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美麗すぎる有機ELの15.6型4Kゲーミングノート「G-Tune NEXTGEAR-NOTE i5751」

マウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE i5751シリーズ」は、有機ELディスプレイ、GeForce RTX 2070を搭載したパワフルなゲーミングノートPCだ

 マウスコンピューターのゲーミングブランドG-Tuneから登場した「NEXTGEAR-NOTE i5751シリーズ」は、15.6型の有機EL(OLED)ディスプレイを搭載した最新仕様のゲーミングノートPCだ。

 CPUには6コアのCore i7-9750H、GPUにはGeForce RTX 2070を搭載しており、有機ELならではの美麗な画面でゲームを快適に楽しむことができる。同社の直販サイトではスペックの異なるベースモデルが3種類あり、それぞれBTOでカスタマイズができる。今回は中間グレードのモデル「NEXTGEAR-NOTE i5751GA1」を評価機としてレビューする。

【表1】NEXTGEAR-NOTE i5751GA1のおもなスペック
CPUCore i7-9750H(6コア/12スレッド)
CPU周波数2.6GHz(最大4.5GHz)
メモリ8GB×2(DDR4-2400 SO-DIMM)
SSD256GB SSD(PCI Express/NVMe)
グラフィックス機能GeForce RTX2070(8GB)、Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵)
ディスプレイ15.6型有機ELディスプレイ、非光沢
表示解像度3,840×2,160ドット
スピーカーステレオスピーカー
カメラ100万画素Webカメラ、Windows Hello顔認証対応IRカメラ
インターフェイスUSB 3.1 Type-C×2(1基はDisplayPort対応)、USB 3.0×3、ヘッドフォン/ヘッドセット、マイク、MiniDisplayPort、HDMI、有線LAN、SDカードスロット(SDXC、UHS-II対応)、セキュリティロック・スロット
通信機能Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応無線LAN(433Mbps)、Bluetooth 5
バッテリ駆動時間約5.1時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)359×257.8×29.9mm
重量約2.6kg
OSWindows 10 Home
税別直販価格249,800円

厚みはあるがコンパクトな省スペース筐体

 筐体は最近の同サイズの画面を搭載したゲーミングノートPCとしてコンパクトな印象。画面の上や左右のベゼルを切り詰めたスリムベゼルが効果的で、今風の洗練された印象を受ける。

 筐体の具体的な公称サイズは、349×257.8×29.9mm(幅×奥行き×高さ)で、公称重量は約2.6kgだ。実測でもほぼ同じ重さだった。ベゼル幅(画面非表示領域の幅)の公称値は、画面上辺が約9.8mm、左右辺が約6.6mmとなっている。

 厚みや重さがあるので、これを持って長い距離を歩いたり頻繁にあちこちに持ち出す用途には適さないが、設置に必要なスペースが小さく、使わないときにしまっておくときにもそれほど場所を取らない。扱いやすいサイズ感にまとまっているメリットは小さくない。

筐体はブラックで統一されている。天面にはシンプルなロゴがある
底部。奥側のメッシュカバー内に、冷却用のファンが2基見える
筐体の公称重量は約2.6kg。実測では2569gで、わずかに公称値よりも軽かった
ACアダプタの出力仕様は230W。実測サイズは約153×75×30mm、実測重量は849gだった。超大型というほどではない
テンキー付きのキーボードを搭載。主要キーのキーピッチは約18mm、キーストロークは約1.8mmという仕様だ
RGB LEDのバックライトを搭載している。すべてのキーが同色に光るタイプ
発光色はユーティリティで変更できる

鮮やかで美しい有機ELディスプレイを搭載

 NEXTGEAR-NOTE i5751シリーズの最大の特徴が、15.6型の有機ELディスプレイの搭載だ。

 現代の主力ディスプレイと言えば液晶ディスプレイだが、これはバックライトの強さを調整するシャッターとして液晶を利用する仕組みとなっている。

 一方、有機ELディスプレイは、電圧をかけると発光する有機化合物を直接ピクセル(画素)の構成要素として利用する。画素を構成する発光層をダイレクトに制御できるので、高速かつ緻密な光の調整が可能な点で原理的な優位がある。

 とくに、黒をより黒く表現できるのは大きなアドバンテージだ。液晶ディスプレイの場合は、黒を表示する場合もバックライトは点灯させたままシャッターである液晶を閉じるため、どうしてもわずかな光漏れがある。有機ELディスプレイでは画素ごとに発光を完全に止めることができるため、完全な黒、鮮やかなコントラストを表現できる。

 具体的なスペックは製品によるが、本製品のコントラスト比は10万:1。IPS液晶ディスプレイでは1,000:1あたりが標準的なので、その100倍だ。本製品では具体的なスペックはコントラスト比以外に公開されていないが、原理的には応答速度、輝度、色域、色再現性(色の正確さ)、視野角、いずれにおいてもメリットがある(実際のスペックは製品によって異なる)。また液晶をはさむ層が不要なため、薄型化や軽量化にも有利だ。

 クリエイティブ向けでは近い将来の映像業界の標準として期待されている色域規格「DCI-P3」を100%カバーする製品が多く出てきているが、それらはほとんどが有機ELディスプレイを採用している。

 表示解像度は3,840×2,160ピクセルに対応。画素密度約282ppiのため、近くで見てもドットが見えない精細な表示だ。とても明るく鮮やかで、見た目の印象も非常に良い。起動時に表示されるマウスコンピューターのロゴやWindows 10のデスクトップ、スタートメニューの表示だけでも違いを実感できる。

15.6型、表示解像度3,840×2,160ドットに対応する有機ELディスプレイを搭載。ドットが見えない精細さに加えて、有機ELならではの鮮やかな発色、メリハリの効いた美しい表示が印象的だ
一般的なIPS液晶ディスプレイ搭載のゲーミングノートPC(右)と並べて比較した。黒の締まり具合や暗部の階調表現、赤の発色などに顕著な差が見られる
右は一般的なIPS液晶ディスプレイ搭載モデル。赤の多い写真を表示させてみると発色の違いがよくわかる
右は公称輝度220cd/平方mのモバイルディスプレイ。3DMark/Port Royalのロード画面を複製表示させている。違いは明らかだ
画面の角度は最大130度まで開く
エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」を用いて作成したICCプロファイルをPhonon氏制作の色度図作成ソフト「Color AC」で表示した。一番外側の実線が本製品の色域で、点線で示したsRGBの色域はもちろん、青の点線で示したDCI-P3の色域も大きく上回っている
「i1 Display Pro」の計測結果。最大輝度は420cd/平方mととても明るく、色温度は6,579Kだった。
HDRについては記載がない。dxdiag.exeコマンドで確認すると、GeForce RTX 2070では「NA」。Far Cry 5で試してみたところ、HDRの選択項目は出なかった
CPU内蔵のIntel UHD Graphics 630ではHDRはサポートされている

ゲーミングノートとして申し分のない基本スペック

 ゲーミングの性能を左右するGPUには、GeForce RTX 2070(8GB)を搭載。新しいTuringアーキテクチャを採用した最新のCUDAコアに加えて、AI演算用のTensorコア、レイトレーシング用のRTコアを統合している。

 従来のゲームをより快適にプレイできる描画性能があり、フルHDはもちろん、WQHD(2,560×1,440ドット)解像度でほとんどのゲームタイトルを高画質でプレイ可能。さらに、リアルタイムレイトレーシングやAIを活用した高画質技術「DLSS(Deep Learning Super-Sampling)」など最新のグラフィックス表現にもハードウェアレベルで対応しており、将来性も上々だ。

 CPUには第9世代CoreシリーズのCore i7-9750Hを搭載する。現行のクリエイティブノートPCやゲーミングノートPCで定番的に搭載されている6コア/12スレッドのCPUだ。マルチスレッドに対応したゲームはもちろん、写真編集や動画編集などのクリエイティブな作業もパワフルにこなせる。

CPUにはCore i7-9750Hを搭載。従来のCore i7-8750Hに代わり、最新の高性能PCで定番的に採用されているCPUだ
HWiNFO64で電力設定のパラメータを見てみると、PL1は45W、PL2は78Wとなっている
GPUにはGeForce RTX 2070を搭載。最近採用例が多い「Max-Qデザイン」ではないフル性能のRTX 2070なのでより高性能が期待できる

高い拡張性、柔軟なBTOも魅力

 ゲーミングでは、ストレージの速度がゲームの起動やロード時間に影響する。一方、ゲームタイトルを購入すればどんどんデータが増えていく。タイトル1つあたりのデータ容量も大きくなっている。

 そのため、ゲーミングPCでは、OSやプレイ頻度の高いゲームをインストールする中容量のSSDに加えて、ゲームタイトル長期保存用にHDDを搭載する構成が主流だ。本製品もそれを踏襲しており、256GBのPCI Express SSD(M.2)と1TBのHDDを搭載する。

 システムにはM.2ソケットを2基、2.5インチベイを1基装備しており、BTOではかなり柔軟なストレージ構成が可能で、SSDのみ、あるいはSSD2基とHDDで最大6TBの構成も可能だ。M.2 SSDは高速なSamsung PM981、QLC NANDフラッシュメモリを搭載したIntel 660pなどを指定して選ぶこともできる。なお、評価機のSSDはWestern DigitalのPC SN520だった。

 メモリは標準でDDR4-2400のS0-DIMMを16GB(8GB×2枚)搭載する。ゲーミング用途ならば標準で十分な容量だが、BTOでは32GB(16GB×2枚)の構成も選択できる。

ストレージはM.2タイプを2基、2.5インチタイプを1基、最大で3基を搭載できる。標準のSSDはWestern DigitalのPC SN520だった
CrystalDiskMark 6.0.2(ひよひよ氏・作)のスコア

充実のインターフェイス、パワフルなサウンドも魅力

 10Gbpsの高速通信に対応したUSB 3.1 Type-Cを2基装備。そのうち1基はディスプレイ出力(DisplayPort Alt Mode)に対応している。さらに3基のUSB 3.0 Type-Aも搭載しており、合計で5基のUSBポートを装備する。また、ディスプレイ出力としては、HDMI、Mini DisplayPortも搭載している。

 筐体の前面にはフルサイズのSDカードスロット(SDXC対応)を搭載。高速規格のUHS-IIに対応しており、デジタルカメラからのデータ取り込みなども高速に行なえる。

 通信機能は、Gigabit Ethernet対応有線LANのほか、IEEE 802.11ac対応の無線LAN(最大433Mbps)、Bluetooth 5に対応する。

 画面の上ベゼルには約100万画素のWebカメラ、顔認証対応IRカメラを装備。さらにタッチパッドには指紋センサー、盗難防止用のワイヤーを取り付けるセキュリティロックスロットも搭載している。セキュリティ的にも不安はない。

 筐体底部のステレオスピーカーの音質も好印象。大型のエンクロージャーを採用しており、音割れなく大きな音圧を再生可能。「SoundBlaster Connect」ユーティリティが導入されおり、コンテンツやゲームタイトルごとにプリセットが用意されており、金属音、銃撃の音なども臨場感たっぷりに再現される。

左側面。手前側から、ヘッドフォン(ヘッドセット共用)、マイク(S/P DIF出力共用)、USB 3.0がある。排気口の奥にセキュリティロック・ポートがある
右側面。USB 3.1 Type-CとUSB 3.0がある
前面部はSDカードスロット(SDXC対応)を装備。デジタル一眼カメラで対応が進む高速規格のUHS-IIに対応している
背面部。左からGigabit Ethernet、HDMI、Mini DisplayPort、USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.0、DC入力(ACアダプタ)を搭載する
上部には画面の上ベゼルには約100万画素のWebカメラ、デュアルアレイマイク、顔認証対応IRカメラを装備している
指紋センサーはタッチパッドの中央上部。使用するときだけライトアップされて浮かび上がる
サウンドには音響技術「SoundBlaster X PRO-GAMING」を導入。ユーティリティ「SoundBlaster Connect」ではコンテンツの種類やゲームタイトル別にプリセットが用意されており、臨場感あるサウンドが楽しめる

スペックどおりの優秀なゲーミング性能を実証

 ベンチマークテストの結果を見よう。評価機のスペックは、CPUがCore i7-9750H、メモリが16GB、グラフィックス機能がGeForce RTX 2070(8GB)、データストレージ256GB SSD(PCI Express 3.0x2/NVMe)、OSがWindows 10 Home(1903)という内容だ。

 比較対象として、以前にレビューしたDAIV-NG4300シリーズ(DAIV-NG4300H1-M2S5)で計測したスコアも掲載する(カジュアルに持ち運べる高コスパなクリエイティブノート「DAIV-NG4300シリーズ」参照)。

【表2】テストに使用したPCのおもなスペック
NEXTGEAR-NOTE i5751GA1DAIV-NG4300H1-M2S5
CPUCore i7-9750HCore i7-8565U
メモリDDR4-2400 8GB×2DDR4-2400 16GB×1
ストレージWD PC SN520(256GB、PCI Express 3.0X2)WD PC SN520(512GB、PCI Express 3.0X2)
グラフィックス機能GeForce RTX 2070(8GB)GeForce MX250(2GB)
OSWindows 10 Home 64bit(1903)Windows 10 Home 64bit(1903)

 CINEBENCH R20、R15のCPUスコアでは、いずれもクアッドコアCPU(Core i7-8650U)搭載のDAIV-NG4300シリーズを大きく上回るスコアをマーク。6コアならではのパワフルな性能をきっちり引き出していることがわかる。

 3DMarkのFire Strikeで17,186、Graphicsスコアが20,259と、GeForce RTX 2070を搭載したノートPCとしてもかなり良いスコアが出ており、GPUの性能もきっちり引き出せていることがわかる。FINAL FANTASY XIV : 漆黒のヴィランズベンチマーク、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク1.2などのスコアも上々だ。

 放熱性能も優秀で、3DMark/Time Spy Stress Testの15回ループ中でも、手がよく触れるパームレストやWASDキーに不快な熱は伝わってこなかった。

【表3】ベンチマークテストの結果
NEXTGEAR-NOTE i5751GA1DAIV-NG4300H1-M2S5
CINEBENCH R20
CPU(cb)2,3241,650
CPUシングルコア(cb)416460
CINEBENCH R15
CPU(cb)1,121762
CPUシングルコア(cb)172190
PCMark 10
PCMark 105,2864,271
Essential8,3648,554
Productivity6,9716,433
Digital Content Creation6,8773,842
PCMark 10
MODERN OFFICE BATTERY LIFE
SCORE3時間50分7時間43分
Battery Life Performance5,8845,216
3DMark
FireStrike17,1863,330
Graphics20,2593,678
Physics15,91210,873
Combined8,5201,212
Time Spy7,346
Graphics7,625
Physics6,085
Port Royal4,556
FINAL FANTASY XIV : 漆黒のヴィランズ
1280×720/ノートPC標準/ウインドウ16,09510,057
ローディングタイム(秒)1421.759
1920×1080/最高品質/フル14,096
ローディングタイム(秒)14.363
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク1.2
1920×1080/標準品質/フル10,241
Far Cry 5(1920×1080/最高)
最小FPS66
平均FPS84
最大FPS103
CINEBENCH R15のスコア
CINEBENCH R20のスコア
PCMark 10のスコア
3DMark/FireStrikeのスコア
3DMark Time Spy Stress Testのループ中(15週目)にFLIR ONEで撮影したサーモグラフィ(室温23℃)。ヒンジ付近やEnterキーのあたりは最高で39℃だが、WASDキーやパームレストは30℃前後にとどまっている

ビジュアル派ゲーマーの有力な選択肢

 有機ELディスプレイを搭載した画面は美しいの一言。ゲームはもちろん、写真や動画なども美しく楽しめる。

 また、ベンチマークテストでは、ゲーミングノートPCとして高水準の性能も実証した。価格も評価機の構成で税別249,800円と、有機ELディスプレイだからと言ってべらぼうに高いわけではない。フレームレートよりもグラフィックスの美しさを重視するゲーマーにとっては十分検討に値する製品だろう。