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M1 Macで確定申告に挑戦! マイナンバーカードを読み取れる“M1対応”ICカード・リーダ/ライターを試す

 オンラインで確定申告が可能な「e-Tax」ですが、最新のM1チップを搭載したMac(以下、M1 Mac)ではマイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダ/ライターが正常に動作しない問題が発生していました。そんななか、エレコムから最新のmacOS「Big Sur」への対応を謳った新製品2モデルが登場。同社広報部によると「M1にも対応しており利用可能」とのことなので、さっそくM1 Macでe-Taxによる確定申告に挑戦してみました。

2月中旬より発売開始されたエレコムの非接触式ICカードリーダ/ライター「MR-ICA001BK」。e-Taxやマイナポイント申請などの公的個人認証サービスに対応します

M1 Macに立ちはだかる壁

 令和2年度の確定申告が2021年2月16日よりはじまりました。今年(2021年)は各地に設置される申告会場に「入場整理券」が必要となったり、オンラインで申告できる「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」が推奨されるなど、新型コロナウイルスの感染リスクを下げる取り組みがなされています。

 また、例年3月中旬までの申告・納付期間が特例により4月15日まで延長されました。いつも期日ギリギリになってから焦りはじめる「先延ばし癖」のある筆者にとっては、本当にありがたい措置。「……よし、今年は早く終わらせよう!」と重い腰を上げたのですが、1つ大きな問題があることに気づきました。

 それは、「マイナンバーカード方式によるe-Tax送信」が、最新のM1 Macと既存のICカードリーダ/ライターの組みあわせでは一部正常に動作しないというもの。簡単に言えば、M1 Macでマイナンバーカードが読み取れないので、これまでのようにMacからe-Taxで確定申告を行なえない場合があるのです。

M1 Macに対応していないICカードリーダ/ライターの場合は、e-Taxの環境確認画面で先に進めないことがあります

 この件に関しては国税庁も注意喚起を行なっていて、ICカードリーダ/ライターが対応していない場合は「ID・パスワード方式でのe-Tax提出」や「スマートフォンでのe-Tax送信」などを検討するよう促しています。とは言え、前者の場合は税務署に赴いて本人確認や申請手続きをする必要があります。

 また、後者の場合は、NFCに対応した「マイナポータルAP」アプリを使ってiPhoneなどのスマートフォンでマイナンバーカードの認証を行ない、政府が運営するマイナポータルの「もっとつながる」機能を利用してe-TAXと連携する必要があるなど手順がやや複雑です。もちろん、オンラインではなく、「申告書等を印刷して書面提出」することも可能ですが、それはアナログ時代に逆戻りするので避けたいところです……。

国税庁では、iPhoneなどスマートフォンでのe-Tax送信を推奨しています

M1 Mac対応製品が登場

 さて、どうしたものか……と悩むこと数日、朗報がとつぜん舞い込んできました。エレコムからM1 Macに対応したICカードリーダ/ライターが発売開始されたのです。製品名は「MR-ICA001BK」と「MR-ICD102BK」の2タイプで、いずれも公的個人認証サービスに対応し、e-Taxやマイナポータル、マイナポイント申請、eLTAXなどに利用できます。

 MR-ICA001BKは非接触式で、公的個人認証以外にもFeliCa(フェリカ)やMifare(マイフェア)などにも対応しているのがメリット。一方のMR-ICD102BKは、USBメモリのようなつくりで軽量コンパクトなのが利点です。どちらにしようか悩みましたが、今回は幅広いカードに対応したMR-ICA001BKをチョイス。量販店での価格は5,250円でした(ちなみに、MR-ICD102BKは2,700円前後)。

 なお、MR-ICA001BKはケーブル接続、MR-ICD102BKは直差しという違いはあるものの、ともにインターフェイスはUSB Type-Aです。そのため、M1のMacBook Air(またはMacBook Pro)のUSB Type-Cに接続するにはAppleの「USB-C - USBアダプタ」や「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」などの変換アダプタが必要となる点には注意しましょう。

MR-ICA001BK
MR-ICD102BK

M1 Macで事前準備を行なう

 さて、M1 Macに対応するICカードリーダ/ライターを手に入れたので、さっそく国税庁の「確定申告書作成コーナー」から申告を行なってみました。まずは、「確定申告書作成コーナー」の動作環境の確認ですが、macOS Big SurがプリインストールされているM1 MacではSafari 14.0のみが対応環境となっています。

 次に「事前準備セットアップファイル」のダウンロードとインストールを行ないます。昨年(2020年)もe-Taxをした場合は旧バージョンの「確定申告書作成コーナーAP」ファイルが「アプリケーション」フォルダに残っているので削除しておくこと、インストール時にはSafariを終了しておくこと、System Eventsを制御するアクセス権を許可することという3つのトラップがありましたが、これをクリアすれば問題なくインストールに成功。

 その後、Safariを起動して「環境設定」の「機能拡張」タブから「(No.1)確定申告書作成コーナーAP 3.0」と「(No.2)確定申告書作成コーナーAP 3.0」、「e-Taxソフト(Web版)」のチェックボックスを有効にしておく必要があります。

 はじめて挑戦する人にとっては、ここまでだけでもたいへんそうに思えるかもしれませんが、数年前までは最新バージョンのOSやブラウザは非対応で、ダウンロードした「事前準備セットアップファイル」が「開発元未確認」と表示されることなどを思えば、これでもだいぶ楽になりました。

確定申告書作成コーナーから「作成開始」に進むと税務署への提出方法選択画面になります。Macではe-Taxの「マイナンバー方式」を選びます
「事前準備セットアップファイル」後にSafariの機能拡張で、e-Taxアプリ3種類を有効にします。デフォルトでは無効になっています

M1 Macで読み取りに無事成功

 事前準備をクリアしたら、利用規約に同意して画面に表示される「マイナンバーカードの読み取り」をクリックし、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書のパスワード(パスコード)を数字4桁で入力します。ちなみに、マイナンバーカードのパスワードにはほかにも「署名用パスワード」と「券面事項入力補助用パスワード」、「個人番号カード用パスワード」の4種類があります(名称は自治体により異なります)。これを3回間違えると、お近くの市区町村役場でパスワード再申請の用紙をイチから手書きすることになるので、くれぐれもご注意ください。

 そして、ここでいよいよMR-ICA001BKにマイナンバーカードをかざしてみます。

 「ピッ」。

 成功です。この音が鳴ったら認証が開始され、申告書等の作成と送信へと進むことができます。確定申告におけるICカードリーダ/ライターの出番は基本的にここだけですが、無事M1 Macでもe-Taxによる確定申告が行なえることがわかり、ほっと一息です。

ICカードリーダ/ライターをM1 Macに接続し、「マイナンバーカードの読み取り」をクリック、電子証明書用のパスワードを入力します
非接触型のMR-ICA001BKでは、マイナンバーカードをかざすだけで認識が行なわれ、読み取り音が鳴ります。LEDランプもあるので動作状況はわかりやすいです
認証が完了すると申告書の作成画面に進めます。ここから先は一般的な確定申告の手順となりますので、書籍やWebサイトを参考に申告作業を進めましょう
Safari 14.0.2までは動作していても、Safari 14.0.3にアップデートすることでマイナンバーカードによる認証ができない現象が発生しているようです

 なお、ここまでの方法でうまくいけばよいのですが、国税庁によると最新のSafari 14.0.3でマイナンバーカードによる認証を行なおうとすると、先に進めない問題があるようです。これはM1 MacだけでなくIntel Macも対象で、その場合は、マイナポータルの「もっとつながる」機能を利用して、マイナポータルでマイナンバーカードを読み取って作成コーナーに進む方法を利用するよう案内されています。MR-ICA001BKやMR-ICD102BKはマイナポータルにも対応していますので、もし問題がある場合はこちらを試してみましょう。

 e-Taxには自宅からオンラインで手続きできる以外にも、添付書類の省略や還付金の支払いが早いこと、青色申告では特別控除額が(ほかの要件も満たせば)10万円分増えるなどのメリットがありますので、フリーランスの個人事業者にはおすすめです。筆者のケースではM1 Macでも問題なく行なえましたので、ぜひチャレンジしてみてください。