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格ゲーの入力革命「レバーレス」、歴史と今選ぶべき7製品
2026年4月15日 06:08
格闘ゲームをプレイする人たちにはお馴染みとなりつつあるのが「レバーレスコントローラ」だ。筆者含む50歳前後の年代で、あまり格闘ゲームをプレイしない層からすると、ゲームのコントローラといえばゲームパッドかレバー付きのアーケードコントローラのイメージが強く、レバーレスコントローラはあまりピンとこないようだ。
というのも、先日の発表会でお会いしたPC Watchのベテランライター陣たちが、レバーレスコントローラを眺めながら「メリットが分からない」、「レバーがないとピンとこない」と首を傾げていたので、筆者はその利点などを早口で語ってみたのだが、こうかはいまひとつだったからだ……。
本稿では、レバーレスコントローラとして、おすすめのレバーレスコントローラを紹介していく。筆者の知る範囲でのレバーレスの歴史とともに最古のレバーレスコントローラから最新のレバーレスコントローラまで、製品を厳選して紹介しようと思う。
- 【黎明期】すべてはここから始まった!突然変異、唯一無二の異端児「HitBox」の衝撃
- 【変革期】HitBox以外のレバーレスを模索する日々。自作製品やノーブランド製品の乱立と「SnackBox micro」との出会い
- 【繁栄期】百花繚乱、群雄割拠、大手から小規模メーカーまで多種多様のレバーレス全盛期
- ホリ「NOLVA」
- Varmilo「Varmilo FK2 Black Leverless Arcade Controller」
- moimate「Rushbox Click」
- 8BitDo「8BitDo オールボタン アーケード コントローラ」
- Haute42「Haute42 C16-S」
- PANG DA「TIKITAKA FTG J2A ラピッドトリガー版」
- Wuhan Dijima Technology「Guilekeys GK-21」
【黎明期】すべてはここから始まった!突然変異、唯一無二の異端児「HitBox」の衝撃
レバーレスコントローラを紹介する上で、最初に語られるのはやはり「HitBox」の存在だろう。インターネットで「HitBox」のレビュー記事を検索すると、現在、格闘ゲーム解説の第一人者として知られるハメコ。氏がゲームライターとしてレビュー記事を寄稿した日付は2011年。今から15年も前のことだ。
「世界初」とは書かれていないが、最初期のレバーレスコントローラの製品であることは間違いなく、「HitBox」の登場以降、格闘ゲーム業界の中でも、いわゆるプロを含むベテランプレーヤーたちがレバーレスコントローラの「脅威」に気が付き、検討し、鍛錬を重ね、そして実際の大会シーンなどで使用され、露出の頻度が増していくことで、だんだんとその認知度が増していくことになる。
レバーレスコントローラの「原型」ともいえるスタイルを生んだのが「HitBox」なのは間違いない。というのも、一般的な移動操作キーのような上下左右のレイアウトではなく、左/下/右操作のボタンが横に並び、上ボタンだけが下の方に少し離れて配置されているという異質なレイアウトが、この時点で既に完成されているからだ。
多くの格闘ゲームにおいて、上操作は「ジャンプ」の動作となる。このジャンプ操作を意識的に行なえるように切り分け、かつ、両手どちらでもジャンプ操作が行なえるように中央近くに配置することで、ほかの移動操作と明確に分けることに成功している。
レバーレスコントローラのメリットは、一般的なゲームパッドに備える移動操作用の十字キーやアナログスティックがボタンに切り替わることで、格闘ゲームにおけるコマンドの速度が向上したり、精度が向上する点が挙げられる。
個人的には、操作精度の向上が特に重要だと考えており、たとえば十字キーやアナログスティックを使って左を押した場合、慣れていないと何度かに一度は斜め下になってしまったり、斜め上になってしまうことだろう。ところがレバーレスの場合は左のボタンを押すだけなので、これが完璧に行なえる。こうしたシンプルな操作が想定通りに行なえる点が、とても重要だ。
ほとんどの格闘ゲームにおいて、左右の操作は「ガード」に相当する。たとえば、左のみを押した場合は立ちガード、下を押してしゃがんだ状態でガードした場合はしゃがみガードとなるわけだが、相手の攻撃に耐えている間は同じ操作を継続する必要がある。これが十字キーやアナログスティックの場合、ちょっとのブレが発生するとしゃがみ状態が解除されて、予期せぬダメージを受けてしまったり、無意味なジャンプが発生してしまうが、こうしたガード操作がボタンなら全く苦にならないのは大きい。
ほかにも、前後の移動操作の切り替えがスムーズなのもありがたい。特に前に移動しているところで、相手の動きを予測して咄嗟にガードしたい、といった操作も、十字パッドやアナログスティックよりもボタンの押し替えの方がスムーズに行なえる。前や後ろの2度押しで行なうダッシュ操作も同様で、ボタンの連打とアナログスティックの横倒し連続入力なら、ボタンの方がよりスピーディーに、かつ正確に行なえるのが分かるだろう。
また、いわゆる“溜め技”を使うキャラクターの場合にもその恩恵は大きい。ガイルの「ソニックブーム」(左位置では←からの→など)や「サマーソルトキック」(↓からの↑)、エドモンド本田の「スーパー頭突き」(ソニックブーム同様)や「スーパー百貫落とし」など、左右や下の長押しが必要な技は、ニュートラルを挟む必要がないため、劇的に出しやすくなる。
もちろん、今まで十字キーやアナログスティック、またはアーケードコントローラのレバーを使用していた層からすると、操作方法が全く別モノとなるため、慣れるまでには時間がかかるのは間違いない。さらに、一般的なレバーレスコントローラの場合、アナログスティックがないため、格闘ゲーム以外のゲームを遊ぶのには使えず、ほぼ格闘ゲーム専用のコントローラと化すため、汎用性に乏しい点もデメリットだといえる。
しかし、格闘ゲームで使う場合においては、一般的なゲームパッドやレバーの付いたアーケードコントローラと比べると多くのメリットがあることが、お分かりいただけるだろう。
そんなレバーレスの元祖である「HitBox」だが、今も現役のロングセラー製品として販売を行なっている。Amazonにおいては、現在「HitBox」については残念ながら新品の在庫が確認できず、同社が発売している最新モデルとなる「HitBox ULTRA」が購入できる。
【変革期】HitBox以外のレバーレスを模索する日々。自作製品やノーブランド製品の乱立と「SnackBox micro」との出会い
HitBox以降、大手メーカーの動きが見られない空白の10年が続く。この辺りの時期はリアルタイムでレバーレス製品を追っていなかったこともあり、確かなことはいえないが、少なくとも大手メーカーから発売した形跡は見られない。
理由としては、格闘ゲームのルールとして「レバーレスコントローラの使用がOK」ということが明文化されず、グレーゾーンが続いたことなど、いろいろありそうだが、個人的にはスケールメリットが小さかった点が挙げられると考えている。
「ストリートファイター6」発売以降、年々盛り上がりが拡大している格闘ゲーム業界だが、それ以前の盛り上がりは、格闘ゲームに興味を持つ人が少しずつ増えてはいたものの、まだまだ実際にプレイする人が少なかった状況だと感じられるからだ。
筆者も実のところ、2000年頃までの格闘ゲームはいろいろと見ていたが、その後、実際に格闘ゲームについて触れるようになったのは2022年からだ。そのきっかけとなったのは「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」(以下、SFL2021)で、今だからこそ話すが、SFL2021レポート執筆時、筆者はまだ「ストリートファイターV」をプレイしたことはなかったのだ。
プロたちの白熱した試合をオンライン観戦し、これら記事を書いているうちに、昔と異なる最新の格闘ゲームに興味が出てきたので、SFL2021終了後、自分でも購入してプレイを開始したという経緯がある。
筆者がレバーレスコントローラに興味を持ったのは、「ストリートファイターV」を自身でもプレイし始めた2022年初頭からだ。それまでは通常のゲームパッドや、サンワサプライ製の6ボタンゲームパッドなどを試していたのだが、オンライン対戦でなかなか勝てない。勝てない中であれこれと調べていくうちに、格闘ゲームにはレバーレスというコントローラがあると知ったのだ。
この時期において、レバーレスコントローラのメジャーな製品はHitBoxのみで、他社の取り扱いはほぼなく、自作基板やノーブランド品が入り乱れる、いわば「開拓時代」の末期だったのだ。最初に筆者が触れたノーブランドのレバーレスは、キースイッチにPC用のキーボードが採用されており、キースイッチを交換することでより反応が高速化できることもあり、いろいろなキースイッチをバラで購入して、自分に最適なスイッチを模索したりして楽しんでいたものだ。
ほかにも、この頃のレバーレスコントローラの多くは自作キーボードと同じように専用基板とキーボード用のキースイッチを利用した自作レバーレスも多く出回っており、そんな中から個人制作のレバーレスコントローラを個人制作者などからあれこれ購入していた。
そんな中で発見したコンパクトサイズのレバーレスが、現在は国内でも数多くの製品を展開しているJunkfood Custom Arcadesの初期型「SnackBox MICRO」だ。同社は2021年頃からクラウドファンディングで活動を開始した新興企業の1つで、当時はまだ国内代理店もなかったため、筆者は直輸入で「SnackBox MICRO」を購入して使っていた。比較的小型、薄型のレバーレスコントローラとなっており、そのコンパクトさとスッキリとしたデザインが気に入って今でも手元に残っているお気に入りの1台だ。
そして、2022年中盤以降になると、少しずつHitBox以外のメーカーもレバーレスへの参入を開始する。当時、細かくチェックしてはいなかったが、大手のゲーム周辺機器メーカーとして新たに顔を見せたのがVictrixの「Victrix Pro FS-12」だ。こちらがソニー公式ライセンス品のレバーレスとして市場に投入された。加えて、2023年8月にはRazerもレバーレス「Razer Kitsune」を発売。2023年といえば「ストリートファイター6」の発売年でもあり、このブームの可能性を一早く感じとった2社がレバーレスを発売したことで、レバーレス市場は一気に繁栄の道を歩むことになる。
【繁栄期】百花繚乱、群雄割拠、大手から小規模メーカーまで多種多様のレバーレス全盛期
2024年以降は「ストリートファイター6」が大ブームとなっており、それに合わせてプレイ人口も拡大を続けている。そして規模が大きくなるにつれ、各社からも多種多様なレバーレスコントローラが発売されており、現在もなおその市場規模は拡大を続けている状況だ。
たとえばゲーミングキーボードでの採用例が見られる「ラピッドトリガー」や、磁気スイッチにより、反応速度を高めるなど、性能面もさることながら、価格帯においても、1万円前後から10万円近くまで幅広い価格台で販売されており、どのレバーレスにするかを迷える時代となっている。ということで、ここからは2024年以降に発売されたレバーレスについて紹介していきたい。
なお、本稿で紹介するのはあくまでもAmazonにおいて公式から販売されている製品のみを対象としている。そのため、発表直後でまだAmazonでの取り扱いがない製品や、直販サイトでしか取り扱いのない製品については、残念ながら掲載を見合わせているので、その点についてはあらかじめご了承頂きたい。
ホリ「NOLVA」
最初に紹介するのは、古くからゲーム機やPCの周辺機器としてコントローラを開発、発売し続けている老舗ともいえるホリのレバーレス「NOLVA」だ。ソニー公式ライセンスも取得しているので、PlayStation 5でもバッチリ動作する安心、安定の1台だ。
筆者が個人的にホリを推したい理由の1つとして、同社はデバイス開発に際してユーザーからのフィードバックをかなり重要視しているからだ。格闘ゲームの対戦会の会場などに開発中の機器を持ち込んで、会場のお客さんなどに触ってもらって意見を集め、その上で製品をさらに精査して発売しているため、その性能面においては多くのユーザーが納得の物に仕上がっている。
Varmilo「Varmilo FK2 Black Leverless Arcade Controller」
続いて紹介したいのがVarmiloのレバーレス「Varmilo FK2 Black Leverless Arcade Controller」だ。ふもっふのお店とVarmiloが共同開発したレバーレスで、最大の特徴は「ラピッドトリガー」をレバーレスにいち早く搭載したところ。言わずと知れた「ラピッドトリガー」機能はキーを押し込む深さを常に検知しており、指を離した瞬間に即座に入力がオフになるため、格闘ゲームとも相性がよく、後発ながら人気の商品となっている。
個人的には今回紹介するSakura以外にもカラフルなバリエーションを展開している点と、格闘ゲーム大会などのスポンサーとして出資し、配信中に「ふもっふのお店」のアニメーションCMを流してくれるところがとても好きだ。
moimate「Rushbox Click」
moimateの「Rushbox Click」もユニークなレバーレスコントローラだ。各ボタンのスイッチにはマウスなどでも使われているマイクロスイッチを採用しており、押した時のカチっとした明確なクリック感が心地よい。アクチュエーションポイントも0.3mmと浅い位置にあるため、快適な操作感を実現している。
moimateは2018年設立の日本国内の企業で、キーボードやそのほかのパソコン周辺機器の企画、製造、販売を行なう会社となっている。会社の規模としてはまだまだ小さいが、既に3種類ものレバーレスコントローラを発売しているので、ほかの製品も含めてチェックしてみても面白いだろう。
8BitDo「8BitDo オールボタン アーケード コントローラ」
レトロゲーム風デザインなどでも知られる8BitDoからもレバーレス「8BitDo オールボタン アーケード コントローラ」が発売されている。最大の特徴はやはりその色合いで、アイボリー調の本体周辺のカラーリングなど、8BitDoらしいデザインに仕上がっているところだろう。ほかにも薄型メカニカルスイッチの採用や、無線でも使える点など、安全に使えるコントローラとして仕上がっている。
Haute42「Haute42 C16-S」
JZW-Shopが国内代理店を務めるHaute42のレバーレスコントローラも、筆者の個人的な視点では、対戦会の会場などで多くのユーザーが愛用しているのを目にするレバーレスコントローラブランドだ。
今回は「Haute42 C16-S」について紹介するが、同社製品の特徴はコストパフォーマンスの高さと、コンパクトサイズから通常サイズまで、豊富な形状のレバーレスを数多く発売しているところだろう。Haute42 C16-Sについては、キースイッチに静音スイッチを採用し、PlayStation 4やNintendo Switch 2などで動作するレバーレスとなっている。
PANG DA「TIKITAKA FTG J2A ラピッドトリガー版」
PANG DAの手掛けるレバーレス「TIKITAKA FTG J2A ラピッドトリガー版」は、大型パネルを採用し、ラピッドトリガーを備えるレバーレスコントローラだ。国内ではまだあまり知名度は高くない「TIKITAKA FTG」ブランドだが、2012年設立の中国企業、PANG DAが手掛けるゲーミングブランドとなっており、今後注目を集める可能性はありそうだ。
Wuhan Dijima Technology「Guilekeys GK-21」
Wuhan Dijima Technologyのレバーレス「Guilekeys GK-21」は、PlayStation 3/4やNintendo Switch、PCなどで動作するレバーレスコントローラ。ロープロファイルの静音キースイッチを21個配置するレバーレスとなっており、左上部にはモード設定などの情報が確認できるOLEDディスプレイを備える。
「GuileKeys」ブランドは、中国Wuhan Dijima Technologyの手掛けるゲーミングブランドで、コスパに優れることから今後多くのユーザーが使うことになりそうだ。









































