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AMD GPU入りCore i7搭載、デル製ペン付き15.6型2in1「New XPS 15 2-in-1」の実力を検証

New XPS 15 2-in-1

 デルは7月に、AMD製ディスクリートGPU「Radeon RX Vega M GL」を1パッケージに統合した第8世代Coreプロセッサ(Kaby Lake G)を採用した2in1ノートPC「New XPS 15 2-in-1」を発売した。

 高いグラフィックス性能、さまざまなスタイルで利用できる汎用性が注目を集めており、家電見本市「CES 2018」でもアワードを受賞した。今回デルより実機を借用したので、製品の詳細や2in1ノートPCとしての使い勝手、性能などについてレビューしよう。

標準構成はメモリ、ストレージ、ディスプレイの異なる3モデル

 New XPS 15 2-in-1は日本国内向けにメモリ、ストレージ、ディスプレイの異なる3モデルが用意されている。CPUは第8世代の「Core i7-8750G(3.1~4.1GHz)」を採用。下位プロセッサ「Core i5-8305G(2.8~3.8GHz)」はラインナップされていない。

 価格は8GBメモリ/256GBストレージ/フルHD液晶モデルが214,980円(※クーポン適用182,733円)、16GBメモリ/512GBストレージ/4K液晶モデルが269,980円(※同229,483円)、16GBメモリ/1TBストレージ/4K液晶モデルが289,980円(※同246,483円)。ただし8月19日時点で15%オフのキャンペーン価格が設定されている。

 ハードウェアでカスタマイズ可能なのはキーボードの種別(USまたは日本語)のみ。CPU、メモリ、ストレージ、ディスプレイは変更できない。

 ディスプレイはsRGBカバー率100%を謳う15.6型フルHD液晶、Adobe RGBカバー率100%を謳う4K液晶の2種類が用意されている。色域の広さは異なるが、輝度は400cd/平方mと同じで、どちらもタッチ操作に対応。解像度はバッテリ駆動時間に大きな影響を与えるが、記事執筆時点でフルHD液晶搭載モデルは「最大15時間25分」と公表されている一方、4K液晶搭載モデルについては製品公式サイトに記載がない。

 日本国内向けには新型スタイラス「Dellプレミアム・アクティブ・ペン」が標準で同梱されている。このスタイラスは「Microsoft Pen Protocol 1.51」、「ワコム AES 1.0」、「ワコム AES 2.0」規格のすべてに対応しており、単体では13,700円で販売されている。高価な最新スタイラスが同梱されている点はうれしい点だ。

【表1】New XPS 15 2-in-1の直販モデル一覧 ※8月19日調べ
New XPS 15 2-in-1 プレミアム (アクティブペン付)New XPS 15 2-in-1 プラチナ・4Kタッチパネル・16GBメモリ (アクティブペン付)New XPS 15 2-in-1 プラチナハイエンド・4Kタッチパネル・1TB SSD (アクティブペン付)
OSWindows 10 Home 64 bit
CPUCore i7-8705G(3.1~4.1GHz、4コア8スレッド)
GPUIntel HD Graphics 630(350MHz~1.1GHz)、Radeon RX Vega M GL Graphics(931~1,011MHz)
メモリDDR4-2400 SDRAM 8GBDDR4-2400 SDRAM 16GB
ストレージ256GB SSD(M.2 PCIe NVMe)512GB SSD(M.2 2280 PCIe NVMe)1TB SSD(M.2 2280 PCIe NVMe)
ディスプレイ15.6型フルHD IPS液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、輝度400cd/平方m、色域sRGB100%、タッチ対応、反射防止)15.6型4K UHD IPS液晶(3,840×2,160ドット、282ppi、輝度400cd/平方m、色域Adobe100%、タッチ対応、反射防止)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth
インターフェイスThunderbolt 3(Thunderbolt 3、USB 3.0、DisplayPort 1.2、Power Delivery)×2、USB 3.1 Type-C(USB 3.0、DisplayPort 1.2、Power Delivery)×2、ヘッドセットジャック×1、microSDカードリーダ(最大128GB)×1、Nobleロックスロット×1
カメラ720p Webカメラ
セキュリティWindows Hello準拠顔認証(赤外線カメラ)、指紋認証
SIMカードスロットなし
バッテリ容量75WHr
バッテリ駆動時間最大15時間25分非公表
バッテリ充電時間4時間
本体サイズ/重量354×235×9~16mm(幅×奥行き×高さ)/約1.98kg
ペンDellプレミアム・アクティブ・ペン
Microsoft Officeなし(カスタマイズ可能)
カラーシルバー
価格214,980円269,980円289,980円
キャンペーン価格182,733円229,483円246,483円

4つのUSB Type-C端子を搭載するがThunderbolt 3対応は左側面のみ

 New XPS 15 2-in-1は、360度回転するディスプレイを搭載しながら剛性の高い筐体を実現している。天面と底面はCNC削り出しアルミ素材、キーボード面はカーボンファイバー素材、ディスプレイ面は強化ガラス「Corning Gorilla Glass 4」が採用されており、ヒンジはスチール製でアルミ素材がラップされている。サイズは354×235×9~16mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.98kgだ。

 インターフェイスは、Thunderbolt 3(Thunderbolt 3、DisplayPort 1.2、Power Delivery)×2、USB 3.0 Type-C(DisplayPort 1.2、Power Delivery)×2、ヘッドフォンジャック、microSDカードリーダを搭載。端子形状は同じだが、最大データ通信速度は左側面のThunderbolt 3端子が40Gbps、右側面のUSB 3.0 Type-C端子が5Gbpsとなる。また、Power Deliveryの最大電源出力も左側面のThunderbolt 3端子が15W、右側面のUSB 3.0 Type-C端子が7.5Wと異なっている。

 なお、Thunderbolt 3端子はPCI Express Gen 3 x 4レーン仕様。「New XPS 15」と同様に高い実効通信速度を期待できる(広色域のHDR対応4K液晶を搭載する15.6型ノート「New XPS 15」を検証)。

本体天面
本体底面。左右側面にはステレオスピーカーが内蔵。ヒンジ側にはサービスタグが刻印されている。
本体前面。中央には電源およびバッテリステータスライトが配置されている
本体背面

 セキュリティデバイスは、ディスプレイ下部に内蔵したWindows Hello準拠顔認証カメラ(赤外線カメラ)と、電源ボタン一体型の指紋認証センサーが採用されている。通常は顔認証、太陽光下など赤外線カメラが動作しにくい場所では指紋認証と使い分けられる。

 バッテリは75WHrの6セルリチウムイオン充電池を内蔵。給電/充電にはUSB Type-C端子を備えた130W ACアダプタを使用する。この130W ACアダプタの出力電流(連続)は6.5A、定格出力電圧は20Vとされており、最大出力は130Wとなる。

 USB Power Deliveryで拡張されたのは15W(5V/3A)から100W(20V/5A)なので、130W(20V/6.5A)はその範囲を超えている。笠原一輝氏の記事(Dell、AMD GPU内蔵Coreプロセッサ+Adobe RGB 100% 4K液晶搭載ノート「XPS 15 2-in-1」)で解説されているとおり、New XPS 15 2-in-1の給電、充電機構はなんらかの拡張が施されていることになる。

本体右側面。左からUSB 3.1 Type-C(USB 3.0、DisplayPort 1.2、Power Delivery)×2、ヘッドセットジャック×1、Nobleロックスロット×1が配置されている
本体左側面。左からThunderbolt 3(Thunderbolt 3、USB 3.0、DisplayPort 1.2、Power Delivery)×2、microSDカードリーダ(最大128GB)×1、バッテリ充電ステータスボタン、バッテリ充電ステータスライトが配置されている。5つのバッテリ充電ステータスライトは1つあたり総充電量の約20%を表わしている
ディスプレイ面。ディスプレイ自体のサイズは幅344.22mm、高さ193.62mm、対角線396.24mm(15.6型)。ベゼルの幅は4.7mmと狭額縁仕様だ
ディスプレイ下部には左から赤外線エミッタ、カメラ、カメラステータスライト、赤外線カメラ、赤外線エミッタが並んでいる
カメラはディスプレイ下部に内蔵されているため、下から見上げるような構図となる。キーボードに乗せた手が大きく写り込むのもマイナスポイントだ
電源ボタンは指紋認証センサー一体型
標準の日本語キーボードのほかに、US(英語)キーボードも選択できる
ディスプレイが360度回転するヒンジ機構が採用されており、ノートブック、テント、スタンド、タブレットの4スタイルで利用できる
左はThunderbolt 3端子(左側面)に、右はUSB 3.0 Type-C端子(右側面)に、Thunderbolt 3対応周辺機器を接続したときの通知画面。Thunderbolt 3対応周辺機器を右側面のUSB 3.0 Type-C端子に接続しても、「Thunderboltデバイスの機能が制限される可能性があります」という警告メッセージが表示される
パッケージには本体、130W ACアダプタ、電源ケーブル、USB Type-C - Type-A 変換アダプタ、Dellプレミアム・アクティブ・ペン、マニュアル類が同梱されている
Dellプレミアム・アクティブ・ペンは単6電池を使用。替え芯、替え芯脱着器具、ストラップが同梱されている
130W ACアダプタのコード長は実測約180cm、電源ケーブルのコード長は実測約90cm
ACアダプタの仕様は、入力100-240V/1.8A、出力20V/6.5A、容量は130W
USB Type-C - USB Type-A 変換アダプタは標準アクセサリとして同梱されている
本体の実測重量は約1,983g
Dellプレミアム・アクティブ・ペンの実測重量は約19.5g
130W ACアダプタと電源ケーブルの合計実測重量は約446g
USB Type-C - USB 3.1 Type-A 変換アダプタの実測重量は約10g
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1803適用後のディスク情報。Cドライブの空き容量は910.70GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは75,001mWh、FULL CHARGE CAPACITYは73,256mWhと表示された

配列を見直してNew XPS 15よりも操作性が向上したキーボード

 New XPS 15 2-in-1には、Dellが世界初と謳う磁気浮遊式キーボード「MagLevキーボード」が採用されている。これまでのキーボードに使われてきたラバードーム、パンタグラフ、スプリングの代わりに、磁石の力でキーを支えており、通常のキーボードに比べて24%薄型化しつつ、キー入力の信頼性も高くなっているという。

 磁力を視覚化する「マグネットビューワー」をキーボードに載せてみると、キー1つ1つに約10×5mmの磁石が埋め込まれているのがわかるが、打鍵感は従来のキーボードと大きな違いは感じない。キーストロークはかなり浅く、反発力も弱めだが、一定のクリック感は確保されている。ただし個人的には、打鍵音が高く、振動しているように聞こえるのが気になった。タイピング時の動画を撮影したので、実際の音質をチェックしてみてほしい。

New XPS 15 2-in-1の打鍵音をチェック。強くタイピングしたときに振動しているような打鍵音となる

 キーピッチは実測19.4mm前後。「-」、「^」、「¥」列のキーは横幅がせばめられているが、「New XPS 15」ほど「Back space」、「Enter」キーの幅はせまくなっていない。「PgUp」、「PgDn」キーもカーソルキーから独立しておりスクロール操作がしやすかった。数日試用したかぎりでは、New XPS 15よりもNew XPS 15 2-in-1のキーボードのほうが高速にタッチタイピングしやすいと感じた。New XPS 15にもこのキーボードを搭載してほしいところだ。

キーピッチは実測約19.4mm前後
「-」、「^」、「¥」列のキーは横幅がせばめられているが、「Back space」、「Enter」キーは実用的な横幅が確保されている
磁力を視覚化する「マグネットビューワー」をキーボードに乗せると、実測10×5mmの磁石がキー1つ1つに埋め込まれているのがわかる
バックライトを内蔵。明るさは2段階に調節できる。もちろん消灯可能
タッチパッドのサイズは実測105×80mm。Windows 10の「高精度タッチパッド」に対応している

4,096段階の筆圧検知、傾き検知に対応した低遅延スタイラス

 本製品には「Microsoft Pen Protocol 1.51」、「ワコム AES 1.0」、「ワコム AES 2.0」規格のすべてに対応したスタイラス「Dellプレミアム・アクティブ・ペン」が同梱されている。このスタイラスは4,096段階の筆圧検知、傾き検知、240Hzのレポートレートに対応。機能的には最新型の「Surfaceペン」と遜色がない。

 実際にNew XPS 15 2-in-1でイラストなどを描いてみても、描線の遅れは5~10mm程度に抑えられており、Surface ProとSurfaceペンの組み合わせと同レベルの低遅延が実現されていることを確認できた。

New XPS 15 2-in-1の遅延をチェック。描線の遅れは5~10mm程度に抑えられている

 ペン先は1種類しか用意されていないが、柔らかめの材質が使われており、適度な摩擦感が心地よい書き味を実現している。とはいえ筆記感の好みは人それぞれで、筆者ももう少し柔らかいペン先のほうが好みだ。複数のペン先が用意されることを望みたい。

 なおDellプレミアム・アクティブ・ペンはグリップ部に2つ、ノック部に1つのボタンが用意されており、グリップ部のボタンを同時押しすることで、Microsoft Pen Protocol 1.51とワコム AES 2.0を切り替えられる。

 Microsoft Pen Protocol 1.51とワコム AES 2.0のどちらのモードでもNew XPS 15 2-in-1ですべてのペン機能を使えたが、「Surface Go」ではMicrosoft Pen Protocol 1.51モードでなければ描画できず、また傾き検知機能はどちらのモードでも利用できなかった。今後のファームウェアアップデートで対応する可能性はあるが、現時点で他社製デバイスは限定的なサポートである点に留意してほしい。

グリップ部に2つ、ノック部に1つのボタンが用意されている
替え芯が付属しているがペン先の硬さは1種類。ただし柔らかめのペン先が採用されており、適度な摩擦によりイラストなども描きやすい
Surface ProとSurfaceペンの組み合わせと同様に、機能アイコンの上に描線が表示される。CPUを介さずにディスプレイに直接描画し、そのあとに計算された線を再描画する仕組みを採用することで、低遅延を実現している
「Zen Brush 2」などの対応アプリでは傾き検知機能を利用できる
左側面にはマグネットが内蔵されており、Dellプレミアム・アクティブ・ペンを固定可能

モバイルノートPCのディスプレイとしては上位クラスの色域

 今回の借用機には、15.6型4K UHD IPS液晶(3,840×2,160ドット、282ppi、輝度400cd/平方m、色域Adobe100%、タッチ対応、反射防止)ディスプレイが搭載されている。フルHD IPS液晶ディスプレイとの違いは解像度と色域のみ。輝度はどちらも400cd/平方mで、マルチタッチ操作も利用できる。

 借用機の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認したところ、sRGBカバー率が99.9%、sRGB比が140.5%、Adobe RGBカバー率が95.6%、Adobe RGB比が104.1%と非常に高い数値が出た。

 ICCプロファイルをColor ACにインポートするさいに「注意:このICCプロファイルのLUT Blackにクリップ(値が飽和)の可能性が見られます」という警告メッセージが表示されたので色域が正確ではない可能性があるが、モバイルノートPCのディスプレイとしては上位クラスの色域を備えていることは間違いない。

 なおNew XPS 15 2-in-1は「設定→アプリ→ビデオの再生」で「HDRビデオのストリーミング」を有効化可能だが、なぜか「Netflix」アプリではHDRコンテンツを再生できなかった。ただし、EdgeでNetflixを開けばHDRコンテンツを再生できる。もし本製品を購入したのなら、当面はアプリ版ではなくWebブラウザ版のNetflixを利用しよう。

 ディスプレイ品質が高いだけにサウンド面にはやや不満が残る。ボリューム自体は十分だが、スピーカーが底面に設置されているためか音がややこもったように聞こえる。十分な空きスペースがあるキーボード面に開口部を設けるなど、物理的に有利なサウンド設計が施されることに期待したい。

15.6型4K UHD IPS液晶(3,840×2,160ドット、282ppi、輝度400cd/平方m、色域Adobe100%、タッチ対応、反射防止)ディスプレイを用意
Adobe RGB カバー率100%の高色域、1,500:1のコントラスト比が謳われている
実測したsRGBカバー率は99.9%、sRGB比は140.5%
Adobe RGBカバー率は95.6%、Adobe RGB比は104.1%、
スピーカーは底面の左右側面寄りに内蔵されている。開口部はせばめ
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大86.5dBA(50cmの距離で測定)
New XPS 15 2-in-1は「設定→アプリ→ビデオの再生」で「HDRビデオのストリーミング」を有効化可能
「HDRビデオのストリーミング」を有効にすれば、YouTubeでHDRコンテンツを再生できる
なぜかアプリ版NetflixではHDRコンテンツが読み込まれない
ブラウザではHDRコンテンツを再生可能。当面はブラウザ版を利用しよう

ディスクリートGPUの効果を存分に発揮

 最後にNew XPS 15 2-in-1のベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.5.5029」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.1」
  • 「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
  • 「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し
  • バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測
  • バッテリベンチマーク「BBench」で充電時間を計測

 なお、今回は比較対象として2in1タブレットPC「ThinkPad X1 Tablet」、2in1コンバーチブルPC「HP Spectre x360」のベンチマークスコアを掲載している。「Radeon RX Vega M GL Graphics」を1パッケージ化した「Core i7-8705G」の効果を見るため、ディスクリートGPUを搭載していないマシンを選んでいる。

 さて下記が検証機の仕様と、その結果だ。

【表2】検証機の仕様
New XPS 15 2-in-1ThinkPad X1 TabletHP Spectre x360
CPUCore i7-8705G(3.1~4.1GHz、4コア8スレッド)Core i7-8550U(1.8~4GHz、4コア8スレッド)
GPUIntel HD Graphics 630(350MHz~1.1GHz)、Radeon RX Vega M GL Graphics(931~1,011MHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1,150MHz)
メモリDDR4-2400 SDRAM 16GBLPDDR3-2133 SDRAM 16GB
ストレージ1TB SSD「PM981 NVMe Samsung 1,024GB」(M.2 2280 PCIe NVMe)256GB SSD(PCIe NVMe M.2)1TB SSD(PCIe NVMe M.2)
ディスプレイ15.6型、3,840×2,160ドット(282ppi)13型、3,000×2,000ドット(277ppi)13.3型、1,920×1,080ドット(166ppi)
OSWindows 10 Pro 64 bitWindows 10 Pro 64bit
サイズ(幅×奥行き×高さ)354×235×9~16mm本体:304.1×226×8.9mm、本体+キーボードドック:304.1×226×15.1mm307×218×13.6mm
重量約1.98kg本体:890g、本体+キーボードドック:1.27kg約1.29kg
【表3】ベンチマーク結果
PCMark 10 v1.1.1739
PCMark 10 Score4,8393,5763,761
Essentials8,5057,3587,831
App Start-up Score11,9798,6509,552
Video Conferencing Score8,3017,0127,147
Web Browsing Score6,1876,5697,036
Productivity6,9175,6026,578
Spreadsheets Score9,3256,6947,937
Writing Score5,1324,6895,453
Digital Content Creation5,2273,0112,803
Photo Editing Score7,1173,5323,332
Rendering and Visualization Score5,2042,0221,814
Video Editting Score3,8573,8263,645
3DMark v2.5.5029
Time Spy2,215435382
Fire Strike Ultra1,623278236
Fire Strike Extreme3,073533467
Fire Strike6,1801,132962
Sky Diver16,9224,6894,173
Cloud Gate19,6148,5427,905
Ice Storm Extreme50,92945,89750,090
Ice Storm36,17861,40568,829
CINEBENCH R15.0
OpenGL115.02 fps52.66 fps45.27 fps
CPU665 cb612 cb468 cb
CPU(Single Core)173 cb166 cb105 cb
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット22,8124,503
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット10,2938,595
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン904(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3,218.053 MB/s3,196.315 MB/s1,791.212 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2,397.528 MB/s1,247.883 MB/s1,047.192 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1,280.924 MB/s740.162 MB/s1,037.058 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1,284.430 MB/s336.162 MB/s712.583 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード285.504 MB/s259.953 MB/s488.235 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト257.027 MB/s389.744 MB/s408.566 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード41.644 MB/s40.159 MB/s46.929 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト109.308 MB/s107.023 MB/s147.393 MB/s
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、自動設定6分20秒22
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps5分14秒05
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス)
バッテリ残量5%まで7時間21分58秒6時間40分35秒13時間35分11秒
BBenchにより充電時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:最も高いパフォーマンス)
バッテリ残量5%から100%まで2時間24分44秒

 CINEBENCH R15のCPUスコアで比較するとThinkPad X1 Tabletが612 cb、New XPS 15 2-in-1が665 cbなので、53 cbの向上にとどまっているが、ディスクリートGPUの効果はやはりグラフィックス関連ベンチマークで顕著に現われている。3DMarkのTime Spy、Fire Strike Ultra、Fire Strike Extreme、Fire StrikeでNew XPS 15 2-in-1はThinkPad X1 Tabletの5倍以上のスコアを叩き出している。

 なお、Ice StormのみNew XPS 15 2-in-1と、ThinkPad X1 Tablet、HP Spectre x360のスコアが逆転しているが、複数回ベンチマークを実行してもスコアは大きく変わらなかった。Ice Stormに含まれるなんらかの処理が、Radeon RX Vega M GL Graphicsと相性が悪い可能性がある。

 バッテリ駆動時間についてはNew XPS 15 2-in-1は8時間を割っており、HP Spectre x360の13時間35分11秒に6時間14分もの差をつけられた。バッテリ駆動時間を優先させるなら4K UHD液晶ではなくフルHD液晶ディスプレイを選んだほうがよいが、その場合メモリ容量が8GB、ストレージ容量が256GBとなるので悩ましい選択だ。

 New XPS 15 2-in-1は放熱性の向上にも注力。Dellは、3本の超薄型複合ヒートパイプ、化学合成グラファイト製ヒートスプレッダ、液晶ポリマー製デュアルファンにより放熱性を高めつつ、熱伝導率が空気よりも低い「GORE Thermal Insulation」を内部の各所に使用することで人体にふれる部分の熱を遮断していると謳っている。

 実際高負荷時の底面の表面温度を赤外線サーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」で計測してみたが、発熱がとくに高い底面のうしろ半分にかぎっても、最大温度43.6℃、平均温度39.2℃にとどまっていた。ただしヒンジ部の放熱口付近は最大52.8℃まで上昇していた。膝上で利用するさいにはヒンジ部が当たらないように一定の配慮が必要だ。

ヒンジ部には3つの冷却口が設けられている。サーモグラフィーカメラで撮影した熱分布を見たかぎりでは、向かって左側と中央の穴で排気、右側と底面の穴で吸気を行なっているものと思われる
CINEBENCH R15のCPUを連続で5回実行したさいのキーボード面の最大温度は54.5℃
底面の最大温度は52.8℃
発熱がとくに高い底面のうしろ半分に限ると最大温度は43.6℃、平均温度は39.2℃
ACアダプタの最大温度は42.2℃

おもにクラムシェル、時々ペンタブレットして使うなら絶好のマシン

 「世界最小・最薄15.6型2in1ノートPC」を謳うNew XPS 15 2-in-1は、ディスクリートGPUを内包したCore i7-8705Gを搭載しておりスペック的にスキがない。Surface ProとSurfaceペンの組み合わせと同等の筆圧検知、傾き検知、低遅延を実現したDellプレミアム・アクティブ・ペンが同梱されており、ペンタブレットとしても使い勝手は良好だ。

 タブレット端末としておもに使うなら13型以下のディスプレイを搭載し、合計重量1.3kgを切る2in1 PCを選ぶべきだが、普段はクラムシェルノートPCとして利用して、時々ペンタブレットして使うのならNew XPS 15 2-in-1はもってこいの選択肢だ。