Hothotレビュー
税別139,800円でCore i7&ペン対応な2in1「m-Book U400S」を使ってみた
~16GBメモリ/512GB SSD搭載でファンレス仕様
2019年7月4日 12:00
マウスコンピューターは5月16日、360度ディスプレイ回転式14型2in1「m-Book U」シリーズを発売した。本製品は、第8世代(Whiskey Lake)の「Core i7-8565U」、16GBメモリ、512GBストレージを搭載し、デジタイザペンを同梱しているにもかかわらず、税別139,800円という手ごろな価格を実現している。それでいてアルミニウム合金削り出しの筐体の質感もなかなかに高い。
今回本製品の実機を借用したので、詳細スペック、外観、使い勝手などをチェックした上で、AV品質、性能などについても検証していこう。
ハード的には1モデルのみ、Officeあるなしは選択可能
m-Book Uシリーズに用意されているモデルはハードウェア的には「m-Book U400S」の1モデルのみ。スペックは充実しており、CPUは第8世代(Whiskey Lake)の「Core i7-8565U」(4コア、1.80~4.60GHz)、メモリは16GB(DDR3L-1866 SDRAM)、ストレージは512GB SSD(Serial ATA)を搭載。ディスプレイは、10点マルチタッチ、256段階の筆圧感知に対応した14型フルHD液晶(1,920×1,080ドット)を採用しており、デジタイザペンも標準で同梱されている。
これでOffice非搭載モデルが139,800円、Office搭載モデルが158,800円に設定されているので、お買い得感は高いと言える。
シリーズ名 | m-Book U シリーズ | |
---|---|---|
製品名 | m-Book U400S | |
OS | Windows 10 Home | |
CPU | Core i7-8565U(4コア/8スレッド、1.8~4.6GHz) | |
GPU | Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz) | |
メモリ | DDR3L-1866 SDRAM 16GB | |
ストレージ | 512GB Serial ATA SSD | |
ディスプレイ | 14型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、157ppi、輝度非公表、色域非公表、光沢、タッチ対応、スタイラス対応) | |
通信 | IEEE 802.11ac(最大1.73Gbps)、Bluetooth 5.0 | |
WWAN | 非対応 | |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.0 Type-C、USB 3.1 Type-A、HDMI、ヘッドセットジャック、Webカメラ(100万画素) | |
バッテリ容量 | 57,288mWh(Battery reportで計測) | |
本体サイズ | 322.8×218×16.8mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約1.5kg | |
セキュリティ | Windows Hello対応顔認証カメラ、Windows Hello対応指紋認証センサー | |
Microsoft Office | - | Office Personal 2019 |
カラー | 1色 | |
価格 | 139,800円 | 158,800円 |
新旧インターフェイスを装備、SDカードスロットはなし
m-Book U400S の本体サイズは322.8×218×16.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.5kg。本体材質はアルミニウム合金製で、天面、キーボード面、底面はブラック、両側面はゴールドに着色されている。剛性はしっかりと確保され、天面、キーボード面、両側面にはヘアライン加工が施されている。価格以上の高級感を備えているというのが率直な感想だ。
インターフェイスは左側面にUSB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.0 Type-C、右側面にUSB 3.1 Type-A、HDMI、ヘッドセット端子が配置されている。新旧インターフェイスが利用できる点は使い勝手がいいが、SDカードスロットが存在しない点、USB Power Deliveryによる給電・充電に対応するのが左側面奥のUSB 3.1 Type-Cだけという点には留意しておこう。
なお有線LAN端子は用意されていないが、ワイヤレス通信機能は最大1.73GbpsのIEEE 802.11ac、Bluetooth 5に対応している。
本製品のバッテリ容量は公式サイトに記載がないが、「powercfg /batteryreport」コマンドで調べたところ、設計容量は57,288mWhと表示された。カタログスペックのバッテリ駆動時間は最大16.4時間とされているが、実使用でのバッテリ駆動時間も期待できそうだ。
前述のとおりm-Book U400SはCPUにCore i7-8565Uを採用しているが、高性能なプロセッサを搭載している2in1としてはめずらしく冷却ファンを内蔵していない。動作音を低減するために、冷却ファンではなく、専用設計のヒートプレートで放熱するファンレス機構を採用したとのことだが、どのぐらいの処理性能を発揮するのか気になるところ。この点についてはベンチマークの章で検証してみよう。
タイプしやすいキーボード、ペンは筆圧感知256段階
m-Book U400Sはノートブックモード、タブレットモード、スタンドモード、テントモードと、利用シーンに合わせて最適なスタイルを選べる2in1だ。2in1としては当然の仕様だが、ディスプレイを180度以上開くとキーボードが無効化されるので、タブレット状態でキーを押しながらわしづかんでも誤入力されることはない。
キーボードはキーピッチが約19mm、キーストロークが約1.5mm確保されており、文字キーはすべて等幅にそろえられているので、タッチタイピングしていてもすべてのキーを自然に打鍵できる。個人的にはもう少し反発力が強いほうが好みだが、打鍵感も良好だ。タッチパッドも節度あるクリック感で操作しやすい。
使っていてやや気になったのは打鍵音の大きさ。文字キーの打鍵音は平均的だが、EnterキーとSpaceキーは底打ちするとかなり甲高く音が響く。喫茶店などの静かな環境では叩くのではなく、押すようなおとなしめのタイピングを心がけたい。
標準で同梱されるデジタイザペンは筆圧感知256段階。日頃使っているデジタイザペンが4,096段階なのでかなり使い勝手が違うと予想していたが、「Windows Ink ワークスペース」の「スケッチパッド」を利用しているかぎりは、正直差を感じない。お絵かきソフトで繊細なタッチを表現するさいにはほかの2in1なりタブレット端末を選ぶべきだが、メモ書きしたり、簡単なイラストを描くのならm-Book U400Sで十分だ。
ディスプレイの色域はせまめ、スピーカーのボリュームは低め
m-Book U400Sのディスプレイには、14型フルHD液晶パネル(1,920×1,080ドット、157ppi、光沢、タッチ対応、スタイラス対応)が採用。輝度や色域は公表されていない。
そこで、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率は63.4%、sRGB比は63.6%、Adobe RGBカバー率は47.1%、Adobe RGB比は47.1%とかなり低めの値が出た。広色域を売りにしていない2in1、ノートPCの多くが、sRGBカバー率で90%を超えている。色をチェックするようなクリエイティブワークには、広色域の外付けディスプレイを使ったほうがいい。
サウンドについては、細かな音も小気味よく鳴って素性がよさそうなのだが、ボリュームが小さすぎる。目の前で最大ボリュームで再生しても正直物足りない。音楽を楽しみたいのならヘッドフォンやスピーカーは必須アイテムだ。
ファンレス設計のためピークパワーを抑えたセッティング?
最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.0.2115」
- 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.8.6578」
- CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
- CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
- CPU/OpneCLベンチマーク「Geekbench 4.3.3」
- ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
- ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
今回は比較対象機種として、同じくCore i7-8565Uを搭載したデルの「XPS 13(9380)」を採用した。ファンレスのm-Book U400Sと、冷却ファン搭載ノートPCのなかでもトップクラスの性能を発揮しているXPS 13でどのぐらいの性能差があるだろうか?
下記が検証機の仕様とその結果だ。
m-Book U400S | XPS 13 | |
---|---|---|
CPU | Core i7-8565U(4コア/8スレッド、1.8~4.6GHz) | |
GPU | Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz) | |
メモリ | DDR3L-1866 SDRAM 16GB | LPDDR3-2133 SDRAM 8GB |
ストレージ | 512GB SATA SSD | 256GB PCIe NVMe SSD |
ディスプレイ | 14型、1,920×1,080ドット(157ppi) | 13.型、3,840×2,160ドット(331ppi) |
TDP | 15W | |
OS | Windows 10 Home 64bit | |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 322.8×218×16.8mm | 302×199×7.8〜11.6mm |
重量 | 約1.5kg | 約1.23kg |
m-Book U400S | XPS 13 | |
---|---|---|
PCMark 10 v2.0.2115 | ||
PCMark 10 Score | 3,662 | - |
Essentials | 7,663 | 8,575 |
App Start-up Score | 9,222 | 12,701 |
Video Conferencing Score | 6,955 | 7,445 |
Web Browsing Score | 7,017 | 6,669 |
Productivity | 6,840 | 6,354 |
Spreadsheets Score | 8,273 | 7,702 |
Writing Score | 5,656 | 5,243 |
Digital Content Creation | 2,543 | - |
Photo Editing Score | 3,246 | 4,251 |
Rendering and Visualization Score | 1,531 | 計測不可 |
Video Editting Score | 3,310 | 4,200 |
PCMark 10 Modern Office Battery Life | 15時間13分 | - |
PCMark 8 v2.10.901 | ||
Home Accelarated 3.0 | 3,723 | 3,599 |
Creative Accelarated 3.0 | 4,713 | 5,089 |
Work Accelarated 2.0 | 4,676 | 4,300 |
Storage 2.0 | 4,896 | 5,023 |
3DMark v2.8.6578 | ||
Time Spy | 367 | 460 |
Fire Strike Ultra | 247 | 301 |
Fire Strike Extreme | 472 | 561 |
Fire Strike | 970 | 1,198 |
Sky Diver | 3,778 | 4,750 |
Night Raid | 4,433 | 5,427 |
Cloud Gate | 7,406 | 9,834 |
Ice Storm Extreme | 30,787 | 33,967 |
Ice Storm | 41,964 | 43,070 |
CINEBENCH R15.0 | ||
OpenGL | 44.50 fps | 54.41 fps |
CPU | 450 cb | 740 cb |
CPU(Single Core) | 151 cb | 185 cb |
CINEBENCH R20.060 | ||
CPU | 884 pts | - |
CPU(Single Core) | 316 pts | - |
Geekbench 4.3.3 | ||
32-bit Single-Core Score | 4,446 | 4,666 |
32-bit Multi-Core Score | 10,699 | 15,203 |
64-bit Single-Core Score | 5,028 | 5,255 |
64-bit Multi-Core Score | 11,845 | 16,558 |
OpenCL | 35,523 | 38,254 |
CUDA | - | - |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】 | ||
1,280×720ドット | 4,986 | 6,503 |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | ||
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン | 837(動作困難) | 1,001(動作困難) |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク | ||
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) | 3,990(快適) | 4,992(快適) |
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) | 2,834(やや快適) | 3,498(やや快適) |
SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測 | ||
Q32T1 シーケンシャルリード | 559.870 MB/s | 3518.489 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 527.413 MB/s | 1395.874 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 396.471 MB/s | 565.676 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 244.174 MB/s | 388.579 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 194.800 MB/s | 276.542 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 240.889 MB/s | 432.772 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 24.671 MB/s | 39.146 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 41.713 MB/s | 101.843 MB/s |
やはり、ファンレスのm-Book U400Sと、冷却ファンを搭載して独自チューニングを施したXPS 13には、処理性能に大きな差があった。m-Book U400SはXPS 13に対して、CINEBENCH R15.0のCPUスコアは約61%、Geekbench 4.3.3の64-bit Multi-Core Scoreは約72%にとどまっている。
しかしどんなに負荷の高い処理でもm-Book U400Sは無音だが、XPS 13は冷却ファンが盛大に回り出す。m-Book U400Sは処理性能よりも静音性を選ぶユーザー向けのマシンというわけだ。
バッテリ駆動時間は「PCMark 10 Modern Office Battery Life」で計測したが、ディスプレイ輝度をもっとも暗くした状態で15時間13分動作した。ディスプレイ輝度40%に設定しても、10時間は軽く超えると思われる。
冷却ファンがないということでm-Book U400Sでは発熱が不安だったが、CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度は35.1℃、底面の最大温度は41.1℃と比較的低めにとどまった。本体の表面温度がそれほど高くならない程度に、プロセッサのピークパワーを抑えたセッティングになっている可能性がある。
機能、装備が充実した2in1を安価に購入したい方にオススメ!
m-Book U400Sの処理性能は決して高くはない。しかしそれは静音性を重視した、あえての選択だ。指紋認証センサーや顔認証センサーをダブルで搭載し、デジタイザペンが標準で同梱されるなど装備は充実している。16GBメモリ、512GBストレージも長く愛用するのに十分な容量だ。充実装備の2in1をできるだけ安価に購入したいという方にm-Book U400Sはもってこいの選択肢と言えよう。