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Androidタブレットにモバイルディスプレイ機能を搭載!13型で大画面の「Yoga Tab 13」を試す
2021年8月10日 06:55
レノボ・ジャパンが8月6日に発売した「Yoga Tab 13」は、13型液晶ディスプレイを搭載する大型のAndroid搭載タブレットだ。最新の高性能SoCを搭載して応答性やアプリの使い勝手を高めているほか、HDMIの映像入力端子を搭載しており、モバイル液晶ディスプレイとしても活用できる。今回はこの多機能なタブレットの機能性や、モバイルディスプレイとしての使い勝手を中心に検証していこう。
大型パネルを搭載するので表示領域や情報量が多い
Yoga Tab 13では、タブレットとしてはかなり大型の13型液晶パネルを搭載する。また背面にはキックスタンドを搭載しているため、タブレット単体で自立できる。この状態だと、同サイズの液晶ディスプレイを搭載するモバイルノートの、液晶部分だけを切り出したような印象を受ける。
【表1】Yoga Tab 13のスペック | |
---|---|
OS | Android 11 |
SoC | Snapdragon 870(最大3.2GHz) |
メモリ | 8GB(LPDDR5) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 13型ワイド(2,160×1,350ドット) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
主なインターフェイス | USB 3.1 Type-C(OTG機能、オーディオ出力、DisplayPort1.4出力対応) |
カメラ | 800万画素 |
バッテリ駆動時間 | 約12時間 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 293.4×204×6.2~24.9mm |
重量 | 830g |
店頭価格 | 8万8,000円前後 |
キックスタンドの角度は無段階で調整でき、利用したいコンテンツや使う場所、ユーザーの位置に合わせて自由に調整できる。また壁掛けで使うためのフックとして利用することも可能だ。レノボのいくつかのタブレットではお馴染みの機能である。
裏面には大きくファブリック素材が貼られている。Yoga Tab 13はサイズが大きいため、手で抱えて持つ時には手の平に触れる面積も広い。金属製のシャーシだと冷たかったり熱かったりと熱が伝わりやすいので、そうした熱による不快な感触を防ぐためのギミックかもしれない。
10型のコンパクトなタブレットと比べれば、手持ちで使うにはやや難のあるサイズではある。しかし大型パネルならではの恩恵もある。例えばChromeでWebサイトを表示すれば、当然13型ノートPCにフルスクリーンでChromeを利用した時と同じ状況になる。表示できる情報量は多いし、文字も大きく表示される。
Android 11の画面分割機能を利用するときも、こうした大型パネルの恩恵は大きい。10型パネルのタブレットだと、左右に表示したアプリの文字や画像が小さく表示されてしまうため、あまり現実的な使い方ではない。しかし13型のYoga Tab 13なら、左右分割しても視認性はそれなりに高くなる。
ケーブルを挿せば画面を表示、解像度の高いサウンドも魅力
そしてこうした大きなサイズの液晶パネルを活かす機能が、冒頭でも紹介した映像入力機能だ。Yoga Tab 13では、キックスタンドで自立した状態で言うと左側面下部にMicro HDMIの映像入力端子を搭載する。PCやゲーム機が搭載するHDMIを接続することで、モバイルディスプレイとして利用できるのだ。
HDMIなので、様々な機器と自由に接続できる。また一般的なモバイルディスプレイと異なり、バッテリを内蔵するので電源ケーブルを接続する必要がない。PCやゲーム機とは付属のHDMIケーブル1本で接続すればOK、というシンプルなスタイルが魅力だ。
画面を表示する際には、特別なアプリを起動する必要はない。電源をオンにした状態で、Yoga Tab 13のMicro HDMIに有効な映像信号が入力されると、自動で外部入力の映像に切り替わる。ケーブルを抜くと、Androidの画面に自動で戻る。
13~14型のモバイルノートと接続すれば、同じサイズのデスクトップをもう1枚利用できる。複数のアプリを重ねることなく表示できるため、ExcelやPDFの資料を見ながらWordで報告書や企画書を作成するような作業も捗るだろう。ディスプレイの設定画面で解像度を確認すると、2,160×1,350ドットの液晶ディスプレイとして認識された。
Yoga Tab 13ではIPSパネルを採用しており、視野角は広い。前後左右斜めから見ても、ほとんど色の変化はない。解像度は先ほど述べた通り2,160×1,350ドットで、1,920×1,080ドットのフルHDよりやや高い。デジカメ画像や動画コンテンツを表示すると、精細感の高い映像が楽しめた。
またYoga Tab 13では「Dolby Atmos」に対応する4つのスピーカーを搭載しており、美しいサウンドを楽しめる。実際に音楽配信サービスで音楽を再生してみたところ、全域に渡って精細感の高いサウンドが楽しめた。特に高音域の解像度が高く、透明感のあるすっきりとした音作りは好印象だ。
入力端子がHDMIなので、モバイルディスプレイとして利用するときもこのサウンド機能が利用できる。ゲーム機と接続すれば、高品質なゲームサウンドを気軽に楽しめるし、最近増えてきたハンドヘルドタイプのPCゲーム用小型ノートPCと接続するのも楽しい。
ディスプレイの画質、サウンドともに品質は非常に高く、こうした高品質なディスプレイをモバイルディスプレイとしても活用できるのは便利だ。ノートPCや小型PCのディスプレイとして使うもよし、ゲーム機と組み合わせてみんなとわいわい楽しむのもいいだろう。
最新SoCを搭載することでタブレットとしては破格の性能を実現
SoCとして、クアルコムの上位モデル「Snapdragon 870」を搭載することにも注目したい。最近は各社ともスマートフォンに力を入れており、こうした高性能なSoCを搭載するタブレットは珍しい。またメモリはLPDDR5タイプを8GB、ストレージも128GBと、Android搭載タブレットとしてはトップクラスの基本性能を誇る。
実際利用していても、アプリの起動やデスクトップ画面の切り替え、Googleマップでの拡大縮小表示など操作に対する応答性は機敏で、遅延は全く感じさせない。3Dグラフィックスを利用する最新のゲームアプリを利用しても、動きがカクつくような場面は一切ない。
いくつかのベンチマークテストも実行してみた。比較対象は、同じくレノボのタブレットだが、2017年に購入した「Lenovo Tab4 8 Plus」。SoCには「Snapdragon 625」を搭載し、メインメモリはLPDDR3タイプで4GB、ストレージは64GBだ。バッテリがヘタリで買い換えを悩んでいるものの、筆者が現役で利用中のタブレットだ。
Snapdragon 625の性能は、現行のスマートフォンが搭載するSoCと比べるとローエンドもいいところだ。しかし2~3万円前後で購入できる現行の8~10型タブレットでは、このくらいの性能のSoCを搭載するモデルは決して珍しい存在ではない。Appleの「iPad」シリーズと比べると、Android搭載タブレット市場が停滞していることを感じさせる話ではある。
検証では、スマートフォンやタブレットの性能比較ではよく利用される「AnTuTu Benchmark 9.0.12-OB」、GooglePlayからインストールできる「PCMark」、そして「3DMark」の3つのベンチマークテストを実行してその数値を比較した。
【表2】ベンチマーク結果 | ||
---|---|---|
AnTuTu Benchmark 9.0.12-OB | ||
Yoga Tab 13 | Tab4 8 Plus | |
総合 | 681,965 | 129,452 |
CPU | 192,045 | 38,096 |
GPU | 237,337 | 15,362 |
メモリー | 117,489 | 24,411 |
UX | 135,094 | 51,583 |
PCMark | ||
Yoga Tab 13 | Tab4 8 Plus | |
Work 3.0 performance score | 10,659 | 5,171 |
Web Browsing 3.0 score | 7,211 | 4,810 |
Video Editing 3.0 score | 5,960 | 5,531 |
Writing 3.0 score | 13,681 | 4,490 |
Photo Editing 3.0 score | 26,705 | 8,224 |
Data Manipulation 3.0 score | 8,761 | 3,763 |
3DMark(Sling Shot) | ||
Yoga Tab 13 | Tab4 8 Plus | |
Overall score | 上限で計測不法 | 857 |
Graphics score | 上限で計測不能 | 742 |
Graphics test1(fps) | 59.4 | 5.4 |
Graphics test2(fps) | 46.1 | 2.3 |
Physics score | 上限で計測不能 | 1882 |
Physics test1(fps) | 59.6 | 36 |
Physics test2(fps) | 52.2 | 16.9 |
Physics test3(fps) | 28.4 | 10.3 |
ベンチマークテストの結果を見れば分かる通り、Yoga Tab 13が圧倒的な差を付けて勝利した。Snapdragon 870はミドルレンジの最新スマートフォンにも搭載されているSoCであり、同じクアルコム製とは言え数年前のSoCであるSnapdragon 625とは比較にならないスコアを叩きだした。
またやはりAndroidタブレットでは珍しいことに、無線LANがWi-Fi 6に対応している。インターネットやネットワークでの通信速度が速いため、Chromeや各種アプリを利用したコンテンツも素早く表示できる。
遊びと仕事を強力にサポートする
ここからは、いくつか気になった機能を紹介しよう。ホーム画面を右にスワイプすると、「Entertainment Space」という画面を表示する。これは動画配信サイトやゲーム、電子書籍などのエンタテイメントコンテンツを素早く呼び出すための専用ホーム画面のようなものだ。
コンテンツの種類ごとにタブで整理されており、例えば動画コンテンツの画面ではNetflixやYouTubeなど関係の強いアプリのアイコンが「最近使ったアプリ」に表示される。そのほか、「オススメのコンテンツ」に個別のコンテンツを表示するアイコンが表示される。
ただ、オススメのコンテンツに表示されるのはGooglePlayやYouTubeのコンテンツであり、さすがに複数の配信サイトから横串でコンテンツのキュレーションをしてくれるということではないようだ。主にGooglePlayを利用して各種エンタテイメントコンテンツを利用しているユーザーには便利な機能だろう。
ちなみにNetflixの設定画面からWidevineの著作権保護機能を確認してみると、設定はL1だった。現状では最も強固な著作権保護機能に対応しており、NetflixやAmazon Primeのコンテンツを高品質で表示できる。
画面サイズも大きいので、これをPCのように使いたいというニーズもあるだろう。今回はBluetooth接続のキーボードとマウスを接続してみたが、問題なく利用できた。MicrosoftはAndroid向けにもWordやExcel、PowerPointを提供している。ZoomやTeamsなどのWeb会議アプリも利用できるので、こうしたビジネス向けのアプリを活用すれば、自宅でのテレワークも可能だ。
大画面液晶ディスプレイを利用したエンタメコンテンツの視聴はもちろん、ビジネスでの利用も十分に可能なYoga Tab 13は、汎用性や使い勝手に優れたタブレットと言ってよいだろう。
なお、ここ数年は勢いのなかったAndroid搭載タブレットだが、Xiaomiからも高性能モデルが登場する予定だ。またHuaweiも独自OSながら高性能SoC搭載モデルを予定しており、市場の活性化の気配が見えてきた。個人的には7~8型サイズで高性能なタブレットが登場すると、今使っているTab4 8 Plusからすぐにでも乗り換えられるのだが……。