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コイツは万能すぎる! スティック型SSDの高速版がバッファローから。もはや最強の使い勝手に

スティック型USB SSDの高速版が登場
さらに高速化したバッファローのUSB SSD「SSD-SCTU3A」シリーズを試す

 みなさんにとって「SSD」というのは、もはや聞き慣れたワードのはずだ。メインストレージにSSDを使っていないPCなんて、今となっては探すのが難しいほど。大容量データを長く保管するために、セカンドストレージにHDDを使っている、という人はいるかもしれないが、HDDが取って代わられる領域は徐々に広がり、SSDの存在感が確実に増している。

 そんなSSDをスティック型の小さなパッケージに収め、外部ストレージとして圧倒的な速度と取り回しの良さを実現し人気を博したのが、2020年に発売されたバッファローのスティック型USB SSDだ。通常のUSBメモリっぽい姿形で、HDDではなし得ない軽量・コンパクトさを実現し、それでいてPC内蔵のSATA SSDにも迫る高速な読み書き速度を達成していた。

 そして2021年7月に、外観はそのままでさらなる高速化を果たしたプレミアムモデルとでも言うべき「SSD-SCTU3A」シリーズが登場した。ファイルの転送速度は実に600MB/sに達し、万能感ある性能と使い勝手を実現しているようだ。どれほどの実力を秘めているのか、早速チェックしてみたい。

高速かつ小型。それでいてMIL規格に準拠する耐久性

 「SSD-SCTU3A」シリーズは、記憶媒体にSSDを採用したUSBメモリ風の外付けストレージだ。500GBと1TBの容量の2種類。今回試したのは最大容量となる1TBの「SSD-SCT1.0U3BA/N」だ。

 容量に関わらずサイズは23×68.2×11mm(幅×奥行き×高さ)、重量約17gで、一般的なUSBメモリとほとんど変わらないサイズ感。デバイスのUSBポートに差し込めばすぐに大容量外部ストレージとして扱える。そしてなにより、600MB/sという高速なファイル転送速度を実現しているのが特徴だ。

この小ささと手軽さでSSDなのが魅力
指先でつまんで持てる小ささ・軽さ

 2020年に初代モデルとして登場した「SSD-PUTA」シリーズと、その後継となる2021年5月発売の「SSD-PUTU3C」シリーズの転送速度は430MB/sだったから、そこからさらに1.5倍近い高速化を果たしたことになる。この差が実用性能のさらなる向上にどれくらい繋がるものなのか気になるところ。後ほどじっくり検証してみたい。

 インターフェイスは最大10Gbpsの「USB 3.1」(USB 3.2 Gen.2 ※PC WatchでのUSB 3.xの表記ルールについてはこちらの記事を参照)に対応する。最大5GbpsのUSB 3.0(USB 3.2 Gen.1)のポートにも接続は可能だが、600MB/sもの高速性能をフルに発揮するには、USB 3.1対応のPCなどと組み合わせる必要がある。

 とは言え、USB 3.1は最近のPCでは標準的に装備されてきているインターフェイスでもあるから、多くの人がその高速さを体感できる環境にあるはずだ。

 価格面を見ると、同容量の外付けHDDと比較した時にはやはり割高に感じるかもしれない。容量1TBの「SSD-SCT1.0U3BA/N」は実売価格1万7,000円前後、500GBの「SSD-SCT500U3BA/N」は同1万円前後で、これが同容量の外付けHDDだと1TBで6,000円前後、500GBで4,000~5,000円といったところ。価格差は2~3倍ある。

 ただ、後述するように、性能を比べるとSSD-SCTU3Aシリーズの方が外付けHDDより最大4倍ほど高速なため、価格性能比という点では優位に立つ。しかも通常のUSBメモリと同様、直接デバイスに接続できるケーブルレスで、端子部は収納式。とことんコンパクトで、使っているときも持ち運ぶときも省スペースを追求できるというメリットもある。

コネクタはスライド式
側面にある赤いツマミで端子部を出し入れ可能
HDDと比べると圧倒的に小さい
ポータブルHDDと比較すると、SSD-SCTU3Aの小ささがより際立つ
ケーブルが不要なので邪魔にならない
HDDはケーブルもかさばりがちなのがネック

 さらには、米国防総省の物資調達基準として知られる「MIL-STD-810G 516.6 procedure IV」、いわゆるMIL規格にも準拠し、高さ122cmから何度も落下させるというハードな耐久試験を行なっている。駆動部品がないため、もともと衝撃・振動に強いとされるSSDだが、そのアドバンテージをより活かした設計になっているわけだ。

 超小型・軽量かつ高耐久で、使い勝手が大幅に高まり、用途がぐっと広がることも考えると、価格を見てHDDと比較する意味はあまりないのかもしれない。単純に、データを扱うあらゆる場面で快適にしたいか、そうでないかで決めたいところだ。

ベンチマークでポテンシャルをチェック

 では、転送速度600MB/sという性能が実際にどこまで実使用時に表れるものなのか、早速検証してみよう。

 最初は恒例の「CrystalDiskMark」を使って、SSD-SCTU3Aのポテンシャルを確かめてみたい。実用性能とは異なるが、合わせてポータブルHDD(バッファロー「HD-PGAC1U3」)やUSB 3.0モデル(SSD-PUTU3C)とも比較することで、性能の傾向が分かるはずだ。

公称速度通り600MB/sの高速アクセスが可能
CrystalDiskMarkによるベンチマーク結果

【検証環境】マシン:Windows 10自作PC、CPU:Core i7-9700K、メモリ:16GB ※USB 3.1(3.2 Gen 2)ポートを利用

 ベンチマークの結果は、まさしく謳い文句通り、シーケンシャルでは600MB/sを超えてきた。ポータブルHDDとの比較では4倍を上回る性能向上で、ランダム性能については言うまでもないだろう。USB 3.0モデルと比較してもシーケンシャルで3割近く(キューが1つの場合のシーケンシャルライト性能は3割以上)高速化。これなら実用時の体感速度も変わってきそうだ。

Windowsでのファイル転送は4倍速に

ファイルコピーの速度は?
Windows 10上でのファイルコピーの速度を検証

 続いて、より実用に近いところの性能も見てみよう。

 PCの外付けストレージとして使う場合に最もオーソドックスなシーンとして考えられるのは、やはりデータの受け渡し。ファイルコピーの速度は業務効率にも直結するわけで、重要な指標になる。

 Windows 10上で、10GB超の動画ファイル1つ(シーケンシャル想定)と、1万以上の小さなファイル(ランダム想定)をそれぞれ読み書きした時の速度をポータブルHDDと比較してみたのが以下のグラフだ。

10GBのファイルを数十秒でコピー完了
10GBと1万ファイルの読み書き速度

 これについても、シーケンシャル想定の単一ファイルは、先ほどのベンチマーク結果に近いおよそ4倍のスピードで読み書きできていることが分かる。10GBもの巨大ファイルが20秒余りで転送できてしまうのは、検証している筆者の体感としてもかなりのインパクトがある。ランダム想定のファイル転送でも4~5割高速化した。

 写真や動画のような1つ1つが大きなファイルだけでなく、Webコンテンツやプログラムのソースコードのような細かいファイルを大量に受け渡すようなシーンでも、HDDと比べれば圧倒的に短時間で終えられることがお分かりいただけるだろう。

macOSのバックアップは2割の高速化

Macでのバックアップ速度は?
MacBook ProでTime Machineでバックアップした時の速度を検証

 超小型のSSD-SCTU3Aは、ノートPCをあちこちに持ち運んで使うようなユーザーにとっても利便性が高い。出先で仕事相手とファイル交換することもあれば、容量控えめな内蔵ストレージを圧迫しないよう常に外部ストレージでデータ管理したい時もあるわけで、いずれにしろ外付けストレージをコンパクトにするほど、より身軽に仕事をこなせることになるからだ。

もちろんMacでも利用可能
ポータブルHDDはそこそこコンパクトとは言え、占有スペースはやはり大きくなる
付属のType-A to Type-CアダプタでMacBook Proに接続。周辺をすっきりさせた状態で使える

 そこで、ここではMacBook ProでSSD-SCT1.0U3BA/Nがどれほど性能向上に繋がるのかを検証すべく、macOSの標準のバックアップ機能であるTime Machineを試してみた。SSD-SCT1.0U3BA/NとポータブルHDDとで、それぞれ10GB分をバックアップするまでの時間を計測している。

Time Machineのバックアップも高速に完了
macOSでTime Machineに10GB分をバックアップするのに要した時間

【検証環境】マシン:MacBook Pro 13インチ 2016、CPU:Core i5 2.9GHz、メモリ:8GB ※Thuderbolt 3ポートを使用

 かかった時間は4分余り。ポータブルHDDと比べて1分以上短縮し、2割程度の速度向上を図ることができた。速度はバックアップするファイルの数や個々のサイズに左右されるが、今回のテストに限って言うと、バックアップ対象はトータルで340GBもの容量があり、これを最後までバックアップすると仮定すれば、単純計算で最終的に40分以上もの差になってくる。2割と言えども効果は大きい。

 なお、MacBook Proを始め最近のMacBookシリーズはUSB Type-Cポートしか装備していないため、SSD-SCTU3Aを直接接続することはできないが、付属のType-A to Type-C変換アダプタが利用できる。小型なので持ち運ぶときもかさばらずに済むだろう。自宅やオフィスであれば、多機能なUSB Hubやドッキングステーションなどを組み合わせるのも良さそうだ。

Type-CしかないMacBookでも利用できる
USB Type-A to Type-Cアダプタが同梱される

PCゲームのローディングは倍近くスピードアップ

 荷物にならず、どこにでも気軽に持ち運べるというSSD-SCTU3Aのメリットは、例えばゲームのLANパーティのようなシチュエーションでも役に立ってくれるだろう。

 デスクトップPCは当然のこととして、ハイパフォーマンスなゲーミングノートPCも決して持ち運びに適しているとは言えない。代わりに、ゲームのデータをSSD-SCTU3Aにインストールしておき、それだけを持って現地(友人宅)にあるPCに接続して使う、という方法をとれば手間は少なく済む。

 問題は、ゲームデータ本体を外付けストレージであるSSD-SCTU3Aにインストールした状態で、満足のいくパフォーマンスが得られるか、というところ。そこで、SteamのゲームをSSD-SCTU3Aにインストールし、そこからゲームの起動と、セーブデータのローディングにかかる時間を計測してみた。

ゲーム用ドライブとして活用してみる
Steamのゲームの起動とローディングにかかる時間を計測

 ここでは参考までに(決してLANパーティ向けのゲームではないと思うが)Steam版の「ライザのアトリエ」を使用した。具体的なテスト内容は、メニューで「Start Game」を選択してからオープニングムービーの再生が始まるまでの時間(ゲーム起動)と、セーブデータを選択してキャラ操作が可能になるまでの時間(ローディング)の2パターンとなる。

ロード時間は半分に
Steamのゲーム起動・ローディングにかかる時間

 結果は、ゲームの起動時間こそ体感できるほどの差にはならなかったものの、ローディングはおよそ半分に短縮され、大きな違いを実感することになった。セーブデータ選択後、息をつく間もなくゲーム画面が表示されるような感覚だ。

 こういったロールプレイングやアドベンチャー系のゲームではフィールド間の切り替わりでローディングが頻発することもあり、その時間がわずかずつでも短縮することで、ゲームプレイ時のストレスは大きく軽減されるだろう。

PS4の「拡張ストレージ」でもゲーム起動が高速化

 PlayStation 4(PS4)は、ゲームコンテンツを本体内蔵ストレージから外付けストレージ(拡張ストレージ)に移動することができ、それによって標準の内蔵ストレージより高速化できる場合があることで知られている。

 標準の内蔵ストレージが最大3GbpsのSATA HDDであることが主なボトルネック要因となっているのだが、PS4のUSB 3.0ポートであれば帯域が最大5Gbpsに拡大するため、最大6GbpsのSATA HDDを内蔵した外付けHDDを接続すれば高速化が期待できるというわけだ。

PS4の高速化を狙う
ポータブルHDDでも標準よりは高速化できる可能性は高いが……
シンプルに接続できるSSD-SCT1.0U3BA/Nでさらに性能向上できるのか
PS4の拡張ストレージを設定
外付けストレージを拡張ストレージとして使えるようにするには、設定画面から「USBストレージ機器」へ
「拡張ストレージとしてフォーマットする」を選んで処理が終わったら、ゲームコンテンツを移動できる
「Ghost of Tsushima」のゲームコンテンツの移動、起動、ローディングにかかる時間を計測

 では、USB HDDではなく、SSD-SCTU3Aを拡張ストレージとして使った場合にはさらなる速度アップが可能になるのだろうか。

 「Ghost of Tsushima」のゲームコンテンツ(約39GB)を拡張ストレージに移動する時の時間を計測しつつ、ゲームを起動してタイトルメニューが表示されるまでの時間(起動)と、セーブデータを読み込んでキャラ操作が可能になるまでの時間(ローディング)を確認してみた。

コンテンツの移動が高速
PS4拡張ストレージへのゲームコンテンツ移動にかかる時間

 ゲームコンテンツの移動にかかる時間は30%以上短縮した。本体ストレージの空き容量を稼ぎたい時、あるいはPS4からPS5へ移行する時など、複数のゲームコンテンツをまとめて拡張ストレージに移動するようなケースでは、かなりの時間短縮に繋がることは間違いない。

ゲームの起動やロード時間も短縮に成功
PS4拡張ストレージ上のゲーム起動・ローディング時間

 ゲームの起動やローディングは1~2割程度の短縮に留まったが、同じ外付けストレージでもHDDからSSDにすることで性能向上の余地があるのは嬉しいところ。

 将来的なPS5へのアップグレードを視野に入れつつ、余計なコストをかけずにすぐパフォーマンスを上げたい人には、SSD-SCTU3Aは最良の選択肢の1つと言えるだろう。

TVの録画用ストレージとしても快適に

 外付けHDDをTVに接続して、番組を録画している人もいることと思う。それをSSD-SCTU3Aに置き換えるのも面白い使い方だ。外付けHDDだとどうしてもケーブルで接続する必要があり、そのうえで設置スペースを確保しなければならない。

 しかしSSD-SCTU3AならUSBポートに直付けできるので配線を省くことができ、TVの裏側やAVラックをすっきりさせられる、という利点がある。

ケーブルレスでTVにスッキリと装着
外付けHDDだと「TV周りのどこに置くか」が常に課題となる
SSD-SCTU3AをTV背面に接続。ケーブルがなく、すっきりしている

 また、最近は静粛性の高い録画用HDDが多くなっているものの、余ったデスクトップ用HDDを流用していたりすると、稼働時の騒音や振動が気になることもある。駆動部品のないSSD-SCTU3Aにすれば、そういったノイズが一切発生しないし、場合によっては録画番組を操作するときなどにSSDならではの高いパフォーマンスを発揮できるかもしれない。

TV録画用に活用
TVの設定画面でSSD-SCTU3Aを録画用機器として登録

 というわけで、SSD-SCTU3AをTV録画用ストレージに設定し、試しにTVの電源オンからストレージを認識するまでの時間(起動)と、録画済み番組一覧から選択して実際に再生が開始されるまでの時間(再生開始)を計測してみた。使用したのはソニーの55型4K液晶TV「KJ-55X8500E」だ。

ストレージの認識速度が改善
TV録画用ストレージにした時の起動・再生開始時間

 ご覧の通り、再生開始時間には有意な差は見られなかったが、ストレージを認識するまでの時間は大幅に短縮した。TVの電源を入れた後、録画番組がなかなか読み込まれずやきもきすることも多いのだが、SSD-SCTU3Aにすることでストレスはずいぶんと軽減される。

 このあたりの時間短縮の程度はTVの機種によって異なってきそうだが、SSD-SCTU3Aに置き換えることで録画視聴がもう一段快適になる可能性はありそうだ。

SSDなら電源オン直後もすぐに読み込める
録画用HDDがスリープしていると、TV電源をオンにした直後は、録画済み番組を一覧しようとしてもしばらく待機状態になることがある

セキュリティやサポートも国内メーカーらしい充実度

 SSD-SCTU3Aは、以上のようにあらゆる場面で性能向上が可能になるだけでなく、特に業務で高いセキュリティが求められるような用途でも活用しやすくする仕組みを備えている。その1つがバッファロー独自の無料ユーティリティ「SecureLock Mobile2」だ。

無料で使える暗号化ソフトが付属
ドラッグ&ドロップで暗号化し、SSD-SCTU3Aに保管してくれる「SecureLock Mobile2」

 ファイルやフォルダをアプリケーションウィンドウ上にドラッグ&ドロップして、パスワードかパターンを設定するだけで、データに暗号化を施してSSD-SCTU3Aに保存できる。復号して元に戻したい時は、暗号化されたファイルを同じようにドラッグ&ドロップしてパスワード入力するだけだ。大容量のデータを持ち運びたいが、万が一にも紛失や漏洩が許されない時の助けになるだろう。

手早く解除可能
パスワードやパターンを設定して暗号化

 ほかには、完全にデータを消去し復元もできないようにする「データ消去ユーティリティー」もあり、これを使えばSSD-SCTU3Aをほかの用途に流用したり、廃棄したりする際にも安心。そのうえバッファローでは、なんらかの障害が発生してストレージ内のデータにアクセスできなくなった場合でも、一定程度の障害であれば無償で修復してくれるデータ復旧サービスも用意している。

 高速なデータ転送と、装着時にも持ち運び時にも邪魔にならないコンパクトさに加えて、セキュリティやサポート面についてもしっかりカバーしているSSD-SCTU3Aは、シーンを選ばない使い勝手の良さを備えた新しい時代の外付けストレージと言える。

【9月8日追記】SSD-SCTU3Aシリーズに新たに2TBモデル「SSD-SCT2.0U3-BA/N」が追加された。