Hothotレビュー

GDDR6X搭載で注目のアッパーミドル「GeForce RTX 3070 Ti」をテスト

GeForce RTX 3070 Ti

 NVIDIAの新たなアッパーミドルGPU「GeForce RTX 3070 Ti」が、6月10日に発売される。

 これに先立ち、同GPUのFounders Editionと、ASUS製ビデオカード「ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMING」をテストする機会が得られたので、ゲーマー注目のアッパーミドルGPUの実力をベンチマークテストで確認してみた。

高速なGDDR6Xメモリを採用したアッパーミドルGPU

 GeForce RTX 3070 Tiは、Ampereアーキテクチャに基づいて、8nmプロセスで製造されたGPUコア「GA104」を採用するアッパーミドルGPU。同じGPUコアを採用するGeForce RTX 3070の上位モデルで、ハイエンドGPUであるGeForce RTX 3080の下位に位置する。

 GeForce RTX 3070 TiのGA104コアでは、48基のStreaming Multiprocessor(SMs)が有効化されており、6,144基のCUDAコアや、48基のRTコア、192基のTensorコアが利用できる。Founders EditionのGPUブーストクロックは1,770MHzで、TGP(Total Graphics Power)は290W。

 VRAMには、19Gbps動作のGDDR6Xメモリを8GB搭載。GPUコアとVRAMは256bitのメモリインターフェイスで接続されており、608GB/sのメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x16。

【表1】GeForce RTX 3070 Tiの主な仕様
GPUGeForce RTX 3070 TiGeForce RTX 3070GeForce RTX 3080GeForce RTX 3080 Ti
アーキテクチャAmpere (GA104)Ampere (GA104)Ampere (GA102)Ampere (GA102)
製造プロセス8nm8nm8nm8nm
SMs48基46基68基80基
CUDAコア6,144基5,888基8,704基10,240基
RTコア48基 (第2世代)46基 (第2世代)68基 (第2世代)80基 (第2世代)
Tensorコア192基 (第3世代)184基 (第3世代)272基 (第3世代)320基 (第3世代)
テクスチャユニット192基184基272基320基
ROPユニット96基96基96基112基
ブーストクロック1,770MHz1,665MHz1,710MHz1,665MHz
メモリ容量8GB (GDDR6X)8GB (GDDR6)10GB (GDDR6X)12GB (GDDR6X)
メモリスピード19.0Gbps14.0Gbps19.0Gbps19.0Gbps
メモリインターフェイス256bit256bit320bit384bit
メモリ帯域幅608GB/s448GB/s760GB/s912GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
消費電力 (TGP)290W220W320W350W

GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition

 GeForce RTX 3070 TiのNVIDIA純正モデルであるFounders Editionは、従来のGeForce RTX 3070 Founders Editionより一回り大きい新設計の基板とGPUクーラーを採用。GeForce RTX 30シリーズのFounders Edition共通の設計である、基板表面から裏面へのエアフローを実現するGPUクーラーや、12ピンの補助電源コネクタは、GeForce RTX 3070 Ti Founders Editionでも引き続き採用されている。

 画面出力端子には、HDMI 2.1(1基)とDisplayPort(3基)を搭載。同梱されている12ピン補助電源コネクタへの変換アダプタは、TGPが290Wに達するGeForce RTX 3070 Tiの電力需要を満たすため、PCI Express 8ピン2系統から変換するタイプとなっていた。

GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition。ブラケット側に排気する冷却ファンを1基搭載している
カード裏面には、表面側から吸気して裏面側に排気する冷却ファンを搭載
カードの占有スロット数は2スロットで、カード長は約268mm
画面出力端子は、DisplayPort(3基)と、HDMI 2.1
補助電源コネクタには独自の12ピンを採用
12ピンへの変換アダプタは、8ピン2系統仕様となっていた
GeForce RTX 3070 Ti Founders EditionのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 3070 Founders Edition(写真下側)と並べたところ。従来設計の流用ではなく、新設計を採用している
Founders Editionを並べたところ。写真左から、GeForce RTX 3080 Ti、GeForce RTX 3070 Ti、GeForce RTX 3070

ASUS ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMING

 今回はNVIDIA純正のFounders Editionに加え、ASUSのGeForce RTX 3070 Ti搭載ビデオカードである「ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMING」もテストすることができた。

 ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGは、3基の冷却ファンを搭載する2.9スロット占有仕様のGPUクーラーを採用した大型ビデオカード。搭載されているGeForce RTX 3070 Tiは、ブーストクロックを1,770MHzから1,845MHz、パワーリミットを290Wから310Wにそれぞれ引き上げられている。

 画面出力端子はHDMI 2.1(2基)とDisplayPort 1.4a(3基)で、補助電源コネクタはPCI Express 8ピンを3系統。豪華なGPUクーラーと余裕のある電源周りの設計を採用したハイスペックモデルであり、静粛性やイルミネーション機能に期待するユーザーはもちろん、オーバークロッカーやエンスージアストの要求にも応えられる製品だ。

GeForce RTX 3070 Ti搭載ビデオカード「ASUS ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMING」
裏面にはバックプレートを搭載。カード端の一部は表面から風が抜けるデザインとなっている
占有スロットは2.9スロット。カード長は318.5mm
GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition(写真下側)と並べたところ
画面出力端子は、DisplayPort 1.4a(3基)と、HDMI 2.1(2基)
補助電源電源コネクタはPCI Express 8ピン×3系統
ASUS ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGのGPU-Z実行画面

テスト機材

 GeForce RTX 3070 Tiの比較機材として、GeForce RTX 3070のFounders Editionを用意した。また、参考データとして、GeForce RTX 3080 Tiのレビューで用いたGeForce RTX 3080とGeForce RTX 3080 Tiのベンチマークスコアを流用する。

 各ビデオカードを動作させるベース機材には、8コア16スレッドCPU「Ryzen 7 5800X」を搭載したAMD X570環境を用意した。各GPUに導入したグラフィックスドライバは、GeForce RTX 3070 Tiがレビュアー向けの「466.61」で、GeForce RTX 3070とGeForce RTX 3080が「466.47」、GeForce RTX 3080 Tiは「466.54」となっている。

 テスト時のビデオカードの動作仕様と、その他の機材については以下の通り。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPUGeForce RTX 3070 TiGeForce RTX 3070 TiGeForce RTX 3070GeForce RTX 3080GeForce RTX 3080 Ti
ビデオカードベンダーNVIDIAASUSNVIDIANVIDIANVIDIA
製品型番Founders EditionROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGFounders EditionFounders EditionFounders Edition
ベースクロック1,575MHz1,575MHz1,500MHz1,440MHz1,365MHz
ブーストクロック1,770MHz1,845MHz1,725MHz1,710MHz1,665MHz
メモリ容量8GB (GDDR6X)8GB (GDDR6X)8GB (GDDR6)10GB (GDDR6X)12GB (GDDR6X)
メモリスピード19.0Gbps19.0Gbps14.0Gbps19.0Gbps19.0Gbps
メモリインターフェイス256bit256bit256bit320bit384bit
メモリ帯域幅608GB/s608GB/s448GB/s760GB/s912GB/s
パワーリミット290W310W220W320W350W
【表3】テスト機材一覧
GPUGeForce RTX 3070 TiGeForce RTX 3070/3080GeForce RTX 3080 Ti
CPURyzen 7 5800X (8コア16スレッド)
CPUパワーリミットPPT:142W、TDC:95A、EDC:140A
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%)
マザーボードASUS TUF GAMING X570-PLUS [UEFI=3801]
メモリDDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-52、1.20V)
システム用SSDSamsung SSD 980 PRO (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum (1050W/80PLUS Platinum)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 466.61 (27.21.14.6661)GeForce Game Ready Driver 466.47 (27.21.14.6647)GeForce Game Ready Driver 466.54 (27.21.14.6654)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 21H1 / build 19043.1023)
電源プランバランス
モニタリングソフトHWiNFO64 Pro v7.04
ワットチェッカーラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約24℃

ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果をみていこう。

 実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Horizon Zero Dawn」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」、「V-Ray Benchmark」。

 今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。

 また、一部のゲームについては、GeForce RTX 3080 Tiレビュー時とゲームバージョンが変わっているものがある。パフォーマンスに大きな変化があったタイトルはないが、参考にするさいは一応注意してもらいたい。

3DMark

 3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。

 GeForce RTX 3070 Tiは、Time Spyで約6%、Fire Strikeで4~7%、Wild Lifeで8~9%、それぞれGeForce RTX 3070を上回った。DXRを用いるテストでは、Port Royalで約5%の差をつける一方、DirectX Raytracing feature testではほとんど差がつかなかった。

 上位モデルであるGeForce RTX 3080との差は13~24%で、GPU負荷の高いテストでは20%前後の差がついている。

【グラフ01】3DMark v2.18.7185「Time Spy」
【グラフ02】3DMark v2.18.7185「Time Spy Extreme」
【グラフ03】3DMark v2.18.7185「Fire Strike」
【グラフ04】3DMark v2.18.7185「Fire Strike Extreme」
【グラフ05】3DMark v2.18.7185「Fire Strike Ultra」
【グラフ06】3DMark v2.18.7185「Wild Life/Wild Life Extreme」
【グラフ07】3DMark v2.18.7185「Port Royal」
【グラフ08】3DMark v2.18.7185「DirectX Raytracing feature test」

VRMark

 VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。

 GeForce RTX 3070 TiはGeForce RTX 3070に対して、Orange Roomで約1%、Cyan Roomで約6%、Blue Roomで約7%の差をつけている。

 一方、上位のGeForce RTX 3080との比較では、Orange Roomはほぼ同等だが、Cyan Roomで約24%、Blue Roomで約28%の差をつけられた。

【グラフ09】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ10】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。

 GeForce RTX 3070 Tiは、フルHDで約4%、WQHDで約4%、4Kで約12%の差をつけてGeForce RTX 3070を上回った。一方、上位のGeForce RTX 3080には6~20%の差をつけられている。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約3%、WQHDで約8%、4Kで約8%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は16~22%。

【グラフ12】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator

 PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator(以下PSO2 NGS CC)では、簡易グラフィック設定を「6:ウルトラ」に固定して、ベンチマークテストを実行した。

 GeForce RTX 3070 TiとGeForce RTX 3070のスコア差は、フルHDで約4%、WQHDで約10%、4Kで約10%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられたスコア差は15~52%。

 GeForce RTX 3080 Tiのレビューでも紹介したが、PSO2 NGS CCではスコア差がフレームレート差の約2乗となるため、フレームレートベースで考えれば、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は2~6%、GeForce RTX 3080につけられた差は7~23%ということになる。

【グラフ13】PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator

Forza Horizon 4

 Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約1%、WQHDで約3%、4Kで約5%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は3~16%。

【グラフ14】Forza Horizon 4 (v1.468.308.2)

DIRT 5

 DIRT 5では、描画品質を「Ultra High」に設定し、レイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)有効時と無効時の2通りでベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3070 Tiが、レイトレーシング無効時にGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約5%、WQHDで約8%、4Kで約7%。レイトレーシング有効時は、フルHDで約6%、WQHDで約6%、4Kで約4%だった。

 一方、上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は、レイトレーシング無効時が17~24%で、レイトレーシング有効時が18~25%。ただし、GeForce RTX 3080の結果は、異なるゲームバージョンで計測したものである。

【グラフ15】DIRT 5 (v1.0.269489.343)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した設定で、フレームレートの測定を行った。

 レイトレーシング無効時に、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約4%、WQHDで約8%、4Kで約7%で、上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は13~22%。

 レイトレーシング関連の項目を最高品質に設定した場合、GeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約4%、WQHDで約6%、4Kで約146%で、上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は24~99%。極端に差がついている4Kの結果は、GeForce RTX 3070TiとGeForce RTX 3070がメモリ不足に陥った結果であり、GPUの性能差を反映したものではない。

 レイトレーシングに加え、DLSSを「バランス」設定で有効化した場合、フルHDで約2%、WQHDで約1%、4Kで約6%の差をつけてGeForce RTX 3070を上回り、上位モデルのGeForce RTX 3080には24~31%の差をつけられた。

【グラフ16】フォートナイト (v16.50) - レイトレーシング無効
【グラフ17】フォートナイト (v16.50) - レイトレーシング有効
【グラフ18】フォートナイト (v16.50) - レイトレーシング + DLSS

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約4%、WQHDで約6%、4Kで約5%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は16~25%。

【グラフ19】レインボーシックス シージ (Y6S1.3)

Apex Legends

 Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を標準の144fpsから300fpsに引き上げている。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約6%、WQHDで約7%、4Kで約9%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は13~25%。

【グラフ20】Apex Legends (v3.0.3.253)

オーバーウォッチ

 オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。上限フレームレートは400fps。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約7%、WQHDで約7%、4Kで約8%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は17~20%。

【グラフ21】オーバーウォッチ (v1.60.0.0.82920)

Call of Duty: Black Ops Cold War

 Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシングを無効にした設定と、すべて「ウルトラ」にした設定、DLSSを「バランス調整済み」で有効化した設定の3通りで、平均フレームレートの測定を行った。なお、GeForce RTX 3080/3080 Tiはテストしたゲームバージョンが異なっている。

 レイトレーシング無効時、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約7%、WQHDで約7%、4Kで約16%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は18~25%。

 レイトレーシングをウルトラ設定で有効化した場合、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約3%、WQHDで約14%、4Kで約17%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は10~64%。

 レイトレーシングとDLSSを有効化した場合、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約1%、WQHDは差がつかず、4Kで約14%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は3~23%。

【グラフ22】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.12.2.9239929) - レイトレーシング無効
【グラフ23】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.12.2.9239929) - レイトレーシング有効
【グラフ24】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.12.2.9239929) - レイトレーシング + DLSS

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない最高画質設定の「ウルトラ」と、同設定をベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した「レイトレーシング:ウルトラ」で、フレームレートの測定を行った。

 レイトレーシング無効時に、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約7%、WQHDで約6%、4Kで約6%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は13~29%。

 レイトレーシング:ウルトラ設定時、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約8%、WQHDで約4%、4Kで約7%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は1~31%。

【グラフ25】サイバーパンク2077 (v1.22)

アサシン クリード ヴァルハラ

 アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約3%、WQHDで約4%、4Kで約4%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は9~20%。

【グラフ26】アサシン クリード ヴァルハラ (v1.2.1)

ウォッチドッグス レギオン

 ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「最大」にした設定、DLSSを「バランス」で有効化した設定の3条件でベンチマーク結果を取得した。

 レイトレーシング無効時に、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約2%、WQHDで約8%、4Kは差がついてない。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は10~37%。

 レイトレーシング有効時は、フルHDで約4%の差でGeForce RTX 3070を上回ったが、WQHDと4Kでは差がつかなかった。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は10~37%。

 レイトレーシングとDLSSを有効にした場合、フルHDで約4%、WQHDで約2%の差をつけてGeForce RTX 3070を上回ったが、4Kでは差がつかなかった。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は5~175%。

 ほとんどの条件で、ゲーム側のメモリ要求量がGeForce RTX 3070 TiとGeForce RTX 3070のVRAM容量を上回っており、高解像度ではフレームレートの低下がみられる。GPU自体はWQHDでプレイできる実力を備えているが、安定したパフォーマンスを得るにはVRAM使用量を抑える調整が必要だ。

【グラフ27】ウォッチドッグス レギオン (v1.4.1) - レイトレーシング無効
【グラフ28】ウォッチドッグス レギオン (v1.4.1) - レイトレーシング有効
【グラフ29】ウォッチドッグス レギオン (v1.4.1) - レイトレーシング+DLSS

Horizon Zero Dawn

 Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約5%、WQHDで約6%、4Kで約8%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は11~26%。

【グラフ30】Horizon Zero Dawn (v1.56)

Godfall

 Godfallでは、描画品質を「最高」に設定し、レイトレーシングを有効にした場合と無効にした場合の2通りで、ベンチマークモードを実行した。

 レイトレーシング無効時に、GeForce RTX 3070 TiがGeForce RTX 3070につけた差は、フルHDで約5%、WQHDで約6%、4Kで約7%。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は21~23%。

 レイトレーシング有効時は、フルHDで約16%、WQHDで約7%の差をつけてGeForce RTX 3070を上回っているが、4Kではメモリ容量不足とみられるフレームレートの低下が発生しており、GPU性能差がフレームレートに反映されていない。上位モデルのGeForce RTX 3080につけられた差は、フルHDで約15%、WQHDで約18%で、メモリ容量の差が反映された4Kでは約196%だった。

【グラフ31】Godfall (v2.4.54)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行った。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。

 GeForce RTX 3070 Tiは、フルHDで約5%、WQHDで約6%の差をGeForce RTX 3070につけているが、4Kでは逆に約2%の差をつけられている。

 上位モデルのGeForce RTX 3080と比較してみると、CPUがボトルネックとなるフルHDとWQHDでは同等の結果を記録する一方で、4Kでの差は約39%という他のテストと比べても大きな差がついている。このことから、4Kの結果はVRAM容量が不足したものであると考えられる。

【グラフ32】Microsoft Flight Simulator (v1.16.2.0)

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、OptiXを用いてGPUレンダリングを実行した。

 各テストにおけるGeForce RTX 3070 Tiのレンダリング速度は、GeForce RTX 3070を約2~8%上回っており、トータルでは約5%高速だった。上位モデルのGeForce RTX 3080との速度差は24~47%で、トータルでは約33%の差をつけられている。

【グラフ33】Blender Benchmark

Blender Benchmark

 レンダリングエンジン「V-Ray 5」オフィシャルベンチマーク「V-Ray Benchmark」では、GPUを用いる「V-Ray GPU CUDA」と「V-Ray GPU RTX」のスコアを取得した。

 GeForce RTX 3070 Tiは、V-Ray GPU CUDAで約6%、V-Ray GPU RTXで約8%の差をつけてGeForce RTX 3070を上回った。上位モデルであるGeForce RTX 3080との差は約20%。

【グラフ34】V-Ray Benchmark (v5.00.03)

消費電力とモニタリングデータ

 ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中の最大消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。

 GeForce RTX 3070 Tiのアイドル時消費電力は、Founders Editionが66Wで、ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGが74W。最低値を記録したGeForce RTX 3070の60Wと比べると、それぞれ6Wと14W高い数値だった。

 GeForce RTX 3070 Tiのベンチマーク実行中の最大消費電力は、Founders Editionが424~504Wで、ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGが430~509W。459~552Wを記録した上位のGeForce RTX 3080より低い数値ではあるものの、351~436WだったGeForce RTX 3070と比べると2割ほど消費電力が増加している。

【グラフ35】システムの消費電力

 GeForce RTX 3070 Ti Founders EditionとROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGで、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行し、取得したモニタリングデータをまとめてみた。

【グラフ36】GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition のモニタリングデータ

 GeForce RTX 3070 Ti Founders Editionは、280W前後の電力を消費しながら、1,900MHz前後のGPUクロックで動作している。冷却ファンのスピードは最大1,790rpmまで上昇しており、各部の最大温度はGPU温度が最大76.5℃、GPUホットスポット温度は87.6℃、メモリ温度は82℃だった。

【グラフ37】ASUS ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMING のモニタリングデータ

 ROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGは、300W前後の電力を消費しながら、1,950MHz前後のGPUクロックで動作していた。冷却ファンのスピードは最大1,565rpmで、各部の最大温度はGPU温度が最大64.8℃、GPUホットスポット温度は74.3℃、メモリ温度は70℃だった。

 消費電力や動作クロックでFounders Editionを上回りながらも、冷却ファンの速度や各部の温度は低く抑えられている。サーマルスロットリングを起こさず動作するFounders Editionも優秀なビデオカードではあるのだが、ハイスペックモデルであるROG-STRIX-RTX3070TI-O8G-GAMINGの冷却性能や静粛性は、Founders Editionと比べても明らかに上質だ。

8万9,980円から入手できるアッパーミドル向けGPU

 GeForce RTX 3070 Tiは、GeForce RTX 3070より数パーセント高いゲーミング性能を実現しており、VRAMのメモリ帯域幅への要求が高い条件では1割以上のパフォーマンス向上を得ることもできる。

 上位モデルとして順当な性能向上を果たす一方、2割ほど増加した消費電力によって電力対性能比は悪化している。また、VRAMの容量は8GBで据え置かれているため、一部のタイトルではGPU性能より先にVRAM容量の限界によって、描画品質やレンダリング解像度の妥協を迫られるのは惜しいところだ。

 ともあれ、GeForce RTX 3070 Ti真の魅力はコストパフォーマンスだ。アッパーミドル向けGPUとして、多くのゲーマーの要求を満たせる実力を備えながら、8万9,980円から入手できるとされるGeForce RTX 3070 Tiは、品薄と価格の高騰が続く2021年6月のビデオカード市場において、多くのゲーマーの注目を集めるものとなるだろう。

「GeForce RTX 3070 Ti」緊急生検証!人気のRTX 3080にどこまで迫る!?
6月2日(水)22時より、GeForce RTX 3070 Tiの動作検証ライブ特番をYouTubeで配信します。解説は“KTU”加藤勝明氏と“改造バカ”高橋敏也氏。RTX 3080、RTX 3070に対してどのようなパフォーマンスを見せるのか、ゲームの動作や消費電力はどう違うのかなどにも注目ください。(ライブ終了後は同じURLにて録画版が公開されます)