Hothotレビュー
RTX 3060/144Hz液晶搭載でリーズナブルなゲーミングノート「G-Tune E7」
2021年12月23日 06:35
マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」から、17.3型ゲーミングノート「G-Tune E7」が編集部にやってきた。144Hz駆動の大画面液晶と「GeForce RTX 3060 Laptop」を搭載するG-Tune E7は、エントリー層から本格派まで、幅広い層のゲーマーに適した実力を備えるミドルクラスのゲーミングノートだ。
今回は標準的なベンチマークテストに加え、人気タイトルである「Forza Horizon 5」や「フォートナイト」でG-Tune E7をテストする。年末年始にかけてPCの新調を検討しているゲーマーには、最新OS「Windows 11」を搭載したゲーミングノートの実力をぜひ確認してもらいたい。
Windows 11搭載17.3型ゲーミングノート「G-Tune E7」
G-Tune E7は、17.3型ディスプレイを搭載するゲーミングノートPC。CPUにTiger Lake-Hベースの6コア/12スレッドCPU「Core i5-11400H」、GPUにGeForce RTX 3060 Laptopを搭載したミドルクラス製品で、標準構成時の販売価格は20万8,780円。
17.3型のディスプレイには、144Hz駆動のフルHD(1,920×1,080ドット)液晶パネルを採用しており、バトルロイヤルやFPSのようなゲームを本格的に楽しめる表示能力を備えている。搭載OSはWindows 11 Homeで、本体サイズは396.9×264.5×25.4mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.59kg。
【表1】G-Tune E7 の仕様 | |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i5-11400H (6コア/12スレッド) |
dGPU | GeForce RTX 3060 Laptop(6GB) |
iGPU | Intel UHD Graphics |
メモリ | DDR4-3200 8GB×2 |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
ディスプレイ | 17.3型フルHD液晶パネル(1,920×1,080ドット、144Hz) |
有線LAN | Gigabit Ethernet |
無線機能 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5(Intel Wi-Fi 6 AX201) |
USB/Thunderbolt | Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0 |
そのほかのインターフェイス | 音声入力、音声出力、Webカメラ(100万画素)、microSDカードスロット、セキュリティスロット |
ACアダプタ | 180W |
本体サイズ | 396.9×264.5×25.4mm(幅×奥行き×高さ) |
本体重量 | 約2.59kg |
標準構成では、合計16GB(8GB×2)のDDR4-3200メモリや、512GBのNVMe SSDを搭載。Gigabit EthernetやWi-Fi 6(Intel AX201)も備えており、プロセッサやディスプレイ以外のハードウェアもミドルクラスゲーミングPCに相応しいものを採用している。
なお、G-Tune E7はパーツ構成のカスタマイズに対応しており、メモリやSSDの容量を変更できるほか、2.5Gigabit Ethernetアダプタなどの周辺機器をセットで購入することもできる。
落ち着いた外観に過不足ないインターフェイスを装備
G-Tune E7の筐体はマットブラック1色でカラーリングされており、ゲーミングPCながら落ち着いた雰囲気のある外観に仕上がっている。
本体には、最大40Gbpsの高速通信とディスプレイ出力機能を備えたThunderbolt 4を1ポート装備。外部インターフェイスが充実したPCという訳ではないが、本体両側面に配置されたUSBポートや、Gigabit Ethernetの存在により、ドッキングステーションのような拡張デバイスを用いなくとも、ゲーミングPCとして十分な機能が利用できる。
G-Tune E7のバッテリ駆動時間は約5.5時間(JEITA測定法2.0)で、充電には付属のACアダプタを使用する。
付属のACアダプタは180Wの大出力に対応しており、サイズは実測でおおよそ145×70.5×23mm(突起部を含まず)。重量はケーブル込みで約610g。薄型で携帯しやすい形状ではあるが、ある程度の大きさと重量があるので、持ち運ぶ場合はそれなりの負担になる。
144Hz駆動の17.3型フル液晶ディスプレイ
前述の通り、G-Tune E7が備える17.3型ディスプレイは、144Hz駆動に対応したフルHD液晶パネルだ。ディスプレイはCPU内蔵GPUであるIntel UHD Graphicsと接続されており、GPUを活用しないシーンではdGPUであるGeForce RTX 3060 Laptopをオフにすることで消費電力を抑制している。
パワーモードごとの性能をベンチマークテストでチェック
G-Tune E7には、「バランス」、「パフォーマンス」、「静音」という3種類のパワーモードが用意されており、ユーティリティのControl Centerで切り替えることができる。
パワーモードの変更に再起動などは不要で、選択したモードに応じてCPUやGPUの動作が変更される。各モードの動作設定は以下のようになっており、標準では「バランス」が適用されている。
【表2】パワーモードごとの各種リミット | |||
---|---|---|---|
パワーモード | バランス | パフォーマンス | 静音 |
Core i5-11400H | |||
CPU PL1 (W) | 45 W | 65 W | 20 W |
CPU PL2 (W) | 93 W | 109 W | 20 W |
Tau (秒) | 28 秒 | 56 秒 | 8 秒 |
CPU温度リミット (℃) | 100 ℃ | 100 ℃ | 100 ℃ |
GeForce RTX 3060 Laptop | |||
GPUブーストクロック | 1,425 MHz | 1,425 MHz | 900 MHz |
GPU温度リミット (℃) | 87 ℃ | 87 ℃ | 87 ℃ |
GPU Power Limit (W) | 80 W | 110 W | 不明 |
まずはパワーモードごとにベンチマークテストを実行し、各モードでどれだけの性能が得られるのかを確かめてみた。
実行したベンチマークテストは「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23」、「Blender Benchmark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「CrystalDiskMark 8.0.4」。
「バランス」と「パフォーマンス」では、ミドルクラスのゲーミングノートらしく、CPU/GPUともに優秀なスコアを記録している。これらのパワーモードを比較すると、基本的には電力リミットが緩和される「パフォーマンス」モードの方が高い性能を発揮しているが、一部のテストではこの関係が逆転している。
3DMark Fire StrikeのCombined Testのように、CPUとGPUが同時に稼働し、なおかつGPU負荷が軽くCPU側が高負荷になるテストでは、GPUとCPUの電力を配分する「Dynamic Boost 2.0」によってGPUへの電力供給が優先される。その結果、CPUのボトルネックによってスコアが伸びなかったようだ。
静音モードに関しては、CPUの電力リミットやGPUクロックが大幅に制限された結果、CPUやGPUに高負荷がかかるベンチマークテストではスコアが大きく低下している。性能面で静音モードを選択するメリットはほぼないが、その名の通り動作音については、ほかの2モードより大幅に改善されている。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク実行中のファンスピードを確認してみたところ、「バランス」が4,500rpm前後、「パフォーマンス」が4,800rpm前後であったのに対し、静音では3,200rpm前後に抑えられていた。「バランス」や「パフォーマンス」の動作音はプライベートな空間以外で使うのが厳しいレベルなので、ほかの人がいる場所で利用する場合は静音モードを使うことになるだろう。
Forza Horizon 5
2021年11月に発売されたオープンワールドレースゲームの最新作「Forza Horizon 5」は、グラフィックのクオリティで高い評価を獲得しているタイトルだ。今回はForza Horizon 5のベンチマークモードを、3種類の描画設定プリセット(高、最高、エクストリーム)で実行してみた。画面解像度はフルHD。
パワーモードが「バランス」と「パフォーマンス」に設定されていれば、G-Tune E7は描画設定プリセットを「高」と「最高」で60fpsを超える平均フレームレートを記録した。静音モードに関しては描画プリセット「高」でぎりぎり60fpsを上回っているが、GPUとCPUともに高い負荷のかかるForza Horizon 5をプレイするのであれば、「バランス」以上のパワーモードに設定するべきだ。
なお、最も高負荷な描画設定プリセット「エクストリーム」については、VRAM使用量自体がGeForce RTX 3060 Laptopが備える6GBを超過している。要求される性能的にもハイエンドPCを想定したプリセットであり、ミドルクラスゲーミングノートであるG-Tune E7向けの設定ではないようだ。
フォートナイト
世界的な人気を誇るバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」では、描画設定プリセットを「中」と「最高」に設定した場合のフレームレートを計測した。画面解像度はフルHDで、3D解像度は100%、グラフィックスAPIはDirectX 12。
描画プリセット「中」では、いずれのパワーモードでも100fpsを超える平均フレームレートを記録。描画設定プリセットを「最高」に引き上げた場合でも、静音モード以外は平均60fpsを上回った。描画設定を調整すれば、144Hz駆動のディスプレイが備える表示能力をしっかり引き出してプレイすることができるだろう。
なお、ここでは「バランス」が「パフォーマンス」を上回っている。やや差のついた描画設定プリセット「中」ではGPU使用率が8割ほどで、程度の違いはあれ3DMark Fire StrikeのCombined Testと同じようにCPUのボトルネックが発生している状況だ。高フレームレートを狙う場合は同様の状況が起こりやすいので、使用するパワーモードは実際のフレームレートを確認した上で選ぶようにしよう。
レインボーシックス シージ
人気FPSのレインボーシックス シージでは、描画設定プリセット「最高」をベースに、画面解像度とレンダリング解像度をともにフルHDに設定。ベンチマークモードで平均フレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはVulkan。
G-Tune E7は、全てのパワーモードで144fpsを超える平均フレームレートを記録しており、144Hzディスプレイの表示能力を存分に活用してレインボーシックス シージをプレイできる。なお、「静音」モードでは最小フレームレートが134fpsだったので、安定して144fps以上を狙うのであれば最小179fpsだった「バランス」モード以上を選択したい。
Apex Legends
バトルロイヤルFPS「Apex Legends」では、「テクスチャストリーミングの割り当て」を「最高(VRAM:6GB)」に設定し、ほかのグラフィック設定はできる限り高品質にした状態でフレームレートを計測した。画面解像度はフルHDで、テスト時はフレームレートの上限を最大の300fpsまで解放している。
平均フレームレートは、「パフォーマンス」が137fps、「バランス」が128.9fps、「静音」が84.6fpsで、いずれのパワーモードでも60fpsを超えている。「バランス」や「パフォーマンス」であれば、多少グラフィック設定を調整すれば平均144fps以上の動作も十分狙うことができるだろう。
多くのゲームを快適に楽しめるミドルクラスゲーミングノート
G-Tune E7は、グラフィック重視の最新タイトルであるForza Horizon 5から、高フレームレートでの動作が求められるFPS、バトルロイヤルゲームまで、多くのゲームを快適に楽しめる実力を備えたゲーミングノートだ。17.3型のディスプレイはゲーム画面の可読性や視認性にも優れており、無理のない姿勢でゲームをプレイできる。
Windows 11搭載で確かなゲーミング性能を備えたG-Tune E7は、年末年始にゲーミングノートを新調したいユーザーにとっての有力な選択肢だ。特に、ゲーミングノートと最低限の周辺機器だけでスマートにゲーミング環境を構築したいのであれば、G-Tune E7のような大画面ゲーミングノートを検討すべきだろう。