Hothotレビュー

縦/横約12cmの小型ボディにCore i5を搭載。仕事も遊びもイケる「GMK NucBox2」

GMK NucBox2。実売価格は4万5,000円前後

 IntelのNUCシリーズに代表される、手の平サイズの“ミニPC”は1つのジャンルとして定着しているが、中国のGMKはそのミニPCを積極的に開発しているPCメーカーだ。今回は124×111×50mm(幅×奥行き×高さ)のサイズにCoffee LakeのCore i5-8279Uを搭載、拡張性も確保と実用性の高い「NucBox2」を試用する機会を得たので、早速レビューをお届けする。

小さなボディに実用的なスペックを凝縮

 中国GMK Technologyは、ミニPCのほかモバイルディスプレイも手がけており、小型デバイスの開発に力を入れているメーカーだ。PC Watchでは過去に「NucBox」をレビューしている。

 早速本体をチェックしていこう。サイズは前述の通り、124×111×50mm(同)とコンパクトで公称の重量は426gで筆者の実測では438gだった。注目は、この小さなボディに実用的なスペックを凝縮していることだろう。

手の平サイズのNucBox2
重量は実測で438g

 CPUはCoffee Lake世代のCore i5-8279Uを搭載。モバイル向けのCPUでTDP 28Wと省電力ながら、4コア8スレッド仕様でTurbo Boost時は最大4.1GHzまで動作クロックが上昇する。メモリはDDR4-2666が8GB、ストレージは高速なNVMe SSDが256GBと一般的な用途であれば、まず不満を感じることはないスペックを備えている。

 また、Core i5-8279UはIntelの内蔵GPUとしては高性能な部類に入るIris Plus Graphics 655を採用しており、ちょっとはゲームも遊べるのではと期待したいところ。実際のゲーム性能は後半のベンチマークで試してみたい。

CPUは4コア8スレッドのCore i5-8279U。最大4.1GHz動作
内蔵GPUはIris Plus Graphics 655。演算ユニットは384基、動作クロックは最大1.05GHz
【表1】NucBox2の仕様
CPUCore i5-8279U(2.4GHz~4.1GHz)
メモリDDR4-2666 8GB
ストレージ256GB SSD
OSWindows 10 Home
インターフェイスUSB 3.0 Type-C、USB 3.0×4、HDMI×2、microSDカードリーダ、Gigabit Etherent、3.5mmミニジャック
無線Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2
本体サイズ124×111×50mm(幅×奥行き×高さ)
重量426g

 インターフェイスは前面にUSB 3.0×2、USB 3.0 Type-Cとヘッドセット端子、背面にHDMI出力×2とUSB 3.0×2、Gigabit Ethernet、右側面のmicroSDカードスロットが備わっている。Type-Cはデータ転送専用で、DisplayPort出力やUSB PDには対応していない。

前面にUSB 3.0×2、USB 3.0 Type-C、ヘッドセット端子
背面に電源端子、HDMI出力×2とUSB 3.0×2、Gigabit Ethernet
右側面にmicroSDカードスロット
microSDカードスロットの速度を試すべく、読み込み170MB/s、書き込み90MB/sの高速microSDカードでCrystalDiskMarkを実行したが、読み込み31MBs/、書き込み20MB/s程度しか出なかった

 また、無線LANはWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)をサポート。付属のACアダプタは65W出力でコンパクトだが、3ピン形状なので、対応する電源タップなどを持っていない場合は別途2ピンへの変換を用意したほうがよいだろう。

ACアダプタはケーブル込みで324g
接続部分が3ピン形状なので対応する電源タップか変換アダプタを用意したい

2.5インチSSDの増設が可能

 コンパクトなボディながら、SATA接続の2.5インチSSDの増設が可能だ。底面にある4つのゴム足を取り、ネジを外すことで内部にアクセスできる。天面の裏側には2.5インチベイがあり、そこには本体のSSDと本体の基板上にあるコネクタに接続するため専用ケーブルが貼り付けられている。

底面のゴム足を取り、ネジを外せば内部にアクセスできる
内部の基板。NVMe SSDやメモリには放熱シートが貼られており、冷却には気を配っている

 SSDにケーブルを装着して2.5インチベイに固定、ケーブルを基板上の専用コネクタに取り付ければ増設は完了だ。ちなみに、SO-DIMMスロットにも空きが1基あるので、メモリの増設も簡単に行なえる。

天面の裏に2.5インチベイがある。本体の基板とは専用ケーブルで接続

十分な実用スペック。ゲーム性能の期待しすぎは禁物

 次にベンチマークで性能をチェックしてみよう。ベンチマークは「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23.200」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」、「CrystalDiskMark v8.0.2」を用意した。

【表2】NucBox2のベンチマーク結果
PCMark 10
PCMark 10 Score4,276
Essentials8,449
App Start-up Score11,454
Video Conferencing Score6,666
Web Browsing Score7,901
Productivity6,534
Spreadsheets Score7,557
Writing Score5,650
Digital Content Creation3,845
Photo Editing Score5,168
Rendering and Visualization Score2,443
Video Editting Score4,504
3DMark
Fire Strike1913
Wild Life5,016
Night Raid8,244
Cinebench R23.200
CPU(Multi Core)3,966
CPU(Single Core)1,096
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC)5,994
ドラゴンクエストX ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質12,881
1,280×720ドット 最高品質12,312
SSDをCrystalDiskMark 8.0.2で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード2534.05
1M Q8T1 シーケンシャルライト1193.33
1M Q1T1 シーケンシャルリード831.02
1M Q1T1 シーケンシャルライト699.82
4K Q32T16 ランダムリ-ド422.61
4K Q32T16 ランダムライト371.63
4K Q1T1 ランダムリ-ド61.18
4K Q1T1 ランダムライト196.35

 PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、NucBox2は全てクリア。Digital Content Creationはギリギリ上回る程度なので、クリエイティブ用途での利用に期待し過ぎは禁物だが、一般的な用途であれば不満のないスペックを持っていると言える。

 ゲームに関しても、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」は「とても快適」評価となるスコア5,000を上回る。「ドラゴンクエストX ベンチマーク」も「すごく快適」評価のスコア10,000を超えており、軽めのオンラインゲームかつ1,280×720ドットの解像度なら遊べるだけの性能があると言える。

 ストレージは、シーケンシャルリードが2534.05MB/s、シーケンシャルライトが1193.33とNVMe SSDとしてはそれほど高速ではないが、それでも550MB/s前後が限界のSATA接続のSSDと比べるとはるかに高速だ。

 軽めのオンラインゲームが楽しめるのは分かったところで、人気のFPSがプレイできるのかも試してみたい。ここでは動作が軽めの「レインボーシックス シージ」と「VALORANT」を用意した。レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能で測定。VALORANTは射撃場の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測している。

 レインボーシックス シージは1,280×720ドットなら平均60fpsオーバーとなんとか快適に遊べるフレームレートを出した。フルHDで快適にプレイするのは難しいのは残念なところ。逆にVALORANTはフルHDでも平均60fpsを超えているのがうれしいところ。ちょっと息抜きにFPSを楽しむぐらいはできると言える。

 小型でこれだけのスペックがあると熱の処理も気になるところ。動作負荷に合わせてファンが回転するので大きな心配はいらないが、ファンが底面にあるため横置きだとやや吸気不足になる。しっかり冷却するなら縦置きにして吸気しやすくするか、横置きなら何か下駄を履かせるなり、もう少し高さを上げたほうがよいだろう。

ファンの吸気口は底面にある
横置きだとファンが底面になるので吸気しにくくなる
冷却力を重視するなら縦置きがおすすめだ

 実際に横置きと縦置きでどれほどCPU温度に違い出るのか試してみた。「OCCT 8.2.1」の「CPU」を10分間実行した時のCPU温度を「HWiNFO 7.04」で追ってみたが、横置きだと最大77℃、平均71℃、縦置きだと最大74℃、平均67℃とそれなりの差が出た。動画のエンコードなどCPUに長時間負荷がかかる作業をする場合は、横置きをおすすめする。

 また、消費電力をラトックシステムの電力計「REX-BTWATTCH1」でチェックした。アイドル時は6.31Wと非常に低く、負荷の大きい3DMarkのFire Strike実行時では61.4Wまで上昇。それでもデスクトップPCと考えた場合、十分省電力だ。

仕事用のPCとしても十分。TVの横に置くのもアリ

 一般的な用途なら十分快適なスペックを持っているだけに、場所を取らない在宅勤務(テレワーク)用のデスクトップPCとして活用するのもよいし、大画面TVの横に置いて軽めのゲームや動画配信サービスを楽しむためのPCとして使うのもよいだろう。インターフェイス類も必要十分、ストレージの追加も可能と非常に実用性が高いミニPCだ。