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6万円台の大画面ノートPCは仕事で十分使えるか?この価格でメモリ8GB、SSD 256GB搭載の「mouse F5-celeron」をレビュー
2021年8月20日 06:50
テレワークの推進で、大画面ノートが人気になっている。持ち運びこそ不便ではあるが、会社と自宅の往復がそれほど多くないテレワークでは、携帯性よりも長時間でも作業しやすい画面の大きさの方が重要ということだろう。サイズが大きいノートはテンキーを備えていることも多く、数字入力が多い人にも選ばれている。
その大画面ノートを手軽な価格かつ、実用的なスペックでまとめたのがマウスコンピューターの「mouse F5-celeron」だ。15.6型のフルHD液晶、8GBのメモリ、SATA接続のSSD、光学ドライブ、テンキーも備えて6万円台半ばを実現している。今回はその実力を試してみる。
カスタマイズ可能で出荷も迅速
「mouse F5-celeron」は、CPUこそ組み込み向けのAtomをベースした「Gemini Lake」のCeleron N4100(4コア4スレッド)とややパワー不足を感じるが、メモリは8GBあり、ストレージはSSD 256GB(SATA接続)と実用的なスペックを搭載。光学ドライブはDVDスーパーマルチを備えている。出番が減ったとは言え、CDやDVDメディアを使う機会はゼロではないので、あると安心なのは間違いない。
このスペックで6万円台半ばは特別安いわけではないが、マウスコンピューターは24時間365日の電話サポートがあり、故障時には72時間以内の修理完了を目指すというサポート体制を整えている。仕事で使う人にとっては何より心強い部分ではないだろうか。
また、低価格ノートとしては珍しく、SSDを512GBに容量アップ、光学ドライブを記録型のBDドライブに変更といったカスタマイズを行なっての注文にも対応。それでいて、出荷は約3営業日と迅速だ。同スペックでMicrosoft Office搭載版の「mouse F5-celeron-A」もラインナップ。こちらの価格は8万7,780円から。
【表1】mouse F5-celeronの仕様 | |
---|---|
CPU | Celeron N4100(1.1GHz~2.4GHz) |
メモリ | LPDDR4-2400 8GB |
ストレージ | SSD 256GB |
液晶 | 15.6型フルHD(1,920×1,080ドット) |
OS | Windows 10 Home |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、HDMI、ミニD-Sub15ピン、SDカードリーダ、Webカメラ、3.5mmミニジャック |
無線 | Wi-Fi 5、Bluetooth |
本体サイズ | 361×256×24.1mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約2.04kg |
シンプルで用途選ばないデザイン
早速、本体をチェックしていこう。デザインは黒を基調としたシンプルなビジネスライクなもの。ハデさがないので、仕事や学業など用途に関係なく使いやすい。ボディは樹脂製と見られるが、天面は少々光りが映り込む金属っぽい処理が施されており、安っぽくないのはグッドだ。
剛性はしっかり確保されており、手に持ってもたわみは全く感じされない。キーボードを強めに打鍵してもたわみはほとんど起きず、これなら持ち運びの心配はなく、タイピングが強めの人でも安心して長時間使えるだろう。
Celeron N4100はTDP 6Wと低発熱、低消費電力ということもあり、ファンレスのノートPCもあるが、mouse F5-celeronは底面に1基ファンを搭載している。そのため高負荷時はファンが回るが、それほど風切り音は大きくなかった。
それに加え、しっかりと冷却しているため高負荷時でもキーボード部分は全く熱くならず、安心して長時間作業できるのは大きなメリットと言える。
本体の重量は公称で約2.04kgで、サイズは361mm×256mm×24.1mm(幅×奥行き×高さ)と、15.6型だけにそこそこ大きいので、持ち運ぶ場合はカバンに収まるか確認した方がよいだろう。また、バッテリ駆動時間は約7時間と十分な長さが確保されている。
テンキー付きのキーボードを採用
キーボードは、クセのない日本語配列なので多くの人がすんなりと使えるだろう。キーピッチは実測で約19mmと一般的、クリック感がしっかりあり、テンキーも備えていることから、文字も数字も入力しやすい作りだ。
ただし、ほとんどのキーのサイズが14mm×14mmの正方形とやや小さめ(ノートPCでは16mm×16mm程度が多い)。テンキーの搭載を実現するため仕方のないところか。
左下の「Fn」キーとファンクションキーを組み合わせることで、タッチパッドの有効/無効、ミュート、音量調整、輝度調整、機内モードへの切り替え、Webカメラの有効/無効、外部出力への切り替えなどが実行できる。
タッチパッドは110×63mm(幅×奥行き ※クリックボタン除く)と十分なサイズがある。ジェスチャー操作にも対応し、2本指でスクロール、3本指でタスク切り替え/全ウィンドウ最小化などが行なえる。
液晶は広視野角、インターフェイスは必要十分
液晶は15.6型のフルHD解像度だ。スペック上は非光沢となっているが、若干の映り込みがある。また、詳しいスペックは公表されていないが、視野角はそれほど広くないことからTNパネルが採用されているようだ。
ディスプレイ上部には100万画素のWebカメラとデュアルアレイマイクを搭載。Web会議ならば十分な画質と音質を持っている。底面にはステレオスピーカーも備わっており、高音質ではないが、ちょっと動画を見たり、Web会議といった用途であれば問題のないレベルだ。
インターフェイスは左側面にGigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0 Type-C、USB 3.0を搭載。右側面にDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、ヘッドセット端子、マイク入力を用意。前面にはSDカードスロットがある。
なお、USB 3.0 Type-Cはデータ転送専用で、DisplayPort出力やUSB PDには対応していない。
また、無線LANは最大433MbpsまでのWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)に対応。Bluetooth 5もサポートしている。注文時のカスタマイズでIntel AX200によるWi-Fi 6対応に変更も可能だ。
付属のACアダプタは45W出力ということもあり、コンパクト。筆者の実測で203g(ケーブル込み)と持ち運びも苦にならない。
CPUパワーは高くないが実用的なスペック
次にベンチマークで性能をチェックしてみよう。ベンチマークは「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23.200」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」、「CrystalDiskMark v8.0.1」を用意した。
比較対象として、ほぼ同スペックで液晶サイズが14型となる同社の「mouse C4」を加えた。
【表2】ベンチマーク結果 | ||
---|---|---|
mouse F5-celeron | mouse C4 | |
PCMark 10 | ||
PCMark 10 Score | 1,677 | 1,431 |
Essentials | 4,561 | 4,211 |
App Start-up Score | 4,919 | 4,194 |
Video Conferencing Score | 4,446 | 4,138 |
Web Browsing Score | 4,339 | 1,305 |
Productivity | 2,662 | 2,165 |
Spreadsheets Score | 2,612 | 2,584 |
Writing Score | 2,714 | 1,815 |
Digital Content Creation | 1,055 | 874 |
Photo Editing Score | 1,088 | 1,020 |
Rendering and Visualization Score | 712 | 551 |
Video Editting Score | 1,518 | 1,190 |
3DMark | ||
Fire Strike | 349 | 347 |
Wild Life | 951 | 1,087 |
Night Raid | 1,555 | 1,572 |
Cinebench R23.200 | ||
CPU(Multi Core) | 1,045 | 1,025 |
CPU(Single Core) | 384 | 373 |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク | ||
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC) | 1,395 | 788 |
ドラゴンクエストX ベンチマーク | ||
1,280×720ドット 標準品質 | 2,680 | 2,623 |
1,280×720ドット 最高品質 | 2,306 | 1,642 |
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測 | ||
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 563.73 | 509.02 |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 513.51 | 442.71 |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 504.79 | 400.53 |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 455.54 | 428.62 |
4K Q32T1 ランダムリ-ド | 138.1 | 72.11 |
4K Q32T1 ランダムライト | 117.82 | 114.16 |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 35.9 | 28.93 |
4K Q1T1 ランダムライト | 68.17 | 63.13 |
PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、Essentialsが4,561とクリア。軽めのアプリであれば快適に使えるのが分かる。その一方で、Digital Content Creationは目安の3分の1程度。クリエイティブ用途には向いていない。
ちなみに、同スペックであるはずのmouse C4よりも全体的にスコアが高いのは、mouse C4はファンレスなのに対し、mouse F5-celeronはファンを搭載しているため冷却力に優れ、高い動作クロックを維持しやすいためと考えられる。
ゲームに関しては、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマーク」とも高いスコアとは言えず、ブラウザゲーム程度なら遊べると考えておいた方がよいだろう。
ストレージは、シーケンシャルリードが563.73MB/s、シーケンシャルライトが513.51MB/sとSATA接続のSSDとして十分優秀なデータ転送速度。低価格ノートPCに多いeMMCよりも高速なので、使用感の向上に役立っている。
また、テレワークでの実用性を考えて、Zoomを利用し、3人でWeb会議を行なった時のCPU使用率をチェックしてみた。概ねCPU使用率は30~40%台で推移と全く問題なく利用できた。画面共有機能を有効にすると、80%前後まで上昇する。
さらにWebブラウザを起動してWebサイトをみるだけでもCPU使用率は100%に到達。Web会議しながら、別の作業を並行するのは厳しいと考えておこう。
なお、Zoomのバーチャル背景やビデオフィルタはスペックが使用条件を満たしていないので利用できない。
低価格でも画面の大きさを重視したい人に最適
CPUがCeleronとは言え、15.6型でフルHD、8GBのメモリ、256GBのSSD、光学ドライブ搭載まで備えて6万円台半ばは十分にコストパフォーマンスが高い。予算は少なくても画面の大きさを求め、レスポンスに影響するメモリ量やストレージの速度にあまり妥協したくないという人にはピッタリとマッチする1台。
また、DVDスーパーマルチを活かす、CyberLinkのDVD再生や動画編集、画像編集、ライティングソフトを標準で付属しているのもポイント。ホビー用のPCとしても面白い存在だ。