山田祥平のRe:config.sys
書斎も無ェ、デスクも無ェ、リモートワークは何者だ?
2020年3月21日 11:00
在宅勤務は、本来、執務する環境ではないところでの仕事を余儀なくされる形態だ。誰でも「はいそうですか」とカンタンに移行できるものではない。だが、工夫次第で多少はマシな環境は作れる。そのための装備について考えてみよう。
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都市部の住宅事情を考えると、在宅勤務というのはなかなか厳しいものがある。しかも、子どもの臨時休校事情まで考慮すると、自宅にいながら仕事に集中できる場所を確保するのは難しいと考える方は少なくないのではないか。
個人的には自宅=仕事場なので、とりあえず、自宅で仕事をするスペースは確保できているが、日常的に通勤しての会社勤務をしていた場合、そんなことは想定せずに居宅内が考えられているのではないだろうか。
フリーランスライターの場合の取材出張ということを想定して、さまざまな問題解決方法を考えてみると、いくつかの解が見つかる。まったく同じというわけにはいかないが、これらの難関を突破するヒントになるかもしれない。
海外イベントが開催されるサンフランシスコやバルセロナ、ベルリンといった都市のホテルが高騰し、高値安定となってしまった今、宿泊しなくてはならなくなっても、もはや予算内ではまともなホテルに泊まるのは難しい。
とくにイベント時のホテル代はあまりにも高すぎる。郊外に離れてしまえばホテル代は安くなるが、取材現場との距離があれば、往復の時間がバカにならない。ホテルなんてベッドがあって睡眠をとることができればそれでいいと考えることもできるが、フリーランスのライターの場合は、取材が終わって部屋に戻り、その取材内容を記事にまとめるという仕事が待っている。とにもかくにも部屋は仕事をする場でもある。なんとかしなければ死活問題だ。つまり、ここは在宅勤務と同じなのだ。
宿泊するホテルにろくな設備がないことがわかっているときには、自衛手段として仕事ができる、よりよい環境を持参するようにしている。たとえば24型ディスプレイをスーツケースに入れて持ち運ぶのは、その1つで、大きなディスプレイがあれば、ノートPC 1台よりも、仕事の効率が大きく向上するからだ。
ただ、ホテルによってはベッドサイドに電話台に毛が生えた程度のテーブルしかないこともある。こういう部屋ではせっかく持参したディスプレイどころか、モバイルノートPCを置いて作業するのもたいへんだ。
あらかじめそういう部屋であることがわかっている場合、作業スペースをなんとか確保するために、アウトドア用の折りたたみテーブルを1つ確保してある。もちろんスーツケースに入れて持っていくためだ。つまるところはなんちゃってモバイルデスクである。手持ちのものは、ちょうど風呂フタのようなロール型で、けっこうコンパクトに折りたたむことができる。長さ的にはギリギリだがスーツケースにも入れることができる。重量も3kgほどだ。
このテーブルがあるおかげで、ディスプレイを置いて、その隣にコンバーチブルPCをテントスタイルで置き、外付けのキーボードをつないでの一般的なデスク作業がどんなところでもできる。脚の部分もしっかりとした造りでガタツキもない。ただ、万能ではない。ほぼ70cm四方のテーブルはあまりにも大きくて、それを置くスペースそのものを確保できないということもありそうだ。
知恵と工夫のにわか書斎
テーブルを購入したのはすでに4年前なので、最近の状況が気になって、Amazonなどで関連製品を物色してみたが、ウイルス騒動で需要が高まっているのかどうか、いろいろと魅力的な製品が見つかる。
そんななかから、いくつか購入してみた。「サンコー カメラ三脚用ノートPCデスク CLHCMAL2」は、カメラ用の三脚に取り付けができるテーブルだ。デスクと呼ぶにはちょっと抵抗があるが、これはこれでありだと思う。iPadに外付けキーボードをつないで作業するなら十分な広さを確保できる。
また、「Tabletote 携帯可能 コンパクト 軽量 高さ調整式 ノートPC スタンドテーブル 」もよくできていた。スーツケースどころか、普通のビジネスバッグやバックパックに入ってしまうコンパクトさとその機動性がいい。
さらに、この記事には間に合わなかったが、「ぼん家具 サイドテーブル 折りたたみ 書見台」なども気になっている製品だ。
これらのテーブルが1つ、あるいは複数あれば、ちょっとしたスペースに設置して、デスクとして機能させ、PCと周辺機器を設置してにわか書斎が作れる。多少の占有スペースを覚悟すれば、24型程度の外付けディスプレイを置いての作業も夢ではない。
そして、この騒ぎが収まって、日常が戻ってきたら、次の機会に備えて片付けておけるのだ。食卓のテーブルは食事ごとに片付ける必要があるし、リビングのテーブルでは低すぎて作業しにくいが、これらのテーブルは高さが70cm前後なので一般的なデスクと似たような高さだ。普通のイスと組み合わせても作業に支障はない。中途半端な高さのカフェのテーブルや、カラオケルーム、床に座ってコタツやローテーブルなどで作業するよりは、体への負担もずっと少なくできると思う。うまく機能させることができれば、ノートPC 1台での作業を強いられる勤務先オフィスのデスクよりも、ずっと居心地のいいにわか書斎が作れるかもしれない。
なお、先にあげたアウトドア用テーブルを含め、これらの製品はおそらく同じものが異なる価格で販売されているので、もし購入する場合には、めんどうくさがらずに丹念に商品を物色してほしい。
今回のウイルス騒動は自然災害と違って、電気ガス水道やITインフラと、少なくとも国内の物流がほぼ日常通りに機能しているのが救いだ。だからこそ知恵と工夫で乗り切れ、そのノウハウは近い将来、きっと役に立つ。それはひとえに、それらのインフラに携わってくださっている人たちのおかげでもあり、本当に感謝しかない。どうか、少しでも早く、この状況が収束してくれることを願いたい。それまでの間を、知恵と工夫で乗り切ろう。