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フルHDゲーミング向けのミドルレンジGPU「Radeon RX 6600」をテスト
2021年10月13日 22:00
AMDは10月13日、Radeon RX 6000シリーズの新たなGPU「Radeon RX 6600」を発表した。人気を博しているRadeon RX 6600 XTの下位モデルとなるRDNA 2ベースのミドルレンジGPUだ。
この発表に先立って、同GPUを搭載するビデオカードをテストする機会が得られたので、ベンチマークテストでその実力を確かめてみた。
RDNA 2ベースのミドルレンジGPU「Radeon RX 6600」
Radeon RX 6600は、RDNA 2アーキテクチャに基づいて7nmプロセスで製造されたミドルレンジGPU。上位のRadeon RX 6600 XTより4基少ない28基のコンピュートユニットが有効化されており、1,792基のストリーミングプロセッサや、28基のRay Accelerators、32MBのInfinity Cacheが利用できる。
VRAMには14GbpsのGDDR6メモリを8GB搭載しており、128bitのメモリインターフェイスでGPUコアと接続することで、224GB/sのメモリ帯域幅を実現している。消費電力の指標であるTBP(Total Board Power)は132W。
【表1】Radeon RX 6600の主な仕様 | ||
---|---|---|
GPU | Radeon RX 6600 | Radeon RX 6600 XT |
アーキテクチャ | RDNA 2 | RDNA 2 |
製造プロセス | 7nm | 7nm |
コンピュートユニット | 28基 | 32基 |
ストリーミングプロセッサ | 1,792基 | 2,048基 |
Ray Accelerators | 28基 | 32基 |
ROPユニット | 64基 | 64基 |
ゲームクロック(GPU) | 2,044MHz | 2,359MHz |
ブーストクロック(GPU) | 2,491MHz | 2,589MHz |
AMD Infinity Cache | 32MB | 32MB |
メモリ容量 | 8GB(GDDR6) | 8GB(GDDR6) |
メモリスピード | 14Gbps | 16Gbps |
メモリインターフェイス | 128bit | 128bit |
メモリ帯域幅 | 224GB/s | 256GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x8 |
消費電力(TBP) | 132W | 160W |
Sapphire製ビデオカード「PULSE AMD Radeon RX 6600 GAMING 8GB」
今回のテストで使用するRadeon RX 6600搭載ビデオカードは、Sapphireの「PULSE AMD Radeon RX 6600 GAMING 8GB」。2基の冷却ファンを搭載した2スロット仕様のGPUクーラーを搭載したビデオカードだ。
搭載GPUのRadeon RX 6600は、AMDの標準仕様に準拠した定格動作となっており、14Gbps動作のGDDR6メモリを8GB搭載している点も標準仕様通り。画面出力端子としてHDMIとDisplayPort(3基)を備えており、動作に必要な補助電源コネクタはPCI-E 8ピン1系統。
テスト機材
Radeon RX 6600の比較用GPUには、上位モデルの「Radeon RX 6600 XT」と、NVIDIAのミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060」を用意した。
テストに用いるビデオカードは、Radeon RX 6600 XTが「ASRock AMD Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OC(RX6600XT PGD 8GO)」で、GeForce RTX 3060は「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC(ZT-A30600H-10M)」。どちらもオーバークロック仕様のビデオカードで、テスト時の動作仕様については以下の通り。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | Radeon RX 6600 | GeForce RTX 3060 | Radeon RX 6600 XT |
ビデオカードベンダー | Sapphire | ZOTAC | ASRock |
製品型番 | PULSE AMD Radeon RX 6600 GAMING 8GB | ZT-A30600H-10M | RX6600XT PGD 8GO |
ベースクロック | 1,626MHz | 1,320MHz | 2,064MHz |
ゲームクロック | 2,044MHz | ─ | 2,428MHz |
ブーストクロック | 2,491MHz | 1,807MHz | 2,607MHz |
メモリ容量 | 8GB(GDDR6) | 12GB(GDDR6) | 8GB(GDDR6) |
メモリスピード | 14Gbps | 15Gbps | 16Gbps |
メモリインターフェイス | 128bit | 192bit | 128bit |
メモリ帯域幅 | 224GB/s | 360GB/s | 256GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x8 |
電力リミット | 100W(GPU PPT) | 170W(PowerLimit) | 145W(GPU PPT) |
各ビデオカードを動作させるためのベース機材には、Zen 3世代の8コア16スレッドCPU「Ryzen 7 5800X」を搭載したAMD X570環境を利用する。
グラフィックスドライバについては、Radeon RX 6600がレビュアー向けの「Adrenaline 21.30.17.06」で、Radeon RX 6600 XTは「Adrenaline 21.10.1」、GeForce RTX 3060は「GeForce Game Ready Driver 472.12」をそれぞれ導入している。
そのほかのテスト機材については以下の通り。
【表3】テスト機材一覧 | |||
---|---|---|---|
GPU | Radeon RX 6600 | GeForce RTX 3060 | Radeon RX 6600 XT |
CPU | Ryzen 7 5800X(8コア16スレッド) | ||
CPUパワーリミット | PPT:142W、TDC:95A、EDC:140A | ||
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240(ファンスピード=100%) | ||
マザーボード | ASUS TUF GAMING X570-PLUS(WI-FI) [UEFI=4021] | ||
メモリ | DDR4-3200 16GB×2(2ch、22-22-22-52、1.20V) | ||
システム用SSD | Samsung SSD 980 PRO 500GB(NVMe SSD/PCIe 3.0 x4) | ||
アプリケーション用SSD | CORSAIR MP600 1TB(NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | ||
電源 | Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum(1,050W/80PLUS Platinum) | ||
グラフィックスドライバ | Adrenaline 21.30.17.06(30.0.13017.6003) | GeForce Game Ready Driver 472.12(30.0.14.7212) | Adrenaline 21.10.1(30.0.13025.1000) |
OS | Windows 10 Pro(Ver 21H1/Build 19043.1266) | ||
電源プラン | バランス | ||
モニタリングソフト | HWiNFO64 Pro v7.12 | ||
ワットチェッカー | ラトックシステム RS-BTWATTCH2 | ||
室温 | 約26℃ |
ベンチマーク結果
それではベンチマーク結果をみていこう。なお、執筆時点でのRadeon RX 6600の価格は不明だが、比較用のGPUはいずれもRadeon RX 6600より高価なセグメントであるのは明らかで、その点に留意しながらベンチマークの数値を参考にされたい。
実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」。
画面解像度を自由に変更できるゲームについては、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。
Radeon RX 6600をGeForce RTX 3060と比較すると、Time Spyは4~6%下回る一方で、Fire Strikeでは逆に4~6%上回った。Wild Lifeについては低負荷の無印テストで4%上回ったが、4K解像度のWild Life Extremeでは16%下回っている。DXRテストでは全体ベストを記録したGeForce RTX 3060に差をつけられており、Port Royalで約25%、DirectX Raytracing feature testでは約50%、それぞれGeForce RTX 3060を下回った。
上位モデルのRadeon RX 6600 XTとの比較では、Time Spyで約16%、Fire Strikeで18~19%、Wild Lifeで19~23%、Port Royalで約18%、DirectX Raytracing feature testで約21%、いずれのテストも下回った。Radeon RX 6600の発揮した性能は、Radeon RX 6600 XTの8割程度と言える結果だ。
VRMark
VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。
Radeon RX 6600をGeForce RTX 3060と比較すると、Orange Roomで約12%上回っているものの、Cyan Roomでは約4%、Blue Roomでも約21%下回った。
上位モデルのRadeon RX 6700 XTとの比較では、Orange Roomで約12%、Cyan Roomで約18%、Blue Roomで約16%、それぞれ下回っている。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。
Radeon RX 6600は、フルHDで約11%、WQHDで約18%、4Kでは約23%、それぞれGeForce RTX 3060を下回った。Radeon RX 6600 XTとの比較でも、フルHDで約11%、WQHDで約18%、4Kでは約19%の差がついている。解像度が高まるにつれ上位とのスコアが開いた格好だ。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。
Radeon RX 6600のスコアは比較製品中最も低く、GeForce RTX 3060を10~19%、Radeon RX 6600 XTを16~18%下回った。
PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator
PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator(以下PSO2 NGS CC)では、簡易グラフィック設定を「6:ウルトラ」に固定して、ベンチマークテストを実行した。
ここでもRadeon RX 6600のスコアは比較製品の中では最下位で、GeForce RTX 3060を38~52%、Radeon RX 6600 XTを28~39%下回っている。
フレームレート差の2乗がスコア差となるPSO2 NGS CCの特性をもとに、フレームレートを基準として計算した場合、GeForce RTX 3060の7割~8割程度、Radeon RX 6600 XTの8割程度ということになる。
Forza Horizon 4
Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6600は、フルHDで約22%、WQHDでも約12%、それぞれGeForce RTX 3060を上回った。上位のRadeon RX 6600 XTとの比較では9~20%の差となっている。
DIRT 5
DIRT 5では、描画品質を「Ultra High」に設定し、レイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)有効時と無効時の2通りでベンチマークモードを実行した。
レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600は、上位のRadeon RX 6600 XTを15~18%下回る一方で、GeForce RTX 3060をフルHDで約2%上回り、WQHDでは逆に約1%下回り、4Kでは同じ数値を記録するという、拮抗した性能を発揮した。
レイトレーシングを「オン」にした場合でも、フルHDではGeForce RTX 3060を約1%上回っている。ただ、それ以外の条件では比較用GPUにはおよばない。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを有効化した設定で、フレームレートの測定を行なった。
レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600は、GeForce RTX 3060との差は4~18%、Radeon RX 6600 XTとの差は17~21%。
レイトレーシング関連の設定を「オン」または「中」、グローバルイルミネーション(GI)を「低」で有効にした場合のRadeon RX 6600は、GeForce RTX 3060を33~57%下回り、Radeon RX 6600 XTを11~18%下回った。GeForce RTX 3060との差は非常に大きなものだが、そのGeForce RTX 3060も平均フレームレートは30fpsを下回っており実用的とは言えない。このクラスのGPUでは、さらにレイトレーシングの品質を引き下げる必要があるようだ。
レインボーシックス シージ
レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。
Radeon RX 6600は、GeForce RTX 3060の8割~9割程度の性能、Radeon RX 6600 XTとの差は16~17%となっている。
Apex Legends
Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を300fpsに引き上げている。
Radeon RX 6600は、Radeon RX 6600 XTの8割程度の性能となっており、GeForce RTX 3060との差も14~27%となっている。
オーバーウォッチ
オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。上限フレームレートは400fps。
Radeon RX 6600は、フルHD解像度ではGeForce RTX 3060との差は縮まっているが、Radeon RX 6600 XTと比べると8割弱の性能となっている。
Call of Duty: Black Ops Cold War
Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシング関連の設定を「オフ」にした場合と、すべて「ミディアム」にした場合で、平均フレームレートの測定を行なった。
レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600は、GeForce RTX 3060を13~28%、Radeon RX 6600 XTを24~32%下回った。
レイトレーシングを「ミディアム」に設定した場合、上位のRadeon RX 6600 XTを6~19%下回る一方で、Radeon RX 6600はGeForce RTX 3060から70~72%という大差がついている。フォートナイト同様、GeForce RTX 30シリーズとRDNA 2のレイトレーシング性能の差が大きく反映された結果だ。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない高画質プリセットの「ウルトラ」と、レイトレーシングを有効化するプリセット「レイトレーシング:中」でフレームレートの測定を行なった。なお、「レイトレーシング:中」では、両メーカーのGPUを同条件で比較するため、NVIDIA GPUで有効になるDLSSをあえて無効にしている。
「ウルトラ」設定でのRadeon RX 6600は、GeForce RTX 3060を12~26%、Radeon RX 6600 XTを17~18%下回った。
「レイトレーシング:中」設定では、GeForce RTX 3060との差は38~60%と大きくついた。上位のRadeon RX 6600 XTとの比較では、フルHDで約17%、WQHDで約21%、それぞれ下回る一方、4Kでは逆に約7%上回っている。もっとも、4Kでの両Radeonは1桁FPSしか出ていない状況であり、特に意味のある結果ではない。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6600は、フルHDで約21%、WQHDでも約8%、GeForce RTX 3060を上回った。4Kでは逆に19%も下回っているが、フルHDであれば平均76fpsという、60fpsの維持が狙えるフレームレートが得られているのはRadeon RX 6600の強みだ。なお、Radeon RX 6600 XTとの比較では16~19%程度の差となっている。
ウォッチドッグス レギオン
ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「中」にした設定で、ベンチマークモードを実行した。
レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600は、フルHDでGeForce RTX 3060を約3%上回ったが、WQHDでは約7%、4Kで約19%下回った。上位モデルとの比較では、Radeon RX 6600 XTを3~7%下回った。
レイトレーシング「中」では、Radeon RX 6600 XTと同等以上のフレームレートを記録する一方、GeForce RTX 3060を77~88%も下回っている。
ウォッチドッグス レギオンはVRAM使用量の大きなゲームであり、搭載VRAM容量が8GBのRadeon RX 6600とRadeon RX 6600 XTは、ほとんどの条件でメモリ容量が不足している。これが、Radeon同士の僅差や、12GBのVRAMを備えるGeForce RTX 3060との大差につながっているものと考えられる。
Godfall
Godfallでは、描画品質を「最高」に設定し、レイトレーシングを「オフ」にした場合と「バランス」に設定した場合の2通りで、ベンチマークモードを実行した。
レイトレーシング「オフ」では、フルHDでGeForce RTX 3060を約3%上回ったが、WQHDでは約2%下回り、4Kでも約10%下回った。上位モデルのRadeon RX 6600 XTとは18~20%程度の差がついている。
レイトレーシングを「バランス」にした場合、GeForce RTX 3060を15~41%下回った。Radeon RX 6600 XTとの比較では、フルHDで18%下回り、WQHDでも31%下回ったが、4Kでは逆に11%上回っている。もっとも、4Kの結果は両GPUとも20fpsを割り込んだ状態でのものであり、性能差を正しく反映したものとは言い難い。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行なった。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。
Radeon RX 6600は、GeForce RTX 3060を17~26%、Radeon RX 6600 XTを18~20%下回った。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」で、GPUレンダリングを実行したさいのレンダリング時間を比較してみた。Radeonは「OpenCL」、GeForce RTX 3060は「OptiX」を利用している。なお、参考データとして、Ryzen 7 5800XでCPUレンダリングを実行した結果をグラフに加えている。
合計レンダリング時間での最速はGeForce RTX 3060の「9分45秒」で、2番手はRadeon RX 6600 XTの「33分47秒」、Radeon RX 6600は3番手の「35分10秒」だった。VRAM容量不足によってRyzen 7 5800Xを下回る「victor」のタイムがRadeon勢の枷となっており、Radeon RX 6600のレンダリング速度はGeForce RTX 3060を約72%も下回っている。
合計レンダリング時間からvictorの結果を除いた場合、Radeon RX 6600のレンダリング速度はRyzen 7 5800Xを70%上回るが、それでもGeForce RTX 3060とは55%もの差がついている。
システムの消費電力
ワットチェッカーで測定した、ベンチマーク実行中の最大消費電力とアイドル時消費電力をまとめたものが以下のグラフだ。
アイドル時の消費電力は、Radeon RX 6600とRadeon RX 6600 XTが61Wで横並びとなっており、64WだったGeForce RTX 3060より3W低かった。
Radeon RX 6600のベンチマーク実行中の最大消費電力は216~278Wで、280~350WだったGeForce RTX 3060より43~78W低く、270~342WのRadeon RX 6600 XTより32~68W低かった。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
Radeon RX 6600で、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行し、HWiNFO64 Pro v7.12で取得したモニタリングデータをグラフ化した。
ベンチマーク中の最大温度は、GPU温度が74℃で、GPUホットスポット温度が87℃だった。このさい、GPUコアは電力リミット(GPU PPT)いっぱいの100Wを消費しながら、2,400MHz前後のクロックで動作していた。
ファンスピードは最大1,500rpm、平均1,230rpm前後で動作している。GPUクロックやメモリクロックが温度の上昇にともなって大きく低下している様子は見られないので、冷却不足によるブースト動作の停止やサーマルスロットリングは発生していないようだ。
5万円切りでの登場を期待したいミドルレンジGPU
Radeon RX 6600はフルHD解像度でのゲーミングにおいて、GeForce RTX 3060の9割弱、Radeon RX 6600 XTの8割前後の性能を実現していた。上位モデルとの差はそれなりに大きいものの、最高画質にこだわらなければバトルロイヤルゲームやFPSを高フレームレートで遊べる実力は備えている。
記事執筆時点では、Radeon RX 6600の販売価格についての情報がないのだが、379ドルで発売されたRadeon RX 6600 XTより安価なのは間違いない。依然としてビデオカードの価格は高止まりしており、5万円未満の価格帯にゲーマー向けの有力なGPUが存在しない中、もしRadeon RX 6600が4万円台で投入されれば、ゲーマーの注目を集めることは確実だ。
いずれにせよ、最新のゲームをプレイするのに十分な性能のGPUを必要としているユーザーにとって、Radeon RX 6600は検討するに値する実力を備えている。販売価格が予算の範囲内であったなら、買える機会を逃さないことを優先すべきだろう。
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