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ゲーム以外の用途にも!万能なライトゲーマー向けノートPC「G-Tune P5-H」

ゲーミングPCは高性能なほどいいのか?

G-Tune P5-H

 マウスコンピューターから、GeForce GTX 1650 Tiを搭載するゲーミングノートPC「G-Tune P5-H」が発売された。G-Tuneブランドのラインナップの中では「ライトゲーマー向け」とされており、直販価格は15万9,280円から。

 ゲーミングPCは高性能なほどいい……と普通は思うのだが、高性能になれば高価なだけでなく、重量や発熱が増すデメリットもある。遊びたいゲームの動作が比較的軽いものだったり、出張の際などにちょっと触れる程度で構わないのであれば、そこそこの性能のものを選ぶ方がマッチする。

 そういった視点も含めて本機の価値はどこにあるのか。実機を借りたので、多角的にチェックしていく。

薄型筐体にWi-Fi 6やUSB Type-Cなど万全の装備

 「G-Tune P5-H」のスペックは下記の通り。

【表1】G-Tune P5-H
CPUCore i7-10750H(6コア/12スレッド、2.6~5GHz)
GPUGeForce GTX 1650 Ti(4GB)
メモリ16GB DDR4-2666(8GB×2)
SSD512GB(M.2 NVMe)
ディスプレイ15.6型非光沢液晶(1,920×1,080ドット)
OSWindows 10 Home
汎用ポートUSB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0
カードスロットSDXC
映像出力HDMI、Mini DisplayPort
無線機能Wi-Fi 6、Blunetooth 5
有線LANGigabit Ethernet
その他前面100万画素カメラ、マイク、音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)359.5×238×22.8mm
重量約2.01kg
直販価格15万9,280円

 CPUは6コア12スレッドのCore i7-10750H、GPUにGeForce GTX 1650 Tiという構成。ライトゲーマー向けというだけあって、最近のゲーミングPCとしては控え目なスペックだ。ディスプレイもフルHDで、リフレッシュレートは60Hzと標準的。

 解像度やリフレッシュレートが高くない分、高い描画処理能力は求められないので、海外のAAAタイトルを遊びたいというのでなければ不自由はしなさそうではある。リアルタイムレイトレーシングを使いたいならGeForce RTXシリーズが必要になる、という点だけ注意すればいいだろう。

 基本スペックが控え目なところを除けば、かなり充実した構成になっている。メインメモリは16GBと十分で、ストレージはM.2 NVMeの512GB、Wi-Fi 6対応、USB Type-CとSDXCスロットも搭載しており、ゲーム以外の用途にも幅広く対応できる。

 そして本機の特徴として挙げておきたいのが、本体の薄さだ。厚さ22.8mmというのはゲーミングPCとしてはかなり薄い。一昔前であれば、ギリギリながらUltrabookの要件を満たす厚みだ(そのほかの要件を満たしているかは不明だが)。重量もほぼ2kgとなっており、ゲーミングPCとしては軽量コンパクトなのが大きな魅力と言える。

フルHD環境ではゲーミング性能も十分

 続いて実機でパフォーマンスをチェックする。ベンチマークテストに利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2508」、「3DMark v2.18.7185」、「VRMark v1.3.2020」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.2」。

 本機は専用ソフト「Control Center 3.0」で動作モードを設定できる。標準では「エンターテイメント」の設定で、ほかに「パフォーマンス」、「省電力」、「静音」の計4種類が選べる。内蔵ファンの回転数をカスタマイズできるツール「Fan Speed Setting」も用意されている。

「Control Center 3.0」で4つの動作モードを選べる

 今回のテストでは、「PCMark 10 v2.1.2508」に限り4つの動作モードで測定。ほかのテスト、およびバッテリテストについては標準設定となる「エンターテイメント」を利用した。

 動作モードの違いでは、「パフォーマンス」でわずかに処理能力が上がっているのが分かるが、「省電力」では逆に大きく低下し、「静音」では全般的なパフォーマンスが低下している。基本的にはやはり標準の「エンターテイメント」を使用し、特に静かに利用したい時に「静音」を選ぶ、といった使い方が考えられる。

 最近登場した新たなゲーム系ベンチマーク「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」では、最高画質となる簡易設定6だと、標準的な動作が見込めるスコアとされている5,000に届かなかった。ただ動作には問題なく、画質の簡易設定を3に落とせば、快適に動作するとされる10,001以上のスコアを計測できた。

 「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では最高画質でも十分なパフォーマンスを発揮しているが、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では「普通」の評価で少々物足りない結果に。あくまで最高画質での話なので、適切に画質を落とせば問題なく遊べるゲームは多いと思われる。

 全般的な傾向としては、CPUのスコアが良好だ。中でも「Cinebench R23」では、ノートPC向けで6コアであることを考えると、シングルコア・マルチコアともきちんと性能を発揮できている。薄型筐体ながら冷却は十分なようだ。

 バッテリテストでは、オフィスユースで7時間ちょうど、ゲーミングで1時間12分となった。ビジネス用途でバッテリに困ることはなさそうだが、3Dゲームを遊ぶ際にはACアダプタ必須と思った方がいい。

 ストレージはMicron製SSD「2210 MTFDHBA512QFD」が使われていた。QLC NANDフラッシュを採用した製品だが、シーケンシャルリードで2.2GB/s、シーケンシャルライトで1.1GB/sを超えており、NVMe SSDらしい性能を発揮している。

CrystalDiskMark 8.0.2

目立つ特徴こそないものの、あらゆる面で高レベルな設計

フラットな天面にロゴのみのシンプルなデザイン

 続いて実機の使用感を見ていく。ボディは全面マットブラックで、天面にロゴがあるのみ。筐体の前後で厚みの差はなく、天面もフラットなので、形状はとてもシンプルだ。畳んでいる状態でゲーミングPCを感じさせる派手さは見当たらない。

 15.6型のディスプレイはコントラストが高く、シャープな絵が出ている。視野角も上下左右どの角度からも良好で、色相変化もない。派手な色味ではないが、実用上気になることはないだろう。ベゼルは左右7mm、上10mmで、昨今のPCとして特別狭いわけではないが野暮ったくもない。

 ディスプレイ部分の厚みは6mmで、これまた特別薄くはない。ねじる動きには少したわみ、天面を押すとわずかなへこみは出るが、一般的なノートPCと比べれば頑丈な方。画面の端を持っての開閉も歪みなく安定している。

ディスプレイはコントラストが高くメリハリがある
視野角も十分広い

 キーボードはアイソレーションタイプでテンキー付き。テンキーが若干縦につぶれ、方向キーが横に半分ほどのサイズになっているのを除いて、主だったキーは正方形で打ちやすい。キー配置もオーソドックスで使いやすい。

 キーストロークはノートPCなりの薄さながら、キーを押し込むと弱めのクリック感があり、しっかりした打鍵感がある。また打鍵の音が極めて静かで、キー入力はとても快適だ。タッチパッドもかなり広く、ゲーミングPCながら一般用途での快適性もかなり高い。

 ゲーミングPCらしいところとしては、キーボードバックライトを搭載している。光り方は「Control Center 3.0」でカスタマイズでき、キーボード全体を一律で色と明るさを変更できる。バックライトオフも可能だ。

オーソドックスなキー配置で、キートップの形状も無理がない
タッチパッドはかなり大きめ
キーボードバックライトは好みの色と明るさに調整できる

 スピーカーは底面の手前側左右に配置されている。小型スピーカーなので低音がほとんど出ていないのは仕方ないが、高音の尖った感じもなく、全体としてバランスの取れた音を作ろうとしている。若干こもり気味な音質とも感じるが、長時間でも聞き疲れしないので、用途を選ばず気軽に使える。

 排熱処理は、底面から吸気、背面と側面奥から排気という流れ。低負荷ではほぼ無音で、高負荷時にファンの回転音が聞こえだす。音はサーッというホワイトノイズがほとんどで、音量もかなり小さく、不快感は少ない。排気の量からすると意外なほどに静かだ。スピーカーからのゲームの音を邪魔するほどでもなく、元々の音質さえ気にしなければヘッドフォン不要で十分遊べる。

 キーボードへの熱伝導は、上部や中央部ははっきり温かさが感じられる。W/A/S/Dキー付近は概ね冷やせており、Dキー辺りはわずかに熱が伝わってきているのが分かる程度。リストレスト部はよく冷えており、マウスとキーボードでゲームプレイする分には熱はほぼ気にならない。

 ACアダプタは出力120W。厚さは本体の最厚部とほぼ同等で、ゲーミングPC向けとしては大きさ、出力とも控え目だ。GPUがそれほど高性能でないのが、こういうところでメリットとして見えてくる。

左側面はUSB 3.0、USB 2.0、ヘッドフォン端子、マイク端子
右側面はSDXCカードスロット、USB 3.1 Type-C、USB 3.0、Gigabit Ethernet
前面は右側にインジケータが並ぶ
背面はMini DisplayPort、HDMI、電源端子
底面は吸気用のスリットが大きく開いている。内部のファンやヒートパイプも見える
ACアダプタは120W出力。ゲーミングPCとしては小型だ

ゲーム以外の用途がある人に持ってほしいゲーミングPC

普段使いに違和感なく、ゲームもそれなりにこなせる無難さこそが本機の特徴

 本機はゲーミングPCとしては中途半端な性能に感じるかもしれないが、立ち位置としてはとても明快。主な用途をゲームとせず、しかしゲームもそれなりに遊びたい人に最適だ。

 ほぼ2kgの薄型筐体は持ち運びにも対応でき、キーボードのレイアウトやタッチも良好。外装面でも機能面でも質実剛健な設計なので、ビジネスや学習に用いて差し支えない。むしろ本機を見てゲーミングPCだと気付くのは、「G-Tune」ブランドを知っている人くらいだろう。

 もし何かの機会にPCゲームを遊びたいと思っても、ディスクリートGPUを搭載していないPCで3Dゲームを遊ぶのは厳しい。本機であれば、最新ゲームを最高画質で遊ぶとまではいかないにせよ、それなりの画質でそこそこに遊ぶのは問題ない。ビジネスマンが出張先でちょっと遊ぶとか、学生が基本無料のバトルロイヤル系FPSを遊ぶとかなら、十分快適にこなせる。

 基本的には仕事や学習のためのPCとして使うが、もしかしたら3Dゲームも遊ぶかもしれない。とは言えゲーム用に派手で大型のPCは持ちたくないし、あまり高価なのも困る。本機はそんな人に最適だ。

 本機はほかに勝る長所というほどのものはなく、逆に強いて挙げる短所もない。見た目も中身もいい意味で無難で、どんな場面でもそれなりに使える。カテゴリとしてはゲーミングPCではあるが、主にゲーム以外の用途がある人に持ってもらえれば、コストパフォーマンスがぐっと高まる1台と言える。