Hothotレビュー
6万円台でもメモリ8GB&SSD搭載。激戦区の低価格帯に投入された14型ノート「mouse C4」は実用性十分
2021年6月18日 06:55
24時間×365日電話サポートの安心感
マウスコンピューターの「mouse C4」シリーズは、Celeronを採用する同社の低価格ノートPCの最新モデル。14型フルHD液晶を備え、スペック別に4万円台から複数のラインナップを用意しているが、今回はメモリ8GB、ストレージにSATA M.2 SSDを採用し、約6万5,780円の最上位モデルを試用する機会を得たので、早速レビューをお届けする。
24時間×365日電話サポートの安心感
在宅勤務やオンライン授業が増えた影響もあり、6万円台までの低価格ノートPCが人気だ。PCメーカー以外も参入するなど、その競争は激しさを増している。低価格なのでCPUパワーがあまりないのは仕方がないにしても、メモリが4GBしかなかったり、ストレージが容量も速度も微妙な64GBのeMMCだったりと、使用感やレスポンスに直結する部分のスペックが低いと購買意欲が削がれてしまう人もいるだろう。
その点、「mouse C4」の最上位モデルはメモリは8GB、ストレージは256GBのM.2 SSD(SATA接続)とツボを押さえたパーツを採用。ディスプレイも14型のフルHD解像度と実用的だ。CPUは組み込み向けのAtomベースとなるGemini LakeかつTDP 6Wと低消費電力のCeleron N4100(4コア4スレッド)を搭載している。
このスペックで6万円台は飛び抜けて安いわけではないが、マウスコンピューターは24時間365日の電話サポートがあり、故障時には72時間以内の修理完了を目指すという強力なサポート体制を整えている。これは、大手のPCメーカーでもなかなかできないこと。自分で使うだけではなく、家族や両親へのプレゼントとしてノートPCの購入を考えている人にとっても心強いポイントだろう。
【表1】mouse C4の仕様 | |
---|---|
CPU | Celeron N4100(4コア4スレッド、1.1GHz~2.4GHz) |
メモリ | DDR4-2400 8GB |
ストレージ | SATA M.2 SSD 256GB |
液晶 | 14型フルHD(1,920×1,080ドット) |
OS | Windows 10 Home |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0、HDMI、Wi-Fi 6、Bluetooth、microSDカードリーダ、100万画素Webカメラ、音声入出力端子など |
本体サイズ | 325×219.3×19mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 1.3kg |
直販価格 | 6万5,780円 |
用途を選ばないシンプルなデザイン
さっそく、本体をチェックしていこう。デザインはグレー基調の非常にシンプルなもの。ボディは樹脂製と見られるが、金属的な仕上がりとなっており、安っぽさを感じさせない。個性はないが、逆にそれが、仕事/学業/プライベート/外出先など、場所や状況に関係なく使いやすさを生んでいる。
剛性はしっかり確保されており、手に持ってたり、キーボードを強めに打鍵してもたわみはほとんど起きない。これなら持ち運びの心配はなく、タイピングが強めの人でも安心して長く使えるだろう。
Celeron N4100のCPU性能は高くないが、低消費電力であるため、本機ではファンレス駆動を実現しているという魅力がある。カフェや図書館など静かな場所でも使いやすく、深夜にファンの音で家族に迷惑をかける心配もない。一般的な負荷ならば、キーボードの上部がほんのり暖かくなる程度で、熱が気になることはなかった。
本体の重量は公称で1.3kg、筆者の実測で1,301gとほぼ公称通りだった。1kgを切るノートPCが珍しくなくなった昨今ではあるが、それでも14型のノートPCとしては軽い部類と言える。底面には4つのゴム足が備わっているが、それほど高さはないので、カバンにもすんなりと収められる。モバイル用途にも十分対応が可能だ。
キーボードやタッチパッドの使用感は良好
キーボードは、ほぼオーソドックスな日本語配列で、キーピッチは実測で約19mmと一般的だ。ほとんどのキーが正方形と、キー入力に慣れている人ならば、すんなりと使えるはずだ。キーストロークも浅くはなく、クリック感もしっかりとある。
唯一気になるのは矢印キーの小ささだ。ほかのキーを半分にしたようなサイズで、左右の矢印キーのすぐ上には「PgUp」と「PgDn」キーがあり、誤って押しやすい。文字の誤入力になるキーではないので、大きな問題にはなりにくいが、ここだけは残念だ。
また、左下の「Fn」キーとファンクションキーを組み合わせることで、タッチパッドの有効/無効、ミュート、音量調整、輝度調整、機内モードへの切り替え、外部出力への切り替えなどが行なえる。
タッチパッドは120×73mm(幅×奥行き)と大型だ。クリックボタンが一体化しているタイプで、全体が左クリック、右下だけが右クリックとなる。ジェスチャー操作にも対応し、2本指でスクロール、3本指でタスク切り替え/全ウィンドウ最小化などが可能だ。
液晶は広視野角、インターフェイスは必要十分
液晶は詳しいスペックは公表されていないが、IPSタイプを採用しているようで発色は良好、視野角も広い。低価格ノートPCでは、視野角の狭いTNタイプが多いだけに、これはうれしいポイントだ。
ディスプレイ上部にはWebカメラとデュアルアレイマイクを搭載。Web会議ならば十分な画質と音質を持っている。底面にはステレオスピーカーも備わっており、高音質ではないが、ちょっと動画を見たり、Web会議といった用途であれば問題のないレベルだ。
インターフェイスは左側面にUSB 2.0、microSDスロット、電源ボタン、ヘッドセット端子を用意。右側面には電源端子、HDMI出力、USB 3.0(Type-A)、USB 3.0(Type-C)が搭載されている。なお、Type-Cはデータ転送専用で、DisplayPort出力やUSB PDには対応していない。USB PDに対応していれば、充電しやすくなるだけに、そこはちょっと残念だ。
また、無線LANは最大2.4Gbpsでの通信が可能なIntel AX200によるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)をサポート。Bluetooth 5にも対応する。なお、有線LANは備わっていない。
付属のACアダプタは45W出力で比較的コンパクト。筆者の実測で200g(ケーブル込み)と持ち運びも苦にならない。
CPUパワーは高くないが実用的なスペック
次にベンチマークで性能をチェックしてみよう。ベンチマークは「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23.200」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」、「CrystalDiskMark v8.0.1」を用意した。
【表2】mouse C4のベンチマーク結果 | |
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PCMark 10 | |
PCMark 10 Score | 1,431 |
Essentials | 4,211 |
App Start-up Score | 4,194 |
Video Conferencing Score | 4,138 |
Web Browsing Score | 1,305 |
Productivity | 2,165 |
Spreadsheets Score | 2,584 |
Writing Score | 1,815 |
Digital Content Creation | 874 |
Photo Editing Score | 1,020 |
Rendering and Visualization Score | 551 |
Video Editting Score | 1,190 |
3DMark | |
Fire Strike | 347 |
Wild Life | 1,087 |
Night Raid | 1,572 |
Cinebench R23.200 | |
CPU(Multi Core) | 1,025 |
CPU(Single Core) | 373 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク | |
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC) | 788 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク | |
1,280×720ドット 標準品質 | 2,623 |
1,280×720ドット 最高品質 | 1,642 |
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測 | |
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 509.02 |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 442.71 |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 400.53 |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 428.62 |
4K Q32T16 ランダムリ-ド | 72.11 |
4K Q32T16 ランダムライト | 114.16 |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 28.93 |
4K Q1T1 ランダムライト | 63.13 |
PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、mouse C4はEssentialsが4,211とそのスコアをクリア。一般的な用途であれば、快適なのが分かる。
その一方でDigital Content Creationのスコアは874と目安の4分の1程度。CPUパワーが低いこともあり、クリエイティブ目的の利用は少々厳しい。
ゲームに関しても、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」のスコアから、ブラウザゲームなら遊べると考えておいたほうがよいだろう。
ストレージは、シーケンシャルリードが509.02MB/s、シーケンシャルライトが442.71MB/sとSATA接続のM.2 SSDとして特別高速ではないが、遅くもないデータ転送速度。低価格ノートPCでの採用例が多いeMMCよりも高速であり、8GBのメモリと合わせて、レスポンス向上に一役買っている。
また、テレワークでの実用性を考えて、Zoomを利用し、3人でWeb会議を行なった時のCPU使用率をチェックしてみた。概ねCPU使用率は50~60%台で推移し、問題なく利用できた。画面共有機能を使用しても、70%前後だった。
ただし、Webブラウザなど別のアプリを同時に利用するとあっという間にCPU使用率は100%に到達して、動作が重くなることも。Web会議しながら、別の作業を並行して進めるのはちょっと厳しいと覚えておきたい。なお、Zoomのバーチャル背景やビデオフィルタはスペックが使用条件を満たしていないので利用できない。このあたりは低価格ノートPCゆえに仕方のないところか。
便利な点もある。底面にあるカバーを外すだけでM.2スロットにアクセスできる。パーツの交換は保証外だが、ユーザーの判断でより大容量のSSDに交換しやすいのはナイスな作り。もし、容量不足に陥った時に換装しやすいのは、ユーザーにとってありがたいはずだ。
オススメしやすいエントリーノートPC
mouse C4は、低価格ノートPCでカットされがちな、メモリ容量やストレージ性能がしっかり確保され、液晶パネルの質も高く、サポートも手厚いと幅広い層におすすめしやすいエントリーノートPCだ。安いだけではない、ツボを押さえた作りはさすが長年直販のPCを手がけてきたマウスコンピューターと言える。
CPUパワーが低めなのでクリエイティブ用途には向かず、Core i7&NVMe SSDの組み合わせのようなハイエンドノートPCほどのキビキビとした動作ではないものの、WebブラウザやOfficeアプリ中心の用途なら実用的な性能。シンプルなデザインでファンレス動作なので場所を問わず使いやすい、よくまとまった1台だ。