Hothotレビュー
ついにGeForceの対抗馬としての十分な実力を備えた「Radeon RX 6800」
2020年11月18日 23:00
AMDは11月18日から、新GPUアーキテクチャ「RDNA 2」を採用する「Radeon RX 6000シリーズ」最初の製品として、Radeon RX 6800 XTとRadeon RX 6800を発売する。
発売に先立って、両GPUを搭載するAMD純正ビデオカードを借用する機会が得られたので、ベンチマークテストでAMDの新世代GPUの実力を探ってみた。
RDNA 2を採用したAMD最新のGPU「Radeon RX 6000シリーズ」
Radeon RX 6000シリーズは、RDNA 2アーキテクチャに基づいて7nmプロセスで製造されたGPU製品群で、今回テストする「Radeon RX 6800 XT」と「Radeon RX 6800」のほかに、12月8日に発売予定の最上位モデル「Radeon RX 6900 XT」がラインナップされている。
Raden RX 6800 XTは、72基のコンピュートユニットを備えたハイエンドGPUで、4,608基のストリーミングプロセッサと288基のテクスチャユニットのほか、リアルタイムレイトレーシング用の「Ray Accelerator」を72基や、128MBのL3キャッシュ「Infinity Cache」を備えている。TBP(Total Board Power)は300W。
Radeon RX 6800は、60基のコンピュートユニットを備えたアッパーミドル向けGPUで、3,840基のストリーミングプロセッサと240基のテクスチャユニット、60基のRay Accelerator、128MBのInfinity Cacheを備えている。TBPは250W。
両GPUとも、VRAMには16Gbps動作のGDDR6メモリを16GB搭載。GPUコアとVRAMは256bitのメモリインターフェイスで接続されており、512GB/sの帯域幅を実現している。
【表1】Radeon RX 6000シリーズのおもな仕様 | |||
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GPU | Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800 XT | Radeon RX 6900 XT |
アーキテクチャ | RDNA 2 | RDNA 2 | RDNA 2 |
製造プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
コンピュートユニット | 60基 | 72基 | 80基 |
ストリーミングプロセッサ | 3,840基 | 4,608基 | 5,120基 |
Ray Accelerator | 60基 | 72基 | 80基 |
テクスチャユニット | 240基 | 288基 | 320基 |
ROPユニット | 96基 | 128基 | 128基 |
ゲームクロック | 1,815MHz | 2,015MHz | 2,015MHz |
ブーストクロック | 2,105MHz | 2,250MHz | 2,250MHz |
AMD Infinity Cache | 128MB | 128MB | 128MB |
メモリ容量 | 16GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) |
メモリスピード | 16.0Gbps | 16.0Gbps | 16.0Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 512GB/s | 512GB/s | 512GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TBP) | 250W | 300W | 300W |
カード長を267mmに抑えたリファレンスボード
今回、AMDより借用したのはRadeon RX 6800 XTとRadeon RX 6800のリファレンスボードだ。
Radeon RX 6800 XTのリファレンスボードは、3基の冷却ファンを備えた大型GPUクーラーを搭載しており、占有スロット数は2.5スロット。カードの長さは267mmとハイエンドクラスのビデオカードにしては短い方だ。動作に必要な補助電源コネクタはPCI-E 8ピン×2系統で、画面出力端子にはDisplayPort 1.4(×2基)、HDMI 2.1、USB Type-Cを備えている。
テスト機材とSmart Access Memory(SAM)
Radeon RX 6800 XTとRadeon RX 6800のテストには、ASUSのSocket AM4対応マザーボード「ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI)」に16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」を搭載したAMD X570環境を利用する。
Radeon RX 6000シリーズは、CPUがPCI Express 4.0バスを通してビデオカードのVRAM全体にアクセスできるようにする技術「Smart Access Memory(SAM)」を備えており、CPUに「Ryzen 5000シリーズ」、マザーボードにSAM対応BIOSを導入したAMD 500シリーズチップセット搭載マザーボードと組み合わせることで、SAMが利用可能となる。
ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI)では、Radeon RX 6000シリーズを搭載した状態で、UEFIメニューから「Above 4G Decoding」と、そのオプションである「Re-Size BAR Support」を有効化することでSAMが有効化される。
AMDからはSAMを有効化した状態でのベンチマークを推奨されているので、今回は基本的にはSAMを有効化した状態でベンチマークを実行し、比較用としてRadeon RX 6800 XTではSAMを無効化したさいのデータも取得した。
Radeon RX 6800シリーズの比較対象として用意したのは、GeForce RTX 3070とGeForce RTX 3080。いずれもNVIDIA純正モデルであるFounders Editionだ。
テストするビデオカードの動作仕様と、そのほかのテスト機材については以下のとおり。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | ||||
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GPU | Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800 XT | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 3080 |
ビデオカードベンダー | AMD | AMD | NVIDIA | NVIDIA |
製品型番 | ─ | ─ | Founders Edition | Founders Edition |
ベースクロック | 1,700MHz | 1,825MHz | 1,500MHz | 1,440MHz |
ゲームクロック | 1,815MHz | 2,015MHz | ─ | ─ |
ブーストクロック | 2,105MHz | 2,250MHz | 1,725MHz | 1,710MHz |
メモリ容量 | 16GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) | 8GB (GDDR6) | 10GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 16.0Gbps | 16.0Gbps | 14.0Gbps | 19.0Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 256bit | 320bit |
メモリ帯域幅 | 512GB/s | 512GB/s | 448GB/s | 760GB/s |
パワーリミット | 不明 (250W?) | 不明 (300W?) | 220W | 320W |
【お詫びと訂正】初出時に、Radeon RX 6800と6800 XTの仕様が一部逆になっておりました。お詫びして訂正させていただきます。
【表3】テスト機材一覧 | ||||
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GPU | Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800 XT | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 3080 |
CPU | Ryzen 9 3950X | |||
CPUパワーリミット | PPT:142W、TDC:95A、EDC:140A | |||
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%) | |||
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI) [UEFI:2402] | |||
メモリ | DDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-53、1.20V) | |||
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |||
アプリケーション用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |||
電源 | CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold) | |||
グラフィックスドライバ | Radeon Software 20.45.01.12 (27.20.14501.12006) | GeForce Game Ready Driver 457.30 (27.21.14.5730) | ||
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 20H2 / build 19042.630) | |||
電源プラン | バランス | |||
室温 | 約27℃ |
ベンチマーク結果
それではベンチマーク結果をみていこう。
実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「VALORANT」、「オーバーウォッチ」、「モンスターハンターワールド : アイスボーン」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Godfall」、「Horizon Zero Dawn」、「Microsoft Flight Simulator」、「V-Ray Benchmark」、「Blender Benchmark」。
今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。
Time SpyではGeForce RTX 3080がトップスコアを記録しており、Radeon RX 6800 XTは約3%差の2番手に位置している。一方、Radeon RX 6800は、GeForce RTX 3070を約8%の差で上回った。
Fire StrikeではRadeon RX 6800 XTが全体ベストのスコアを記録しており、2番手のGeForce RTX 3080に7~12%の差をつけている。Radeon RX 6800はGeForce RTX 3070に15~25%の差をつけ、2番手のGeForce RTX 3080と2~7%差にまで詰め寄っている。
Wild Lifeでトップスコアを記録したのはRadeon RX 6800 XTだが、ここではSAM無効時の方が6%ほど高いスコアを記録している。一方、Radeon RX 6800もGeForce RTX 3070に22%の大差をつけているのだが、Radeon RX 6000シリーズはこのベンチマークテストでは動作が不安定で、3回に1度程度の頻度でベンチマーク途中でテストのクラッシュが発生していた。
DXRテストのPort Royalでトップに立ったのはGeForce RTX 3080で、Radeon RX 6800 XTは2番手だがトップに約29%の大差をつけられ、GeForce RTX 3070に10%差に迫られている。
もう1つのDXRテストであるDirectX Raytracing feature testにおいて、Radeon RX 6000シリーズはGeForce RTX 30シリーズに大きく後れをとっており、Radeon RX 6800 XTはGeForce RTX 3080に約81%もの差をつけられたばかりか、GeForce RTX 3070にも約22%の差をつけられている。
VRMark
VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。
Orange Roomでは、CPUのボトルネックでフレームレートが頭打ちになったGeForce RTX 30シリーズが並ぶ形でトップに立つ一方、それに次ぐ3番手のスコアを記録したのはRadeon RX 6800で、Radeon RX 6800 XTはそれよりさらに2~3%低いスコアとなっている。GPU本来の性能が発揮された結果でないのは明らかであり、ドライバの最適化不足などに理由があるものと考えられる。
Cyan Roomでは打って変わってRadeon RX 6800 XTが全体ベストを記録しており、2番手のGeForce RTX 3080に約11%の差をつけている。Radeon RX 6800もGeForce RTX 3070に約22%の差をつけており、GeForce RTX 3080まで約2%差にまでつめよっている。
Blue Roomでトップスコアを記録したのはGeForce RTX 3080で、Radeon RX 6800 XTは6%差の2番手だった。Radeon RX 6800はGeForce RTX 3070を8%差で上回っている。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。
ここではGeForce RTX 3080が全条件でトップのスコアを記録しており、Radeon RX 6800 XTとの間には7~12%の差がついている。一方、Radeon RX 6800はフルHDでこそGeForce RTX 3070に後れをとっているものの、WQHD以上の画面解像度では逆転している。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。
ファイナルファンタジーXIVに続いてGeForce RTX 3080が最高スコアを記録しており、2番手のRadeon RX 6800 XTに6~18%の差をつけている。一方、Radeon RX 6800のスコアはGeForce RTX 3070とほぼ同等で、上位のRaden RX 6800 XTとの差は11~14%となっている。
Forza Horizon 4
Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。
全体ベストのフレームレートを記録したのはSAM有効時のRadeon RX 6800 XTで、GeForce RTX 3080に7~19%、SAM無効時のRadeon RX 6800 XTに7~17%の差をつけている。どうやら、Forza Horizon 4はSAMの効果が大きいタイトルなようで、Radeon RX 6800もSAM無効時のRadeon RX 6800 XTを上回るパフォーマンスを発揮している。
DIRT 5
DIRT 5では、描画品質をもっとも高い「Ultra High」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
このタイトルもSAMの効果が大きいようで、Radeon RX 6800 XTはSAMを有効にすることで2~11%のフレームレート向上を実現している。これにより、4KではGeForce RTX 3080に約7%の差をつけられているものの、WQHD以下では2~3%の差をつけて全体ベストのパフォーマンスを発揮している。
一方、Radeon RX 6800は、Forza Horizon 4のようなSAMによる下克上こそ起こせていないが、GeForce RTX 3070に5~13%の差をつけている。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした状態と、それに加えてレイトレーシング(DXR)設定を最高にした状態でフレームレートを測定した。
レイトレーシング無効時に全体ベストのフレームレートを記録したのは、SAM有効時のRadeon RX 6800 XTで、GeForce RTX 3080に3~10%の差をつけている。また、SAM無効時であってもGeForce RTX 3080を僅かに上回っている。Radeon RX 6800もGeForce RTX 3070に5~13%の差をつけて上回った。
レイトレーシングを最高品質で有効にすると、一転してGeForce RTX 30シリーズが強さをみせており、GeForce RTX 3080はRadeon RX 6800 XTに約76%の大差をつけている。GeForce RTX 3070もRadeon RX 6800 XTに22~33%差をつけて全体2番手の結果を記録している。ただ、WQHD以上ではいずれのGPUも30fpsを下回っており、プレイするのが厳しいことには変わりない。
レインボーシックス シージ
レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。
Radeon RX 6800 XTはSAMを有効にすることで2~9%フレームレートが向上しており、フルHDとWQHDではGeForce RTX 3080に2~9%の差をつけて全体ベストの結果を記録している。Radeon RX 6800はGeForce RTX 3070に7~18%の差をつけた。
VALORANT
VALORANTでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。
Radeon RX 6800 XTがフルHDとWQHDで記録したフレームレートを見れば、CPUのボトルネックによってGPU性能がフルに発揮できていないことは明らかだが、CPUがボトルネックになるような条件では、GeForce RTX 30シリーズの方が高いフレームレートになるようだ。
細かく見ればRadeon RX 6800 XTはGeForce RTX 3080に及ばず、Radeon RX 6800はWQHD以上でGeForce RTX 3070を上回っているのだが、どのGPUも最速のゲーミングモニターの表示能力を引き出せるだけの実力を備えていることは確かだ。
オーバーウォッチ
オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。
オーバーウォッチでのベストはGeForce RTX 3080で、Radeon RX 6800 XTは8~12%差の2番手に位置している。Radeon RX 6800はフルHDでGeForce RTX 3070に2%の差をつけられているが、WQHD以上になると逆に3~8%の差をつけている。
モンスターハンターワールド : アイスボーン
モンスターハンターワールド : アイスボーンでは、描画品質「最高」をベースにしつつ、テクスチャ品質を「High Resolution Texture Pack」に設定してフレームレートを測定した。グラフィックスAPIにはDirectX 12を利用している。
もっとも高いフレームレートを記録したのはGeForce RTX 3080で、2番手のRadeon RX 6800 XTに7~22%の差をつけ、4Kでは唯一60fpsを超える平均フレームレートを実現している。Radeon RX 6800は、WQHD以下でGeForce RTX 3070に約5%の差をつけており、4Kでもほぼ同等のフレームレートを記録した。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。
このタイトルではSAMが大きな効果を発揮しており、Raden RX 6800 XTはSAMを有効にすることで3~18%のフレームレート向上を実現している。また、Radeon RX 6800もWQHD以下ではSAM無効時のRadeon RX 6800 XTに勝るとも劣らぬ数値を記録した。
結果、SAM有効時のRadeon RX 6800 XTは、GeForce RTX 3080に11~56%の差をつけてトップに立っており、Radeon RX 6800もGeForce RTX 3070に33~53%もの差をつけて圧倒している。
ウォッチドッグス レギオン
ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質「最大」をベースに、レイトレーシングを「オフ」にしたさいと、「最大」にしたさいのベンチマーク結果を取得した。
レイトレーシング無効時のRadeon RX 6800 XTは、フルHDでは7%差でGeForce RTX 3080を上回る一方、WQHDではほぼ同等、4Kでは逆に15%の差をつけられている。一方、Radeon RX 6800は、フルHDで約6%、WQHDで約1%、4Kで約14%の差をつけ、GeForce RTX 3070を上回った。4Kでの差が開いたのは、GeForce RTX 3070のVRAM容量が不足していることも影響しているだろう。
レイトレーシングの品質設定を「最大」で有効にした場合、Radeon RX 6800 XTはトップのGeForce RTX 3080と6~11%差の全体2番手に位置している。一方、Radeon RX 6800は、VRAM不足気味のGeForce RTX 3070に4~26%の差をつけている。
Godfall
Godfallでは、描画品質を最高の「エピック」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
GodfallはSAMがそれなりに効果を発揮しており、Radeon RX 6800 XTはSAMによって1~5%のパフォーマンスアップを果たし、すべての画面解像度で最高のフレームレートを記録した。GeForce RTX 3080との差は3~22%。
一方、Radeon RX 6800はGeForce RTX 3070に16~34%の差をつけ、フルHDではGeForce RTX 3080に約6%の差をつけて上回っている。
Horizon Zero Dawn
Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6800 XTの結果は、トップのGeForce RTX 3080と2~9%差の全体2番手に位置している。Radeon RX 6800はGeForce RTX 3070に7~8%の差をつけ、4K解像度でもちょうど平均60fpsを記録した。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行った。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。
もっとも高いフレームレートを記録したのはGeForce RTX 3080で、Radeon RX 6800 XTは1~24%差の2番手に位置している。約24%の差はもっともGPU負荷の高い4Kでついたものであり、WQHD以下のようにCPUがボトルネックとなる条件でなければ、GeForceの方が高いフレームレートが出る傾向にあるようだ。
V-Ray Benchmark
レンダリングエンジンV-Rayのオフィシャルベンチマークソフト「V-Ray Benchmark」では、GPUでレンダリングを実行する「V-RAY GPU」を実行した。
ここではRadeon RX 6800 XTとRadeon RX 6800が167~171mpathsで横並びとなっており、479mpathsを記録したGeForce RTX 3070に約2.8倍、663mpathsを記録したGeForce RTX 3080には約3.9倍もの大差をつけられている。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、Radeon RX 6800シリーズはOpenCL、GeForce RTX 30シリーズはOptiXを用いてGPUレンダリングを実行した。
Radeon RX 6800 XTの結果に注目すると、SAMの有無による差はほぼついておらず、下位モデルのRadeon RX 6800との差は13~29%だった。なお、Radeon RX 6800シリーズは、最後のテストである「Victor」を実行するとテストがクラッシュするため実行できなかった。
全体ベストの結果を記録したのはGeForce RTX 3080で、Radeon RX 6800 XTに1.5~3.6倍の速度差をつけて圧倒している。GeForce RTX 3070もすべてのテストでRadeon RX 6800 XTを上回っている。
消費電力とモニタリングデータ
ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中のピーク消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。
アイドル時消費電力は、Radeon RX 6800 XTの65Wがもっとも高い数値となっているが、ほかのGPUが横並びとなった63Wとはわずか2W差であり、ほぼ差がついていないと言って差し支えない。
ベンチマーク実行中のピーク消費電力については、346~512Wを記録したRadeon RX 6800 XTが、GPU本来の実力を発揮できなかったOrange Room(VRMark)を除き、GeForce RTX 3080に次ぐ2番目に高い数値となっている。Radeon RX 6800の消費電力は357~440Wで、373~438Wを記録したGeForce RTX 3070と近いものとなっている。ベンチマークスコアを考慮すれば、Radeon RX 6800シリーズの電力効率はGeForce RTX 30シリーズに勝るとも劣らぬものであるようだ。
続いて、ベンチマークテスト実行中にモニタリングソフト「HWiNFO」を使って取得したデータをグラフ化した。使用したベンチマークテストは「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」で、テスト時の室温は約27℃。
Radeon RX 6800 XTは、250~270Wほどの電力(GPU ASIC Power)を消費しながら、2,300MHz前後のGPUクロックで動作している。セミファンレス動作に対応するGPUクーラーの冷却ファンは最大1,300rpmで動作しており、ピーク温度はGPU温度が68℃で、GPUホットスポット温度が87℃だった。
Radeon RX 6800は、200W前後の電力を消費しながら、2,300MHz弱のGPUクロックで動作している。GPUクーラーが備える冷却ファンの回転数は最大で約1,700rpmまで上昇しており、GPU温度のピーク値が65℃で、GPUホットスポット温度は83℃。
GeForce RTX 30シリーズのライバルに相応しい実力を備えた新世代Radeon
ゲームタイトルごとに得手不得手は分かれる恰好となったが、Radeon RX 6800 XTはGeForce RTX 3080のライバルに相応しいゲーミング性能を備えたGPUだ。下位モデルのRadeon RX 6800もGeForce RTX 3070を凌ぐ性能を実現しており、潤沢なVRAM容量も相まって、価格次第では多くのゲーマーから選ばれる製品になり得るだろう。
また、今回のテストではSAMことSmart Access Memoryで大きくパフォーマンスが向上するゲームも確認できた。デメリットはほぼないと言える結果でもあったので、Radeon RX 6000シリーズを導入するのであれば、SAMが使えるCPUとマザーボードの導入も合わせて検討したい。
【お知らせ】
「Radeon RX 6800 XTを最速生レビュー!! GeForce RTX 3080越えはなるか!?」“KTU”加藤勝明氏と“改造バカ”高橋敏也氏が、Radeon RX 6800 XTを最速ライブ検証!その速さはホンモノか、その目でお確かめください!!(ライブ終了後は録画版を視聴できます)