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Copilot内でWordもExcelもコード作成も。名称統一でChatGPT対抗

Microsoftは同社のAIサービスのブランドを「Copilot」に統一、Home、Code、Autopilotなどの機能を提供

 WordやExcelのファイル作成からアプリのコード開発まで、1つの「Copilot」アプリの中で行なえるようになる。Microsoftは「Copilot September Event」というCopilotの新戦略に関する記者会見を開催し、CopilotをMicrosoft 365、Microsoft 365 Apps、Dynamics 365、Agent 365などといったさまざまな業務システムの入り口として展開していくと説明した。

 Microsoftは、Copilotアプリを更新するというかたちで、同社の法人向けAI「Microsoft 365 Copilot」の名称を「Copilot」にサイレント変更していたが、今回のイベントで今後Microsoft 365 Copilotは、消費者向けだった「Copilot」にブランドとして統一されることになった。

「Home」「Code」「Autopilot」を備えるMicrosoftの新Copilot

Copilotの「Home」機能の画面、3つのタブのうちの1つになる

 Microsoftはこれまで、Microsoft 365 Copilot(法人向け)とCopilot(消費者向け)の2つのCopilotブランドを使い分けてきた。

 しかし、ここ数カ月にアップデートされたCopilotアプリの表示を変えるというかたちで、静かに両ブランドを「Copilot」に統一している。そして今回のイベントの中で、いずれも「Copilot」と呼ぶという方針を明らかにした。

 新Copilotには「Home」「Code」「Autopilot」という3つの機能が用意される。

Home

 Homeはこれまでのプロンプトで何らかの指示を出すAIチャットボットの延長線上にある機能で、ユーザーがプロンプトに入力した指示や質問などに対して、Copilotが応答するかたちになる。

 また、Microsoft 365 Copilot Coworkとして提供されてきたタスクの自動実行機能もHome機能に実装され「Cowork」として提供される。これによりAIアシスタントとCoworkが一体となって提供されることになる。

 さらにHomeの一部として「Office in Copilot」の機能が新たに提供される。これはCopilotの中にOfficeアプリの機能が統合され、Copilotアプリの中で、Word/Excel/PowerPointのファイルなどを作成し、編集可能になる。

 もちろん、従来通りMicrosoft 365 Apps(いわゆるOfficeアプリのこと)から、Copilotを呼び出して使うことも可能だが、CopilotのHome機能の中でWord、Excel、PowerPointの純正機能を利用できるのは、大きなメリットになる可能性が高い。

 MicrosoftはHome全体に関する具体的な提供時期に関しては言及しなかったが(チャット機能などはすでに提供済みだからと考えられる)、Office in Copilotを数週間のうちに、消費者向け(Microsoft 365 Premium、Copilot Proプランを契約しているユーザー)や、フロンティアプログラム(Microsoftの法人向けサービスのベータプログラム)向けに提供する計画だと説明した。

Codeの画面、GitHub Copilotをベースに提供される

Code

 CodeはGitHub Copilotをベースに、Copilotで開発を行なう機能として実装される。MicrosoftはこれまでAIにコードを書かせるバイブコーディング機能を、GitHub Copilotとして提供してきたが、ビジネスパーソンにも手軽に使えるようにCopilotに統合することになった。

 Codeの一部として提供される「Copilot Managed Runtime」は、作成したコードを企業のIT環境下で安全に実行するための仕組みになる。

 Copilot Managed Runtimeを利用すると、IT部門が規定した条件下でのみ作成したコードを実行でき、作成したアプリを同僚に共有したり、社内のデータベースに接続したりすることができる。

 CoworkやCopilot Studioで構築したアプリにも同じ仕組みが適用されており、サードパーティの開発者もこの仕組みを利用可能になる。

 Microsoftによれば、Codeはフロンティアプログラムとして、2026年9月末に提供開始され、その後数週間でより大規模に利用が始まる計画。消費者(Microsoft 365 Premium、Copilot Proプランを契約しているユーザー)向けには、2026年中に提供開始される予定だ。

Scoutは「Autopilot」に名称変更。デジタル同僚として活躍

ScoutからAutopilotに名称変更されたエージェント型AI

 Autopilotは6月にMicrosoftが開催した開発者向けのイベント「Build」において発表したエージェント型AI「Scout」の名称が変更されたものだ。

 Autopilotは、デジタル同僚として機能し、ユーザーに代わってさまざまな作業をこなしてくれるものとなる。Autopilotはユーザーの指示により与えられた役割を自動的に実行する。

 Autopilotはテナント(組織全体のこと)において独自IDを持ち、独自のメモリや計算機、ワークスペースなどを備える。組織の役割定義により、許可されているデータにアクセスして、コンテキスト(文脈)を読み取り、組織がどのように動いているかを理解する。

 Autopilotは、Teams、Outlook、チャット、チャンネル、ドキュメントなど、組織内で利用されているさまざまなところに現れることになる。Teamsなどで@メンションで同僚を呼び出すように、AIに仕事をお願いするという使い方が可能になる。

 Microsoftによれば、Autopilotはすでに一部の顧客に提供済みで、近くフロンティアプログラム向けに提供開始される予定だ。

 CopilotのHome機能のうちAIアシスタント機能(Copilot Chat)や、Microsoft 365 AppsやTeams向けのCopilot機能は、USL(User Subscription License)と呼ばれる、1ユーザーあたりの月額/年額の固定料金制になっている。

 それに対して、フロンティアモデルと呼ばれる先端のAIモデルを利用するCowork、Code、Autopilotに関しては、UBB(Usage-Based Billing)と呼ばれる、ユーザーが使っただけの料金を支払う従量制課金となり、料金が青天井となる。

 そのため法人としては、使った額とそのROI(使った料金に見合う成果)を得られるかが重要になるが、その見極めが難しく、なかなかフロンティアモデルの活用が進まないというジレンマがある。

 そこでAIの支出を管理し、投資に見合ったリターンがあるかどうかを見極めるためのツール「FinOps for AI」の仕組みを、Copilotのフロンティアモデルを利用したサービスに拡大する。すでにCoworkでは利用できていたが、今後はCode、Copilot Managed Runtime、Copilot Studioで構築されたエージェントなどにも対応する。

Microsoftが「Copilot」に統一する背景とは?

MicrosoftのCopilotのイベントで講演する、同社CEOのサティヤ・ナデラ氏

 Microsoftにとっては導入から2年以上が経過し、せっかく定着した「Microsoft 365 Copilot」。しかし、その名称を捨ててでも「Copilot」への統一に踏み切った背景には、Microsoftにとっての競争の軸が変わりつつあることが考えられる。

 従来のMicrosoftの競合は、Microsoft 365ならGoogle Workspace、Dynamics 365ならSalesforce、TeamsならSalesforceのSlackだった。

 しかし、現在の生成AIブーム以降、AnthropicのClaudeやOpenAIのChatGPTなどのAIサービスが高い知名度を武器に瞬く間に普及しているような状況で、AIを利用するための入り口はこれらの企業が握るようになってきている。それに加えて、両社はともにバイブコーディングの機能や、AIエージェント、エージェント型AIの機能などを次々と実装している。

 今やMicrosoftの競合として、Googleだけでなく、AnthropicやOpenAIも肩を並べている状況である。両社にユーザーを奪われつつあるMicrosoftとしては、AIサービスのブランドとしてCopilotを再配置し、Home、Code、Autopilotという機能があることをアピールする方向に転換したのだろう。

 同じようなことは、法人向けのGoogle Workspaceを提供するGoogle Cloudも行なっている。Google CloudはGemini EnterpriseというブランドをAIサービスだけのブランドにしていたが、2026年4月のGoogle Cloud Nextにおいて、Gemini Enterpriseを、従来のAIサービスに加えてGoogle Workspace、そしてGoogleの各種SaaSなどを含めたブランドへと変更している。

 こちらも、GoogleのAIブランドとして認知されているGeminiという名称を利用することで、包括的なAIサービスだとアピールしたい狙いがあるものと考えられる。MicrosoftのCopilotも同じ戦略を採ったということだろう。