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6コアRyzen搭載で税別8万円切り、コスパ良好の14型ノート「mouse X4-R5」を検証

マウスコンピューター「mouse X4-R5」7万9,800円(税別)

 マウスコンピューターは、6コア12スレッドCPU「Ryzen 5 4600H」を採用した14型モバイルノート「mouse X4-R5」を2月4日に発表、同日より販売開始した。

 前モデル「mouse X4-B」は4コア8スレッドの「Ryzen 5 3500U」を搭載していたが、mouse X4-R5はCPUをグレードアップすることで約2.17倍の性能向上を実現したと謳われている。また約1.2kgの比較的軽量な筐体、約10時間のバッテリ駆動時間、USB Power Delivery対応とモバイルノートとして活用できるスペックを実現しつつ、8万円切りの7万9,800円(税別)という低価格が魅力のマシンだ。

CPUは1種類、メモリ、ストレージはカスタマイズ可能

 mouse X4-R5はOSにWindows 10 Home、CPUにRyzen 5 4600H(6コア12スレッド、3~4GHz、TDP 45W)を採用。メモリは8GB(DDR4-2666)、ストレージは256GB SSD(PCIe接続)を搭載している。

 ディスプレイは14型フルHD(1,920×1,080ドット、157ppi、輝度非公表、色域非公表、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を採用。外部ディスプレイ接続時は最大3,840×2,160ドットで映像出力可能だ。

 インターフェイスはUSB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0 Type-A×2、USB 2.0、HDMI、3.5mmコンボジャック、Gigabit Ethernetを装備。通信機能は、Wi-Fi 6(最大2.4Gbps)、Bluetooth 5をサポートしている。WWANには非対応だ。

 本体サイズは320.2×214.5×17.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.2kg。46,740mWh(Battery reportコマンドで確認)のバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は約10時間としている。

【表1】mouse X4-R5のスペック
製品名mouse X4-R5
型番X4-aR5RNIAR
OSWindows 10 Home(20H2)
CPURyzen 5 4600H(6コア12スレッド、3.00~4.00GHz、TDP 45W)
GPURadeon Graphics
メモリDDR4-2666 SDRAM 8GB(2スロット[空き1]、最大64GB)
ストレージ256GB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ14型フルHD(1,920×1,080ドット、157ppi、輝度非公表、色域非公表、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信Wi-Fi 6(最大2.4Gbps)、Bluetooth 5、Gigabit Ethernet
WWAN
インターフェイスUSB 3.0 Type-C (USB Power Delivery対応)、USB 3.0 Type-A×2、USB 2.0、HDMI、3.5mmコンボジャック
カメラ100万画素
バッテリ容量46,740mWh(Battery reportコマンドで確認)
バッテリ駆動時間約10時間
バッテリ充電時間非公表
本体サイズ320.2×214.5×17.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.2kg
セキュリティWindows Hello対応顔認証カメラ
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、説明書類(製品仕様、ファーストステップガイド、マウスコンピューターサポートマニュアル、保証書)
カラーレッド
価格Officeなし : 7万9,800円(税別)
Office Personal 2019付き : 9万9,800円(税別)

 なお兄弟モデルとして、OSを「Windows 10 Home(Sモード)」、ストレージがSATA接続の128GB SSDに変更した「mouse X4-R5-E」がラインナップされている。また、メモリは8GB/16GB/32GB/64GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TBのなかからカスタマイズ可能だ。

パッケージには、本体、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書(製品仕様、ファーストステップガイド、サポートマニュアル、保証書)が同梱
天面は鮮やかなレッド塗装仕上げ
本体底面。6コア12スレッドの「AMD Ryzen 5 4600H」搭載に伴い、冷却ファンが2つに増やされている
ディスプレイは14型フルHD(1,920×1,080ドット、157ppi)
本体前面と本体背面
88キーの日本語キーボードを採用」
右側面にUSB 3.0 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0 Type-A、HDMI、電源端子、左側面にケンジントンロックスロット、Gigabit Ethernet、USB 2.0、USB 3.0 Type-A、3.5mmコンボジャックが配置
ディスプレイの最大展開角度は154度
ACアダプタのコード長は実測150cm、電源ケーブルの長さは実測101cm
ACアダプタの型番は「FSP065-R19C8」。仕様は入力100~240V/1.5A、出力19.0V/3.42A、容量65W
本体の実測重量は1,191g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測232.2g
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のCドライブの空き容量は205.99GB(256GBモデルの場合)
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに46,740mWhと表示された

フルスピードで入力できるキーボード

 mouse X4-R5のキーボードは88キーの日本語仕様で、キーピッチは約18mm、キーストロークは約1.4mm。2段階で明るさを調整可能な白色LEDバックライトが内蔵されている。

 剛性はキーボード全体でしっかりと確保されており、強くキーを押し込んでも大きくたわまない。キーストロークはやや浅めだがクリック感は良好。強く底打ちしなければ打鍵音も比較的低めだ。「,」、「.」、「/」、「¥」キー以外は等幅に揃えられているので、どのキーにも自然に指が伸びる。フルスピードでテキスト入力できるキーボードだ。

白色のキーボードバックライトは明るさを2段階で調整できる
キーピッチは約18mm
キーストロークは約1.4mm
文字キー(Fキー)の押圧力は実測0.48N
【表2】キーボードの押圧力の一例
FキーEnterキーSpaceキー
mouse X4-R50.48N0.54N0.45N
DAIV 7N0.5N0.55N0.5N
dynabook V80.51N0.54N0.5N
13インチMacBook Air0.51N0.51N0.53N
ZenBook 13 UX325EA0.53N0.5N0.51N
13インチMacBook Pro0.51N0.54N0.5N
One-Netbook A10.61N0.55N0.56N
MUGAストイックPC30.51N0.46N0.47N
DAIV 4N0.55N0.55N0.58N
LG gram 2-in-10.6N0.6N0.6N
16インチMacBook Pro0.55N0.55N0.55N
ZenBook Duo0.56N0.54N0.55N

 一方、ダイビングボード構造を採用しているタッチパッドは実測約107×72mm(幅×奥行き)と広めだが、感触が少々安っぽい。また、中央より左右のほうがストロークは深く感じられる。個人的にはタッチパッド全体でストローク量を統一したうえで、もう少し浅くしたほうがよいと考える。

パームレストは広めでしっかりと手を預けられる
タッチパッドは実測約107×72mm(幅×奥行き)と広め

 WebカメラはノートPCに搭載されるものとしては平均的な画質。Windows 10の「カメラ」アプリで撮影した画像を下に掲載したので、実際に見て確認してほしい。

ディスプレイ上部に100万画素(Windows Hello顔認証カメラ搭載)Webカメラとデュアルアレイマイクが内蔵
Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオン)。HDRオンのほうが肌の色は自然だ

ディスプレイ、スピーカーの品質はそれなり

 14型フルHD液晶ディスプレイ(1,920×1,080ドット、157ppi、非光沢)の輝度、色域は非公表。カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、白色輝度は173cd/平方m、色域はsRGBカバー率が66.1%、Adobe RGBカバー率が49.5%、DCI-P3カバー率が49.1%という結果となった。

実測したsRGBカバー率は66.1%、sRGB比は66.8%
Adobe RGBカバー率は49.5%、Adobe RGB比は49.5%
DCI-P3カバー率は49.1%、DCI-P3比は49.2%
実際に写真を見てみると、赤や緑の階調表現が乏しく感じられる

 筆者がここ数年でレビューしたノートPCでsRGBカバー率が90%を切った製品はごく一部。実際、写真を表示してみると、赤や緑のグラデーションがかなりつぶれてしまっていた。一般的な用途であれば問題ないが、写真や動画の色調整をする際には外部ディスプレイを利用するべきだ。

視野角はやや狭めだが1人で使っているぶんには実用上問題はない

 一方サウンドについてはそれなりに高中低域でバランスが取れており、大きな破綻はない。しかし、フィルタごしに聞いているようなこもりを感じる。個人的にはバラエティー番組などを見るならいいが、ミュージックビデオを視聴するならヘッドフォンや外付けスピーカーを用意したいと思う。

YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大76.4dB(50cmの距離で測定)

CPUベンチマークでは6コア12スレッドの威力を発揮

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は、総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2506」、3Dベンチマーク「3DMark v2.16.7117」、CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」、「Cinebench R20.060」、「Cinebench R15.0」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.1」、「Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像」、「Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し」を実施した。

 比較対象としては、過去記事から、「Ryzen 5 3500U」(4コア8スレッド、2.1~3.7GHz)を搭載する「mouse X4-B」のベンチマークスコアを転載している。下記が検証機の仕様とその結果だ。

ベンチマークは「Control Center」の動作モードを「パフォーマンス(ターボモード)」に設定して実施している
【表3】検証機の仕様
mouse X4-R5mouse X4-B
CPURyzen 5 4600H(6コア12スレッド、3~4GHz)Ryzen 5 3500U(4コア8スレッド、2.1~3.7GHz)
GPURadeon GraphicsRadeon Vega 8 Graphics
メモリDDR4-2666 SDRAM 8GBDDR4-2666 SDRAM 8GB(DDR4-2400で動作)
ストレ-ジ256GB PCIe NVMe SSD256GB SATA SSD
ディスプレイ14型、1,920×1,080ドット(157ppi)14型、1,920×1,080ドット(157ppi)
TDP45W15W
OSWindows 10 Home(20H2)Windows 10 Home
サイズ(幅×奥行き×高さ)320.2×214.5×17.5mm320.2×214.5×17.5mm
重量約1.2kg約1.13kg
【表4】ベンチマ-ク結果
mouse X4-R5mouse X4-B
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score4,8622,425
Essentials9,0216,706
App Start-up Score11,926
Video Conferencing Score8,048
Web Browsing Score7,560
Productivity7,4343,730
Spreadsheets Score9,102
Writing Score6,072
Digital Content Creation4,6532,888
Photo Editing Score6,882
Rendering and Visualization Score4,038
Video Editting Score3,627
PCMark 10 Modern Office Battery Life9時間23分
3DMark v2.16.7117
Time Spy Extreme338
Time Spy738
Fire Strike Ultra443
Fire Strike Extreme858
Fire Strike1,856
Wild Life3,991
Night Raid8,359
CINEBENCH R23.200
CPU(Multi Core)7,995 pts
CPU(Single Core)1,158 pts
CINEBENCH R20.060
CPU3,107 pts1,317 pts
CPU(Single Core)452 pts346 pts
CINEBENCH R15.0
OpenGL37.28 fps
CPU1368 cb
CPU(Single Core)177 cb
ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC)4,497(快適)
1,920×1,080ドット 標準品質(ノ-トPC)2,492(普通)
SSDをCrystalDiskMark 8.0.0で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード3,139.312 MB/s480.08 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト1,167.111 MB/s471.67 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード1,362.458 MB/s474.82 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト1,116.070 MB/s445.66 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド404.142 MB/s234.27 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト347.848 MB/s214.76 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド47.170 MB/s20.54 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト175.429 MB/s40.47 MB/s
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然12分9秒44
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps7分18秒67

 まずCPUだが大幅な性能向上を果たしているのがわかる。Cinebench R20.060でmouse X4-R5はmouse X4-Bの約2.36倍に相当する3,107 ptsを記録。PCMark 10でも総合スコアで約2倍の4,862を叩き出しており、トータルパフォーマンスも着実に向上していることを確認できた。しかし、その一方で実アプリケーションの処理速度が奮わないのが気になった。Lightroom、Premiere Proとの相性が悪い可能性がある。

 バッテリ駆動時間はディスプレイ輝度50%でPCMark 10 Modern Office Battery Lifeを実施したが、9時間23分という結果となった。ディスプレイ輝度をわずかに下げるだけで、カタログスペックの10時間を余裕で達成できそうだ。

「Cinebench R23.200」実行中のCPU温度とクロック周波数を計測してみた(室温20.1℃で測定)。クロック周波数は11秒後に3981.1MHzに達するものの、CPU温度は9秒時点で67.5℃に到達。しかしクロック周波数の下げ幅は3,693.1MHzと最低限に留まった。その後じりじりとCPU温度は最終的に67.5℃まで再び上がっていったが、クロック周波数が極端に低下することはなかった
「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」実行中のキーボード面の最大温度は38.3℃(室温20.1℃で測定)
底面の最大温度は39.8℃
ACアダプタの最大温度は31.0℃
排熱は本体背面にのみ行なわれる

CPUパフォーマンスと低価格を両立したモバイルノート

 6コア12スレッドの第3世代「AMD Ryzen 5 4600H」を搭載しているだけに、CPUベンチマークで旧モデルより大幅な性能向上を確認できた。ただ、その性能が実アプリケーションに反映されなかったのが残念。Lightroom、Premiere Proとの相性が悪い可能性が高いので、Adobeが最適化を実施することに期待したい。

 とは言え、mouse X4-R5は8万円切りのモバイルノートPCとしてバランスのいいマシンだと思う。メモリを16GB、ストレージを512GBにカスタマイズしても9万2,600円(税別)と10万円を軽く切る。CPUパフォーマンスと低価格を両立したモバイルノートPCを探しているのなら、最初に購入候補に加えるべき1台だ。