山田祥平のRe:config.sys
日本をAI・ロボティクス大国に
2025年9月27日 06:17
GMOが目指すヒューマノイドの社会実装
昨年6月に「AIとロボットをすべての人へ」をコーポレートキャッチに本格的な事業をスタートし、多様なビジネスを展開するGMOインターネットグループ。この春にはロボットの人材派遣型サービスも提供を開始、国内でもっともヒューマノイドに精通した企業グループを自負する。
そんな同社がAI・ロボティクス大会議を開催、AI・ロボティクスに関わる日本のリーダーらを集め、AIを手にしたロボットがもたらす豊かな未来を明示的に提示、その実現に向けての抱負を語った。
ヒューマノイドロボットが急速な進化を見せているという。ソフトウェアの改善だけで短期間に歩行から走行へなど、秒進分歩の勢いで成長しているらしい。
GMOグループ代表の熊谷正寿氏は、イベントのオープニングメッセージのために登壇し、技術の成長を示すグラフの立ち上がり角度が2022年11月30日以降、大きく変わったことをアピールした。この境となった日は、いうまでもなくOpenAIによるChatGPTの発表の日だ。そして、来年2026年は世界の産業市場においてヒューマノイド元年になると予測する。
GMOグループは、昨2024年12月にAI CEO「熊谷正寿」をG1ロボットに搭載し、その後、2025年9月24日に移動可能なAI CEOヒューマノイドとして発表した。
とにかく人間には休息が必要だが、ヒューマノイドは電源さえあれば24時間365日稼働で、単純な時間効率が3倍になる。しかも、無限にコピーが可能だ。「3倍かける無限」は「無限」であり、すなわち無限の可能性を秘めているという。ちょっと強引だが数学的にはそうだ。
今、同社の社内ポータルでは、AI CEO「熊谷正寿」が8,000人の社員によって活用されているという。そのAIが現時点のタイミングでG1ロボットに搭載され、移動可能なAI CEOヒューマノイド「熊谷正寿」として発表されたのだ。
資金、人材、官連携をうまくやれ
熊谷氏は、生成AIとロボティクスの組み合わせは、人類史上最大の技術革命だという。今、我々が接しているAIはPCやスマホの画面に存在しているにすぎないが、それがロボットに実装されることで、初めて世の中をフィジカルに変えていくという。
同氏がインターネット事業を始めたのは1995年だが、この30年間の27.5年間と、直近の2.5年間では成長のスピードがまったく異なると同氏。ChatGPTの発表されたその日以来、成長のスピードは日進月歩から秒進分歩へと変化したというのだ。
ともあれ、熊谷氏はヒューマノイド関連のニュースに日本企業の名前がほとんど出てこないことを指摘する一方で、ベンチャーが登場していることに言及、全力で応援しなければならないと考えているようだ。
かつて日本はものづくり、技術で世界をリードしていたのだから、今は少子高齢化という課題すら強みに変える千載一遇のチャンスであり、失われた30年の停滞を打ち破る鍵は、このAIのロボットになると熊谷氏。全日本で協力し、テクノロジで新しい時代を今こそ切り開くべきだという。
うまくいかないのは、資金、人材、官連携がうまくいっていないというのが同氏の意見だ。また、ドローンに関するニュースが圧倒的に殺人兵器としての技術が多いように感じているとし、もし、ヒューマノイドがこうなったらどうするかと問う。だからこそ、今こそ日本は産官学が連携して、AIロボティクスの平和利用で世界のイニシアティブをとるべきだと考えているそうだ。
そして、今こそが、日本人全員でこれでいいのかと考えるべきときだとも。こうしてAIロボティクスの問題意識を共有し、改めて、AIとロボットの社会実装のお手伝いをさせていただきたいとした。
人それぞれのAI
個人的には成長のスピードというよりも、新しく始まった30年間は、過去の似た体験を反復しているようにも感じている。だから速い。
2022年11月30日をXデーだということは認めよう。だが、その日を境に、人々の2回目のインターネット体験、コンピューティング体験のやり直しが始まったと感じている。その日を境に、パーソナルコンピュータとの関わり方が変わり、人の意識の中におけるコンピュータの位置付けが変わった。
絵のうまい人は、PCを使えばもっとうまく描ける。優れた小説家がPCを使えばもっとおもしろい作品が書ける。PCをAIに置き換えても同じだ。
今はAIと対話するためにはPCやスマホなどを使うしかないが、それがいつまでも続くとは限らない。最終的には腕時計になるかもしれないし、単体のイヤフォンになるかもしれない。そのとき、キーボードとマウス、そして、ディスプレイを持つ今のPCの姿はどうなっているのだろう。
いずれにしても、これまでのPCの使い方の習得は、アプリの使い方の習得に等しかった。だからこそ、WordやExcel、Photoshopなどの使い方を懸命に覚えてきたわけだが、これからはそうじゃなくなる。頼んだことはAIがやってくれるからだ、やり方を覚える必要はなくなる。たぶん。
だからこそ、人付き合いと同様に、機械との付き合いのツボを習得することを目指す。どう向き合って対話すれば、機械が人間である自分のことを分かってくれて、自分が欲しい結果を提供してくれるかを考えるわけだ。
でも、よくよく考えてみれば、それはたとえば、組織の中で上司、部下の関係を築き、そこでくりかえしやってきたこととそんなに大きく違うわけじゃない。
人それぞれのAIがいて、人それぞれが違う使い方をする。それが社会実装ということなのだろう。その実装の方法論も人それぞれだ。
この日のGMOのイベントでは、日本のAIシーンを牽引する名だたる顔ぶれがそれぞれのAIを矢継ぎ早に語った。それを信じる限り、この先30年間に結構な期待をしてしまう。
そう、たぶん、日本は大丈夫だ。










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