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5G対応の最強モバイルノート「レッツノートFV1」。初の3:2画面や大型ホイールパッドの使い心地を検証

パナソニック「カスタマイズレッツノートプレミアムエディション FV1シリーズ(CF-FV1STCQP)」

 パナソニックは、レッツノートシリーズ新モデルとなる「レッツノート FV1」シリーズを発表した。シリーズ初となるアスペクト比3:2の14型ディスプレイや、大型ホイールパッドの採用など、これまでにない特徴を備える点が大きな特徴となっている。今回FV1シリーズの直販モデルとなる「カスタマイズレッツノート プレミアムエディション FV1シリーズ」(型番:CF-FV1STCQP)を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。

 レッツノートFV1の直販価格は27万6,100円からで、今回レビューするCF-FV1STCQPは標準構成で39万8,200円となる。なお、ここで紹介するCF-FV1STCQPは試作機のため、製品版とは仕様が異なる可能性がある点はご了承願いたい。

縦長の14型ディスプレイ採用ながら、14型で最薄かつコンパクトで優れた堅牢性のボディ

 レッツノートシリーズと言えば、圧力や落下などに耐える優れた堅牢性、圧倒的な長時間駆動、申し分ない性能などの特徴を備えることで、国内のビジネスモバイルPC分野で圧倒的な支持を集めている。

 ただ、近年働き方の変化で自宅などでのリモートワークが増えてきており、ビジネスPCにはモバイル性能だけでなく快適な作業環境も求められるようになってきた。

 そこで新たに登場したレッツノート FV1シリーズは、そういった新しい働き方に対応し、モバイル性能を追求しつつ、据え置きノートPCとして利用する場合でも十分な快適性を実現するために、様々な新仕様が取り入れられている。

 その新仕様の中で最も大きな特徴となるのが、レッツノートシリーズとして初となるアスペクト比3:2の14型ディスプレイの採用だ。ディスプレイについては後ほど紹介するが、縦の解像度が増えたことにより一度に表示できる情報量が増え、作業の効率が大きく高められている。

ディスプレイを開いて正面から見た様子。シリーズ初のアスペクト比3:2の14型ディスプレイを採用するとともに、ディスプレイベゼルがかなり狭められている

 しかも、大型のディスプレイを採用しつつ、ボディはコンパクトにまとめられている。サイズは約308.6×235.3×18.2mm(幅×奥行き×高さ)。14型ディスプレイ搭載の既存モデルであるLV9と比べると、幅が24.4mm短く、高さが6.3mm薄くなっている。奥行きは10mm長くなっているが、これはディスプレイサイズは同じ14型でもFV1はアスペクト比3:2のディスプレイを採用しているため。幅だけ見れば、競合の他社製13.3型モバイルノートとほぼ同等で、十分コンパクトにまとめられている。

左右ベゼル幅は約5.3mmとシリーズ史上最も狭く、上下のベゼル幅も狭められている
底面。フットプリントは308.6×235.3mm(幅×奥行き)。縦長ディスプレイ採用で奥行きはやや長いが、それでも13型クラスとほぼ同等のコンパクトさとなっている

 このコンパクトボディを実現するため、FV1シリーズではディスプレイのベゼル幅が大幅に狭められている。特に左右ベゼル幅は約5.3mmと、シリーズ史上最も狭くなっている。左右に比べて上下のベゼル幅はまだ多少厚いようにも感じるが、そちらも狭められており、ディスプレイ面の画面占有率は既存モデルに比べてかなり高められている。

 さらに、ボディの薄さも極められており、高さが18.2mmと、20mmを切る薄さを実現している。これは14型のレッツノートシリーズとして史上最薄であり、ひと目見ただけでもかなり薄くなったという印象を強く受ける。

本体正面
左側面。高さは18.2mmと20mmを切る薄さで、14型ではシリーズ史上最薄となっている
背面
右側面

 これまでのレッツノートシリーズでは、ほとんどのモデルで高さが20mmを上回っており、モバイルノートとしてはやや厚いという印象を持つ人も少なくなかったと思う。それは、軽さと優れた堅牢性を両立するために、ボディはやや厚く、ディスプレイベゼルもやや広めに確保されるためだった。

 その影響もあり、これまではやや分厚く、ディスプレイサイズに対してフットプリントが大きいという点が、競合製品に対する弱点となっていたが、この点がFV1シリーズでは改善されている。

 もちろん、薄型ボディと最薄ベゼル幅を実現しながらも、76cmの高さからの落下試験や100kgf加圧振動試験を始め、様々な堅牢性試験をクリアするという、既存モデルと同等の優れた堅牢性を維持している。

このように、ボンネット構造の凹凸は1mmもない薄さだが、76cmの高さからの落下試験や100kgf加圧振動試験などの堅牢性試験をクリアする優れた堅牢性を維持している

 これまでパナソニックは、優れた堅牢性を確保するためにある程度本体の厚さやベゼル幅の広さが必要と説明してきたが、FV1でそこを打ち破った点は大いに評価できる。とは言え、それならほかのシリーズでもできるはずなので、今後はレッツノートの別シリーズでも薄型化や狭額ベゼル化を進めてもらいたいと思う。

 ボディの薄型化が実現されたとは言え、デザインコンセプトは従来から変わっていない。

 天板には、凹凸はかなり低くなってはいるものの、既存モデル同様のボンネット構造を採用するとともに、フラットかつ直線的なボディとシルバーのカラーからは、ひと目でレッツノートシリーズと分かる。なおカラーは標準のシルバーダイヤモンドとジェットブラックの2色を用意している。

天板部分。ボンネット構造の凹凸はかなり浅いが、デザインコンセプトはこれまでのレッツノートシリーズから大きく変わっていない

 重量は、公称では1,034~1,134g(バッテリーパック(S)搭載時)となる。FV1シリーズの市販モデルでは1kgを切る0.999kgからとなるが、直販モデルでは搭載機能が増えている関係でわずかに重くなっている。それでも14型モバイルノートとしては十分に軽く、優れた堅牢性や薄型ボディと合わせて、軽快に持ち歩けると言える。なお、試用機の実測の重量は1018.5gと、公称よりもわずかながら軽かった。

試用機の実測の重量は1,018.5gと、14型ディスプレイ搭載ながらなかなかの軽さだ

シリーズ初アスペクト比3:2のディスプレイを採用

 これまでレッツノートシリーズでは、主にアスペクト比16:10または16:9のディスプレイを採用していた。それに対しFV1シリーズでは、前述したように、レッツノートシリーズとして初となる、アスペクト比3:2の14型ディスプレイを採用している。

アスペクト比3:2、2,160×1,400ドット表示対応の14型液晶ディスプレイを採用。先に紹介しているようにベゼル幅も狭く、画面占有率はかなり高い

 近年、アスペクト比3:2のディスプレイを採用するノートPCが増えているが、FV1シリーズでもそれに合わせてきた形だ。なお、試用機ではタッチ非対応ディスプレイだったが、10点マルチタッチ対応ディスプレイを搭載するモデルも用意される。

 表示解像度は2,160×1,400ドット。縦/横ともにフルHDを上回っており、多くの情報を一度に表示可能となっている。これにより、Web閲覧はもちろんのこと、ExcelやWordなどを利用する場合でもより多くの領域を一度に表示できるようになり、作業効率が大きく高められることになる。

画面が縦長となったことで、ExcelやWord利用時などでも一度により多くの情報を表示でき、作業効率が向上
Web閲覧時も縦長ディスプレイが大いに役立つ

 従来同様、パネルの種類は非公開となっているが、視点を大きく移動させても明るさや色合いの変化はほとんど感じられず、視野角の広さは申し分ない。もちろん、ディスプレイ表面が非光沢処理となっているのも従来同様で、天井の照明など外光の映り込みもあまり感じられず、快適な視認性を常に確保できる。

 発色の鮮やかさは、レッツノートシリーズとして標準的といった印象。広色域液晶に比べると鮮やかさはやや劣るかもしれないが、レッツノートシリーズがターゲットしているビジネスモバイル用途では全く不満を感じることはなく、写真のレタッチや動画編集などでもしっかり色を確認しながら作業が可能だろう。

表面は非光沢処理で外光の映り込みはほぼ気にならない。発色性能はシリーズ同等で、特別鮮やかというわけではないが不満のないレベルだ
ディスプレイ部は175度ほどまで開く。180度開くわけではないが、対面でのプレゼンにも十分対応できる

縦横ともフルピッチのキーボードを搭載しホイールパッドも大型化

 キーボードは、レッツノートシリーズでお馴染みの、キートップが木の葉状となるリーフ型キーを採用している。それも、縦横とも約19mmフルピッチのキーボードとなっている。これは、レッツノート LV9シリーズに搭載されているキーボードと同等のものだ。

シリーズお馴染みのリーフ型キー採用のキーボードを搭載。14型モデルのレッツノート LV9に搭載されているキーボードとほぼ同じものだ

 レッツノートシリーズのキーボードは、12.1型ディスプレイ搭載モデルなどでは縦のピッチが狭くなっており、その点がやや扱いづらいと感じる場合がある。

 しかしFV1シリーズでは縦横ともにフルピッチを確保することで、デスクトップ用キーボード同等の扱いやすさとなっている。加えて、ストロークは約2mmと、薄型モバイルノートとしてトップクラスの深さがある。固さはどちらかというとやや柔らかめだが、クリック感はしっかりしているので、打鍵感も申し分ない。

主要キーのキーピッチは、縦横とも約19mmフルピッチを確保。Enter付近までほぼ均一のキーピッチとなっている点も嬉しい
ストロークは約2mmと深く、打鍵感も良好。打鍵音も従来よりやや静かになっている

 合わせて、従来までやや大きいと感じていた打鍵音も、静かになっているような印象を受けた。近年のモバイルノートで搭載例が増えている打鍵音の静かなキーボードと比べると、もう少しという気もするが、この程度なら大きな不満はない。

 さらに、レッツノートシリーズとして初となる、キーボードバックライトを内蔵する点も特徴の1つ。これまで、レッツノートシリーズのキーボードの欠点がキーボードバックライトを搭載しない点だったが、こちらもついに解消された。キーボードバックライトの輝度は4段階に調節可能で、暗い場所でのタイピングもこれまで以上に快適に行なえるだろう。

シリーズ初のキーボードバックライトも搭載。これにより暗い場所でのタイピングも快適だ

 ポインティングデバイスは、シリーズお馴染みの、円形のホイールパッドを採用。ただ、ディスプレイが縦に長くなり、本体奥行きが長くなったことでパームレスト部の縦幅も増えており、それに合わせてホイールパッドも大型化されている。

ポインティングデバイスは、円形のホイールパッドを採用するが、パームレストの縦幅が拡がったことに合わせてサイズが大型化され、ジェスチャー操作などの利便性が向上している

 従来のホイールパッドは、慣れればスクロール操作など非常に軽快だったが、どうしてもパッド面積が小さく、ジェスチャー操作などがやりにくい場面もあった。しかし大型化されたFV1シリーズのホイールパッドなら、ジェスチャー操作もかなり軽快となった。もちろん物理クリックボタンも用意されているため、操作性は高まったと言える。

シリーズ初の5G対応ワイヤレスWANを搭載

 今回試用したモデルは5G対応ワイヤレスWANも搭載している。レッツノートシリーズでもLTE対応ワイヤレスWAN搭載モデルはこれまでも広く存在しているが、5G対応ワイヤレスWAN搭載はFV1シリーズが初だ。

シリーズ初となる5G対応ワイヤレスWANを搭載

 通信速度は下り最大4.14Gbps、上り最大660Mbpsと、LTE対応ワイヤレスWANの速度を大きく凌駕。さらに、ディスプレイ上部と下部に2本ずつ、計4本アンテナを搭載しており、アンテナ性能も向上。これによって、外出時でも場所を問わず、高速かつ安定したデータ通信が行なえる。

 SIMスロットはNano SIM対応で、バッテリ装着部奥に用意されている。もちろんSIMロックフリーとなっており、好きなSIMが利用可能だ。

本体底面のバッテリスロット奥にNano SIMカードスロットを用意。SIMスロットはSIMロックフリーで、キャリアを問わずSIMを装着して利用可能。このほかeSIMにも対応する
ディスプレイ上部と下部に2本ずつ、計4本のアンテナを搭載し、安定した5Gデータ通信が可能となっている

 さらにeSIMにも対応しており、別途用意したデータ通信用のNano SIMだけでなく、eSIMでWindows 10のモバイルデータプランも利用できる。もし普段はSIMを装着していない場合でも、公衆無線LANなどでWindows 10モバイルデータプランを契約すれば、すぐにデータ通信が行なえる。

 今回はNTTドコモの5G契約SIMを装着して試してみたが、下り761Mbps、上り90Mbpsの速度を確認。現在は5Gエリアはまだ狭く、利用できる場所が限られるものの、今後エリアが拡がれば、外出時のデータ通信も非常に快適に行なえるはずだ。

NTTドコモのSIMを装着して計測した結果、下り761Mbps、上り90Mbpsの速度を確認した

プレミアムエディションらしく非常に高スペック

 では、今回の試用機CF-FV1STCQPのスペックを確認していこう。

 CPUは第11世代Core vProプロセッサシリーズのCore i7-1185G7を採用。メモリは標準で32GBと大容量となっている。このあたりは、プレミアムエディションらしい大きな特徴だ。

 内蔵ストレージは、PCIe 4.0/NVMe SSDを採用。第11世代Coreプロセッサ採用に合わせて、高速なPCIe 4.0準拠のSSDを採用している点も特徴の1つ。容量は、試用機では256GBだったが、購入時に512GB/1TB/2TBから自由に選択可能となっている。

 ところで、FV1シリーズでは光学式ドライブの搭載には対応していない。これも、従来モデルとは異なる点だが、ビジネスシーンでの光学式ドライブの利用状況を考慮して、FV1シリーズでは非搭載を選択したとのこと。おそらくこの判断も、本体の薄型化に大きく貢献していることだろう。

 とは言え、ポート類は従来同様豊富に用意している。左側面には電源コネクタ、HDMI、Thunderbolt 4×2、オーディオジャック、USB 3.0×1を、右側面にはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、SDカードカードスロット、ミニD-Sub15ピンの各ポートを配置する。

左側面には、電源コネクタ、HDMI、Thunderbolt 4×2、オーディオジャック、USB 3.0×1を配置
右側面には、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、SDカードカードスロット、ミニD-Sub15ピンを配置。従来同様ポート類は豊富に搭載している

 別途ポートリプリケーターや変換アダプタを利用することなく周辺機器を利用できるように、というシリーズ一貫した特徴はしっかり受け継がれており、ビジネスユーザーも安心だ。

 そういった中でもThunderbolt 4×2を用意するなどの進化も実現しており、高速外付けストレージや4Kディスプレイなどの利用も問題ない。

 無線機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)準拠無線LANとBluetooth 5.1を標準搭載。合わせて、先ほど紹介したように5G対応ワイヤレスWANも搭載する。

 生体認証機能は、ディスプレイ上部に顔認証カメラ、パームレスト左側に指紋認証センサーを搭載。いずれもWindows Hello対応で、マスクを付けている時は指紋認証、自宅などでマスクを外している時は顔認証と使い分けられるのは便利だ。

ディスプレイ上部にはWindows Hello対応顔認証カメラを搭載
左パームレストにはWindows Hello対応指紋認証センサーを搭載。状況に合わせて顔認証カメラと使い分けられる

 スピーカーやマイクもいくつか進化している。スピーカーはこれまでのシリーズよりも大型のボックスを採用することで、より大きな音を再生できるようになった。

 合わせて人の声が聞き取りやすいように音質をチューニング。実際に試してみると、低音や高音の伸びが少なく、音楽再生などには従来同様あまり向かない印象だが、人の声はかなりクリアに聞き取れるとともに、ボリュームを大きくしてもほとんど音割れしない。これなら、会議室での複数人数でのWeb会議でも別途スピーカーを用意しなくて良さそうだ。

底面の前方左右に搭載されるスピーカーは、大型ボックスを採用し、より大きな音を再生できるようになった。また、人の声にチューニングされており、人の声はかなり聞きやすいが、音楽などの再生にはあまり向かない

 またマイクにはAIノイズキャンセリング機能を搭載。バックグラウンドの様々な騒音を消して、話している人の声のみを抽出するようになっている。後ろで動作する機械の動作音や、かなり大きな緊急車両のサイレンの音なども、ほとんど分からなくなるまで消してくれる。コロナ禍でWeb会議を利用する機会が増えていると思うが、こういった点はビジネスユーザーにとって嬉しい進化と言える。

 付属ACアダプタは、従来シリーズでも利用されている丸形コネクタを採用するものとなっている。重量は付属電源ケーブル込みで実測277g。ただ、2つあるThunderbolt 4はいずれもUSB PD対応で、オプションで用意されているUSB PD対応ACアダプタや、汎用のUSB PD対応ACアダプタを利用した給電およびバッテリの充電も可能。

付属ACアダプタは、従来同様の丸形コネクタ採用のものとなっている
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測227gだった
Thunderbolt 4はUSB PD対応。オプションでUSB PD対応ACアダプタも用意される

 合わせて、着脱式バッテリを採用している点も、シリーズの一貫したこだわりだ。試用機では容量30Whの「バッテリーパック(S)」が付属していたが、オプションで容量56Whの「バッテリーパック(L)」も用意される。

バッテリは着脱式で、底面の本体前方に装着する
試用機では容量30Whの「バッテリーパック(S)」が付属。オプションで容量56Whの「バッテリーパック(L)」も用意される

高性能な冷却システムと独自技術「Maxperforme」で優れた性能を発揮

 では、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.0.2177」、「3DMark Professional Edition v2.11.6911」、Maxonの「Cinebench R20.060」の3種類だ。比較として、CPUにCore i7-1165G7を搭載する「レッツノート SV1」の結果も掲載する。

【表】ベンチマーク結果
レッツノート FV1 CF-FV1STCQPレッツノート SV1
CPUCore i7-1185G7 vPro
(ターボブースト時最大4.8GHz)
Core i7-1165G7
(ターボブースト時最大4.7GHz)
GPUIntel Iris Xe GraphicsIntel Iris Xe Graphics
メモリLPDDR4X-3733 SDRAM 32GBLPDDR4X-3733 SDRAM 8GB
ストレージ256GB SSD(NVMe/PCIe 4.0)256GB SSD(NVMe/PCIe 3.0)
OSWindows 10 ProWindows 10 Pro
PCMark 10v2.1.2508v2.1.2506
PCMark 10 Score5,2564,992
Essentials10,5779,971
App Start-up Score14,88912,659
Video Conferencing Score8,3838,331
Web Browsing Score9,4829,400
Productivity7,0346,827
Spreadsheets Score6,3686,119
Writing Score7,7717,618
Digital Content Creation5,2964,961
Photo Editing Score8,0228,076
Rendering and Visualization Score3,6863,077
Video Editting Score5,0254,915
Cinebench R20.060
CPU2,1772,162
CPU (Single Core)522507
Cinebench R23.200
CPU5,3695,523
CPU (Single Core)1,5571,516
3DMark Professional Editionv2.18.7185v2.15.7113
Night Raid17,62517,698
Graphics Score21,64721,501
CPU Score8,5868,839
Wild Life13,351-
Time Spy1,8201,779
Graphics Score1,6431,600
CPU Score4,6924,862

 結果を見ると、多くの部分でSV1の結果を上回っていることが分かる。FV1シリーズの方が動作クロックの高い上位CPUを搭載しているということもあるが、第10世代Coreプロセッサ搭載モデルから採用されている「Maxperformer」の存在も優れた性能に大いに関わっている。

 Maxperformerは、高性能冷却ファンに加え、Intel製CPUに用意されている電力制御技術「Intel ダイナミック・チューニング・テクノロジー(DTT)」を活用し、レッツノートの放熱・省電力設計に合わせてパナソニックが独自にチューニングを行なうことでCPUの性能を最大限に引き出す仕組みだ。

 これによって、CPUの動作状況と、CPUおよび筐体内の発熱状況を監視しつつ、CPUに供給される電力や動作クロックを細かく調整することによって、最大限の処理能力が引き出される。

 FV1シリーズではデュアルファン仕様の新型CPUクーラーを搭載することで、薄型ボディでも冷却能力を高め、CPU性能を最大限引き出せるように工夫されている。

 今回比較に利用したSV1にもMaxperformerが搭載されているため、SV1も申し分ないスコアが得られているが、それに対し多くの項目でSV1を上回ることからも、FV1シリーズでもCPUの性能が最大限引き出せていることが分かる。

 レッツノートシリーズがターゲットとするビジネス用途であれば、これだけのパフォーマンスが発揮されれば処理能力に不満を感じる場面はほぼないはずだ。

FV1シリーズでは、CPUを強力に冷却するため、デュアルファン仕様の新型CPUクーラーを採用
キーボード後方に大きな排気口を備えており、CPUの熱を効率良く排出
ディスプレイを開くと本体後方が持ち上がって底面に隙間ができ、外気を効率良く取り込むようになっている

 また、FV1シリーズではPCIe 4.0 SSDを搭載しているため、SSDの速度を「CrystalDiskMark 8.0.2」を利用して計測してみた。その結果は下に示した通りで、シーケンシャルリードは6,398.61MB/sと、PCIe 3.0 SSDを大きく凌駕する速度を確認。シーケンシャルライトは2,645.9MB/sとそこそこという印象だが、読み出し速度が高速なため、アプリ起動なども速くなり、快適度が高められていると言える。

CrystalDiskMark 8.0.2の結果。PCIe 4.0 SSDらしく、非常に高速なアクセス速度が発揮され、アプリ起動やファイル操作も高速に行なえる

 続いてバッテリ駆動時間だ。CF-FV1STCQPの公称のバッテリ駆動時間は、容量30Whのバッテリーパック(S)装着時で約10.5時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。

 それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%、キーボードバックライトをオフに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、7時間53分を記録した。

 レッツノートシリーズとしてはやや短いと感じるが、それは容量の少ないバッテリーパック(S)での検証だったためだ。とは言え、これでも通常の利用で5時間は間違いなく利用可能と思われるため、十分満足できる数字と言える。

 なお、今回は容量56Whのバッテリーパック(L)での検証はできなかったが、バッテリーパック(L)なら14時間以上は持続するはずで、長時間駆動が必要な場合にはバッテリーパック(L)の利用がベストだろう。ただし、重量はバッテリーパック(S)よりも100gほど重くなる。

 ところで今回の試用機では5G対応ワイヤレスWANを搭載しているため、ワイヤレスWANを5Gで接続した状態で利用した場合にどの程度のバッテリ消費となるのかも検証してみた。

 検証では、Windowsの省電力設定を「パナソニックの電源管理」、電源モードを「高パフォーマンス」、バックライト輝度を60%、キーボードバックライトをオフに設定した状態で、Microsoft Wordを利用した文字入力やWebブラウザを利用したWeb閲覧などを連続的に行なってみた。

 すると、検証開始時のバッテリ残量は95%だったのに対し、約2時間の作業終了時には残量が66%となっていた。つまり、約2時間で30%ほどを消費した形だ。このテストでは、それほど負荷のかかる作業は行なっていなかったこともあるが、5Gに接続した状況でも思ったほど電力消費は大きくなかった。

 この点パナソニックに問い合わせてみたところ、FV1では5Gモジュールが通信せずにアイドル状態になったら省電力制御を行ない、通信が開始した復帰するという動作を繰り返しているとのことで、そういった電力制御によって5G通信利用時でも長時間駆動を実現しているとのことだった。

かなり高価だが、満足度は非常に優れる

 ここまで見てきたようにFV1シリーズは、アスペクト比3:2のディスプレイやディスプレイの狭額ベゼル仕様、薄型ボディ、5G対応ワイヤレスWAN搭載など、レッツノートシリーズ史上初の仕様を数多く取り入れ、ビジネスモバイルノートとして非常に優れた魅力が備わっている。

 それだけでなく、vPro対応のCore i5-1185G7や、32GBの大容量メモリの搭載、PCIe 4.0対応の高速SSDの採用など、スペック面も非常に優れている。競合と比べてもここまで仕様の充実した製品は少なく、まさしくハイエンドビジネスモバイルPCと呼べる製品に仕上がっている。

 弱点があるとすれば価格だ。今回の試用機のスペックでは販売価格が39万8,200円からと、かなり高価だ。とは言え、競合製品であっても同等のスペックを実現しようとしたら似たような水準の価格になるため、飛び抜けて高いということはないだろう。

 そういった意味で、コストはある程度織り込み、性能や、モバイルとデスク上のどちらでも快適に利用できるサイズ、高速な5G対応ワイヤレスWANなどの充実した仕様面を優先したいビジネスユーザーなら、この価格でも満足度はかなり高い製品と言える。

 もちろん、ここまでのスペックが不要な場合には、機能を削ってより安価に購入できる。自分が利用する場面を考えて最適な仕様を選択すれば、コスト面にも満足できるはずだ。