Hothotレビュー
13万円台からで堅牢なLTE対応の14型ノート「MousePro NB4」
2021年3月29日 06:55
ビジネス向けノートPCに求められるものはなんだろうか。持ち運びしやすい軽量・薄型、ビジネスアプリケーションに十分な処理性能、長時間のバッテリ駆動。それももちろんだが、そこにデザインの「渋さ」を加えてもいいのではないだろうか。
BTO PCメーカー、マウスコンピューターのビジネスノート「MousePro NB4」のスタイリングを見ていると、そんな風に思えてくる。最新世代のCPUを搭載した同モデルをさっそくチェックしてみよう。価格は税込みで13万1,780円から。
MILスペックに準拠する高耐久ブラックボディ。Thunderbolt 4で4K出力も可
「MousePro」は、BTO PCメーカーであるマウスコンピューターオリジナルの、ビジネス向けノートPCのラインナップの1つだ。標準で企業ユーザーに適したWindows 10 Pro 64bitをプリインストールし、ブラックを基調としたボディカラーでオフィスに溶け込みやすいデザインを採用していることが特徴となっている。
そのなかでも14型ディスプレイの「Mouse Pro NB4」シリーズは、長時間のバッテリ駆動に加えて、コンパクトでありながら堅牢性にもフォーカスしたモデルだ。ディスプレイを開いて真っ先に目を引くのは、米国防総省の物資調達基準として知られるMIL-STD-810Gのロゴである。
いわゆるMILスペックに準拠しており、衝撃、粉塵、高温・低温、振動など10項目のテストをパスしたタフネス性能を備えている。引き締まったブラックのボディに、この耐久性能はじつに似つかわしい雰囲気。同シリーズは最大4年間のピックアップ修理保証を付帯することも可能で、さらに安心感は高まる。
今回レビューするのは同シリーズのうち「MousePro-NB420ZL(14万8,280円)」という比較的スペックの高いモデルだ。本体の厚さは16.9mmで、飛び抜けて薄型というわけではないものの、14型としては軽量な約1.12kgの重量のおかげか、持ち運び時の軽快感はなかなかのもの。
【お詫びと訂正】初出時に、重量を約1.14kgとしておりましたが、正しくは約1.12kgになります。お詫びして訂正させていただきます。
見る角度によっては微細なラメのようなものが品良く光を反射する、さらりとした肌触りの塗装。高級感があり、手になじむ。このサイズ感でこの重量で、かつ高耐久ということを考えると、ビジネス用途に信頼して使えるノートPCという印象を一段と強くする。
CPUは第11世代Intel Core i7-1165G7(4コア8スレッド、2.8~4.7GHz、Tiger Lake-UP3)で、GPUは3D性能を高めたCPU内蔵のIntel Iris Xe Graphics。16GBメモリ(オンボード8GBに追加で8GBを搭載)に256GBのNVMe SSDを装備する。ストレージ容量はやや心もとないが、用途に応じて購入時にカスタマイズすればいいだろう。
ディスプレイは14型のフルHD(1,920×1,080ドット)となっており、標準的な解像度。ただ、最大40Gbpsのデータ転送速度を誇るThunderbolt 4ポート(Type-C形状でUSB 4としても使用可)を備えており、DisplayPort Alt Modeにも対応する。ここから外部ディスプレイに接続した場合は最大4K解像度(3,840×2,160ドット、60Hz)での出力が可能になり、広大なデスクトップを実現可能だ。
HDMI出力端子もあり、こちらも最大4K解像度ではあるが30Hzまでとなるため、マルチディスプレイで仕事するときはできればThunderbolt 4ポートを利用したいところではある。
LTE対応のワイヤレスWANを内蔵。20時間動作、顔認証もある安心装備
ネットワーク機能を見ると、ワイヤレスWAN対応がビジネスユースにはうれしい装備。NTTドコモとソフトバンクの3G/LTE、およびauのLTEに対応しており、最大受信速度450Mbpsでの通信が行なえる。筆者の手元にあるSIMで試したところでは、APN設定だけでNTTドコモ回線とau回線(MVNO)の両SIMで問題なく通信できた。
Micro SIMのため、Nano SIMがメインのスマートフォンとは共用しにくい(アダプタを装着した状態で挿入すると、場合によってはPC本体やSIMが破損する可能性がある)が、いつでもどこでも通信できるメリットは大きい。
Wi-Fi 6(最大2.4Gbps)にも対応する。対応ルーターがあれば1GbEの有線LANを超える高速通信をワイヤレスで実現できるのは心強い。バッテリ駆動は約20時間と長く安心。万が一の電池切れに備えてACアダプタを持ち運ぶ場合でも、まるでカードのようなコンパクトさなので、外出の多いビジネスパーソンの活動範囲も広げられるに違いない。
Thunderbolt 4端子はUSB PDにも対応するため、ACアダプタを忘れてしまったとしても、汎用の充電器(65W以上の出力が必要)でカバーできるだろう。
内蔵WebカメラはWindows Helloの顔認証にも対応している。ノートPCを持ち運ぶことの多いユーザーや在宅勤務しているユーザーが、セキュリティの強化と使い勝手の良さを両立させたいときに力になってくれる。
microSDカードスロットは、スマートフォンや小型カメラのデータを取り込みたいときに役立つはず。個人的には通常のSDカードが直接使えるようになっているとありがたかったところだが……。
キーボードは軽快にタイプしていける。強めに叩いても音が響かず、静音性はかなり高い。全体的なフィーリングは良好だが、上下左右キー周りが詰まり気味のため、このあたりの操作性には慣れが必要だろうか。
タッチパッドはジェスチャー操作に対応。もっと広いタッチパッドが好きなユーザーもいるかもしれないが、指先の滑りも、押し込んだときのクリック感もちょうど良く、十分な操作性が確保されている。
広すぎるとキーボード使用時に操作ミスが増えることも考えられるし、ビジネスシーンだと外付けマウスを使う可能性も高いため、これくらいがベストなバランスのように思える。
実用性能は十分だが、少し物足りなく感じるところも
次にベンチマーク結果を見てみよう。第11世代Intel Core i7-1165G7とIntel Iris Xe Graphicsの組み合わせということで期待は高まるが、どうだろうか。
まずPCMark 10の結果は、同じCPUを搭載する他機種と比べると振るわない。3DMarkについても、ほかのIntel Iris Xe Graphics搭載機種から一段落ちるようなイメージ。
内蔵NVMe SSDの読み書き速度も通常用途なら十分であるとは言え、このクラスでは3,000MB/s前後を叩き出すモデルも今やめずらしくないから、少し物足りなく感じる。
3DゲームのようなGPU性能がものを言うジャンルは、Intel Iris Xe Graphicsならもう少しがんばってほしい……というのはビジネス向けのノートPCに対して高望みしすぎだろうか。50枚のRAW画像を現像(JPEG出力)するDxO PhotoLab 4のテストは、CPU単体で処理するよりもさすがに高速で、実用性能としてはまずまずといったところ。
バッテリライフについては7時間11分と、スペックシートから見るとかなり短くなっていると感じるかもしれない。しかし、スコア値は高く、つねに性能を高く保ちながら7時間以上稼働する、ということを考えれば、バッテリ稼働時間は決して短いというわけではないだろう。
フットワーク軽く、安心して「道具」として使えるノートPC
MousePro NB4は絶対性能を追求しているようなモデルではない。あくまでもビジネスシーンで必要十分な実用性能に、ワイヤレスWANなどのネットワーク機能とロングライフバッテリを組み合わせ、それをコンパクトな14型ボディに詰め込んだ、フットワーク軽く使えるのが魅力のノートPCだ。
そこにMILスペック準拠というタフネス性能が上乗せされ、Windows Helloの顔認証も含めて安心感のある装備をパッケージした。全身にブラックをまとう、オフィスでも自宅でも気兼ねなく使える渋いカラーリングとオーソドックスなデザインは、気が散ることがなく、作業に集中して取り組める「道具」としても優秀だ。きっと、仕事の良きパートナーになってくれるはずだ。