週末カジュアルPCゲーム部

ポイントは「キャッチ」と「察知」! SFテイストのドッジボール対戦「Knockout City」

「Amazon プライムゲーミング」価格:無料(9月30日まで)

Steam価格:2,000円

 今回紹介するのは、ドッジボールを題材にした対戦アクションゲーム「Knockout City」だ。Steamでの価格は2,000円だが、Amazonプライム会員向けのサービス「Amazon プライムゲーミング」では9月30日まで無料ダウンロードコードが配布された。コードはエレクトロニック・アーツの「Origin」で利用できる。本作はクロスプレイに対応しており、PC版であってもPlayStation 4やXbox One、Nintendo Switchなどのプレイヤーと一緒にゲームプレイが可能だ。

 ボールをぶつけあうというシンプルなルールの球技「ドッジボール」を題材にSFテイストを盛り込み、ユニークなシステムとして仕上げたのが「Knockout City」だ。ストーリーモードなどは特になく、チュートリアルで世界観や操作方法を把握したら以降は対人戦を繰り返すという後世になっている。

 ドッジボールと言えば、現在40代の筆者としては、学校の授業などでよくプレイしたため、誰もがプレイしたことのある球技の1つという印象を持っているが、近年の授業でも「ドッジボール」が行なわれているかは不明なため、知らない人たちもいるかもしれない。

 ドッジボールを題材とした漫画としては、小学館よりこしたてつひろ氏が1989年から「コロコロコミック」で連載した「炎の闘球児 ドッジ弾平」が挙げられるだろう。1991年にはテレビアニメ化され、当時はちょっとしたブームも起こった記憶が残っている。また同じ小学館からは1992年頃より富所和子氏による少女漫画「はずんでキャッチ」が発売されている。ほかにも主題ではないが、集英社の人気作「HUNTER×HUNTER」劇中にてドッジボールを扱うエピソードがある。

 ゲームにおいては、テクノスジャパンの「熱血高校ドッジボール部」が「くにおくんシリーズ」の1つとしてファミコンでリリースされているのが有名だ。本来頭身の高いくにおくんを操作して戦うベルトスクロールアクション「熱血硬派くにおくん」に登場したキャラクターたちをデフォルメし、ドッジボールの試合を行ないつつも、時にはキックやパンチで敵を殴ってもOKというハチャメチャなルールのスポーツアクションとして仕上がっている。ほかにも前述のドッジ弾平をゲーム化した物が当時のコンシューマゲーム機で多く発売されていた。

 従来のドッジボールのルールは非常にシンプルで、ラインで仕切られたフィールド内で2チームにわかれてボールを投げ合い、キャッチするか回避すればOKだが、キャッチに失敗して当たってしまうとアウトとなり、外野に出なければならない。外野のプレイヤーはボールを受け取れればフィールド内のプレイヤーにボールを投げて攻撃することも可能だ。最終的にフィールド内のプレイヤーが誰もいなくなったチームの負けとなる。

 ルールは地域によって異なり、例えば顔にボールが当たった場合は外野に行かなくても済むといったものや、最初から外野にいたプレイヤーは自由にフィールドに戻れたり、外野のプレイヤーがフィールド内のプレイヤーにボールをぶつけられれば、そのプレイヤーは再びフィールドに復帰できるものなど様々だ。

 今回紹介する「Knockout City」のルールでは顔面、内野、外野といったルールが排除されており、指定フィールド内を自由自在に動き回って敵にひたすらボールを当ててKO数を稼ぐルールとなっている。ドッジボールは対戦ゲームのルールとしては扱いやすい題材だと思うのだが、近年ドッジボールを扱ったタイトルはほとんど発売されておらず、久しぶりのドッジボールタイトルとして注目の1本と言える。早速そのプレイフィールをチェックしてみよう。

ポップでシンプルなタイトル画面
ゲーム開始直後はビルの屋上にある拠点からスタートだ。ビルから降りることはできず、飛び降りると落下してやり直しとなる
メインメニューではキャラクターのカスタマイズなどが行なえる

 ゲームを開始するとプレイヤーの拠点となるビルの屋上からスタートとなる。ここにはダミーロボットが常備され、キャッチやスローのトレーニングが行なえる。初回のみフィールドに配置されているアナログTVのようなロボットに触れることでチュートリアルが開始できる。チュートリアルを一通り体験した後でも、メインメニューを開いて「プレイ」の「トレーニング」を選択することで何度でもリトライが可能だ。

 操作するキャラクターは体、頭、髪型などのスキンを組み合わせることで自由にカスタマイズできる。デフォルトでも多くのスキンが用意されているが、ゲームをプレイすることで獲得できたり、ゲーム内マネーやリアルマネーを使ってショップで購入することも可能だ。

チュートリアルで基本操作を学べる。意外とボリュームがあるし、気になるトレーニングは何度もトライするので全て終わらせるのにはかなり時間がかかる
キャラクターのカスタマイズは服装や髪型、顔の種類などかなりきめ細かく調整が可能だ
ショップではスキンなどを購入することもできる

 本作の操作はキャラクターを移動してボールを敵に投げつけたり、敵からのボールをキャッチしたり回避したりといったシンプルな物だ。ボールを投げるにはボールを持った状態でRTボタンを押すだけ。長押しすることで投げられるターゲットを自動でロックオンする仕組みのため、エイムの必要がないのはありがたい。一定時間長押しすることでチャージされ、より強力なボールが投げられる。投げたボールは相手を追尾するようになっており、意識していないと簡単にヒットされてしまう。

 投げるのがRTボタンなら相手のボールをキャッチするのはLTボタンだ。相手がボールを投げてからプレイヤーに届く前にLTボタンを押すことでキャッチが可能となっている。キャッチするには相手の方を向いている必要があり、どんなにタイミングよくボタンを押せても向きがあってなければ意味がない。ボールを向いていない状態でロックオンされると、画面の枠が赤くなるため、相手に投げられる前にボールを持った相手がどこにいるのかを見極める必要がある。

 なお、ボールキャッチはギリギリでLTボタンを入れることで「完璧」と表示される「パーフェクトキャッチ」となって手元のボールがチャージ状態となる。チャージされた状態では通常より威力の高いショットを投げることが可能だ。このキャッチのギリギリのタイミングについてはかなりクセがあり、本当のギリギリだと「遅すぎる」ため、気持ち早めくらいのタイミングでキャッチするのが無難だろう。

 チャージは仲間へのパスなどを重ねることでオーバーチャージとなり、オーバーチャージを4段階以上にするとスーパーチャージ状態に変化する。威力も速度も強力になるが、スーパーチャージにするには前述のパーフェクトキャッチが必要となる。

 ジャンプ2度押しによるグライダーの滑空や、Xボタンによる「回避」アクションも重要だ。「回避」アクションではロックオンされて、ボールが投げられた後にこのボタンでボールをかわしたり、ボールに向かって突撃することでボールの軌道をそらしたりと、なかなか有能なアクションの1つだ。また「回避」アクションで相手に突撃することで態勢を崩すことも可能だ。

投げる時は相手を自動でロックオンするので細かいエイムは不要。ボールはロックオンした相手をある程度は追尾してくれるが、壁に遮られたり、回避されてしまった場合は追尾しきれずにボールは落ちてしまう
キャッチはタイミングよくLTを押すことで行なう。絶妙のタイミングでキャッチできると「パーフェクトキャッチ」となり、画面上には「完璧」の文字が表示され、チャージ状態となる
方向キーとXボタンで「回避」操作だ。ロックオンされたが、どこから狙われているかわからない場合はタイミングよく「回避」でかわすのが正解だ

 本作の最大の特徴の1つ、それは自らボールになれる「ボールフォーム」だ。RBボタンを押すことで簡単にボールの状態に変化し、転がりながら移動できるようになる。通常の状態と比べて低い状態となるため、通常では入れないようなところに転がり込むこともできるがボールは持てなくなる。

 そしてボール状態なので、人が拾うと当たり前だが投げられる。しかも味方がフルチャージ状態で投げると「アルティメットスロー」という特殊なビジュアルのスローとなり、敵を一撃でKOできるのだ。ただし敵に拾われてしまう場合もあるので、このような時はAボタン連打でボール状態を解除して、手から離れることも可能だ。

 ボールは通常はフィールド上の特定ポイントに出現し、ボールを持っていない状態であれば、触れることでボールを持つことができる。フィールド上に置かれるボールとしては、通常のボールのほか、より遠距離の相手にボールを投げられるスナイパーボール、3つのボールをキープした状態となるマルチボール、範囲攻撃が可能なボムボール、範囲内のプレイヤーの視界をさえぎるソーダボールなどバリエーションも豊富だ。

ボールフォーム! MSX版「ウォーロイド」の裏技を思い出す人もいるかもしれない
当たり前だが自身がボールなのでボールは持てないが、チーム戦では仲間に投げてもらえる
フルチャージ状態で投げてもらうと大爆発を巻きおこす「アルティメットスロー」となり敵を一撃でKOできる

 ゲームモードは複数あるが最初は3vs3でスコアを競う「チームKO」のみマッチングできる。チームは仲間同士でクルーを結成することができるほか、ソロであってもその場限りのマッチングによる即席チームで挑むこともできる。

 何度かプレイしてストリートランクを上げていくことで、8人のプレイヤー全てが敵の「アブソリュートカオス」や2vs2で敵を倒す「ダブルチームエリミネーション」などのモードが選べるようになる。これら単発のバトルとは別にリーグプレイでランクを競うといったモードもランクを上げることで解放される。また、仲間同士でバトルを楽しめる「プライベートマッチ」も用意されている。

 本番ではライフが2ポイント用意されており、1度ボールが当たると1減り、2度ボールを食らってしまうとKOとなる。「チームKO」などのチーム戦では相手をKOすることで1ポイントがチームに加算され、先に既定のポイントに到達したチームの勝利となる。また、バトルロワイヤルのような「アブソリュートカオス」では、8人のプレイヤーの誰か1人が15KOを稼いだところでゲームは終了となる。

 なお一撃でKOする大技もあり、前述のスーパーチャージによるスローや、アルティメットスローなら一撃でKOすることが可能だ。ほかにもフィールドによっては触れると即死の電車が走ってくるエリアもあるし、下に落ちるとそのまま即死してしまう場所も多いので足場には要注意だ。

3vs3のチームバトル「チームKO」や、2vs2のチームバトル「ダブルチームエリミネーション」はいずれもほかのプレイヤーとチームを組んで相手チームを倒すルールだ。勝った場合は最もスコアを稼いだプレイヤーがMVPとなり、特別なモーションを披露できる
8人全てが敵同士の「アブソリュートカオス」は8人同時に戦うバトルロワイヤルなモード。最初に15KOに到達したプレイヤーが勝者となる
SF的な近未来都市の割には落ちたら即死のポイントが意外と多い

 実際に対人戦を何度か試してみたが、最大のポイントは「キャッチ」と「察知」だ。キャッチについては堅実なキャッチを心掛けたい。キャッチ時のモーションは早すぎると解除されるため、距離にもよるが、相手が投げたことが確認できるくらいのところでボタンを押すのが確実そうだ。

 というのも当初は最初のトレーニングでとにかくこのキャッチのタイミングを極めようと一生懸命「パーフェクトキャッチ」を練習してから本番に挑んでみたのだが、結局のところ双方が自由に動き回るフィールドにおいては、練習と違ってボールを投げる距離感が毎回異なるため、当たらないようにキャッチするのも一苦労だったからだ。

 むしろ、相手がどこにいるかの「察知」の方が重要なポイントだったりする。自分の周囲にいる敵や味方の位置を把握しておくことで急なスローにも対応できる。実際のバトルを見ているとド派手なショットが炸裂することは稀で、そこそこ高レベルのプレイヤーであっても、不意打ちのような離れた場所からのスローに当たってダメージを食らう方が多いように感じた。

 また、相手からロックオンされると画面の外枠が赤色に変化するため、どこから飛んでくるかわからない場合は、回避で逃げ回ることで、ダメージを食らわずに済むことも多い。常に視点を回転させて周囲の敵の位置を把握しさえすれば、キャッチも反撃も思いのままだ。敵の位置の的確な「察知」と急なスローに対する「キャッチ」こそ、本作における最重要ポイントだと言える。

 そしてもう1つ、本作は逃げ回るよりも積極的にボールを掴み、ロックオンできた相手に片っ端から投げるのが非常に重要だ。ボールはロックオンした後は自動で追尾するため、前述の通り、相手がこちらの位置を把握していないと、意外とヒットすることが多い。実際に「アブソリュートカオス」プレイ時、あまり華麗に決めた記憶はないにも関わらず、拾ったボールはとりあえずロックオンして相手に投げるというアクションを繰り返していたところ、意外とヒットしてスコアが稼げていた。消極的なプレイヤーは「ボールフォーム」でほかのプレイヤーに投げてもらえばいいや、という考えも浮かびそうだが、本作においては失敗を恐れずに積極的に投げまくるのが上達の近道でもあり、本作を満喫するプレイスタイルと言えそうだ。

「アブソリュートカオス」で後ろから狙われた時の瞬間。録画で見直して気が付いたが、ジャンプした時は相手の存在に全く気が付かなかったため、完全に背中を見せてしまっている(この後、KOされた)
ボールの方向に回避することで、相手ボールを無効化! 相手の位置の察知がうまくいくと、ボールが飛んできても怖くない!
「チームKO」にて相手と正面からボールを投げ合ってみたが、正面から投げても意外とキャッチに失敗する。こいつは投げなきゃ損だ

 各種モードを遊んでみたが、個人的にはほかのプレイヤーが全員敵の「アブソリュートカオス」が文字通りのカオスなバトルが楽しめておススメだ。いわゆるバトルロワイヤルなモードに近いが、本作の場合、15KOを最も早く獲得したプレイヤーが勝利となるため、逃げ回っているとまず勝ち目はない。果敢にほかのプレイヤーのいる修羅場に飛び込む必要があるため、ハードなバトルが多くなるが、勝った時の達成感はなかなか心地よい。

 多くのプレイヤーが入り混じって混戦になるため、敵の位置を把握する「察知」も重要だが、混戦の中をスピーディーに動き回ることで、ほかのプレイヤーが落としたこぼれ球ををゲットするのが面白い。そしてボールをゲットしたら、混戦から離脱して、離れたところから適当にチャージしてスローすることで、結構ポイントを稼ぐことができるのも気分爽快だ。

 本作では勝っても負けても繰り返しプレイすることでストリートランクは上がっていく。「契約」と呼ばれるミッションのような仕組みも用意されているので、繰り返しプレイすることでこうした契約をクリアしていき、さらにランクを上げるのも面白い。ほかにもゲーム内マネーを稼いだり、アバターのカスタマイズアイテムなどを稼ぐこともできるので、1人でのんびり未来のドッジボールを満喫するもよし、仲間と一緒に腕を磨いてバトルを満喫するもよしと、遊び甲斐のある1本となっている。

そこそこ遠距離の相手であっても、ロックオンされればこちらのものだ! 参加しているプレイヤーにもよるとは思うが、結構な確率でヒットするので初心者でも気軽に楽しめる印象だ
「察知」に失敗して飛んできたボールに背中を見せてしまっていた!
ド派手なボムボールの爆発範囲に巻き込まれてダメージを食らった! 出現するボールの種類はステージによって異なるが、本文で紹介したボール以外にも色んなバリエーションのボールが用意されている

 本作におけるGPU設定はシンプルで、「影の品質」と「アンチエイリアス」、「被写界深度(DOF)」「SSAO」、「VSync(垂直同期)」、「FPS制限」といったところ。今回はGeForce RTX 2080 8GBとRyzen 5 3400G搭載のゲーミングPC上にて、解像度を4K、「影の品質」を最高の「ベリーハイ」、「アンチエイリアス」を「FXAA」、「VSync(垂直同期)」をオフにし、「FPS制限」は「無制限」設定してフレームレートを見てみたが、常時100以上、平均140~150前後と高fpsを維持しており、ゲームプレイ上は全く問題のないレベルだった。ただし、GPUの負荷については常に90%前後から動かず、それなりに高い状態を維持し続けた。

 今回は比較的ハイエンドな環境だったが、最近のミドルクラスのGPUさえ搭載していれば、解像度の調整やGPU設定を調整することで、比較的快適に動作すると思われる。

スペック要件(最低)

OS: Windows 10(64bit)

CPU: Core i3-6300 / AMD Ryzen 3 1200

RAM:8GB

GPU:NVIDIA GeForce GTX 660/AMD Radeon HD 7870

ストレージ: 16GB

今回プレイした環境

CPU:Ryzen 5 3400G

RAM:DDR4 16GB

GPU:GeForce RTX 2080(8GB)

ストレージ:TS256GMTE220S

GPU負荷は常に高めだが、フレームレートは常時100以上を維持し続けた。対人戦ゲームにおいて高fpsを維持してくれるのはありがたい
回避アクションで相手に突撃すると、相手を弾き飛ばせる。ダメージは与えられないが、体制を崩すことができるので、ボールを持ってない時など利用する機会は多い
チーム戦では仲間同士で互いのボールをパスし合うことでオーバーチャージを稼ぐこともできる
真正面からのノーマルスローだが、キャッチは意外と失敗することが多かった。相手の熟練度にもよると思うが、ロックオンしたら一か八かのスローはかなり有効だ