PC Watchのキーボード黙示録
キーボードは「食べ物」だ。そして食い尽くした先にあった英語配列のHHKB【編集者劉の場合】
2025年12月19日 06:12
突然のことだが、短期掲載のリレーコラムとして、編集部員やライターが普段執筆で使っているキーボードについて紹介することとなった。書くこと=キーボード入力を生業とする我々がどのようなキーボードを使っているのか、それにどのようなこだわりを持っているのか、それについて赤裸々に語ることにしたい。
筆者はあまりキーボードにこだわる人ではなかった。PC-9821V12から始まったPC人生だが、お小遣いや給料のほとんどは、ゲームを快適にプレイするためにビデオカードに費やそうとした人なので、キーボードは入力さえできればよかった。
転機が訪れたのは「ファイナルファンタジーXI(FF11)」。白魔導士としてパーティープレイ中、Windowsキーを誤爆してFF11がまるっと終了→ケアル要員不在でパーティー全滅→全員30分間稼いだ経験値が無駄に。これを3回やらかし、「Windowsキーがないキーボードを買おう」と意を決し秋葉原のクレバリー2号店に向かったが最後、「えいやっ」の勢いで最高峰の「RealForce 106」を購入したのが、キーボード沼への入口となった。
このRealForce 106はWindowsキーがないという当初の要求を満たしただけでなく、キータッチが最高であり、なおかつゲームで求められるNキーロールオーバーおよび全キー同時押しをサポートしていたので、15年ほど愛用していたのだが、マザーボードやPCからPS/2ポートがなくなり始め、ちょうどFF11を本格的に引退しフルキーボードは不要となったので、新たなキーボード探しの旅が始まった。
この時すでにRealForce 106が筆者の中でデファクトスタンダードとなっていたので、キーボード選びは配列やキーの細かい位置までこだわり抜いていたのだが、「GPD Pocket」を皮切りに再度UMPCブームがやってきて、筆者がレビューを担当することが増えた。UMPCキーボードの多くはRealForce 106に慣れた筆者には不可解な配列で、レビューではその都度苦言を呈していたりするのだが、食わず嫌いで居続けると自分の首を絞めるだけなので、なんでも“食う”ようにした。
その結果、80%キーボードはすぐに通り越して、コンビネーションキーでやりくりできる派になり、60%でも、究極には40%でもOKになった。使用頻度の低いキーは存在するだけ邪魔なので、可能な限りコンパクトで机の上を広く使えたほうがいいと思うようになった。
だが、配列的にすべて食えるからといって、理想やこだわりがないわけではない。前置きが長くなったが、いまメイン環境で使っているお気に入りは、「HHKB Professional Classic Type-S(英語配列)」である。
まずは配列だが、筆者は英語配列派である。最初にRealForce 106(日本語配列)を買っておいて何?ではあるのだが、UMPCのほとんどが英語配列のままであるのに加え、最近は深センや台湾企業との中国語でのメールのやり取りも増えたため、刻印通りに入力できない日本語配列だと差し障りが出始めたので、ここは英語配列だ。
手元には上位の「HHKB Professional Hybrid」もあるのだが、筆者はBluetoothを一切使わず、USB切替器で使っているため、バッテリが不要で、より本体サイズが小さな本機のほうが適している。
また、キータッチ的には「HHKB Studio」のほうが実は好みなのだが、スティック型ポインティングデバイスが筆者的に高すぎ/大きすぎるせいで、G/H/Bキーをタイプする時に指に触れてしまいムッと来ることが多かった。結局シンプル・イズ・ザ・ベストということで、HHKB Professional Classic Type-Sに落ち着いた。
不満がないわけではない。1つは表面の梨地加工のキメの粗さで、爪などが当たった際にちょっと不快に感じる点。ここはRealForce 106がベストで、無接点入力の“滑らかさ”に相応しいものだったと思う。2つ目はキーキャップの高さが低めな点で、ここは見た目的に高級感とボリューム感が増すよう、もう少し高くてもいいかな?というところ。3つ目は、カーソルを多用すると、結構小指に応える点。これも編集者という職業柄致し方ない。
本当に自分のニーズに合うキーボードは、それこそ自作とかカスタマイズしかないと思っているが、20年前に「このキーボード(配列)はオレには厳しいわ~」という理由で購入を見送った「FMV-BIBLO LOOX U50WN」のキーボードを今改めて使ってみると「ん~まあこれはこれで工夫しているし意外と使えるな」となったりもする。HHKB Professional Classic Type-Sに対する細かい不満も、そのうち消えるかもしれないと期待している。
結局、キーボードは「食べ物」だ。長期的な視点で見れば体に合う合わないはあるが、短期的に好き嫌いで「食べない」を選んでしまうと、もう二度と出会えず一生後悔することになる可能性もある。だからこそ沼なのだが。
で、肝心なこの記事のオチだが、「ゲームを除く一般用途なら、まず英語配列のHHKB Professional Classic Type-Sを使ってみてほしい」である。「英語配列こそ和田英一先生が考案したHHKBの真髄」というのもあるが、英語配列が使えるようになるだけでもPCやキーボードの購入の選択肢が広がるし、HHKBを基準にタイピング感や配列の良し悪し、自分に必要なキーの判断がつくようになるからだ。今、筆者のデスクで最も叩かれているのが自前のどのキーボードでもなく、この最新の評価機であるという事実が、何よりの証拠だろう。
| メーカー/製品名 | PFU HHKB Professional Classic Type-S |
|---|---|
| 使用PC機種名 | 自作PC |
| キーボード仕様 | 静電容量無接点方式 |
| キースイッチ(軸の種類) | 静電容量無接点方式 |
| キー配列 | 英語配列 |
| サイズ/キー数 | 60%、60キー |
| キーピッチ | 19.5mm |
| キーストローク | 3.8mm |
| 押下圧 | 45g |
| 打鍵音 | コトコト、静音 |
| 接続方式 | USB Type-C |
| 筐体の色/素材 | 白/PBT |
| カスタマイズ箇所 | なし |
| キーバックライト | なし |














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