レビュー

Androidアプリが動くようになったChrome OSを試してみた

~Chromebookでねこあつめも動作

Chromebook FlipでAndroidアプリを起動しているところ

 米Googleは5月19日(現地時間)、Chrome OSを搭載するChromebookでAndroidアプリが動作するようになることを発表した。日本時間の6月17日時点で、その機能が利用できるようになったので、早速試してみた。

 この機能はまだ一般には利用できない。現時点で利用できるのは「Devチャンネル」と呼ばれる開発者モードに設定しているユーザーのみだ。開発者モードに変更するには、Chromebookの「設定」から、「Chrome OSについて」→「詳細情報」→「チャンネルを変更」で「Dev」を選択する。ただし、画面にも表示されているとおり、Devチャンネルは、新機能をいち早く公開することを優先しており、不具合が発生する可能性もある。今すぐ試用するのであれば、そのことを承知した上で、チャンネルを変更する。

 変更したら、1つ前の画面で「アップデートを確認して適用」をタップ。バージョンが53になれば、Play Storeが追加され、Androidアプリを利用可能になる。なお、GoogleによればPlay Storeが利用できるのは、ASUSの「Chromebook Flip」とAcerの「Chromebook R11」、Googleの「Chromebook Pixel」の3製品となっており、その他の製品では2016年後半から利用可能になるとされている。今回はASUSのChromebook Flipを利用して試した。

設定→Chrome OSについてを開いたところ
詳細情報をタップすると、チャンネルが表示。通常は「Stable」になっている
チャンネルを変更をタップし、Devに変更
アップデートを適用してバージョンが53になれば準備完了

 アップデートを行なうと、ChromebookでPlay Storeを利用できるようになった旨のウインドウが表示される。あとは、Play Storeアプリを起動するとAndroidスマートフォンやタブレットで見慣れたPlay Storeが表示、アプリをインストールできる。

 まず、動かない可能性が高そうなスマートフォン用ゲームをインストールしてみたが、すんなり起動できた。スマートフォンと違うのは、アプリがウインドウ表示されることだ。Windowsのように複数のアプリを同時に起動することもできる。ただし、非アクティブウインドウはバックグラウンドモードになるので、ゲームの場合は別のアプリを起動すると一時停止し、同時に2つプレイということはできない。

 また、ウインドウのサイズを自由に変更することもできない。できるのは、ウインドウの最大化と標準のサイズに変更することだけ。スマートフォンアプリの場合、縦画面となっているので、最大化しても横には壁紙が表示される状態となる。本体を横向き(縦画面)にした場合は、全画面を使って表示できる。

Androidデバイスで見慣れたPlay Storeアプリ
ゲームも普通にインストールできる
起動も問題ない
ウインドウ表示されるので、スマホアプリだとこのように3ついっぺんにみることもできるが、同時に動くのは1つまで
ウインドウのサイズは自由には変更できない。これが標準のサイズ
最大化すると縦幅全てを使って表示される
横向き(縦画面)では、画面全体を使って表示できる

 タブレットにも対応したアプリの場合は、タブレットUIで起動する。こちらもウインドウのサイズは自由には変更できないようだ。

タブレットにも対応する「Plume」はタブレットUIで表示
こちらは最大化させたところ

 とりあえずゲームを中心に5~6個程度のアプリを試してみたが、インストールも起動も問題なかった。ただし、ほとんどのAndroidデバイスにインストールできると思われる「SmartNews」はインストールできなかった。ほかにもそういうアプリはありそうだ。

 また、ウィジェットについては、スマホアプリを起動した余白に表示できれば便利だと思ったが、インストールはできるが、Chromebookは非対応のようで起動できなかった。

 かなりニッチな使い方としては、Chromebook標準のファイルアプリは既定のダウンロードフォルダとGoogleドライブにしかアクセスできないが、Android用ファイラーアプリを入れると、システムフォルダにもアクセスできるようになった。

SmartNewsはインストールできなかった
Wordを起動したところ
ファイラーアプリを使うとChromebookのシステムフォルダにもアクセスできる
Chromebookの設定に追加された「Androidアプリ」の項目
「App Settings」をタップすると、Androidの設定アプリが起動
ここのアプリからアンインストールなどができる

 なお、起動はできるがアプリが頻繁に落ちることもある。これはDevチャンネルなので、そういうものだろう。一般の「Stableチャンネル」に降りてくるころには、もう少し安定していると期待したい。

 さて、ChromebookでAndroidアプリを利用できるメリットはどういったものだろうか? 1つには使い慣れたアプリをキーボードやタッチパッドでも操作できるようになる点がある。最近はキーボードよりもフリック入力の方が早くできる人もいるが、キーボード入力の方が得意な人はChromebookを重宝するだろう。

 ただ、Androidアプリの利用がメインなら、すでに多くの人が所有しているであろうスマートフォンやタブレットを使った方が早い。

 とは言え、Windowsタブレットや2in1にとって、このChromebookの新機能は一定の脅威になるだろう。日本ではまだChromebookのユーザーは少ないと思われるが、米国ではMacよりも高いシェアを誇る。そこにAndroidアプリの機能が追加されると、Office系の生産性アプリにも、プライベートな遊びにもマルチに使えるデバイスになる。

 もちろん、AndroidやChromebookでは、例えばフルバージョンのPhotoshopなどは動作せず、ChromebookがWindows PCにすぐに取って代わるようなことはないが、膨大な数のAndroidアプリが追加されたことで、ユーザーからも開発者からも注目度が増すことは間違いないだろう。