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もはや待っても安くならない?PC値上げ本格化、平均単価は14万円に
2026年7月27日 06:07
PCパーツ市場では、2025年末からメモリやSSDの価格高騰が大きな話題になっている。その影響は、パーツ単体だけでなくPC本体にも波及し始めている。
JEITAの「パーソナルコンピュータ国内出荷実績」を見ると、国内PCの平均単価は2026年4月に大きく跳ね上がり、5月も高水準が続いた。6月は4月、5月より下がったものの、前年同月と比べると明らかに高い。
その背景には、Windows 10サポート終了に伴う買い替え需要、GIGAスクール需要による台数の変動、生成AI向け需要によるメモリ/SSD不足、そして円安や部材コスト上昇がある。
2024年から2026年にかけて、国内PC価格はどう動いたのか。JEITAの統計とメーカーの値上げ動向、実売価格の例から見ていく。
JEITA統計から平均単価を読み解く
JEITAは、国内PCの月次出荷台数と出荷金額を公表している。ここでは出荷金額を出荷台数で割り、1台あたりの平均単価を概算した。
注意したいのは、この数字が店頭や直販サイトの実売価格そのものではない点だ。法人向け、教育向け、個人向け、デスクトップ、ノート、低価格モデル、高付加価値モデルがすべて混ざる。従って「ある特定のPCがこの価格で売られている」という意味ではない。
それでも、国内PC市場全体の価格圧力を見る指標としては有用だ。特に同じ計算方法で月次推移を見ると、どのタイミングで平均単価が上がったのか、あるいは大量出荷によって下がったのかが分かる。
主な月の平均単価は以下の通りだ。
| 時期 | PCの平均単価 |
|---|---|
| 2024年1月 | 約11万8,555円 |
| 2024年4月 | 約13万78円 |
| 2024年12月 | 約10万1,580円 |
| 2025年3月 | 約10万5,114円 |
| 2025年6月 | 約9万1,913円 |
| 2025年9月 | 約8万9,758円 |
| 2026年1月 | 約13万4,888円 |
| 2026年3月 | 約10万3,458円 |
| 2026年4月 | 約13万9,821円 |
| 2026年5月 | 約13万6,926円 |
| 2026年6月 | 約12万5,052円 |
2024年から2025年前半にかけては、平均単価だけを見るとPC本体の値上がりは分かりにくかった。むしろ2025年6月や9月、12月、2026年3月のように、10万円を下回る、あるいは10万円前後まで下がる月もある。
これはGIGAスクール関連など、低単価のPCが大量に出荷された影響を受けている可能性が高い。台数が大きく増えた月は、平均単価が押し下げられやすい。つまり、平均単価が低い月があるからといって、PC本体が安くなっているとは限らない。
流れが変わった2026年4月
注目すべきは2026年4月だ。2026年3月の平均単価は約10万3,458円だったが、4月は約13万9,821円へ急上昇した。1カ月で約35%の上昇になる。
2026年4月のPC全体出荷台数は56万台で、前年同月比87.3%に落ち込んだ。一方、出荷金額は783億円で同98.4%に留まった。台数は減っているのに、金額はそれほど減っていない。これは、1台あたりの単価が上がったことを示している。
5月も平均単価は約13万6,926円と高水準だった。6月は96万2,000台、1,203億円で、平均単価は約12万5,052円まで下がったが、前年同月の約9万1,913円と比べれば約36%高い。
2026年6月は台数面でも特徴的だ。出荷台数は前年同月比67.7%の96万2,000台、出荷金額は同92.1%の1,203億円だった。台数の減少幅に比べて金額の減少幅が小さく、平均単価は前年同月を大きく上回っている。
2024年から2025年は、更新需要や教育向け需要によって統計上の価格上昇が見えにくかった。しかし2026年4月以降は、部材高騰の影響が平均単価にはっきり出てきたと見てよい。
価格上昇の背景はメモリとSSDの高騰
PC本体価格を押し上げる大きな要因は、メモリとSSDの高騰だ。
生成AI需要の拡大により、AIサーバー向けにはHBM、大容量DRAM、エンタープライズSSDが大量に使われるようになっている。メモリメーカーにとっては高付加価値のサーバー向け製品を優先しやすく、PC向けの一般DRAMやNANDの供給に影響が出ている形だ。
PCでは、メモリとSSDが本体コストに占める比率は小さくない。特に16GB以上のメモリ、32GBメモリ、大容量SSDを搭載するモデルほど、部材価格の上昇を受けやすい。AI PC化によって、CPUやNPUだけでなく、メモリ容量やストレージ容量の底上げも進む。低価格帯PCほど価格転嫁を吸収しにくく、実用構成の価格帯が上がりやすい。
価格上昇の最大要因は、メモリとSSDの高騰だ。市場調査会社のOmdiaは、2025年の世界PC出荷台数が前年比9.1%増の2億7,870万台に達した一方、2025年半ばからメモリ/ストレージの供給がタイトになり、2025年第1四半期から第4四半期にかけてメインストリームPC向けメモリ/ストレージコストが40~70%上昇したと説明している。
Gartnerも、2026年末までにDRAMとSSDの合算価格が2025年比で130%上昇し、PC価格を17%押し上げると予測している。
つまり、国内PC価格の上昇は日本だけの特殊要因ではない。生成AI需要、メモリ/SSD不足、為替、輸入コスト、AI PC化による構成上昇が重なった結果として見るべきだ。
国内メーカーの値上げも始まっている
国内メーカーの動きも、PC本体価格の上昇を裏付ける材料になる。
VAIOは、2026年4月23日から個人向けおよび法人向けPC製品の出荷価格を改定すると発表している。理由として、生成AIの普及に伴うDRAMなどメモリ半導体需要の世界的な拡大と、関連部材の価格上昇を挙げている。
PC Watchの業界アンケートでも、マウスコンピューターは2026年1月以降に値上げを順次実施する予定とし、2025年12月時点で値上げ前の駆け込み需要が増えていることを明らかにしている。
これらは、統計上の平均単価だけではなく、実際のメーカー出荷価格や販売現場にも値上げ圧力が及んでいることを示している。
実売価格の例: MSIのゲーミングノート
実売価格の例として、MSIのゲーミングノート「Cyborg 15 B2RW」を見てみよう。
PC Watchで2025年12月に紹介したエディオン専売モデル「Cyborg-15-B2RWFKG-0335JP」は、Core 7 240H、GeForce RTX 5060 Laptop GPU、メモリ32GB、SSD 512GBという構成で、12月中旬時点の直販価格は21万4,800円だった。
一方、2026年7月時点で、同型番が25万9,800円で掲載されていた。単純比較では4万5,000円、約21%の上昇になる。
もちろん、実売価格はセール、在庫、販路、ポイント還元、キャンペーンによって変動する。1製品だけで市場全体を語ることはできない。ただ、メモリ32GBを搭載するゲーミングノートが、部材高騰の影響を受けやすいのは確かだ。
2026年のPC市場は「買いたいが高い」局面へ
2026年のPC市場は、需要がないから冷え込むというより、「必要な人はいるが、価格が上がり、買い替えを先送りする人が増える」局面に入っている。
Windows 10サポート終了に向けた買い替え需要は、2025年に大きく先食いされた。2026年はその反動が出やすい。そこにメモリ/SSD高騰、円安、AI PC化による構成の底上げが重なることで、10万円以下の手頃なPCは選択肢が狭まり、16GBメモリ/512GB SSD以上の実用度の高い構成では以前より数万円高い価格帯が当たり前になりつつある。
短期的には旧構成や在庫処分品を狙う手はある。ただし長く使うPCでは、安さだけを優先してメモリやSSD容量を削り過ぎると、買い替えサイクルを早めることになりかねない。
まとめ : 価格は「見えにくい上昇」から「本格化」へ
2024年から2025年にかけてのPC本体価格は、統計上はGIGAスクール需要や更新需要に隠れ、上昇が見えにくかった。平均単価が下がる月もあり、「PC本体が急に高くなった」とは言い切りにくい状況だった。
しかし2026年4月以降は、流れが変わっている。JEITA統計では平均単価が約14万円(13万9,821円)まで上がり、5月も高止まりした。6月は約12万5,000円まで下がったものの、前年同月比では約36%高い。
背景には、生成AI需要によるメモリ/SSD高騰、AI PC化による構成上昇、為替や部材コストの上昇がある。メーカーの価格改定や実売価格の上昇例も出ており、PC本体の値上がりは本格化しつつある。
今後PCを購入するなら、「もう少し待てば安くなるか」と判断するのはかなり危ない。安価な旧構成を狙うなら在庫限り、長く使うPCを選ぶならメモリやSSD容量を妥協し過ぎない。この2つを意識する必要がある。




















