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あぢぃ、溶ける……!この猛暑を乗り越えるための冷感グッズ一挙紹介

腰掛け扇風機の利用例。屋外での利用にはこのように銀のクリップで服の裾を止めることで吸気口の前を開けた状態で使用しないと空気が通らなくなってしまう。また装着時は排気口が服の最奥部、インナーのさらに内側に入るように固定するのがポイントだ

 2025年7月、今年も夏の日がやってきた。筆者は夏になるといろいろと新たな冷却グッズをチェックしている。今年は早速4月に発売されたワークマンの冷暖房服「WindCore ICE×HEATERペルチェベストPRO」を自腹で購入し、ペルチェ素子の冷却性能の高さを堪能したりした。

 今回は、今年の夏に流行っている製品や盛り上がりを見せている製品を中心に、実際に購入した冷却製品の紹介も含めて、紹介していきたい。

外出先でも手軽に冷却!腰掛け扇風機

 腰掛け扇風機は、要はベルト部に装着して服の中に直接風を送る簡易扇風機だ。一般的な冷房服のように、服に機能が内蔵されているわけではないので、どんな服にでも合わせて使うことができるのが魅力の1つ。バッテリ駆動するので、外出の際のお供してどこにでも持ち運んで使用できる。

 今回実際にkindilというメーカーの腰掛け扇風機を1台購入して数日使用してみた。シンプルに風を当てるだけだが、屋外ではちょっとした風が心地よいので、その効果は体感ではかなり涼しく感じられる。腰に装着しなくても手で持ち運んで使ったり、Tシャツの襟元にぶら下げて顔に当て続けるといった用途で使うのも気持ちいい。

 腰回りに装着して使う際のコツとしては2つあり、1つは吸排気口を空けること、もう1つが風を直接体に当てるように取り付けることだ。

 吸排気口については、どちらを塞いでしまっても、風の流れが悪くなってしまうため、ただただ無駄な騒音が発生する装置と化してしまう。両方の周辺を空けてスペースを確保することで、風通しをよくすることでかなり快適に風が楽しめるようになる。また、背負うタイプのリュック利用時は問題ないと思うが、肩掛けのカバンを使っている人はストラップ部を少し持ち上げて風の通り道を作り、首のところから風が抜けるようにすることで、冷却効果が高まる。

 また、インナー越しに風を当てても、正直なところ体感的にあまり効果は得られない。肌に直接風を当てることでもっとも効果的に風が実感できるので、腰掛け扇風機の製品を試して、あまり効果が得られないと感じている人は是非、直接肌に風を当てられるセッティングでの利用を体験してみてほしい。

今回購入した腰掛け扇風機。前面の吸気口から外気を取り入れ、天面部の排気口から冷風を送り出す仕組みだが、冷媒は特にない。前面に備える銀のクリップはプラスチック製だが、吸気口を塞がないように服の裾などを止める用途に使う
側面には風の強弱がコントロールできるダイヤルのほか、本体充電用のUSB Type-C端子とモバイルバッテリとして使えるUSB Type-A端子を備えるが、USB Type-Cを使って他の機器の充電などは行なえない
背面に備える腰掛け用のクリップはプラスチック製ながら、大型で作りはかなりしっかりしている

 一方で今回購入した製品はいろいろと残念な要素もあった。製品説明では、据置でも利用できると謳われており、実際に金具のスタンドが付属していた。ところが据置用スタンドが1度装着すると折り畳みができず、使わない時は外す必要がある作りになっており、非常に残念だった。ここは着脱ではなく、1度装着した後は簡単に折り畳みできる機構がほしかったところだ。

 また、本製品はモバイルバッテリとしても使えると説明されており、実際にUSB Type-A端子を使うことで、ほかのデバイスなどに給電が可能な仕組みとなっているが、説明書をざっと眺めても、バッテリ容量についての記載が一切なく、どのくらいのバッテリとして利用できるのかが分からないのは残念。一応、Amazonのサイトでは9,000mAhとの記載はあったものの、説明書にないのではその数値を信用していいのか分からないので、メーカーとしての公式の容量をきちんとマニュアルに記載すべきと感じた。

 気になる点をいくつか話したが、腰に装着するクリップ部の作りはしっかりしており、簡単に壊れなさそうな頑丈な作りになっている点については高評価だ。

 今回実際に購入した製品以外にもさまざまな形状の製品が多く販売されており、用途やデザインなどに応じていろいろと選べるのが楽しいところだ。加えて価格についても大体5,000円前後とかなり安価に購入が可能な点も怪しい要素のある商品を選ぶ上では重要なポイントと言える。

付属の金具を使用することで机上などに置いて使うことも可能だが……
金具をクリップ部に固定するのみで、取り付け後に折り畳むギミックなどがないのはとても残念なポイントだ

首や顔のほってりに効くネッククーラー

 首から掛けて冷却する夏の定番グッズの1つ、ネッククーラー。前面部や天面部などから風を放出して顔に当てることで清涼感を与え、首周りにはペルチェ素子技術を使った冷却プレートを備えることで、体感温度を下げられる。最近の製品ではバッテリ容量が増加したり、USB Type-C給電にも対応するなど、時代に合わせた強化が図られている。

 まずは先日弊誌「やじうまミニレビュー」でも取り上げた着るエアコン「ソニー REON POCKET PRO」が好評だ。価格はセンシングキット付きで2万9,700円と高価だが、過去シリーズと比較して冷却面積、吸熱量、駆動時間などが2倍に引き上げられており、快適性を飛躍的に向上させているようで、購入時の満足度は高そうだ。

 一方、最近話題になっているのはTORRASのネッククーラーシリーズで、最安モデルでは1万円台ながら、最上位モデルの「COOLIFY Cyber」になると4万9,800円とかなり高額な製品となっている。スマートフォンと連携して操作できるなど、ほかの製品にはないユニークな仕組みが導入されており、1度試してみたい製品だ。

直射日光を遮る効果は絶大!そして冷えるファン付き日傘

 日差しが強く暑い日に役に立つのが日傘。どちらかというと肌に気遣うユーザー向けのイメージが強いかもしれないが、直射日光を遮る効果は絶大なので、冷却グッズとしてもぜひ試してみてほしい。

 そして、最新の日傘には最初からファンが搭載されており、充電しておくことで、日傘利用時に風の力で涼しい気分が楽しめる。ファンの位置は傘の柄の部分に備えるものもあれば、傘の最奥、菊座の裏側の部分にファンを内蔵し、傘全体に涼しい風を届けられる物など、多種多様な製品が販売されているのも楽しい。加えて、日傘の柄の部分にファンを装着できる製品なども用意されており、用途に応じて製品が選べるのは魅力だ。

 そのほかにもユニークな製品として、サンコーから発売されている「ハンズフリー日傘」が面白い。ハンズフリーの傘としては「傘帽子」も有名だが、頭に被るのではなく首、胸、腰で固定するため、圧迫感がなく、快適に日差しを防げる作りとなっている。ちょっとの外出で被るのは大変そうだが、1日中外で作業するような場面などでは重宝しそうだ。

 なお、筆者は「傘帽子」を一時期活用していた時期があるが、両手が塞がらずに雨の日でも自由に動き回れるのはかなり嬉しいポイントだったが、一方でその見た目はかなり異質なほか、装着していることを忘れて移動していると、傘の先端部が建物や人などに接触してしまう危険もあるので、装着時には常に神経を張っておく必要がある点には注意が必要だ。

 サンコーの製品はユニークな製品が多く、これまでにもさまざまなバリエーションの製品を発売していたこともあり、過去に販売していたが現在はほかの事業者が販売しているような製品も多く見られた。購入の際には出荷/販売元が「サンコー公式通販」以外の製品については価格の確認など、慎重にチェックするようにしたい。

宅内なら工事不要で設置できるスポットクーラーがお手軽!

 最近夏場の冷却アイテムとして注目を集めているのが「スポットクーラー」だ。その名の通り、設置工事が不要で、エアコンを設置していない暑い部屋などに持っていきピンポイントで利用できる「クーラー」となっている。

 最大の特徴は、移動可能な作りながら、コンプレッサーを内蔵しており、設置タイプのエアコンと同じ仕組みで冷却できるようにしている点だ。そのため、冷却時には排熱が必要なことに加えて排水が必要になる場合もあるのだが、発生した水分(ドレン水)については排水を行なわず、内部の熱交換器を利用して蒸発させ、蒸気として排出する「ノンドレン方式」を採用する製品が多いため、排熱のみでの利用が可能だ。

 スポットクーラーで検索した際にヒットする1万円前後の製品はコンプレッサーを使用せず、内部に入れた水を使って冷風を送り出す水冷方式の製品がほとんどだ。こちらの方式の場合、冷却性能に限界があり、風の冷たさが内部の水の温度に依存することになるため、ちょっとした風がほしいだけなら問題ないが、クーラーのように冷却できるほどの冷たさを確保するには、氷水を入れるなどの工夫が必要となるので、常用にはあまり向かない印象だ。

 なお、ダクトからは排熱が出ることになるため、閉め切った室内などに本体を置いて利用していると、室温全体は上がってしまう危険もあるので、利用には注意が必要だ。窓際などに置いて排熱を屋外に逃したり、扉の手前に置いて、室外に熱を逃がすなどの工夫が必要になる。

 コンプレッサーを内蔵する製品のため、あまり安価な製品はなく、最安値でチェックしても2万円台の製品がほとんどだ。ただし、前述の水冷式をコンプレッサー内蔵製品と謳う偽物が混ざっている可能性を考えると、名前の通ったメーカーの製品を買っておくのが無難だろう。もし、安価な製品を試す場合には事前に製品情報を細かくチェックして、コンプレッサーを内蔵する製品である事をしっかりと確認するのがいいだろう。

 「スポットクーラー」はエアコンとほぼ同等の性能が実現できていながら、設置工事が不要で手軽に利用できる点から、注目度がとても高い製品となっている。筆者の作業部屋兼寝室は据置型のエアコンが故障して1年以上が経過し、日々暑さに苦しめられているので、1台購入を検討したいところだ。

もっとお手軽に冷やすならクリップ扇風機

 見た目は普通の扇風機だが、大型のクリップを備えており、机の縁などに固定して利用できるのが特徴だ。バッテリを内蔵しているので、持ち運んで使用できるのも魅力の1つとなっている。

 製品によっては、自動首振り機能を備えるので、出先などで広範囲に冷たい空気を拡散する場合などに役に立ちそうだ。ほかにもコンパクトな製品など、バリエーションも豊富なので、好みの機能を備えるクリップ扇風機を選んで購入するのがいいだろう。