLSSを利用する場合、NVIDIAの推奨設定に基づいてDLSSの設定をWQHD以下では「Quality(品質)」、4Kでは「Performance(パフォーマンス)」にしている。
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DXR(DirectX Raytracing)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」、「PCI Express feature test」を実行した。なおテストに利用したのはDLSS 3テスト対応版の「2.22.8009」。
GeForce RTX 4090は、GPU性能を計測する「PCI Express feature test」以外のテストにおいて、従来のハイエンドGPUを大きく上回るパフォーマンスを発揮している。
特に、DXR(DirectX Raytracing)によるリアルタイムレイトレーシング性能を計測するテストでのパフォーマンスは圧倒的で、Port RoyalではGeForce RTX 3090を約87%、Radeon RX 6900 XTを約165%上回り、より極端にDXRを活用する「DirectX Raytracing feature test」では、GeForce RTX 3090を約136%、Radeon RX 6900 XTを約420%も上回って圧倒した。
3DMark「NVIDIA DLSS feature test」
先に紹介した3DMarkの基本テストとは別に、DLSS性能をテストする「NVIDIA DLSS feature test」を実行した。なお、フレーム生成を行なうDLSS 3テストが実行できたのはGeForce RTX 4090だけだったので、GeForce RTX 3090でも実行可能なDLSS 2テストの出力解像度を4Kに変更して実行したほか、DLSS非対応のRadeon RX 6900 XTは比較から外している。
GeForce RTX 4090はフレーム生成を行なうDLSS 3テストにおいて、DLSSの利用によって3倍近くまでフレームレートが上昇している。DLSS 2テストでも2.4倍弱までフレームレートは向上している。
なお、GeForce RTX 3090はDLSS 2テストにおいて、2.5倍以上までフレームレートが上昇しており、DLSSによるフレームレートの上昇率はGeForce RTX 4090よりも大きいという結果になっているが、DLSSの利用で120fpsを超えるGeForce RTX 4090と、76.4fpsのGeForce RTX 3090ではフレームレートが違い過ぎるため、それだけを見てDLSS性能の良し悪しを判断すべきではない。
VRMark
VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。
Orange RoomやCyanRoomでは、CPUのボトルネックによって各GPUのパフォーマンスがほぼ横並びとなってしまっているが、5K解像度で実行されるBlue Roomでは、GeForce RTX 4090がGeForce RTX 3090を84%、Radeon RX 6900 XTを約108%も上回っている。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を5~42%、Radeon RX 6900 XTを9~65%上回った。解像度を上げるほど、従来のハイエンドGPUとの差を広げており、4Kではかなりの大差となっている。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を10~64%、Radeon RX 6900 XTを18~93%上回った。ここでも、解像度を上げるほど差を広げていることが確認できる。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、レビュアー向けに配信されたDLSS 3対応ベータ版を使ってテストを行なった。
テストでは、グラフィックプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、DLSSとフレーム生成の有無による3パターンの描画設定を、フルHD~4Kまでの画面解像度でテストした。なお、グラフについては画面解像度ごとにまとめている。
DLSS無効時のGeForce RTX 4090は、同条件のGeForce RTX 3090を51~87%、Radeon RX 6900 XTを160~252%という大差で上回っており、圧倒的なGPU性能を示している。
一方で、フレーム生成を行なわない場合のDLSSの結果をみると、WQHDや4KではDLSSによるフレームレート上昇が確認できるものの、WQHDやフルHDでは110fps程度でフレームレートが上昇しなくなっていることが確認できる。これはCPU側のボトルネックによる限界点であり、GPU負荷を軽減する従来のDLSSでは突破できない壁だ。結果として、フレーム生成なしのフルHD解像度では、DLSS利用時のGeForce RTX 4090とGeForce RTX 3090のフレームレートがほぼ同等となっている。
フレーム生成を有効にしてDLSS 3のフル機能を活用した場合、GeForce RTX 4090はCPUのボトルネックによる110fpsの壁を超え、フルHDで222.32fps、WQHDで184.34fps、4Kで144.1fpsというハイフレームレートを実現した。この結果は、DLSS 3のフレーム生成がGPU以外のボトルネックによって生じるフレームレートの限界点を超えられる可能性を示すものだ。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorは、レビュアー向けのDLSS 3対応ベータ版「v1.29.20.0」でDLSS 3の効果確認テストと、通常版の「v1.27.21.0」で比較用GPUとの性能比較を行なった。
これは、DLSS 3対応ベータ版がGeForce RTX 4090でしか動作しないためで、どちらのテストでも、画質プリセットを「ウルトラ」に設定し、羽田空港から関西国際空港へのルートをエアバスA320neoでAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを計測した。
まず紹介するのは、DLSS 3対応ベータ版でのテスト結果だ。ここでは、GeForce RTX 4090DLSSとフレーム生成の有無による3パターンの設定を、フルHD~4Kまでの画面解像度でテストした。なお、参考データとして4K解像度については、DLSSの設定をレンダリング解像度を引き下げない「DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing)」にした場合のフレームレートも計測した。
画質プリセット「ウルトラ」のMicrosoft Flight Simulatorは、60fps前後でもCPUのボトルネックが生じるタイトルであり、ここでもDLSS無効時はフルHDから4Kまで52fps前後で頭打ちになっていることが分かる。また、フレーム生成なしでDLSSを有効にした場合でも、この壁を突破することができないためDLSSの有無でフレームレートに差はついていない。
一方、フレーム生成を有効化すると、フレームレートは約2倍の100fps以上まで上昇した。サイバーパンク2077でも確認されたように、CPUのボトルネックの壁を超えてフレームレートを増やせる点が、DLSS 3によるフレーム生成の大きなメリットであると言えるだろう。
通常版のMicrosoft Flight Simulatorでは、グラフィックスAPIを「DirectX 11」と「DirectX 12」にした場合で、それぞれ平均フレームレートを計測した。
GeForce RTX 4090のフレームレートは、DirectX 11版で55fps前後、DirectX 12番では53fps前後で頭打ちとなっており、GeForce RTX 3090とは大差ない結果となっている。
Radeon RX 6900 XT相手には、WQHD以下ではややリードを許しているが、4Kでは20~34%上回った。Radeon RX 6900 XTでもWQHD以下ではCPUのボトルネックによるフレームレートの頭打ちが生じており、その天井がRadeonとGeForceで多少異なるのは、GPUドライバなどのGPUコア性能以外の要素によるものだろう。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を28~56%、Radeon RX 6900 XTを16~56%上回り、全体ベストの結果を記録している。
DIRT 5
DIRT 5では、画質プリセットを「Ultra High」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。すべての条件でレイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)を有効にしている。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を22~83%、Radeon RX 6900 XTを38~104%上回った。WQHD以下のGeForce RTX 4090は212fps前後でフレームレートが頭打ちになっており、Core i9-12900KをもってしてもCPUがボトルネックになっていることが分かる。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、レイトレーシングとDLSSの有無による3パターンの設定で、フルHD~4Kまでの画面解像度の平均フレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12で、ここでいうDLSSはDLSS 3ではなくDLSS 2以前のものである。
レイトレーシングとDLSSを無効にしたさいのGeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を13~58%、Radeon RX 6900 XTを18~89%上回った。この時の平均フレームレートは、フルHDで247.0fps、WQHDで221.0fps、4Kで143.3fpsを記録しており、かなりのハイフレームレート動作を実現している。
レイトレーシングを最高品質設定で有効にした場合のGeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を26~44%、Radeon RX 6900 XTを96~123%上回った。4Kでは34.9fpsと低い数値となっているものの、WQHD以下では平均60fpsを上回っている。
レイトレーシングに加えてDLSSを有効にしたGeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を4~28%上回っている。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を28~73%、Radeon RX 6900 XTを23~86%上回った。フルHDやWQHDでは上限の300fpsに近い平均フレームレートを記録しており、4Kでも200fpsを大きく上回っている。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を25~64%、Radeon RX 6900 XTを16~70%上回った。
モンスターハンターライズ:サンブレイク
モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。
ここでは、GeForceは200fps前後、Radeonは210fps前後で頭打ちになっており、GeForce RTX 4090はWQHD以下ではGeForce RTX 3090と同程度、Radeon RX 6900 XTを6~7%下回っている。一方、4Kでは191.5fpsを記録したGeForce RTX 4090が、GeForce RTX 3090を約43%、Radeon RX 6900 XTを約78%上回っている。
エルデンリング
エルデンリングでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。
このゲームでは、いずれのGPUもフレームレート上限に張り付く形となっている。平均フレームレートはRadeon RX 6900 XTが60fpsをやや下回っているが、特にフレームレートの低下が発生している様子はなかった。
Blender Benchmark 3.1.0
Blender Benchmark 3.1.0では、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.3.0」。
GeForce RTX 4090は、GeForce RTX 3090を68~109%、Radeon RX 6900 XTを455~645%も上回っている。GeForce RTX 30シリーズはBlender Benchmarkで特に優れたパフォーマンスを発揮してきていたが、それを圧倒してみせたGeForce RTX 4090の性能は印象的だ。
Topaz Video Enhance AI
Topaz Video Enhance AIでは、フルHD解像度の動画(15秒、900フレーム)を4K解像度にアップスケーリングするのに要した時間を比較した。
もっとも短時間で処理を完了したのは228.4秒のGeForce RTX 4090で、その処理速度はGeForce RTX 3090を約7%、Radeon RX 6900 XTを約25%上回った。
Topaz Gigapixel AI
Topaz Gigapixel AIでは、2K解像度の写真(1,920×1,280ドット)を50枚まとめて8K解像度(7,680×5,120ドット)にアップスケーリングするのに要した時間を比較した。
このテストでは、すべてのGPUがほぼ横並びの結果となっており、GPU性能差は処理時間にほぼ反映されなかった。さすがにこれらのGPU性能が同等ということは考えられないので、GPU以外の要素でボトルネックが生じていると考えるのが妥当だろう。
DaVinci Resolve Studio 18
GeForce RTX 4090は、GPUに内蔵されたハードウェアエンコーダ「NVENC」が第8世代にアップデートされており、新たにAV1形式に対応したほか、2基のエンコーダを同時に利用してエンコード速度を高めるデュアルエンコードが可能となった。
今回テストするDaVinci Resolve Studio 18は、レビュアー向けに提供された第8世代NVENCのデュアルエンコード対応版「v18.0.2」で、4K60p動画のエンコードと、8K60p動画のエンコードをテストした。どちらの動画も動画時間は60秒(3,600フレーム)。
4K60p動画のエンコードでは、GeForce RTX 4090がH.264形式で28秒、H.265形式で29秒、AV1で31秒を記録。エンコード速度的には、第7世代のNVENCを搭載するGeForce RTX 3090を21~39%、Radeon RX 6900 XTを14~18%上回った。
なお、Radeon RX 6900 XTはエンコード条件をなるべく近づけているが、ビデオエンジン自体がまったく異なるためエンコード時間だけを見て優劣を判断すべきではない。参考程度のデータであると考えてもらいたい。
8K動画のエンコードでは、第8世代NVENCを備えるGeForce RTX 4090がH.265形式で圧倒的な速さを記録しており、GeForce RTX 3090を約162%、Radeon RX 6900 XTを約178%も上回っている。
AV1形式へのエンコード時間は122秒を記録しており、GeForce RTX 3090とRadeon RX 6900 XTがH.265形式に変換するのと同程度の時間でAV1への変換を完了している。
システムの消費電力とワットパフォーマンス
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
アイドル時消費電力については、70.3Wを記録したGeForce RTX 4090が比較製品中もっとも高い数値となっているが、GeForce RTX 3090が68.5W、Radeon RX 6900 XTが64.5Wであることを考えると、そこまで高い数値というわけでもない。
ベンチマーク実行中の消費電力をみてみると、GeForce RTX 4090は7項目中5項目でもっとも高い平均消費電力を記録しているものの、ファイナルファンタジーXIVやWild LiefeではGeForce RTX 3090より平均消費電力は低い値となっている。これらのテストではGPUがフル性能を発揮していないということだろう。
最大消費電力に注目してみると、全テストを通して最大の消費電力はGeForce RTX 4090が記録した650.5Wだった。なかなかに高い数値ではあるが、デスクトップCPUとの組み合わせでゲーミングPCを構築するのであれば、850W程度の電源ユニットでも容量的には十分まかなえるだろう。
先に紹介したシステムの消費電力の結果から、ベンチマーク実行中の平均消費電力でスコアを割ることによって求めたワットパフォーマンスをまとめてみた。
数値が高いほどワットパフォーマンス、すなわち電力効率が高いと言えるこのグラフにおいて、すべての項目で最高の数値を記録したのはGeForce RTX 4090だった。
ワットパフォーマンスの差がより分かりやすくなるよう、GeForce RTX 3090を100%として比較したグラフでは、GeForce RTX 4090がほとんどのテストでGeForce RTX 3090の1.5倍以上となっており、アーキテクチャと製造プロセスを刷新したことでワットパフォーマンスも大きく向上したことが確認できる。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.30を使って取得した、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(4K最高品質)実行中のモニタリングデータから、GPU温度などをまとめてみた。
GeForce RTX 4090のGPU温度は最大68.2℃、メモリ温度も最大78.0℃まで上昇しているが、特にサーマルスロットリングが動作するわけでもなく、GPUクロックは最大2,760MHzの平均2,733MHz、メモリクロックは最大平均ともに2,626MHzと、最大限のブースト動作を維持していたことが伺える。このさい、GPU消費電力は最大417.8Wに達する一方、平均値は320.4Wと低い数値となっている。
GeForce RTX 4090の平均消費電力が最大値より大きく低くなった理由は、ベンチマーク前半で消費電力が低下しているためで、これは推移グラフで確認できる。
GPU消費電力が低下した部分はCPUがボトルネックになりやすい部分であり、GeForce RTX 4090のGPU使用率の平均値が87.7%と低い数値になっていることからも、当該部分でGPUが全力を出せなかったことが伺える。Core i9-12900Kをもってしても、4K/最高品質で実行したファイナルファンタジーXIVベンチマークでCPUのボトルネックが生じるというのは驚きだ。
なお、ほかのGPUとは温度を計測するセンサーなども違うので参考程度の比較しかできないのだが、メモリ温度が100℃以上に達したGeForce RTX 3090に比べ、GeForce RTX 4090のメモリ温度が明らかに低いところ見ると、Founders EditionのGPUクーラーは似たような外観でありながらも、メモリ冷却が強化されていることが伺える。
フレーム生成を抜きにしても圧倒的な性能を発揮する新世代のモンスターGPU
GeForce RTX 3090の登場から2年の時を経て登場したGeForce RTX 4090は、新アーキテクチャのAda LovelaceとTSMC N4プロセスの採用による驚異的な性能と電力効率で、GeForce RTX 3090やRadeon RX 6900 XTを圧倒してみせた。まさに新世代のハイエンドGPUに相応しいパフォーマンスであると言える。
新機軸であるDLSS 3のフレーム生成もユニークなフレームレート向上手段であり、特にCPUボトルネックの壁を超えてフレームレートを向上できる点はおもしろかった。ただ、フレーム生成については、実際のゲームにおいて違和感のないフレームを生成できるのかというのが懸念点だ。今回テストしたサイバーパンク2077やMicrosoft Flight Simulatorでは特に違和感はなかったが、性能テストついでの確認でしかないので、実際に使えるかどうかはDLSS 3対応タイトルをプレイして体感する必要がある。
もっとも、GeForce RTX 4090はフレーム生成抜きでも圧倒的な性能を実現したGPUであり、DLSS 3を構成する3要素(フレーム生成、超解像、Reflex)はゲーム側で個別にオン/オフできる。フレーム生成という機能に疑念を感じるか否かを問わず、最高のゲーミング環境を追求するコアゲーマーやエンスージアストにとって、GeForce RTX 4090がベストな選択肢となるのは間違いない。
本日10月11日22時より、YouTubeにてGeForce RTX 4090の解説配信を実施します。“KTU”加藤勝明氏がベンチマーク結果の解説、実動デモを交えて徹底的に解説!MCは“改造バカ”高橋敏也氏です。(ライブ終了後は即アーカイブをご視聴いただけます)
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