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1kg切りのCore i7搭載クリエイター向けノートが15万円台。マウス「DAIV 4P」の実力どれほどか
2021年7月5日 06:55
マウスコンピューターの「DAIV 4P」は、14型ディスプレイを搭載した重さ約985gの軽量スリムノートPCだ。クリエイター向けの「DAIV」(ダイブ:Dynamic Approach Imagery of Visual)ブランドのノートPCということで、同社のほかのノートPCよりも搭載CPUや搭載メモリといった基本スペックが高めの製品である。画面解像度もフルHDよりも縦に長い1,920×1,200ドットを採用し、クリエイター向けモデルにふさわしい広い作業スペースを実現している。
14型軽量スリムノートでは抜群のコストパフォーマンス
DAIV 4Pは、CPUに4コア8スレッドで最高4.7GHz動作の第11世代 Core i7-1165G7を搭載し、メモリはDDR4-3200メモリを16GB、ストレージにはPCI Express 3.0 x4接続のNVMe SSDを512GB搭載している。14型のスリムノートPCということを考えると確かにハイスペックで、これなら画像制作や動画編集なども問題なくこなせそうだ。
なお、DAIV 4Pはクリエイター向けノートPCでありながら単体のGPUは搭載しておらず、CPUに内蔵するIris Xe Graphicsを使用している。これには疑問を持つ方もいると思うが、Iris Xe GraphicsでもGPUのハードウェアアクセラレーションは可能であるし、
しかも一昔前の内蔵GPUよりもかなり速いので、NVIDIA CUDA対応の処理をガンガン実行するといった場合以外で単体GPUがないことがデメリットになることはあまりない。もしそういった用途に使いたい場合には、単体GPUを搭載したもっと大き目のノートPCを検討しよう。
DAIV 4Pの価格は直販価格で15万3,780円なので、スペックの高さを考えても実のところ凄く値ごろ感があるというわけではない。だが、14型で1kgを切る軽さということを考えると、一転してかなり挑戦的な価格と言える。
実際、同価格帯にはDAIV 4Pのライバルになれる製品はほぼない。なので、DAIV 4Pを安いと感じるかどうかは、14型というサイズと軽さにどれほどの価値を感じるかで変わってくる。
ちなみに、価格をもっと安く抑えたい場合には、OSにWindows 10 Home(Sモード)を採用してストレージを256GBにした、下位モデルの「DAIV 4P-E」もあり、そちらなら14万2,780円で買える。
また、メモリを32GBにしてストレージを1TBにした上位モデルの「DAIV 4P-H」もある。そちらは17万5,780円だ。DAIV 4Pも含めて各モデルは、OSとメモリとストレージを購入時にカスタマイズすることが可能となっている。また、どのモデルもMicrosoft Officeの付属はないが、購入時に追加が可能だ。
【表1】DAIV 4Pのスペック | |
---|---|
CPU | Core i7-1165G7(4コア8スレッド、2.8GHz~4.7GHz) |
メモリ | DDR4-3200 16GB(デュアルチャンネル) |
ストレージ | NVMe SSD 512GB |
グラフィックス | Intel Iris Xe(CPU内蔵) |
ディスプレイ | 14型液晶(1,920×1,200ドット) |
主なインターフェース | Thunderbolt 4(DisplayPort、USB PD対応)、USB 3.1 Type-C(DisplayPort、USB PD対応)、USB 3.0×2、HDMI |
通信機能 | Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)、Bluetooth 5 |
バッテリ駆動時間 | 最長12時間 |
OS | Windows 10 Home |
本体サイズ | 308.8×213×16.4mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約985g |
直販価格 | 15万3,780円 |
クリエイター向けらしい質実剛健なデザイン
DAIV 4Pの見た目はクリエイター向けノートPCらしいとてもシンプルなもので、質実剛健という言葉がピタリと当てはまるデザインとなっている。また、ボディがマグネシウム合金製なので、金属のカタマリ感が凄い。天板は凹凸もカーブもなく、かなりシンプルだ。だが、それが良い。こういうノートPCが欲しいと思う人は結構多いのではないだろうか。なお、筆者はこういうのが大好きだ。
天板にはDAIVのロゴが入っているが、これがシンプルでまた良い。天板にロゴを入れるというのは各社が行なっており、そのロゴでどこのメーカーのPCなのかが一目で分かるようになっている。好みの違いはあると思うが、クリエイター向けノートPCとして、このさり気ないデザインはアリだろう。
約985gの軽さなのに凄まじい剛性の高さに驚き
本体は16.4mmとかなり薄いが、軽量かつ堅牢性が高いマグネシウム合金製ということでかなりしっかりしている。特にパームレスト部分とキーボード面の剛性は高く、パームレスト部分の端を片手で持って本体を持ち上げても一切不安を感じさせることがない。そのまま卓球のラケットとして使えそうなほどだ。
少し気になったのは、ディスプレイを開けやすくするために本体手前の真ん中にノッチが入っているのだが、指を引っかける部分にちょうどWebカメラがあるため、Webカメラのレンズ部分がすぐに指紋だらけになってしまう。まあ拭けばいいのだが、せっかくの開けやすくするための配慮が仇になってしまっていて、ちょっと惜しいと感じた。
本体の重さは1kgを切る約985gしかないのでさすがに軽い。片手でらくらく持てるし、バッグに入れれば軽々持ち歩ける。本体サイズは308.8×213mm(幅×奥行き)なので、ほぼA4コピー用紙サイズで14型としてはコンパクト。厚みも16.4mmとスリムなのでバッグの中で存在感を主張し過ぎるということもない。これだけのスペックのノートPCをこんなに気軽に持ち運べるのは素晴らしい。
標準的なキーボードながら抜群の剛性
キーボードは、14型のノートPCとしては一般的な、主要キー以外のキーが細長いタイプの日本語83キーのキーボードだ。公称値でキーピッチは約19mmでキーストロークは約1.2mmとなっている。
キーの形からキータッチに至るまで特に目立った特徴はなく、スリムタイプのノートPCでは定番と言っていいキーボードである。使い心地もズバリ見た目通りで、ノートPCのキーボードに慣れている人ならすんなりと使うことができるだろう。
ただ、そんな定番尽くしのキーボードでありながら1カ所だけ、カーソルキーだけは変則的なものになっているので注意が必要だ。このカーソルキー、上下のキーと左右のキーで奥行きだけでなく幅も違うのである。上下のキーは、ほかのキーを上下に2分割して横に約1.5倍長くした長細いキーになっていて、左右のキーはほかと同じ正方形のフルサイズとなっている。慣れれば気にならない部分だとは思うが、少し個性的なキー配置ではある。
全てのキーには定番のLEDバックライトも搭載していて、暗い場所でもキートップを確認することができる。明るさの調節は2段階で、オフにすることも可能だ。色は青白い色で、目にもやさしい。
ほかに、キーボードには1つ特筆すべきことがある。それは剛性の高さだ。DAIV 4Pは前述した通りボディの剛性が大変高く、キーボード面は特に凄い。キーボードの中央付近を強く押してもキーボードはほとんどたわまむことがない。
キーボード面が板バネのようにビヨンビヨンしてしまうノートPCもあるが、それとは真逆のカッチリとした感触である。これは実に素晴らしい。気持ち良くタイピングを行なえる。入力の最後にEnterキーを力いっぱい叩くような人でもこれなら安心である。もちろん、それ以外の人にも打ちやすいことは間違いない。
大きくてタッチ操作がしやすいタッチパッド
タッチパッドは、実測で約132×82mm(幅×奥行き)のかなり大きなものを搭載している。ホームポジションから人差し指や親指が届く範囲はほぼタッチパッドになっているので、ブラインドタッチ中にタッチパッドを使っても、指がタッチ面から外れてしまうことはまずない。
左右のボタンはタッチパッドと一体になっているタイプだ。このタイプのタッチパッドが主流となっている現状を見るに、もしかして一体型を使いにくいと感じる筆者は少数派なのかもしれない。だとすると、多くの人にとってはDAIV 4Pのタッチパッドボタンは使いやすいと思われるので安心してほしい。
さて、このタッチパッドだが、指以外には反応しない素敵な機能を搭載している。例えばキー入力時に手の平がタッチパッドの上に乗っても誤入力は起こらない。実に快適だ。しかも、タッチパッドの左上部分をダブルタップするとタッチパッド自体の動作をオフにでき、状況に応じて即座にオン/オフを切り替えることができる。マウスを接続して使う人にとってはかなり便利な機能だろう。
ほかにはこれも定番の機能ではあるが、マルチタッチに対応しているのでWindowsのジェスチャー機能を使用できる。
2本の指をタッチパッドの上に置いて動かせば画面を上下左右にスクロールでき、2本指で左右にフリック操作を行なえばWebブラウザの進むと戻るの操作を行なえる。3本指で触れて下に動かせば全ウィンドウの最小化を行なえ、上に動かせば開いているウィンドウの一覧表示が可能だ。タッチパッドのサイズが大きいのでジェスチャー操作もかなり快適に行なえる。
クリエイター向けにふさわしい1,920×1,200ドットの解像度
ディスプレイには、1,920×1,080ドットの定番のフルHD解像度よりも縦に120ドットだけ長い1,920×1,200ドットの液晶を搭載している。たった120ドットだが、されど120ドットである。
この120ドットが実現する快適さは凄く大きい。画像制作に動画編集、はたまたプレゼン資料の作成からWebブラウザでの情報表示まで、フルHDには2度と戻りたくないほどの快適さが1,920×1,200ドットにはあるのだ。とにかく縦に広くて使いやすい。作業効率アップアップである。
液晶ディスプレイの詳細な仕様については公開されていないが、視野角の広さと発色の良さから恐らくIPSパネルだと思われる。表面は非光沢なので映り込みもあまり気にならず、画面に集中できる。sRGB比100%に対応しているというのも魅力だ。明るさも、最も明るい設定にすれば太陽光下でも問題なく視認できるほど明るい。
使い勝手の良いインターフェイス周り
インターフェイスは、Thunderbolt 4を1ポートに、USB 3.1 Type-Cを1ポート、USB 3.0 Type-Aを2ポート備えている。
Thunderbolt 4とUSB 3.1 Type-CはUSB Power Deliveryに対応しており、65W(20V/3.25A)以上の出力を行なえるUSB ACアダプタやモバイルバッテリなどから本体を充電することが可能だ。コンセントがない場所でも充電を行なえるので、これは心強い。
また、スリムタイプのノートPCの場合、最近はUSB Type-CポートにACアダプタを接続する製品が増えている。そんな中、このDAIV 4Pでは専用の電源端子を用意しており、ACアダプタ使用時に貴重な拡張ポートを1つ塞がなくて済むところが良い。
画面出力端子は、3,840×2,160ドット(60Hz)までの解像度に対応したHDMIに加えて、前述のThunderbolt 4(USB Type-C)が3,840×2,160ドット(60Hz)まで、USB 3.1 Type-Cが3,840×2,160ドット(120Hz)までの解像度で画面出力を行なえる。つまり、本体のディスプレイを含めて4画面のマルチディスプレイ環境を実現可能だ。
ほかにはヘッドフォンとマイク兼用の3.5mmステレオミニジャックを1つと、最近では珍しいフルサイズのSDメモリーカードに対応したカードスロットを搭載している。別途カードリーダなどを介さずにデジタル一眼カメラなどからデータを移すことができるので便利だ。
そのほかの様々な部分の使い勝手など
DAIV 4Pに付いている100万画素のWebカメラはWindows Helloに対応しており、顔認証でWindowsにログインすることができる。PCの起動後に顔パスでログインを行なえるのでパスワードを入れる手間がなくて便利だ。
サウンドはスリムノートとしてはなかなか聞きやすい音になっている。スピーカーは底面の左右に内蔵しており、ちゃんとステレオサウンドとして聞こえる。低音はかなり弱いが、音楽にしても映画にしても話し声にしてもちゃんと気持ち良く聞ける音を鳴らしてくれる。
THXTHX Spatial Audio For PCsというヴァーチャルサラウンドソフトがインストールされており、このソフトの設定でTHX立体音響をオフにすると途端に音がこもった感じになるので、このソフトが良い感じに音質改善を行なっているようだ。
音量も十分で、10人が入れるくらいの会議室なら隅から隅まで余裕でカバーできる。また、音量を最大にしても音割れなどは発生しない。
バッテリ駆動時間は、公証値で約12時間とされている。気になるのは実際の駆動時間だが、この記事を書いたり、GIMPで画像の加工編集を行なったり、発熱を見るためにベンチマークソフトを走らせたり、YouTube動画を流しながら各種作業を行なったりといった使い方で約5時間50分使用できた。
公証値の半分くらいの駆動時間であり、これで画像制作や動画編集などをした場合はもっと短くなるはずだが、まあDAIV 4Pの高めのスペックで公証値が約12時間ならこんなものだろう。
ちなみに充電時間は、バッテリ残量が5%の状態から電源を入れた状態で充電を行なって、90%まで約1時間25分、100%までは約1時間55分だった。
動作音はあまり重い処理をさせなければ無音と言っていいが、少しでもCPUに負荷がかかるとCore i7搭載モデルらしいそれなりの音がする。CPU温度を表示させて試してみたところ、大体50℃でシューという音が鳴り始め、60℃を超えた辺りで隣の人が気付くくらいの音量でシュオォォーという音が鳴る。
また、Windowsのバックグラウンド処理のためか、何も作業をしていないのに突然シュオォォーという音が鳴ることがときどきあった。まあ音が鳴るとは言っても文書作成や動画の再生程度ではほぼ無音なのでそれ程心配することはない。ただ、静かな場所で重い処理をさせる場合には注意が必要だろう。
Fnキー+F5キーで、冷却機能の設定を初期設定の「バランス」から「静音モード」に切り換えることができるので、ファンの音が気になる場合は静音モードにすると少し軽減される。
動作音とともに気になる本体の熱については、ボディのマグネシウム合金がうまく放熱してくれているのか、キーボードの右上付近が37℃くらいまで上がることはあったが、手が触れるパームレストの周辺は最大で28℃くらいまでしか上がらず、気になるほど熱くなることはなかった。計測時の室温は25℃である。本体の底面も後方寄りが35℃くらいまで上がる程度だった。
クリエイター向けらしい高い性能を発揮
最後に、DAIV 4Pの性能を見るためにベンチマークテストを行なった。使用したベンチマークソフトは、UL Benchmarkの「PCMark 10 v2.1.2508」と「3DMark Professional Edition v2.17.7137」に、Maxonの「Cinebench R23.200」と「Cinebench R20.060」、SSDのテストとして「CrystalDiskMark 8.0.2」を使用した。全てのテストはACアダプタに接続した状態で電源設定などは初期設定のまま行なっている。
【表2】ベンチマークテスト結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2508 | |
PCMark 10 Score | 4,527 |
Essentials | 9,984 |
App Start-up Score | 13,436 |
Video Conferencing Score | 7,949 |
Web Browsing Score | 9,320 |
Productivity | 7,028 |
Spreadsheets Score | 6,216 |
Writing Score | 7,948 |
Digital Content Creation | 5,110 |
Photo Editing Score | 7,934 |
Rendering and Visualization Score | 3,407 |
Video Editting Score | 4,937 |
Gaming | 3,166 |
Graphics score | 4,184 |
Physics score | 13,716 |
Combined score | 1,367 |
3DMark Professional Edition v2.17.7137 | |
Night Raid Score | 14,605 |
Night Raid Graphics Score | 16,269 |
Night Raid CPU Score | 9,247 |
Wild Life Score | 9,397 |
Time Spy Score | 1,465 |
Time Spy Graphics Score | 1,308 |
Time Spy CPU Score | 4,634 |
CINEBENCH R23.200 | |
CPU (Multi Core) | 5,818 |
CPU (Single Core) | 1,520 |
CINEBENCH R20.060 | |
CPU | 2,311 |
CPU (Single Core) | 582 |
CrystalDiskMark 8.0.2 | |
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 1,572.99MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 1,117.18MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 1,296.57MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 988.89MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 482.01MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 480.85MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 69.68MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 166.96MB/s |
ベンチマークテストの結果は、Core i7-1165G7を搭載するノートPCとして順当な結果となっている。コア数とスレッド数が同じCore i5-1135G7辺りと比べて、PCMark 10のPhoto Editing ScoreとRendering and Visualization Scoreが特に高いスコアとなっており、画像編集処理と3Dレンダリング処理においてCore i7の恩恵を大きく受けられていることが分かる。
また、3DMarkのNight Raid CPU ScoreとTime Spy CPU Scoreも高く、物理演算についてもCore i7ならではの処理性能を発揮している。Cinebenchの結果も、特にMulti Coreのスコアが高い。
一方、CrystalDiskMarkの結果はもう少し頑張ってほしいところだ。画像を扱う処理でも動画を扱う処理でもストレージの速さは結構重要である。DAIV 4PはSSDとの接続がPCI Express 3.0 x4なので、帯域としては4GB/sで十分速い。なので、SSDそのものの性能が結果に出ているということになる。
全体的にはスペック通りの結果が出ていて、14型で1kgを切るスリムなノートPCとしては十分に高性能だ。冷却性能も冷やすという点については大変優秀で、ベンチマークテスト中にも目立って高温になるということは一切なかった。総合的な性能は大変高いと言える。
Core i7ベースの薄くて軽いノートPCが欲しい人におすすめ
DAIV 4Pの最大の特徴は、Core i7-1165G7+16GBメモリ+512GB SSD+1,920×1,200ドットの14型液晶を搭載するハイスペック仕様でありながら、1kgを切る約985gの軽量化を実現し、しかもそれを15万3,780円の価格に抑えたコストパフォーマンスの高さにある。スペックだけなら似たようなノートPCは数多くあるが、この軽さでこの価格はなかなかない。
つまり、軽さと安さを両立したいのならこの製品は同種のノートPCの中では最有力候補となる。ハイスペックなクリエイター向けノートPCを持ち歩きたい、または頻繁に持ち歩かないとしてもスリムさや軽さに妥協したくない。だけどスリムで軽いノートPCは価格面で躊躇してしまう。このDAIV 4Pはそんな人に最適なノートPCだ。