Hothotレビュー

Apple M1版MacBook Proを検証。Core i9を上回る性能でバッテリ駆動時間も驚異的

~互換機能のRosetta 2でも十分な速さで動作

Apple M1搭載の「13インチMacBook Pro(2020)」13万4,800円~

 Appleは11月10日(米国時間)、自社開発のSoC「Apple M1」(以下M1)を搭載した「MacBook Air」、「13インチMacBook Pro」、「Mac mini」を発表、同日より予約を開始し、11月17日に発売した。Appleは「Appleシリコンへの移行が完了するまでには、約2年かかる」としており、当面は全シリーズでIntel系CPUを搭載した製品を併売しつつも、すべてのMacをApple Siliconへ移行する予定だ。

 「Mac Pro」、「16インチMacBook Pro」、「iMac」などに向けてどのようなApple Silicon搭載機がリリースされるのか現時点では不明だが、今回はディスクリートGPU非搭載で、ラインナップ的にはエントリーに位置づけられるシリーズからApple Siliconの歴史がはじまった。

 とは言っても、M1搭載Macは、従来モデルよりCPU性能が最大3.5倍、GPU性能が最大6倍、マシンラーニングが最大15倍高速になったと謳われている。今回はAppleよりM1搭載の「13インチMacBook Pro」を借用したので、M1関連の話題を中心にレビューしていこう。

カタログスペックでもっとも大きな違いはバッテリ駆動時間

 SoCとしてM1を採用する「13インチMacBook Pro」は、メモリは8GB/16GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TBのいずれかを選択できる。初期OSは「macOS Big Sur バ-ジョン11.0」だが、記事執筆時点でバージョン11.0.1のアップデートがすでに提供されている。

 ディスプレイは、13.3型IPS液晶(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、光沢、500cd/平方m、色域P3、タッチ非対応、スタイラス非対応)と、Intel CPU搭載の13インチMacBook Proと同じだが、無線LANはWi-Fi 5からWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)にアップグレードされ、3アレイマイクも「スタジオ品質」と差別化されている。

 ある意味スペックでもっとも大きな違いはバッテリ駆動時間。バッテリ容量自体は58.2Whと同じだが(Thunderbolt 3ポートを4基装備する13インチMacBook Proのみ58.0Wh)、バッテリ駆動時間はIntel版が最大10時間のワイヤレスインターネット/最大10時間のApple TVアプリのムービー再生なのに対して、M1版は最大17時間のワイヤレスインターネット/最大20時間のApple TVアプリのムービー再生とされている。CPUが高性能コア×4、高効率コア×4で構成されたM1搭載MacBook Proならではの低消費電力性能と言える。

【表1】M1搭載MacBook Pro 13インチのスペック
OSmacOS Big Sur バ-ジョン11.0
CPUApple M1
8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、
8コアGPU、16コアNeural Engine
メモリ8GB/16GBユニファイドメモリ(DDR4)
ストレージ256GB/512GB/1TB/2TB SSD
ディスプレイ13.3型(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、光沢、500cd/平方m、色域P3、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0
WWAN
インターフェイスThunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gbps、USB 3.1接続時最大10Gbps)、3.5mmヘッドフォンジャック
カメラWebカメラ(720p)
バッテリ容量58.2Wh
バッテリ駆動時間最大17時間のワイヤレスインターネット、最大20時間のApple TVアプリのムービー再生
バッテリ充電時間
本体サイズ304.1×212.4×15.6mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.4kg
セキュリティTouch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン)
内蔵アプリ写真、iMovie、GarageBand、Pages、Numbers、Keynote、Siri、Safari、メール、FaceTime、メッセージ、マップ、株価、ホーム、ボイスメモ、メモ、カレンダー、連絡先、リマインダー、Photo Booth、プレビュー、ミュージック、Podcast、TV、ブック、App Store、Time Machine、探す、QuickTime Player
同梱品61W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2m)
カラーシルバー、スペースグレイ
【表2】M1搭載MacBook Pro 13インチの価格一覧
M1/8GB/256GB ※標準構成13万4,800円
M1/8GB/512GB ※標準構成15万4,800円
M1/8GB/1TB17万4,800円
M1/8GB/2TB21万4,800円
M1/16GB/256GB15万4,800円
M1/16GB/512GB17万4,800円
M1/16GB/1TB19万4,800円
M1/16GB/2TB23万4,800円

 同じくM1を搭載する「MacBook Air」との違いも下記の表にまとめた。列挙すると多くの違いがあるが、その一方でユーザー体験を大きく左右する違いではないようにも思える。もっとも気になるのは冷却ファンのあるなしで、M1のピークパワーがどのくらい変わってくるかだ。M1の「MacBook Air」については後日レビューが掲載される予定なので、続報をお待ちいただきたい。

【表3】M1搭載の13インチMacBook ProとMacBook Airの差分
MacBook ProMacBook Air
価格13万4,800円~10万4,800円~
カラーシルバー、スペースグレイシルバー、スペースグレイ、ゴールド
GPU8コア7コアまたは8コア
バッテリ容量58.2Wh49.9Wh
バッテリ駆動時間最大20時間最大18時間
ファンクションキーTouch Bar物理キー
ディスプレイ輝度500cd/平方m400cd/平方m
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
304.1×212.4×15.6mm304.1×212.4×4.1~16.1mm
重量約1.4kg約1.29kg
スピーカーハイダイナミックレンジステレオスピーカーステレオスピーカー
マイクスタジオ品質の3マイクアレイ3マイクアレイ
冷却ファン搭載非搭載

Thunderbolt 3に接続できる外部ディスプレイは1台のみ

 外観は基本的に従来モデルと同じ。本体サイズは304.1×212.4×15.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.4kg。筐体にはリサイクル可能な低炭素アルミニウム素材が使われており、本体カラーはシルバーとスペースグレイが用意されている。

 インターフェイスはThunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gbps、USB 3.1接続時最大10Gbps)、3.5mmヘッドフォンジャックを装備しており、1台の外部ディスプレイに最大6K解像度/60Hzで映像出力できる。

 ただし、Coreプロセッサ搭載のMacBook Proとは異なり、2台の外部ディスプレイに対して映像出力できない点には注意してほしい。

Thunderbolt 3経由で2台のディスプレイを接続しても、2台目に映像は出力されない

 必然性がなければデザインを変更する必要はないというAppleの方針には完全に同意だが、Thunderbolt 3端子が左側のみなのは2ポートのMacBookの欠点だと思う。片側からしか充電できないのが不便なのだ。

 M1搭載Mac miniもThunderbolt 3端子が2つに減らされており、接続できる外部ディスプレイもThunderbolt 3経由で1台、HDMI経由で1台の合計2台に制限されている。Thunderbolt 3端子が最大2つなのは、M1の仕様の上限である可能性がある。

本体天面。筐体はリサイクル可能な低炭素アルミニウム素材
本体底面。上側に認証情報やシリアルアンバーがレーザー刻印されている
ディスプレイ面。ディスプレイ上部に「720p FaceTime HDカメラ」が内蔵
キーボード面。キーボードは日本語(JIS)、英語(米国)、英語(英国)、中国語-拼音、中国語-注音、韓国語、スペイン語版が用意
本体前面と本体背面
本体右側面には3.5mmヘッドフォンジャック、本体左側面にはThunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gbps、USB 3.1接続時最大10Gbps)が装備
2世代目のTouch Barはescキーが独立しており、物理的なファンクションキーを使わない筆者には便利な装備だ
キーピッチは実測19mm前後
キーストロークは1mm
文字キーの押圧力は0.51N前後
キーボードバックライトは16段階できめ細かに調整できる
本体同梱物一覧
同梱物には、61W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2m)が付属
61W USB-C電源アダプタの仕様は、入力100-240V~1.5A、出力20.3V/3A、15V/3A、9V/3A、5.2V/3A、容量は60.9W
本体の実測重量は1,370g
61W USB-C電源アダプタとUSB-C充電ケーブル(2m)の合計重量は実測267.1g
左がM1搭載の「13インチMacBook Pro」、右が「16インチMacBook Pro(2019)で撮影した写真。カメラの画素数は同じだが、M1で実現した画像処理機能により、ホワイトバランスや露出を調整し、ノイズも低減してくれる

M1の基本スペックについておさらい

 M1はMacのためにAppleが独自設計したSoCで、iPhone、iPad用に搭載されているArm系プロセッサが元になっている。パソコン用プロセッサとしてははじめて、5nmプロセス技術で製造されており、トランジスタ数は160億個。CPU、GPU、セキュリティ、I/O、メモリなどがワンチップに統合されている。

 今回のM1には、8コアCPU(高性能コア×4、高効率コア×4)、7コアまたは8コアのGPU、16コアのNeural Engineが搭載されており、処理内容に応じて高性能コアと高効率コアすべてが協調してマルチタスクスレッドを高速に処理したり、またはかぎられた高効率コアで消費電力を最低限に抑えてくれる。高性能と低消費電力を両立させたプロセッサというわけだ。

 さらにM1にはメモリ(DRAM)が「ユニファイドメモリ」(統合メモリ)としてオンチップ化されており、CPU、GPU、Neural Engineがメモリへ均等にアクセス可能。また、ディスプレイ、グラフィックス、ビデオデコードなどに同じデータフォーマットを使用しているので、アプリはこれまで以上に効率的に、多くのメモリにアクセスできる。この仕組みによっても、性能とエネルギー効率が改善されているとのことだ。

M1は5nmプロセスで製造されており、トランジスタ数は160億個に達している。また、CPU、GPU、セキュリティ、I/O、メモリなどのチップが統合されている

 なおAppleは、M1のプレスリリースのなかで、「CPU性能は最大3.5倍、GPU性能は最大6倍、マシンラーニングでは最大15倍高速」と謳っているが、これは「MacBook Air」、「MacBook Pro」、「Mac mini」の従来モデルと比較したさいの最大値が採用されている。1モデルとの比較ではない点には注意してほしい。

 このほかのM1の詳細については既報『Mac用新CPU「M1」は、5nmプロセスで”世界最速CPUコア”搭載』を参照してほしい。

M1搭載Macで動作するアプリは4つに分類

 M1搭載Macで動作するアプリは、M1用のネイティブアプリとして作られた「Appleのアプリ」、M1用とIntel CPU用のネイティブバイナリの両方が含まれている「ユニバーサルアプリ」、Intel CPU用に作られた「既存のアプリ」、そしてiPhone、iPad用の「iOSアプリ」の4つに分類される。

 もっとも高速に動作するのはもちろん、Appleのアプリと、M1用ネイティブバイナリが含まれるユニバーサルアプリ。Apple製のすべてのアプリはM1搭載Macでネイティブに動作するように作られており、Adobeは12月から「Lightroom」を、来年(2021年)はじめから「Photoshop」などを順次ユニバーサルアプリとしてリリースする予定だ。

「Appleのアプリ」、M1用とIntel CPU用のネイティブバイナリの両方が含まれている「ユニバーサルアプリ」は「種類」の最後に「Universal」と表示される。なお、ユニバーサルアプリは、アプリの「情報を見る」から「Rosettaを使用して開く」のチェックを入れておくことで、あえて「Rosetta 2」で変換したバイナリを実行することが可能だ
M1搭載MacでIntel CPU用のネイティブバイナリを初めて実行した際に、「Rosetta」(Rosetta 2)のインストールが促される

 Intel CPU用に作られた「既存のアプリ」は、「Rosetta 2」という変換機能経由で利用できる。Rosetta 2はIntel CPU用のネイティブバイナリをM1用に変換する機能。アプリのインストール時、アプリの初回起動時に自動的に実行される。また、アプリにプラグイン、動的なコード、JavaScriptなどが含まれる場合には、その都度変換が実行される。

Intel CPU搭載Mac用に作られた「既存のアプリ」は「種類」の最後に「Intel」と表示される

 筆者が今回試用したかぎりではRosetta 2のインストール以降は、とくにRosetta 2が機能していることを示すメッセージなどは表示されなかったが、ベンチマーク「Cinebench R20.060」の初回起動には13秒44、再起動後の2回目の起動には6秒69と大きな差があった。Intel CPU搭載Macでは初回起動が3秒94、再起動後の2回目の起動が2秒84と、M1搭載Macほどの差は開かなかった。M1搭載Macの7秒弱の起動時間の差にはRosetta 2の変換作業が含まれていると思われる。

 Intel CPU搭載Mac用に作られた「既存のアプリ」との互換性については、確定情報としてお伝えできるほど試用できていないが、「Premiere」や「Lightroom Classic」についてはインストール、起動、動画の書き出しまたはRAWデータの現像については正常に動作した。今回、エラーが出たのはカラーキャリブレーションアプリ「i1Profiler v 3.3.0」だけだった。とは言え「Premiere」や「Lightroom Classic」については全機能を試したわけではない。あくまでも参考に留めてほしい。

 iPhone、iPad用の「iOSアプリ」はそもそも現状利用できるアプリが少ないというのが率直な感想。遊べるかどうかは別にして、「PUBG」、「荒野行動」、「モンスターストライク」、「パズドラ」、「アイドルマスター」、「Free Fire」、「スマートニュース」などのキーワードを試したが、これらはすべて利用できなかった。一方、意外なところで「DJI」や「Oculus」などは検索結果として表示され、また「漫画」は数多くの「マンガアプリ」がヒットした。

 タッチパネル向けに開発されているiPhone、iPad用の「iOSアプリ」で、操作に問題がないアプリは限定されるのかもしれない。しかしできるだけ多くのiPhone、iPad用「iOSアプリ」がM1搭載Macで利用できるようになることを期待したい。

Adobeの「Creative Cloud」でM1搭載MacにIntel CPU搭載Mac用に作られた「既存のアプリ」をインストールしようとすると、警告メッセージが表示される
iPhone、iPad用の「iOSアプリ」は種類の最後に「Appleシリコン」と表示される
アプリの検索結果は「Mac App」と「iPhoneおよびiPad App」に分類して表示される
DJIのジンバル用アプリ「DJI Mimo」、ドローン用アプリ「DJI GO 4」は、「macOSでは検証されていません」という注釈がついて表示される。このほかにもApp Storeに表示されるが、注釈がつくアプリは多い
「漫画」という検索キーワードでは多くの「マンガアプリ」がヒットした。M1搭載Macは電子書籍リーダーとしても重宝しそうだ
iPhone、iPad用の「iOSアプリ」は複数起動可能

実アプリでCore i9搭載MacBook Proを上回る処理速度を発揮!

 M1を搭載する「13インチMacBook Pro」はどのぐらいの性能を備えているのだろうか? 今回はCore i9-9880Hを搭載する「16インチMacBook Pro(2019)」、Core i5-1030NG7を搭載する「13インチMacBook Air(2020)」、そしてA12X Bionicを搭載する「12.9インチiPad Pro(第3世代)」、A14 Bionicを搭載する「iPad Air(第4世代)」と比較してみた。

 8コア16スレッド、2.3~4.8GHz動作のCore i9-9880Hを搭載する「16インチMacBook Pro(2019)」は価格差が開きすぎているが、現行MacBookのハイエンドモデルの比較対象機種として採用した。興味深い結果となったのでぜひご覧いただきたい。

 実施したベンチマークはCPUベンチマーク「Cinebench R23.200」、「Cinebench R20.060」、「Cinebench R15.0」、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 5」、ストレージベンチマーク「Blackmagic Disk Speed Test」、「AmorphousDiskMark 1.0.2」、「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像、「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し、「iMovie」で実時間5分の4K動画を書き出し、YouTube動画を連続再生した動作時間の10本だ。

【表4】ベンチマーク結果
13インチMacBook Pro(M1、2020)16インチMacBook Pro(2019)13インチMacBook Air(2020)12.9インチiPad Pro(第3世代)iPad Air(第4世代)
SoCApple M1A12X BionicA14 Bionic
CPU高性能コア×4
高効率コア×4
Core i9-9880H
8コア16スレッド、2.3~4.8GHz
Core i5-1030NG7
4コア8スレッド、1.1~3.5GHz)
高性能コア×4
高効率コア×4
高性能コア×2
高効率コア×4
GPU8コアAMD Radeon Pro 5500M 4GBIntel Iris Plus Graphics(300MHz~1.05GHz)7コア4コア
Neural Engine16コア8コア16コア
メモリ8GB16GB8GB6GB4GB
ストレ-ジ256GB1TB512GB1TB256GB
TDP45W10W
OSmacOS Big Sur バージョン11.0.1macOS Big Sur バージョン11.0.1macOS Catalina バ-ジョン10.15.4iPadOS 14.2iPadOS 14
Cinebench R23.200(M1対応)
CPU(Multi Core)7,744 pts8,780 pts
CPU(Single Core)1,498 pts1,177 pts
Cinebench R20.060
CPU2,092 pts3,465 pts964 pts
CPU(Single Core)401 pts460 pts367 pts
Cinebench R15.0
OpenGL88.26 fps124.59 fps42.52 fps
CPU1,068 cb1,489 cb476 cb
CPU(Single Core)208 cb186 cb146 cb
Geekbench 5
Single-Core Score1,2541,1401,1601,1201,592
Multi-Core Score5,6746,9212,7334,6554,226
Single-Core Score(Apple Sillicon)1,728
Multi-Core Score(Apple Sillicon)7,569
Compute(Metal)26,094(dGPU)9,43011,16812,680
Compute(OpenCL)19,248(Apple Silicon)33,059(dGPU)8,323
Blackmagic Disk Speed Test(単位 : MB/s)
WRITE 1回目2276.62754.61329.8
WRITE 2回目2178.12780.31333.1
WRITE 3回目2243.22737.81333.5
WRITE 4回目2087.82783.81333.4
WRITE 5回目2327.12807.51331.4
WRITE 平均2222.62772.81332.2
READ 1回目2754.62777.31294.5
READ 2回目2767.62775.61303.4
READ 3回目2767.72770.81269.3
READ 4回目2756.62777.81301.5
READ 5回目2739.22777.71306.3
READ 平均2757.12775.81295.0
SSDをAmorphousDiskMark 3.1で計測(単位 : MB/s)
SEQ128K QD32 シ-ケンシャルリ-ド3,397.043,458.821,542.48
SEQ128K QD32 シ-ケンシャルライト2,498.233,308.411,274.35
RND4K QD32 ランダムリ-ド2,354.072,211.46699.22
RND4K QD32 ランダムライト2,679.991,840.112.93
SEQ1M QD1 シ-ケンシャルリ-ド1,229.38903.661,042.65
SEQ1M QD1 シ-ケンシャルライト90.23269.41545.44
RND4K QD1 ランダムリ-ド67.3648.0462.32
RND4K QD1 ランダムライト33.45335.3713
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952×5,304ドット、カラ- - 自然5分5秒484分52秒9914分14秒05
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps3分18秒813分12秒977分25秒60
iMovieで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、29.97fps(品質 : 高、圧縮 : 高速)3分9秒313分23秒756分23秒58
3,840×2,160ドット、29.97fps(品質 : 最高(ProRes)、圧縮 : 品質優先)
YouTube動画を連続再生した動作時間
ディスプレイの明るさ6/16、音量6/1618時間35分55秒10時間5分0秒

 まず注目したいのがCPUベンチマーク。Cinebench R15.0とCinebench R20.060の「CPU」はRosetta 2で変換したバイナリで実行されており、M1搭載MacはCore i9搭載Macに対してCinebench R15.0で約72%、Cinebench R20.060で約60%のスコアにとどまっている。

 しかし、M1ネイティブのCinebench R23.0ではM1搭載MacはCore i9搭載Macに対して約88%にまでスコアを詰め、Geekbench 5のMulti-Core Score(Apple Siliconとの比較)では109%上回るスコアを記録している。

 さらに驚かされたのが実際のアプリの処理速度。同じくM1搭載MacはCore i9搭載Macに対して、Rosetta 2で変換したバイナリで実行されているLightroomで約104%、Premiere Proで約103%と所要時間がほとんど変わらず、iMovieでは約93%の所要時間で処理を終えてしまった。

 M1ネイティブのアプリがもっと増えた段階で、さらに多くの検証を実施しなければ最終的な結論は出せないが、少なくとも今回検証したかぎりではM1搭載Macは条件次第でCore i9搭載Macを超える性能を備えているとは言えそうだ。

 そしてバッテリ駆動時間については、18時間35分55秒という驚異的な値を記録した。ディスプレイの明るさ6/16、音量6/16でYouTubeの動画を連続再生し続けてこの結果なので、かなり電力効率が良いと言える。

「Cinebench R23.200」を連続9分間動作させたさいのキーボード面の最大温度は42.5℃
底面の最大温度は40.1℃
「61W USB-C電源アダプタ」の最大温度は35.5℃
アイドル時の消費電力は3.75W前後。「Cinebench R23.200」を実行すると一瞬最大32.5Wまで増えたが、その後は24.2W前後で推移した

Appleが自社製プロセッサへの移行を決断したことを諸手を挙げて賛同

 今回は試用期間が短かったため、まだまだほかにも実施したい検証項目がある。しかし数日試用し、実アプリも含めてベンチマークを実施したが、予想していた以上にM1搭載Macが安定しており、またRosetta 2で変換したアプリも十分に速いというのが率直な感想。

 なにしろRosetta 2で変換したバイナリで実行されているPremiere Proで、5分の4K動画の書き出しに3分18秒81しかかからない。サードパーティーからM1ネイティブアプリが出そろえば、膝上でクリエイティブワークを快適にこなせる環境が実現するはずだ。Appleが自社製プロセッサへの移行を決断したことを諸手挙げて賛同したくなるほどの性能と完成度を備えたニューモデルと言える。