やじうまミニレビュー

4K対応の15.6型OLEDモバイルディスプレイ「PU15-PRE」を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
PU15-PRE

 innocnの「PU15-PRE」は、3,840×2,160ドット表示対応の15.6型モバイルディスプレイだ。Amazonでの価格は8万2,990円だが、現在ページ上にある5,000円オフクーポンと、レジで利用するクーポンコード「LCPREHR0805」(8月31日まで)で購入できる。

【10時44分訂正】記事初出時、クーポンコードが誤っておりました。お詫びして訂正します。

 近年はノートPC向け液晶ディスプレイのeDP(embedded DisplayPort)化による規格統一で、17.3型前後までのモバイルディスプレイの選択肢がかなり増えている。試しにAmazon.co.jpで「モバイル」、「モニター」などと検索すれば、1万円から2万円台の液晶がたくさん出てきて百花繚乱だ。

 その中でinnocnのPU15-PREは、8万円台とかなり高価で、明らかにこれらの製品とは一線を画す、プロ向け液晶やハイエンドなゲーミング液晶に匹敵する価格帯である。それもそのはず、本製品にはほかの製品にはない複数の特徴を備えているからだ。

  • パネルがOLEDでコントラスト比10万:1、応答速度1ms
  • 解像度が3,840×2,160ドット
  • 10点タッチ対応
  • Gセンサー搭載で画面が自動回転
  • 5,000mAhバッテリ内蔵
  • DCI-P3色域100%
  • 工場出荷時のキャリブレーションデータを添付

 まず、パネルが4K対応のOLEDという時点でほかに類を見ない。自発光であるOLEDの特徴を活かした10万:1のコントラスト比は、確かに謳い文句通りに美しく、このあたりは3万円台の4K液晶と比べてもすぐに分かる程度の差だ。特にOLEDは黒の場合一切発光しないので、引き締まったように見える。写真を表示させてみたり、ゲームをプレイしてみたりしたが、満足できる画質であった。

 本製品の色域はDCI-P3 100%とされており、パッケージには工場出荷時のキャリブレーションデータが添付されている。筆者が入手したサンプルのAdobe RGBモード時のパネル色差は最大ΔE=5となっていた。さすがにΔE=1や2程度を謳う高品位なクリエイター向けディスプレイには敵わないが、十分精度が高いと言えるだろう。

発色は鮮やかで黒が引き締まっており美しい
かなり角度をつけた状態でも視認性が確保されている

 5,000mAhのバッテリの内蔵も心強く、外出先ではノートPCや接続したスマートフォンのバッテリを消費させずに表示できる。特にスマートフォンの場合、USB Type-Cから出力できる電力の関係で輝度を上げられない場合が多いが、本製品は内蔵バッテリから電源供給するため最大輝度でも利用できる。

 それどころか、中央のUSB Type-Cポートは、OSDで設定すれば、ディスプレイ側からスマートフォンやノートPCへ給電が行なわれる仕組みとなっており、特にスマートフォンでの利用を考えているユーザーには頼もしいと言えるだろう。

 また、10点タッチに対応している点もいい。特にタッチに対応したノートPCや2in1、スマートフォンと組み合わせて使った際に、「どっちがタッチできるんだっけ?」と戸惑わなくて済む。ちなみにタッチの操作感は上々。OSDも電源ボタンの短押しで呼び出せるのだが、そのUIはタッチ操作なので直感的だ。

OSDはタッチで操作可能
色温度など細かく調節できる

 細かいところでは、内蔵Gセンサーによって画面が回転できるのもユニーク。特にスマートフォンの画面を写す場合、縦の画面を横に映すと左右に余白ができてしまうのだが、本機では縦にすれば縦画面をいっぱいにまで表示できる。

 ちなみにこの設定はOSDでオン/オフを切り替えられ、2種類のモードがあるのだが、スマートフォンではいずれに設定しても同じ挙動でうまく動作するものの、Windowsでは縦表示がうまく動作しなかった(Intel内蔵GPUのドライバのせいかもしれないが)。もっとも、付属のスタンドカバーは横置き専用なので、縦で使うのは稀だろう。

 なお、本機には65WのUSB Type-Cアダプタが付属するほか、USB Type-Cケーブルが2本(うち1本は給電専用)、Mini HDMI→HDMI変換ケーブル、スタンド兼カバー、クリーニングクロスなどが付属しており、ハイエンドにふさわしい内容。本体の質感も非常に高いと感じた。

製品パッケージ
65WのUSB PD対応ACアダプタまで付属

 このようにスペックや画質では文句なしなのだが、欠点がないわけではない。まず、使い勝手が普通のモバイルディスプレイとは異なる点には注意したい。本機はノートPCやスマートフォンに接続しても自動で電源がオンにならず、手動で電源ボタンを押す必要があるので、ひと手間増える。この辺りはバッテリを内蔵しているということも影響しているだろうが、バッテリ駆動でない場合は自動で電源がオンになる仕組みが欲しかった。

 もう1つは付属のカバー兼スタンドの使い方が分かりにくい点。カバーの先端をパタンと2つ折りにして立てるのだが、説明書には使い方が一切書かれていないので、この形で良いのかどうかちょっと微妙。さらに角度も固定であり、かなり立てた状態であるので、肝心なタッチ操作がしにくいのが玉に瑕だ。

インターフェイスやボタン類は右側面に集中(電源と電源LEDのみ上部)
左側面はスピーカーだけ
本体背面の質感は非常に高い。若干グリーンがかったシルバーだが、カバーを取り付けると何も見えなくなるのが残念
付属のスタンドは角度1種類のみ

 さらに、本体重量は実測960gで、ケース込みだと1,406gもある。つまり、ほぼモバイルノート1台分の重さということだ。とは言え、PU15-PREのユーザーはクリエイターやハイエンドユーザーであろうから、機材がポータブルになっただけでもトピックだと言えるかもしれない。

カバー付きだと1,406g
本体だけでも960g

 いずれにしてもやや値が張るディスプレイであることに変わりないが、既に高品質なディスプレイを備えたノートPCのサブディスプレイとして使ったりするのもいいし、高性能GPUと高リフレッシュレートのフルHD液晶のゲーマー向けノートを購入したが、そのパワーを写真編集や動画編集に活用したいと思った際に使うのもいいのではないだろうか。

GPD WIN 3のドックにあるHDMIで出力させたところ。この場合は当然タッチが効かない