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ついに700gを切った世界最軽量の13.3型ノート「富士通 UH-X/C3」を実機レビュー

LIFEBOOK UH-X/C3

 富士通クライアントコンピューティング株式会社(FCCL)から、超軽量モバイルノートPC「LIFEBOOK UH」シリーズの2018年冬モデル「LIFEBOOK UH-X/C3」が登場した。

 従来モデルでは、最軽量モデルで748gの軽さを実現していたが、LIFEBOOK UH-X/C3ではそこからさらに約50gの軽量化によって、ついに700g切りの約698gという圧倒的な軽さを実現。もちろん13.3型液晶搭載モバイルノートとして世界最軽量となる。今回は、このLIFEBOOK UH-X/C3を取り上げ、ハード面を中心にチェックしていきたい。

世界最軽量記録をまた更新、13.3型液晶搭載でついに700g切りを実現

 超軽量モバイルノートPC「LIFEBOOK UH」シリーズは、13.3型液晶搭載モバイルノートPC世界最軽量記録を過去2世代続けて更新してきた。昨年(2017年)登場したUH75/B3では、その前世代モデルから29g軽量化した748gとなり、これ以上の軽量化は難しいのでは、と思わせるほどの軽さを実現していた。

 しかし、2018年冬モデルとして登場したUH-X/C3では、UH75/B3から一気に50gも軽量化され、約698gという究極とも言える軽さを実現。13.3型液晶搭載モバイルノートPCながら、まさか700gを切る軽さを実現するとは、開発者の執念に驚かされる。ちなみに、試用機の実測の重量は695gと、公称をさらに3gほど下回る軽さだった。

 実際に新旧モデルの本体を手にして比べてみると、わずか50gとはいえ、700g前後の軽さのなかでの50gの違いはかなり大きく感じる。UH-X/C3を手にすると、本当にPCとして動作するのか疑ってしまうほどに軽い。クラムシェル型ノートPCながら、一般的な12型クラスのタブレットPC本体のみよりも軽いのだから、この軽さに驚かされるのも当然だろう。

 どのように軽さを追求したのかについては、笠原一輝氏のこちらの記事(「LIFEBOOK UH-X/C3」が実現した、たかが50g、されど50g)が詳しいのでここでは省くが、従来は天板にのみ採用していたマグネシウムリチウム合金を、キーボード面や底面にも採用したり、ディスプレイやキーボード、内部基板の軽量化などによって、従来から50gもの軽量化を実現している。

 もちろん、軽さを追求したからといって、堅牢性が失われているようでは、モバイルPCとしての魅力が大きく損なわれてしまう。しかし、UH-X/C3では約200kgfの天板全面加圧試験や天面1点加圧約35kg試験、約76cmの高さからの落下試験をはじめとした、従来同様の堅牢性試験をクリアする堅牢性もしっかりと兼ね備えている。

 実際に本体を強くひねってみると、液晶部のみではややゆがむような印象があるものの、本体部はほとんどゆがむことがなく、液晶を閉じた状態ではアルミ筐体のモバイルノートPC同等の申し分ない強度があると感じる。これなら、これまでどおり安心して外に持ち出せるだろう。

 サイズは309×212×15.5mm(幅×奥行き×高さ)と、奥行きが0.5mm短くなっているものの、ほぼ従来モデルと同じだ。本体デザインもほぼ同じだが、キーボード面と底面の素材や形状変更に伴い、側面のデザインがすっきりした印象となっている。

ディスプレイを開いて正面から見た様子。従来からデザインやサイズにほぼ変更はないが、天板だけでなく、キーボード面や底面にもマグネシウムリチウム合金を採用するなどの軽量化により、約698gの驚異的な軽さを実現
本体正面。高さは15.5mmと従来モデルとかわらない
左側面。筐体素材の変更などにともなって、側面はデザインがわずかに変更されており、従来よりもすっきりした印象となった
背面
右側面
天板の見た目は従来同様。フットプリントは309×212mm(幅×奥行き)と、奥行きがわずかに短くなったが、違いはほとんど感じない
底面にもマグネシウムリチウム合金を採用。圧倒的な軽さながら、約200kgfの天板全面加圧試験や天面1点加圧約35kg試験、約76cmの高さからの落下試験をクリアする優れた堅牢性も確保している
実測の重量は695gと、公称値をさらに3g下回っていた

フルHD表示対応の13.3型IGZO液晶を採用

 液晶ディスプレイは、従来モデル同様に、1,920×1,080ドット表示に対応する13.3型パネルを採用している。パネルの種類や発色性能などの詳細は非公開ながら、高輝度、高色純度、広視野角対応のIGZO液晶であることが公表されている。

 パネルの表面は従来同様に非光沢処理が施されているため、発色の鮮やかさに関しては光沢液晶にやや劣る印象もあるが、全体的には申し分ない表示品質が備わっていると感じる。これなら、写真や動画の編集といった作業を行なう場合でも、ディスプレイの表示品質に不満を感じることはないだろう。

 非光沢液晶のため外光の映り込みはほとんど感じられないため、文字入力作業が中心のビジネスモバイル用途も非常に快適だ。

 従来モデル同様にタッチパネルは非搭載となっている。UH-X/C3においては、軽さの追求ということもあってタッチパネル搭載が見送られているものと思われる。ただ、直販モデルではタッチパネル対応液晶も選択可能となっている。重量はやや重くなるものの、タッチパネルが必要という場合にはそちらを選択すればいいだろう。

1,920×1,080ドット表示対応の13.3型液晶を搭載。IGZO液晶を採用しており、表示品質だけでなく省電力性も高められている
非光沢パネルのため、発色の鮮やかさはやや光沢液晶に劣る印象も、十分に鮮やかな表示が可能で、表示品質に不満はない。外光の映り込みも少なく、文字入力も快適だ
ディスプレイは180度水平の位置まで開く

キーボードの扱いやすさも従来モデル同様

 従来モデルのUH75/B3では、超軽量モバイルながらキーボードの扱いやすさも大きな特徴となっていた。実際に筆者も利用していて、UH75/B3のキーボードの快適な打鍵感や、確実にキー入力が行なえるといった部分はかなり気に入っている部分の1つだ。

 UH-X/C3では、キーボード部分も軽量化が加えられたことで、メンブレン構造などに従来から手が加わっているようだが、実際にタイピングしてみたところでは、従来モデルからの違いはほとんど感じられなかった。ストロークは約1.5mmと従来同様の深さを確保するとともに、適度なクリック感を伴う快適な打鍵感もほとんど変わっていない。

 主要キーのキーピッチは19mmフルピッチで、キー配列も標準的なため、タッチタイプも問題なく行なえる。右下カーソルキーが1段下がった位置に配置されている点も、利便性に優れるポイントだ。加えて、打鍵時の音が静かな部分もうれしい部分。従来モデルでわずかにカチャカチャと音がしていたスペースキーやEnterキーの音も静かになっており、静かな場所でのタイピングも周囲を気にせずに行なえるだろう。

 ただし、軽量化追求のため、キーボードバックライトは従来同様搭載しない。この点だけは少々残念だ。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン独立型のタッチパッドで、従来から変わっていない。面積は十分な広さがあり、ジェスチャー操作にも対応しているため、こちらも操作性は申し分ない。

キーボードは配列などは従来モデル同様だが、なかではメンブレン構造に手を加えるなどの軽量化が施されている
主要キーのキーピッチは19mmフルピッチを確保。配列も標準的で、タッチタイプも余裕だ
薄型軽量ノートながら、約1.5mmの深いストロークを確保。しっかりとしたクリック感もあって、打鍵感は従来モデル同様に非常に良好。タイピング時の音が静かな点も魅力だ
ポインティングデバイスも、従来同様クリックボタン独立型のタッチパッドを採用。ジェスチャー操作にも対応しており、操作性はこちらも申し分ない

Windows Hello対応の顔認証機能を標準搭載

 UH-X/C3では、軽さの追求だけでなく、性能面も進化を遂げている。搭載CPUは、開発コードネーム「Whiskey Lake-U」こと最新の第8世代Coreプロセッサ、Core i7-8565Uを採用。また、メインメモリは標準で8GB(LPDDR3-2133)と従来の4GBから倍増されるとともに、標準でデュアルチャネル動作となった。これにより、CPU性能も最大限引き出せるようになっている。

 ところで、UH-X/C3ではCPUクーラーの仕様も変更され、ファンの搭載位置が背面右側になるとともに、ファン自体も大型化されている。これにより、冷却能力に加えて静音性も高められているという。このあたりは、後ほどベンチマークテストを行ないながらチェックしたい。

 内蔵ストレージは、512GBのM.2 SATA SSDを採用。無線機能はIEEE 802.11ac準拠無線LANとBluetooth 5.0を標準搭載する。

 UHシリーズでは、外部ポートの豊富さも特徴の1つだが、その点もUH-X/C3にしっかり受け継がれている。左側面には、電源コネクタ、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-C×1、HDMI、USB 3.0、オーディオジャックを、右側面にはSDカードスロット、USB 3.0、Gigabit Ethernetの各ポートを用意している。

 Gigabit Ethernetは、従来同様の引き出し式コネクタを採用することで、この薄さながら搭載を実現している。このように、豊富なポートの用意によって、変換アダプタ不要で周辺機器が利用できるため、利便性を高めてくれる。

 生体認証機能としては、Windows Hello対応の顔認証機能をディスプレイ上部に新たに搭載し、従来まで搭載されていた指紋認証センサーは省かれている。軽量化という意味では指紋認証センサーのほうが有利となるはずだが、軽さを追求しつつ、よりセキュリティ性や利便性に優れる顔認証機能を搭載している点は、おおいに歓迎したい。

 ところで、本体後方側のUSB 3.1 Type-Cは、出力45W(20V/2.25A)以上のUSB PD(Power Delivery)対応ACアダプタによる給電および内蔵バッテリの充電が可能となっている。UH75/B3のUSB Type-CもUSB PD対応だったが、充電を行なうには出力60W以上が必要だった。UH-X/C3では45W以上となったことで、利用できるUSB PD対応ACアダプタの汎用性が高まっている。

左側面には、電源コネクタ、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-C×1、HDMI、USB 3.0、オーディオジャックを配置
USB 3.1 Type-C(奥のポート)はUSB PD対応。出力45W以上のUSB PD対応ACアダプタなどを利用することで、給電やバッテリの充電が行なえる
右側面にはSDカードスロット、USB 3.0、Gigabit Ethernetを用意
Gigabit Ethernetは、従来同様に引き出して利用するオリジナルコネクタを採用
指紋認証センサーが省かれた代わりに、ディスプレイ上部にはWindows Hello対応の顔認証機能を搭載。セキュリティ性や利便性が高められている
付属のACアダプタは従来モデルと同じものだ
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測208.9gだった

高負荷のファンの動作音が静かになり、快適性が向上

 では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。

 今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 vv1.1.1739」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.6.6238」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。比較用として、従来モデルとなるUH75/B3の結果も加えてある。

【表1】検証環境
LIFEBOOK UH-X/C3LIFEBOOK UH75/B3
CPUCore i7-8565U(1.8~4.6GHz)Core i5-8250U(1.6~3.4GHz)
ビデオチップIntel UHD Graphics 620
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 8GBDDR4-2400 SDRAM 4GB
ストレージ512GB SSD(SATA)128GB SSD(SATA)
OSWindows 10 Home 64bit
【表2】ベンチマーク結果
LIFEBOOK UH-X/C3LIFEBOOK UH75/B3
PCMark 10v1.1.1739
PCMark 10 Score3,3133,248
Essentials6,9216,754
App Start-up Score7,3088,107
Video Conferencing Score6,7766,120
Web Browsing Score6,6856,212
Productivity5,9515,112
Spreadsheets Score7,2946,807
Writing Score4,8563,840
Digital Content Creation2,3792,694
Photo Editing Score3,0383,429
Rendering and Visualization Score1,5211,818
Video Editting Score2,9843,138
PCMark 8v2.8.704
Home Accelarated 3.03,2823,363
Creative accelarated 3.03,2004,420
Work accelarated 2.04,5594,572
Storage4,9274,832
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)50.1640.72
CPU517558
CPU (Single Core)161132
3DMark Professional Editionv2.6.6238
Cloud Gate8,4477,116
Graphics Score10,0287,634
Physics Score5,4445,752
Sky Diver4,1233,897
Graphics Score3,8933,691
Physics Score6,1526,175
Combined score3,9273,436
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)4,1782,390
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)2,5151,344

 結果を見ると、3D描画関係のベンチマークテストでは従来モデルから大きくスコアが伸びている。これは、メモリ容量が8GB、デュアルチャネル動作となったことで、GPUの性能が最大限引き出せるようになったことが大きく影響している部分と考えられるが、これはおおいに歓迎できる。

 ただ、PCMark 10やPCMark 8の結果では、従来モデルを上回っている部分もあるが、一部では従来モデルを下回るスコアとなっているものが見られる。また、CINEBENCH R15.0のCPUスコアは、シングルコアではスペックどおりのスコアとなっているものの、マルチコアでは従来モデルを下回っている。CPUの違いを考えると、これは気になる部分だ。

 そこで、CINEBENCH R15.0のCPUマルチコアテスト実行中のCPU動作クロックをチェックしてみたところ、UH75/B3では2.4GHz前後で推移していたのに対し、UH-X/C3では2.1GHz前後で推移と、かなり低いクロックで動作していることがわかった。

 また、ベンチマークテスト実行中のCPUコアの温度をチェックしたところ、テスト開始すぐに90℃を超え、その後動作クロックが低下していることがわかった。どうやら、高負荷時のCPUの放熱がうまくいっていないために、CPUの動作クロックが低下し、本来の性能が引き出せていないものと考えられる。これは、今回試用した個体固有の問題の可能性もある。

 ところで、CPUクーラーの動作音については、高負荷時にはしっかり耳に届く程度の風切り音は発する。しかし、従来モデルのような甲高い金属音のような動作音がなくなっており、耳障りなうるささはなくなった。個人的には、これだけでも高負荷時の不快感は大幅に低減したと感じる。

 そして、低負荷時にはファンの動作音はほぼ聞こえなくなる。キーボードの打鍵音も非常に静かなため、高負荷の作業を行なわないかぎり、図書館などの静かな場所での利用も問題ないだろう。

キーボード後方右側面付近にCPUファンの排気口がある。高負荷時には耳に届く風切り音は発生するが、耳障りな動作音ではなく、従来モデルよりもかなり静かになった印象だ

 続いてバッテリ駆動時間だ。

 UH-X/C3の公称の駆動時間は約11.5時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約4時間57分だった。同じ条件で計測した従来モデルとなるUH75/B3での駆動時間は約5時間08分だったため、ほぼ同等の駆動時間が確保されていると言える。

 公称では、バッテリ駆動時間は従来から伸びているものの、実際に利用する場面では、思ったほど長時間の利用は難しそうだ。今回は、液晶輝度を50%に設定して計測したが、実際にはもっと輝度を落としても視認性が大きく低下することはなかったため、輝度を下げることで、もう少し長時間利用できるだろう。とはいえ、電源の取れない場所で長時間利用する場合には、やや心許ないと感じる。

長時間のバッテリ駆動が不要なら、毎日持ち歩くモバイルPCとして最強の存在

 このようにUH-X/C3は、13.3型液晶搭載ノートPCとして驚異的な軽さを実現するだけでなく、モバイルPCとして申し分ない堅牢性を確保するとともに、最新のCore i7プロセッサを搭載するなど、性能面も申し分なく、モバイルPCとして圧倒的な完成度を誇る製品に仕上がっている。もちろん、最大の魅力はなんと言っても軽さで、一度その軽さを体験したら、もはやほかのモバイルPCは使いたくないと感じるはずだ。

 バッテリ駆動時間についてはある程度妥協が必要だ。おそらく、外出先で普通に使っていて5時間持つかどうかという駆動時間は、外出時に持ち出したPCを使う機会の多い人にとってやや不安になるはずだ。ただ、ACアダプタを同時に携帯しても1kgを切る軽さであり、外出時に電源が確保できる可能性が高いのであれば、軽さを優先させても大きな問題はないはずだ。

 その点を考慮に入れても、毎日モバイルPCを持ち歩かなければならない人にとって、圧倒的な魅力があるのは間違いない。モバイルPCを軽快に持ち歩きたいなら、今もっとも注目すべき製品と言える。