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もはや“スティック”ですらない「スティック型SSD」。おすすめ4種の速度や温度を検証してみた
2024年1月3日 06:29
USBメモリ風の小型サイズでありながら、高速な読み書きが可能なスティック型SSDのラインナップが拡大している。一時的なデータの保存や受け渡しだけでなく、アプリケーションやゲームのインストール場所、TVの録画用ストレージなど幅広い用途で活用できるのが特徴だ。
ここ最近はより小型化が進み、なんと指先サイズの製品も登場した。小さくなることで使い勝手も変化するものと思われるが、今回は以下の4種類のスティック型SSDを紹介するとともに、ベンチマークテストなどを通じてその性能の高さもチェックしてみたい。
バッファロー SSD-PSTU3Aシリーズ | バッファロー SSD-SCTU3Aシリーズ | エレコム ESD-EXSシリーズ | トランセンド ESD310Cシリーズ | |
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公称リード最大 | 600MB/s以上 | 600MB/s | 600MB/s | 1,050MB/s |
公称ライト最大 | 500MB/s以上 | - | 500MB/s | 950MB/s |
耐久性能 | MIL-STD-810H準拠 | MIL-STD-810G準拠 | - | - |
USB端子形状 | Type-A | Type-A (Type-Cアダプタ付属) | Type-A | Type-A/Type-C |
インターフェイス | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps) | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps) | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps) | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps) |
サイズ | 14.6×8×28mm | 23×11×68.2mm (端子部格納時) | 35.9×15.0×7.3mm | 71.3×20×7.8mm |
重量 | 約4.5g | 約17g | 約6g | 約11g |
カラー | ブラック | ホワイト/ブラック | ホワイト/ブラック | ブラック/シルバー/ピンク (256GBはブラックのみ) |
容量 | 250GB/500GB/1TB | 500GB/1TB/2TB | 250GB/500GB/1TB | 256GB/512GB 1TB/2TB |
保証 | 1年間 | 1年間 | 1年間 | 5年間 |
実売価格 | 250GB: 6,000円 500GB: 9,000円 1TB: 1万7,000円 | 500GB: 6,500円 1TB: 1万円 2TB: 1万5,000円 | 250GB: 5,000円 500GB: 7,500円 1TB: 近日発売 | 256GB: 6,000円 512GB: 8,000円 1TB: 1万3,000円 2TB: 2万4,000円 |
(1) スティック型SSDの特徴と利点
(2) ■バッファロー「SSD-PSTU3A」シリーズ
(3) ■バッファロー「SSD-SCTU3A」シリーズ
(4) ■エレコム「ESD-EXS」シリーズ
(5) ■トランセンド「ESD310C」シリーズ
(6) スティック型SSD接続時の雰囲気を写真で比較
(7) 熱に注意!? 4モデルの実用時の性能
(8) サイズにこだわるか、安心感を求めるか
スティック型SSDの特徴と利点
スティック型SSDに明確な定義はなく、リムーバブルメディアとして認識される従来のUSBメモリに対して、同様の形状・サイズ感のまま、USB接続でありつつ内蔵ストレージ的に扱えるものを、ここではスティック型SSDと呼んでいる。
スティック型SSDなら内蔵ストレージのように扱えるので、パーティション設定の自由度が高く、アプリケーション等のインストール先として指定できるというのが利点だ(従来型のUSBメモリはアプリ・ゲームのインストール先として指定できない場合がある)。
製品の中には2TB以上の容量を持つものもあり、これまではHDDに頼っていたシチュエーションでも小さなスティック型SSDでまかなえるようになってきている。
アクセス速度も高速だ。今やUSB 3.2 Gen 2(旧表記ではUSB 3.1、速度は10Gbps)対応で、シーケンシャルのリード・ライト性能において数百MB/s超の性能を持つのが標準的。ものによっては1,000MB/sを超えるケースもある。動画のような大容量データをその場でやり取りするときにもすばやく、待ち時間なしでこなせるのだ。
そんな便利なスティック型SSDだが、さまざまなメーカーから個性的なモデルが販売されている。それらを1つずつ紹介していこう。
指先サイズで実速度600MB/s超
バッファロー「SSD-PSTU3A」シリーズ
「バッファロー史上最小」をアピールするのが「SSD-PSTU3A」シリーズ。もはや“スティック”とは言えないほどの小ささで、PC接続時に飛び出る部分は16mmほどしかなく、重さはたったの約4.5g。無線LANや無線キーボードのレシーバ並のサイズ感となっている。
これほどまでに小さいながらもUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)対応で、シーケンシャルリード約600MB/s、ライト約500MB/sの高速アクセスを謳う。しかも「MIL-STD-810H」、いわゆるMILスペックに準拠し、122cmの高さから落下してもデータ消失しない耐久性も誇る。
ノートPCなどに接続するときに邪魔になりにくいのはもちろんのこと、TV録画用ストレージとして使う際、壁掛けしているTV背面にまっすぐ差し込まなければならないシチュエーションで干渉しにくいという利点もある。容量は250GB/500GB/1TBの3種類で、今のところはまだ2TB超の大容量モデルがラインナップにないのが残念なところ。
スティック型SSDブームの火付け役
バッファロー「SSD-SCTU3A」シリーズ
バッファローの「SSD-SCTU3A」シリーズは、スティック型SSDの元祖的な存在。より正しく言うと、2020年発売の初代モデル「SSD-PUTA」シリーズと、その次の2021年発売「SSD-PUTU3C」シリーズがスティック型SSDブームの火付け役となり、本製品はそれに連なる高性能版として人気を集めている。
こちらもUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)対応で、シーケンシャルリードは約600MB/sという高性能(ライトは実測約600MB/s)。さらに「MIL-STD-810G」準拠で高さ122cmからの落下にも耐える耐久性を持っている。端子部はスライド式となっており、格納しておけば万が一のときにも端子部の破損を防げるのがポイントだ。また、USB Type-Cに変換するアダプタも付属している。
パフォーマンス面での余裕はあるものの、今となってはややサイズが大きめ。張り出しが大きくなるのでうっかり引っ掛けたりしやすく、ノートPCなどでほかのポートに干渉したりすることもある、といった点は注意が必要そうだ。容量は500GB/1TB/2TBの3種類で、それぞれにブラックとホワイトのカラーがラインナップする。
極小サイズで高速、ストラップも付けられる
エレコム「ESD-EXS」シリーズ
エレコムもスティック型より小さいサイズの「ESD-EXS」シリーズをリリースしている。USBポート接続時の張り出しは約22mmとバッファローに比べて少しだけ大きいが、約7.3mmとより薄く、コンパクトさは同等。USB 3.2 Gen 2(10Gbps)対応で、シーケンシャルリードが約600MB/s、同ライトが約500MB/sと、性能面でも完全なライバルとなっている。
差別化ポイントとしてはキャップ付きで持ち運び・保管時に一定程度の防水・防塵性能を発揮してくれること。また、ストラップを取り付けられる構造になっているので、こうした極小サイズのデバイスにありがちな紛失トラブルを予防できるのもうれしい。
容量は250GB/500GB/1TBの3種類だが、1TBは2023年12月現在「近日発売」となっている。カラーはブラックとホワイトの2種。
Type-AとType-C両対応で1GB/s超え
トランセンド「ESD310C」シリーズ
最大1,000MB/s前後の高速な転送速度を誇るスティック型SSDが、トランセンドの「ESD310C」シリーズ。シーケンシャルリードが1,050MB/s、同ライトが950MB/sとなっており、ほかの追随を許さない高性能がウリだ。
その上で両端にType-AとType-CのUSB端子を備えるハイブリッドタイプとしている。PC間でデータをやり取りするとき、一方がType-Cポートしか装備していない場合でも、変換アダプタなどを用意する必要がない。
デフォルトのフォーマットは多くのOSが対応するexFATとなっているため、特にWindowsマシンとMacBook、もしくはPCとスマホとの間でデータを受け渡しするのに都合が良い。
両方に端子があることからその分長さはあるものの、細く薄いのでかなりコンパクトな印象だ。大容量データのやり取りがメイン用途なら、本製品を選んでおけば間違いないだろう。
容量は256GB/512GB/1TB/2TBの4種類で、512GB以上のモデルにはブラック、ピンク、シルバーという3パターンのカラーが用意されている。接続する機器のカラーリングに合わせて選びたい。
スティック型SSD接続時の雰囲気を写真で比較
以上の通り4つの製品それぞれに特徴があるが、実際に使ったときの雰囲気がどういう感じなのか、写真で比較してみよう。
熱に注意!? 4モデルの実用時の性能
もう1つ、確かめておきたいのがスティック型SSDの実性能だ。
CrystalDiskMarkによる個別の読み書き性能はすでにスクリーンショットで説明したが、ある意味それは瞬間最大風速的なもの。実用時にはしばらく接続しっぱなしにすることもあるし、TV録画では長時間アクセスが連続することにもなる。そのときにどのような挙動を示すのかも知っておきたい。
というわけで、Blackmagicのベンチマークソフト「Disk Speed Test」を使い、10分間読み書きを繰り返してみることにした。「ベンチマーク開始直後」「5分経過時」「10分経過時」の各タイミングでおおよその転送速度、内部温度(CrystalDiskInfoを使用)、表面温度(業務用放射温度計を使用、放射率は0.95に設定)を測定した結果が下記だ。
気になるのは極小サイズの2製品の性能低下だ。バッファローとエレコムのどちらも開始5分で内部温度が80℃付近まで急上昇し、それと同時にサーマルスロットリングが発生する形で本来性能の3分の1~4分の1まで低下してしまっている。
TV録画では通常数MB/s、4K画質であってもせいぜい30~60MB/sあれば十分なはずので、このような速度低下が発生してもデータ転送が間に合わないようなことはないが、小型なためか熱を持ちやすく高温になる性質があることは頭に入れておきたい。
一方で、ややサイズが大きめのSSD-SCTU3AとESD310Cについては温度が上がったとしても60℃程度までで、終始安定した転送速度で読み書きできている。長時間、連続的にアクセスしたとしても常に変わらない性能で使用できるのは安心だろう。
サイズにこだわるか、安心感を求めるか
より小型化が進んでいるスティック型SSDだが、バッファローの「SSD-PSTU3A」やエレコムの「ESD-EXS」は小さく目立ちにくい反面、連続使用時には転送速度が低下するなど注意すべきところがあることも分かった。
頻繁に大容量データを扱うのであれば、多少大きくなったとしても、転送にかかる時間が「読みやすい」という意味でバッファローの「SSD-SCTU3A」シリーズやトランセンドの「ESD310C」を使った方が無難かもしれない。
もちろんデザインや価格から選ぶのもアリだが、サービス・サポート面で比較するのもいいだろう。バッファローは故障予測サービスやデータ復旧サービスを用意しているほか、データ暗号化ソフトの無償配布も行なっている。
エレコムはセキュリティソフトを提供しており、トランセンドはバックアップ・暗号化ソフトとともに、5年の長期保証を提供している。自分の用途、使用スタイルに合わせて選んでほしい。