トピック

メモリ高騰はいつまで?法人PC調達で「待つほど損」になる理由

 メモリ高騰はいつまで続くのか。結論から言えば、DRAM価格の正常化は早くても2027年後半以降、本格的には2028年以降になる可能性がある。数カ月から1年待てば安くなると考えるのは危うい状況だ。生成AI向けデータセンターの増加により、DRAMメーカーはHBMやサーバー向けメモリへ生産能力を優先的に振り向けている。

 調査会社TrendForceは、2026年第2四半期の一般DRAM契約価格が前四半期比58~63%上昇すると予測しており、メモリ価格は上昇し、高止まりへ向かう局面にある。法人PCの調達では、この影響を避けにくい。Windows 10のサポート終了を受け、今後1~2年以内にPC刷新を予定している企業にとって、問題は「いつ安くなるか」ではなく、「高止まりする前提で、どう賢く買うか」だ。つまり、待てば待つほど損ということになる。

 では、500台規模の法人ノートPCを調達する場合、何を判断基準にすべきなのか。その回答の1つは「構成最適化」だ。本稿では、メモリ高騰時代のPC刷新で押さえておきたいポイントを整理していく。

長引くメモリ高騰

 メモリは在庫状況で価格が変化しやすいPCパーツで、これまでも数カ月単位で上下することはあった。しかし、今回の高騰は生成AIデータセンターの需要拡大が背景にある。AIサーバーではGPUだけでなく、HBM、サーバー向けのDRAMおよびSSDが大量に必要だ。メモリメーカーの生産能力が高付加価値のサーバー向けに振り向けられれば、クライアントPC向けの供給に大きく影響する。

 そのため、近い将来にPC刷新が必要な法人が「少し待てば安くなる」と判断するのはリスクが高い。本当に2028年以降まで調達を後ろ倒しできる端末だけが例外であり、Windows 10世代のPCを抱える企業では、待つほど調達コストが読みづらくなる。

 メモリ業界は主要メーカーが限られており、短期間で生産能力を大きく増やすことが難しい。新工場や新ラインの立ち上げには年単位の時間がかかり、AI需要の増加に供給が追いつくまでには年単位のタイムラグがあるためだ。

法人ノートPCはこの1年で約14%の価格上昇

 法人ノートPCの価格上昇は、メモリだけで決まるわけではない。CPU、SSD、液晶、為替、物流費も影響する。ただし、国内PC市場の平均単価を見ると、調達コストの上昇圧力はすでに見え始めている。

 JEITAのパーソナルコンピュータ国内出荷実績によれば、2026年4月のノートPC出荷は49万2,000台、出荷金額は679億円だった。単純に金額を台数で割ると、1台あたり約13万8,000円となる。前年同月の2025年4月は55万台、668億円で、単純平均は約12万1,000円だ。単純平均では約14%上がった計算になる。

 これは法人向けだけの統計ではないため、「法人PCが一律14%値上がりした」という意味ではないが、同じ予算で同じ台数を買いにくくなっていることは確かだ。500台規模で考えると、1台あたり1万円の上昇でも総額はドンと増える。メモリやSSDの価格上昇が続く局面では、数カ月の先送りが予算全体に与える影響は小さくない。

500台規模のPC調達で取れる戦略

 500台規模の法人PC調達で取れる戦略は、大きく3つある。一括前倒し、部門別の段階調達、構成最適化だ。

 一括前倒しは、必要な台数を早めにまとめて調達し、将来の値上がりリスクを避ける方法だ。価格や在庫をロックしやすい一方、初期費用が大きくなり、部門ごとの実需とズレる可能性がある。

 部門別の段階調達は、サポート期限や故障リスクの高い部署から順に入れ替える方法だ。予算を分散しやすいが、相場がさらに上がる局面では後半の調達コストが膨らむ。

 構成最適化は、全員に同じPCを配るのではなく、業務内容に合わせてメモリ容量、画面サイズ、CPU、キーボード、サポート内容を選び分ける方法だ。AIや大容量データを扱うユーザーには高めのスペックを、一般事務や定型業務のユーザーには必要十分な構成を割り当てる。

 この3つのうち、相場が上下どちらに動いても効果が残りやすいのは構成最適化だ。前倒しや段階調達は「いつ買うか」の問題だが、構成最適化は「何に予算を使うか」の問題である。

 これから導入する業務用ノートPCでは、16GBメモリを標準に考えたい。8GB構成は価格を抑えやすいが、数年使う主力端末としては余裕が少ない。

 現在の業務では、ブラウザ、Microsoft 365、チャット、Web会議、クラウドストレージ、セキュリティソフトが同時に動く。さらに生成AIサービスを使う場面も増えている。8GBではアプリの切り替え、Web会議中の資料共有、ブラウザの多数タブ運用で待たされる場面が増えやすい。

 一方で、すべてのユーザーに過剰な構成を配る必要はない。重要なのは、メモリを一律に削ることではなく、業務に応じて配分することだ。主力端末やマルチタスクが多い部署は16GB、限定用途の端末は8GB、より重い作業を行なう部署はさらに上位構成を検討する。このように分けることで、メモリ高騰局面でも無駄なコストを抑えやすい。

 Windows 10 ESUは、買い替えを不要にする手段ではなく、時間を買う手段だ。短期的な延命が合理的なケースはあるが、いずれWindows 11対応PCへの刷新は必要になる。

 メモリ価格が下がる見通しが強い局面なら、ESUで時間を稼ぐ意味は大きい。しかし、メモリ価格が上昇から高止まりへ向かう局面では、ESUで先送りした結果、後からより高いPCを買うことになる可能性がある。

 そのため、ESU費用とPC調達費は別々に考えるべきではない。「今払うESU費用」と「後で上がる可能性のあるPC調達費」を合わせて比較する必要がある。

構成を選びやすいDell Pro 14/15 Essential

Dell Pro 14 Essential

 メモリ高騰時代の法人PC調達では、用途に応じて構成を柔軟に選べる製品が扱いやすい。その選択肢の1つが、デル・テクノロジーズの「Dell Pro 14 Essential」と「Dell Pro 15 Essential」だ。

 Dell Pro Essentialシリーズは、スモールビジネス向けの業務PCとして導入しやすいラインナップだ。各種構成などを選べるため、部門や用途に合わせた構成最適化がしやすいのが強み。

 Dell Pro 14 Essentialは、14型のFHD+(1,920×1,200ドット)ディスプレイを搭載するモデルだ。16:10の画面を採用しており、文書、Webページ、チャット、表計算などを扱う日常業務で縦方向の表示量を確保しやすい。社内移動や外出があるユーザー、営業、管理職などに向く。

 アルミニウムボディ選択時のサイズは314×226.15×15.97~18.9mmで重量は構成によって変化し、最小重量は1.56kg。プラスチックボディではサイズが314×226.15×16.9~19.9mmで最小重量は1.54kgとなる(構成により重量は異なる)。

 Dell Pro 15 Essentialは、15.6型ディスプレイとテンキー付きキーボードを備えたモデルだ。受発注、経理、在庫管理、売上集計など、数字入力が多い部署ではテンキーの有無が作業効率に直結する。デスク作業中心のユーザーに配りやすい。ディスプレイの解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)でタッチ対応/非対応から選べる。

 こちらはアルミニウムボディ選択時のサイズは358.5×234.9×15.52~17.5mmで重量は最小1.65kg、プラスチックボディではサイズが358.5×235.56×16.96~18.99mmで重量は最小1.62kgとなる(構成により重量は異なる)。

 両モデルとも、USB 3.2 Gen 1、USB 3.2 Gen 2 Type-C(Dell Pro 15 EssentialはGen 1)、HDMI出力など、業務現場で使う周辺機器を接続しやすいポートを備える。Webカメラを搭載しマイクとスピーカーも内蔵、Wi-Fi 6にも対応と、クラウドサービスやWeb会議を日常的に使う環境に合わせやすい。

Dell Pro 15 Essential

 待っても安くなるとは限らないなら、調達の勝ち筋は「待つこと」ではなく「配分を間違えないこと」にある。Dell Pro 14 EssentialとDell Pro 15 Essentialは、そのための現実的な選択肢だ。