Hothotレビュー

デザインと性能に妥協しないGTX 1070搭載ユニットコム製ゲーミングノート「LEVEL-15FR101」

LEVEL-15FR101

 株式会社ユニットコムのパソコン工房が、LEVEL∞ブランドで展開しているゲーミングノートPC「LEVEL-15FR101」は、さわった印象では現在トレンドになりつつあるスタイリッシュ系の製品であるように思う。

 一方で、GeForce GTX 1070 with Max-Q Designを採用しつつ、究極のスリム筐体は追求していない。ただしここはマイナスなどではなく、ほどよい筐体サイズとしたことで冷却面・価格面でメリットを生み出し、プラスに転じた印象だ。このレビューを通じてその仕上がりをお伝えしたい。

スタイルを追求しつつゲームに必要な機能もフルサポート。とくに側面デザインは必見

 まずLEVEL∞のゲーミングノートPC「N-Class」のなかでのLEVEL-15FR101の立ち位置を明らかにしておきたい。

 N-Classの現行ラインナップには、第8世代Coreを搭載するモデルとして3つのシリーズがある。エントリーからミドルレンジは15.6型の「LEVEL-15FX079」、ハイエンドは17.3型の「LEVEL-17FG101」があり、本製品は15.6型ではハイエンドの位置づけだが、このラインナップなかではミドルレンジといったところだろうか。しかし、ハイエンド向けGPUを搭載していることから、ハイエンド級の強力な性能が楽しめる。

 LEVEL-15FR101の価格は20万円を少しオーバーするが、6コアCPUのCore i7-8750HにGeForce GTX 1070 with Max-Q Designを組み合わせたゲーミングノートPCとしては順当だろう。とくにMax-Q Designを採用するゲーミングノートPCは各社技術の見せどころであり、スリムさを追求したプレミアムモデルが多く、30万円を超えるものも普通だ。その観点からすれば、20万円前後で入手できるLEVEL-15FR101のコストパフォーマンスのよさがわかる。

 LEVEL-15FR101のサイズを見てみると幅380mm、奥行き255mm、厚み22mmと、これはメインストリームノートに近い。ハイスペックのゲーミングノートPCでは30mmをゆうに超えるものも多いから、そうした製品と比べればスリムであり、逆に20mmを切るプレミアムなゲーミングノートPCからすれば若干厚い。

 しかし、プレミアモデルと大差ないスタイリッシュさでまとめ上げているのは注目に値する。とくに薄さを感じるのが、底面の角を大胆にカットしたデザインだ。実際の厚みは22mmでも、パッと見はもっとスリムに見える。このデザインを実現するために右側面のLAN端子に変形機構を取り入れているあたり、こだわりが感じられる。

 スリムだスタイリッシュだと言っても、ゲーミング用途ではインターフェイスの種類や数も重要な要素に挙げられる。ゲーミングPCでは、とくにオンラインゲームとなるとレイテンシが小さいことも重要で、無線LANよりも有線LANのほうが好まれることから、有線LANをしっかり装備している点は安心感がある。

 そのほかにも映像出力を3系統備え、USBもType-A/Cを織り交ぜ豊富に備えている。USB Type-Aは3ポートあるので、外付けのキーボードとマウスを接続してもなお1ポート空き、その上でType-Cが2ポートあるのは今後を考えても不安のない数だ。

 重量についてはカタログ値で2.24kg、実測で2.25kgだった。ACアダプタと電源ケーブルは655g。合わせて3kg弱なので、ゲーミングノートPCとしては軽量だ。あるいは15.6型メインストリームノートともさほど変わらない。ギリギリ持ち運べる範囲内ではなかろうか。

 液晶ベゼルなどはとくに狭額縁でもない一般的な幅があるので、接地面積も一般的な15.6型ノートPC並みだ。20Lサイズのバックパックなら問題なく収められた。

液晶天板はゲーミングノートPCとしてはシンプル。強度を保つ折り曲げ部分や、おそらくデザイン上での通気口、少し表面処理の異なる無線LANアンテナカバーと、LEVEL∞ロゴがある程度
前面はインジケータのみ。背面はヒンジと排気口に用いられている
左側面はDCジャック、HDMI出力、Mini DisplayPort×2、USB Type-C×2、USB Type-A×2
右側面はマイク入力、ヘッドフォン/スピーカー出力、USB Type-A×1、メモリカードリーダ、Gigabit Ethernet
ACアダプタはスリムタイプで、接地面積は16cm×7cm強。300W級のゲーミングノートPCと比べるとかなりコンパクトだ
本体重量は2.25kg
ACアダプタと電源ケーブルは合わせて655g。本体と合わせて3kg弱の重量は、歩行距離がそう遠くなければ持ち運べるラインだろうか

 液晶パネルの解像度は1,920×1,080ドット。搭載するCPUとGPUの性能や、表示される文字のサイズ、画面いっぱいに表示できる情報量など、普段使いを想定してもちょうどよい解像度と言える。

 非光沢仕様で室内照明の映り込みが抑えられており、駆動方式にIPSを採用しているため、斜めから見たさいの色味の変化が少なく広い視野角が得られる。色彩についても十分なレベルで、写真の閲覧も、普段お使いのスマートフォンやタブレットと比べて差を感じることはないだろう。

 上部ベゼルには200万画素のWebカメラと、その左右に3つの穴がある。3つの穴は、うちいくつかがマイク用なのだろう。複数のマイクを組み合わせることで音声をクリアにする機能が利用できるものと見られる。

IPSパネルで斜め45度から見ても色味に変化はない
非光沢とはいえ発色もよい

 キーボードは、キートップとキートップの間に十分なスペースを用いた10キー付き日本語配列仕様となっている。RGBバックライトも搭載しており、3つのゾーンに分割して発光色を設定できる。

 一方、キーストロークはそこまで深くはなく、反発力もかなり軽い印象だ。キーボードには人それぞれ好みがあるので、比較的軽く浅いタッチが好みならよいだろう。最小の動作でコマンドを入力できる。一方で、しっかりとした反応を求めるならば、外付けキーボードで対応したほうがよいだろう。

 配列のクセは少なめだ。右側「ろ」と右「Shift」、「右クリックメニュー」と右「Ctrl」が多少幅がせまく感じるものの、極端にせまいわけではなく打ちやすさにはさほど影響がなかった。

 このくらいは昨今のノートPCでは普通だろう。ただしあえて1点指摘するなら、エンターキーの右は、セパレーターとなるスペースなしに10キーが来るので、タッチタイプで判別するのが若干難しかった。ここは慣れが必要かもしれない。

キーピッチはとくに表記を見つけられなかったが、主要キーで18mm前後のようだ
ノートPCでは仕方のないところだが、エンターキーから間隔あけずに10キーに続く

ゲーミングノートPCのトレンドに沿った高性能な内部スペック

【表1】LEVEL-15FR101のスペック
OSWindows 10 Home 64 bit
CPUCore i7-8750H(2.2~4.1GHz、6コア/12スレッド)
GPUGeForce GTX 1070 with Max-Q Design(8GB)
メモリPC4-19200 DDR4 SDRAM(DDR4-2400 SO-DIMM) 16GB(8GB×2、デュアルチャネル)
ディスプレイ15.6型 1,920×1,080ドット IPSパネル
マザーボード(チップセット)Intel HM370チップセット搭載
ストレージ256GB SSD(NVMe)+1TB HDD(SATA 6Gbps)
光学ドライブなし
インターフェイスUSB 3.0 Type-A×3(左2、右1)、USB 3.1 Type-C×2(左2)、Gigabit Ethernet(右)、サウンド(ヘッドフォン/スピーカー[右]、マイク[右])、HDMI(左)、Mini DisplayPort×2(左)、マルチカードリーダ
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)380×255×22mm
重量2.24kg
直販価格214,898円(8月13日時点)

 あらためてCPU、GPUなど内部のスペックについて説明しよう。

 まずCPUのCore i7-8750Hは、デスクトップのCoffee Lake-Sをベースにノート向けにアレンジされたCPUだ。6コア12スレッドはデスクトップと同等。ただし消費電力や発熱を抑えるためにクロックやキャッシュを抑えている。動作クロックは定格2.2GHz/ターボ時4.1GHzといった具合で、定格側がかなり低め、ターボ時はやや抑えられているものの4GHzを超えているため瞬間的な性能は高い。

 そしてキャッシュメモリはデスクトップ版の12MBに対して9MBと4分の3だ。キャッシュメモリは消費電力や発熱の大きなところなので、ここは仕方ないだろう。ただしデスクトップ版Core i5と同じ容量なので、十分な性能が期待できる。このCPUの場合、なによりノートブックPCで6コア12スレッドを扱える点が大きいだろう。ゲームでも4コア以上を求めるタイトルが増えてきた今、選んで間違いないCPUの1つに挙げられるだろうし、非ゲームでもマルチスレッドの恩恵を感じるはずだ。

 GPUはGeForce GTX 1070 with Max-Q Designで、デスクトップ版のGeForce GTX 1070に対し、動作クロックを引き下げ消費電力を抑える一方、コア数は逆に増強することで性能をかぎりなくデスクトップ版に近づけたGPUだ。

 GeForce GTX 1070自体、フルHD環境で最高に近い画質設定で楽しむところを想定したGPUである。LEVEL-15FR101も搭載するフルHDパネルそのままの解像度で、最新ゲームを最高画質で楽しめる。また、グラフィックスメモリとしてGDDR5を8GB搭載している点も、高画質プレイでは心強い。

デバイスマネージャーやGPU-Zから、GeForce GTX 1070 with Max-Q Designを搭載していることを確認できる

 CPUとGPU以外のスペックも、メモリはDDR4-2400の16GB、ストレージは256GBのNVMe SSDに1TBのHDDを組み合わせるなど充実している。

 メモリは標準構成で8GB×2枚のデュアルチャネルモード。CPU側がPC4-21300(DDR4-2666)まで対応しているところ、PC4-19200(DDR4-2400)しか選択肢がないのが少しもったいないが、外部GPUとしてGeForce GTX 1070 with Max-Q Designを搭載していることから、ここでは速度よりも容量のほうが重要だろう。16GBでゲームを含めた一般的な用途には十分だ。一方、32GBのオプションも用意されているのでRAW現像や動画編集なども楽しみたい方は、そちらを検討してみるとよいだろう。

 ストレージは、NVMe側にPlextor PX-256M9PeGNを採用している。シーケンシャルリードは公称3GB/s、ライトも同1GB/sと高速な製品で、シーケンシャル性能はもちろん、4K Q1T1からのランダム性能も高く、操作をしていてもその機敏さが気持ちいい。

 DドライブにはHDDを搭載しているので、ゲームデータはこちらにインストールすればCドライブ容量を節約できる。1TBあるのでかなりのタイトルがインストール可能だ。

 高速なNVMe SSDをCドライブに、大容量のHDDをDドライブに組み合わせるのは昨今のゲーミングPCのトレンドだ。そして本製品はBTO PCであるため、両ドライブの容量を購入時にカスタマイズできる。もちろんコストはかかるが、最大で1TB NVMe+960GB SATA SSDといった超高速大容量構成も可能だ。

CドライブのNVMe SSD(左)と、DドライブのHDD(右)のCrystalDiskMarkのスコア

比較的重量級のタイトルもかなり高めの画質設定でOK

 それでは、ベンチマークテスト結果で性能を見ていこう。

 今回利用したベンチマークソフトは、ULの「PCMark 10 v1.1.1739」、「3DMark v2.5.5029」、「VRMark」、MAXONの「CINEBENCH R15」、ゲームとして「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「Assassin's Creed Origins」、「Far Cry Primal」、「World of Tanks enCore」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、ストレージ性能で「CrystalDiskMark 6.0.1」とした。

【表2】PCMark 10、3DMark、VRMark、CINEBENCH R15のベンチマーク結果
PCMark 10 v1.1.1739
Extended Score6,127
Essentials7,577
App Start-up Score8,590
Video Conferencing Score6,836
Web Browsing Score7,410
Productivity7,228
Spreadsheets Score8,998
Writing Score5,807
Digital Content Creation6,800
Photo Editing Score7,988
Rendering and Visualization Score8,128
Video Editing Score4,843
Gaming10,230
Fire Strike Graphics Score13,693
Fire Strike Physics Score16,412
Fire Strike Combined Score5,680
3DMark v2.5.5029
TimeSpy Extreme2,196
TimeSpy Performance4,820
FireStrike Ultra3,369
FireStrike Extreme6,497
FireStrike Performance12,570
SkyDiver Performance31,848
CloudGate Performance34,947
IceStorm Unlimited171,302
IceStorm Extreme158,457
IceStorm Performance163,005
VRMark
Blue Room1,407
Cyan Room2,753
Orange Room7,498
CINEBENCH R15
Shading (OpenGL)117.21fps
Rendering (Multiple CPU)1,116.63cb
Rendering (Single CPU)170.63cb

 PCMark 10については、一般的なモバイルノートPCの約2倍のスコアで、デスクトップPCと比べてもミドルレンジ以上のスコアである。CPUのマルチスレッド、そしてGPUアクセラレーションも効くPCMark 10なので、EssentialsやProductivityも高いスコアだが、とくにスコアを稼いでいるのはとくにGPU性能が効くDigital Content CreationやGamingといった分野。

 CINEBENCH R15も、CPUテストで1000cbを超えてくる。PCMark 10の結果と合わせ、ゲーミングノートPCなのでもちろんだが、映像編集などモバイルワークステーションとしての用途でも十分に活用できる性能だ。

 3DMarkやVRMarkも1,920×1,080ドットベースで見ると十分に高いスコアだ。確かにGraphicsスコアを見ればデスクトップ版GeForce GTX 1070よりもやや下といったポジションに相当する。CPUクロックがデスクトップ版CPUほど高くないため、PhysicsやCPU Testのスコアが低めに出て、それがOverallにも影響するが、実際のゲームではまずGPU性能が効く。その点でかなり期待できるゲーミング性能だ。

 VRMarkでもOrange Roomは余裕で必要フレームレートを満たしており、HTC VIVE推奨機とする確かな性能だ。

【表3】ゲーム系のベンチマーク結果
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands
1,920×1,080ドット、「ウルトラ」画質41.47fps
1,920×1,080ドット、「非常に高い」画質62.13fps
1,920×1,080ドット、「高」画質70.76fps
1,920×1,080ドット、「中」画質75.12fps
1,280×720ドット、「ウルトラ」画質51.83fps
1,280×720ドット、「高」画質97.58fps
1,280×720ドット、「中」画質103.47fps
Assassin's Creed Origins
1,920×1,080ドット、「最高」画質57fps
1,920×1,080ドット、「超高」画質64fps
1,920×1,080ドット、「高」画質66fps
Far Cry Primal
1,920×1,080ドット、「最高」画質71fps
1,920×1,080ドット、「とても高い」画質76fps
1,920×1,080ドット、「高い」画質88fps
World of Tanks enCore
超高品質(1,920×1,080ドット、TSSAA HQ)19,455
中品質(1,920×1,080ドット、AAなし)43,952
最低品質(1366×768ドット、AAなし)97,060
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
1,920×1,080ドット、高品質5,589(やや快適)
1,920×1,080ドット、標準品質7,341(快適)
1,920×1,080ドット、軽量品質9,685(とても快適)
1,280×720ドット、高品質7,816(快適)
1,280×720ドット、標準品質10,718(とても快適)
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,920×1,080ドット、最高品質12,549(非常に快適)
1,920×1,080ドット、高品質(デスクトップPC)13,108(非常に快適)
1,920×1,080ドット、標準品質(デスクトップPC)15,574(非常に快適)

 実際のゲームでは、おおよそどのタイトルでも1,920×1,080ドット、最高画質で30fpsを満たすことができ、重めのタイトルでも画質を1段下げれば60fpsを満たすことができる印象だ。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークについても、1,920×1,080ドット、標準画質で快適評価になるので頼もしい。

【表4】CrystalDiskMarkのベンチマーク結果
CrystalDiskMark 6.0.1(SSD)
Sequential Read(Q32T1)2811.302MB/s
Sequential Write(Q32T1)896.312MB/s
Random Read 4K(Q8T8)717.222MB/s
Random Write 4K(Q8T8)640.350MB/s
Random Read 4K(Q32T1)620.222MB/s
Random Write 4K(Q32T1)363.725MB/s
Random Read 4K(Q1T1)55.432MB/s
Random Write 4K(Q1T1)122.977MB/s
CrystalDiskMark 6.0.1(HDD)
Sequential Read(Q32T1)142.706MB/s
Sequential Write(Q32T1)142.915MB/s
Random Read 4K(Q8T8)1.434MB/s
Random Write 4K(Q8T8)1.549MB/s
Random Read 4K(Q32T1)1.392MB/s
Random Write 4K(Q32T1)1.621MB/s
Random Read 4K(Q1T1)0.527MB/s
Random Write 4K(Q1T1)1.544MB/s

 ストレージ性能を測るCrystalDiskMarkについても、SSDとHDDで順当な結果となった。

このバランスのよさは店頭で試す価値あり

 ゲーミングノートと言えば、無骨でとにかく性能を追求したモデルが主流だ。ただ、日頃使うPCとしてデザインは軽視すべきではない。その上で、デザインをとことん追求すれば性能/コストが跳ね上がる。

 冒頭でも述べたとおり、LEVEL-15FR101はスタイリッシュ&スリムな筐体と、廉価なモデルと比べれば高価であるがゲーミングノートPCとしては、予算の中心からそれほど大きく外れない。それでいて性能は最新タイトルを1,920×1,080ドット、高画質で楽しめるところから、非常によいバランスを探り当てたモデルと言えるのではないだろうか。