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SSD換装+OS丸ごとデータ移行を無料ソフト「Clonezilla」でやろう

 どんなに高級なノートPCであっても長く使い続けているとだんだんと不満を持ってくるようになる。CPUの性能低下はPCそのものを交換するしか手はないが、ストレージの残容量が減ってくると特にストレスが溜まる。それに伴い性能が低下するという問題が発生する場合がある。

 このような時の対策としては外付けSSD/HDD、またはmicroSDカードなどへのデータ退避で容量を空けるという手段がある。筆者は、外付けHDDを大量につないだデスクトップPCをファイルサーバーとし、ネットワーク経由で共有して利用しているため、業務上使用する巨大サイズのファイル、たとえばゲームプレイ時の動画ファイルなどは、こうしたネットワーク上のHDDに保存しておき、必要な時に参照して利用している。また、ストレージ容量が減ってきた時には定期的にクラウド上の写真などのデータをこれらに逃がすことで対応してきた。

 だが、忙しい時に空き容量が不足して作業が中断される現象が発生するのはかなりのストレスとなる。筆者所有のメインノートPCである「ThinkPad X1 Nano」も、購入してから既に3年以上が経過した。未だにメインの原稿執筆環境として酷使しているが、最近は空き容量が足りないエラーが出る場面が増えるなど、内蔵SSDの容量不足が気になってきた。

 ThinkPad X1 Nanoの内蔵SSD容量は256GBで、データ退避しながら使う運用なら必要十分と思っていたのだが、持ち歩いて外出先で使っている時に、もう少しストレージに余裕がほしいと感じる場面に遭遇することが多々あり、容量を増やしたいと検討していたところだった。そこでいっそのことメインストレージを大容量のものにへと換装してしまおうと考えた。

 そこで本稿では、SSDの換装の実作業をもってそのやり方を含め、ノートPCのSSD換装に役に立つソフト「Clonezilla」やその作業手順について紹介していきたい。

 なお、購入するSSDやSSDケースなどによっては、専用のユーティリティが付属している場合もあるので、こうしたユーティリティが使えるならそちらを使うのがいいかもしれない。この辺りは過去記事でも紹介しているので、そちらも参照してみてほしい。ただ、すべてのSSDにこうしたユーティリティが付属しているとは限らないので、そのような環境で本稿がお役に立てられれば幸いだ。

3年ぶりに撮影した筆者のメインノート「ThinkPad X1 Nano(第1世代)」。PC系ライターとしてはそろそろ買い替えてもいい頃合いなのは理解しているが、ゲーミングPC環境に投資することが多いため、ライティング機材はおざなりになりがち
SSD残量は73GBとなかなかゆとりがあるが、これ実はスクリーンショットを撮る数日前にOneDrive内のデータを移行した直後だったりする。本来なら常に100GBくらいの余裕はほしいところなので、今回はSSD換装で大容量にしていきたい

意外とハードルが高いノートのSSD換装。本体表示の技適マークにご用心

 いきなりで申し訳ないのだが、ノートPCのSSD換装については、意外とハードル高い。たとえば、そもそも分解が非常に困難な筐体や、SSD(というかストレージ)が基板実装のタイプの場合、物理的に交換が不可能なため、この段階で試合終了だ。

 また、内蔵無線モジュールではなく、筐体丸ごとで技適の認証を取得している場合、分解を行なうだけで電波法違反となってしまう。そのため、事前に技適番号で調べて、それが内蔵モジュールに対して行なわれている(この場合はOK)のか、筐体ごと取得しているのか(この場合はNG)を確認しておこう。ただし近年のノートはほぼ前者である。

 次にチェックするのはSSDスロットのサイズやモジュールについてだ。昔ながらの2.5インチSATA接続なのか、M.2モジュールなのか。M.2の場合はM.2 SATAかM.2 NVMeか、さらに多くの製品において幅22mmが一般的だが、イレギュラーなサイズが使われていないか、さらに長さについても2230/2242/2260/2280/22110の5種類があるので、どれに該当するかもチェックする。薄型ノートPCの場合、SSDのチップが片面実装か両面実装かのチェックも重要だ。

 たとえば今回のThinkPad X1 Nanoの場合、技適は無線LANモジュール単位で技適を取得しているので、分解についてはクリアだった。背面のネジを外して、スライドさせながら持ち上げることで簡単に開くことができる。薄型モデルながら分解しやすいのはありがたい。

 裏蓋を外すと、ぱっと見で比較的簡単にSSDの場所が確認できた。事前の調査でも確認していたが、ThinkPad X1 Nanoに備えるSSDスロットは幅22mmながら長さはややマニアックな2242サイズのNVMeタイプだ。薄型軽量デザインの都合もあり、片面実装タイプのSSDしか対応していないため、SSD選定時はそこを意識する必要があった。

ThinkPad X1 Nanoの背面の表記をチェックしてみたが、技適マークは存在せず。BIOSも確認したが問題はなさそうだ
裏蓋を外した状態。バッテリの上、右側にちょうどSSDっぽいサイズの銅板が確認できる
銅板を外すとSSDがお目見え。ThinkPad X1 NanoにはWestern Digital製の256GB SSDが搭載されていた。サイズは2230ほど小さくなく、2280ほど大きくない2242サイズ

 これらの条件を元にAmazonにて検索をかけてみたが、大手メーカーではTranscend(トランセンド)くらいしか選択肢がなかった。ただトランセンドだとやや高価だったこともあり、ここは思い切ってDATOの1TB SSD、「DP342」をチョイスすることにした。容量は512GBだと物足りなさそうなので一気に4倍の1TBとした。価格は1万4,580円とやや高価だが、トランセンドで同じ物を買うと2万円オーバーのため、ここは妥協した。

今回は数あるSSDの中から、DATOの1TB SSD「DP342」をチョイスした。パッケージは箱ではなく簡素なシュリンクで、若干の不安を感じさせる
ThinkPad X1 Nano 1stGENでは、片面実装のSSDが必要だが、DATOのDP342も背面には何も搭載しない片面実装だったので一安心
SSDケースに入れてPCに接続してみたところ、見事に容量953.87GBの未割り当て領域が確認できた

USBメモリが必須!低容量メモリがあると便利

 ではいよいよSSD換装の準備を行なっていこう。

 まずは購入したSSDをUSB接続のケースに入れる。今回使用したケースはセンチュリーの「シンプルモバイルSlim M.2 NVMe(CM2NVU32CS)」だ。多くのSSDケースと同様、このケースもSSDの長さに応じてアルミプレートや固定ネジの位置を変更でき、2242/2260/2280タイプのM.2 NVMeタイプのSSDが利用できる。ケースにガッチリSSDをセットしたらWindows上で正常に認識するか動作確認から。今回は正常に容量1TBのSSDが認識できているのを確認した。

 続いては、今回使用するストレージクローン作成ソフト「Clonezilla」をダウンロードする。Clonezillaはオープンソースのディスクイメージング/クローニングツールで、企業などのシステム管理者向けにネットワーク経由で複数のPCを一斉にセットアップする用途などでも利用が可能だ。今回のようにノートPC単体で使う場合には、いくつかあるバリエーションのうち「Clonezilla live」を使用するので、こちらをダウンロードする。

 Clonezilla liveの利用は、バックアップするシステムとバックアップ先のストレージに加えて、USBメディアやCDメディアなど、単体で起動するメディアも必要となる。

 USB起動メディアの場合、uEFIかLegacy BIOSかで手順が異なる。uEFIシステム向けの場合の手順はシンプルでAMD64向けを選択してzipファイルをダウンロード、あとはPCに接続して、FAT16/32ファイルシステムでフォーマットしたUSBメモリにzipファイルから解凍したファイルをそのままコピーするだけだ。なお、FAT32フォーマットを使用するには容量制限があるため、シンプルにWindows上でのみ作業を完結したい場合には、32GB以下のUSBメモリを用意する(それ以上だとexFATになるため)。

 Legacy BIOSで利用する場合、たとえば「Rufus」や「Etcher」などのISOイメージファイルをUSBメモリに書き込んで利用できるツールがある場合は、ClonezillaのISOイメージファイルをダウンロードしてこれらで書き込むことでClonezilla Live起動ディスクを作成できる。起動ディスク作成後は、1度実際に起動させて動作を確認した上で作業に挑みたい。

今回は手元にあったセンチュリーの「シンプルモバイルSlim M.2 NVMe(CM2NVU32CS)」にSSDを入れて使用した
Clonezillaのホームページ。ダウンロードする場合は、「download」をクリックして「stable」をクリックすることで、ダウンロードページにジャンプする
Stableのダウンロードページでは、CPUタイプやファイルタイプなどが選択できる。記事内でも触れている通り、システムがuEFIの場合、CPUタイプはAMD64、ファイルタイプはzipを選択。その他の場合はCPUタイプにi686を選択し、USBイメージ書き込みツールを使うならISOイメージをダウンロードすればよい。ISOイメージをUSBメモリに直接書き込んだ物はuEFIでもLegacyBIOSでも正常に動作するようだ
USBメモリ上から起動した「Clonezilla」の起動画面
今回の作業環境はこちら。ThinkPad X1 Nano 1stGENには、USB Type-Cが2系統しかなく、電源端子も兼ねているため、電源を確保するため、バックアップ先のSSDはUSBハブ経由で接続し、起動用のUSBメモリは直接接続して利用した。余談だが、2つとも直接接続し、バッテリ駆動でのバックアップも試みたが、バックアップが完了する前にバッテリが切れて失敗してしまった

いよいよClonzilla起動

 ここまでくれば後は本番作業のみとなる。念のため、消えてしまったら困るデータなどは何かにバックアップしておくといいだろう。また、チェックディスクなど元のシステムを少しでも安心な状態にしておくのも重要だが、この辺りは個人の判断に委ねたい。

 USBから起動すると、「Clonezilla Live」のタイトルが起動するので、暫く待機。その後は言語やキーボードレイアウトを選択して先に進める。

 今回はデバイスからデバイスへのコピーのため、「device-device」を選択。次に「初心者モード」か「エキスパートモード」かが選択できる。「エキスパートモード」を選択すると、作業時に使用する拡張パラメータを変更できる。

まずは言語選択から。日本語にも対応しているのはありがたい
続いてキーボード選択。筆者は英語キーボードなのでそのまま進めたが、変更が必要な人はここで日本語キーボードの選択が必要だ
すると「Clonezilla」かコマンドラインプロンプトに移行するかのチョイスが表示される。ここは当然「Clonezilla」だ
モードの選択はディスク単位/パーティション単位でコピーする「devive-device」をチョイス。メニューを眺めているとイメージファイルの作成やネットワーク経由のコピーなどにも対応しているようだ
初心者モードかエキスパートモードかを選択できる。初心者じゃなくてもシンプルなディスク単位のコピーなら初心者モードでOKだ

 どのようなパラメータがあるのかチェックしてみたが、「MBR(Master Boot Record)の複製を省略」や「複製前に、コピー元NTFSファイルシステム中のNTFSボリューム dirtyフラグを削除」、「セクター毎コピーの使用を強制(全ファイルシステム対応、但し効率が悪い)」など、必要な人にとっては重要そうな項目が並ぶが、普通に使用しているならシンプルなクローニングのみで問題ないので「初心者モード」を選択する方が無難だろう。

 どちらを選んだ場合も、コピー元のローカルディスク、コピー先のローカルディスクを選択していく。デバイス情報はGNU/Linuxでのデバイス名となっているが、容量や型番などの情報から元のディスクがどれか、コピー先がどれかを判断してチョイスする。今回の場合は、容量が明記されていたのでそれを元にディスクを選択して進めた。次はディスク丸ごと複製か、パーティション単位での複製かの選択だが、今回は丸ごと複製する想定だったので「disk_to_local_disk」を選択した。

 初心者モードの場合も拡張パラメータの選択が表示されるが、その表示内容はかなり簡略化されている。具体的には、ファイルシステムのチェックや修復を行なう/スキップするか、ファイルシステムのチェックと修復を手動/自動で行なうなどの項目が表示されるが、特に触れることなく、そのまま「了解」で次へ進んでしまえばOKだ。

 続いて筆者の環境では画面がやや乱れた表示となり、「パーティションテーブルを作成するモードを選択する」画面となる。ここも特に値などを変更せず、デフォルトの「コピー元ディスクのパーティションテーブルを使用」を選んで次に進める。

 初心者モードの割に難解なことをいくつか聞いてきたが、最後は作業終了後の動作についての選択だが。「再起動」、「シャットダウン」、「コマンドラインプロンプトに移行します」の3つだが、正常に終了したのを確認するために、「コマンドラインプロンプトに移行します」を選択した。

エキスパートモードで設定できるパラメータ一覧。注釈にもある通り、よく分からない場合は何もしないのが正解、つまり初心者モードで十分、というわけだ
ディスク単位かパーティション単位かを聞いてくるのでここはディスク単位「disk_to_local_disk」を選択
コピー元ディスクの選択。容量でチェックしたり、名前を覚えておくなどして元のシステムが入ったディスクを選択する。この選択を失敗するとシステム全体が吹っ飛ぶので、ある意味で最重要チェックポイントともいえる
コピー先ディスクの選択。コピー元をミスるとここも自然とミスることになるので、ダブルチェックの意味もあるので、コピー先の容量や名前として適切かをチェックしたいところ
初心者モードでも拡張パラメータの選択が表示されるが、項目は少ないし、基本はスキップでOKだ
パーティションテーブルを作成するモードの選択。デフォルトは「コピー元ディスクのパーティションテーブルを使用」なのでそのままでもOKだが、「適切にパーティションテーブルを作成」では最大容量に合わせてパーティションが自動で拡張されるのでこれも便利。ただし後述する回復パーティションが存在する場合は、この容量も拡張されるのでやや無駄が生じる。なお、画面表示が突然乱れるのでちょっと驚くが、これが正常動作だと思う
作業完了後の動作も選択できるのでこれはお好みで。ただし再起動の場合、再度接続したUSBメモリから起動してしまう可能性もあるし、シャットダウンだと正常に終了してシャットダウンしたのか判断が難しいので、個人的にはコマンドラインプロンプトに移行をおススメしたい

 すると、画面がズレ下部にCUIでメッセージが表示されていく。問題がなさそうであれば、指示通りどんどん「Enter」を押して続行していけばOKだ。なお、途中には慎重なことに警告メッセージが2回表示されるので、ここまでの作業に納得しているなら、これらもガンガンと「y」を押して続行しよう。

コピー時間は容量次第!寝る前や出掛ける際に実行するのが吉

 これでこちらの作業はすべて終了となる。後は何かしらのエラーが発生しなければ、数分~数時間の時間経過とともに、システムは無事クローニングされるはずだ。参考までに筆者の環境ではクローニングするのにかかった時間は約5時間前後。しかし編集部の別の環境ではわずか20分程度だった。クローン先のディスクの状態やシステムの状態などにも依存するようだ。

 クローニング完了後はSSDを差し替えて起動するかの動作チェックを行なう。今回、筆者のThinkPad X1 Nanoの場合、交換して起動したらSSDが認識せず、めちゃくちゃビビった。冷静になって再度SSDの接続状態を確認してみたところ、SSDが奥まできちんと入っていなかったようで、ちょっと強めに押してみたところ、ガチッとスロットに収まる感触があったので、再度起動し直したところ、問題なく認識し、クローン前と全く変わらないシステムが無事に起動してくれた。

 このような緊急事態に備えるため、元のシステムディスク自体は換装後もしばらくはそのまま保管しておき、何らかのトラブルが発生した場合などにはすぐに元に戻せる「最も安心なシステムバックアップ」の1つとして残しておくのがおススメだ。

すべての項目を選択すると画面が上にスクロールし、下部には次回に再度使えるコマンドが表示される。2度目がないならEnterで続ければ問題なしだ
作業直前には警告メッセージが表示されるので、ここではEnterではなく「y」を選択して続行する必要がある。データロストの危険がある場面だけにかなり慎重だが、2回出るのでそこは注意が必要だ
その後は、テキストのメッセージが流れたあと、しばらくしてデータのコピーが開始されると、進捗を示すダイアログが表示される。ここからはシステムの容量次第で数時間を要する
作業完了時にコマンドラインプロンプトを選択した場合は、この状態で停止する。作業完了だ。作業完了後はPCの電源をオフにして、再度本体を開けて、SSDを交換する作業も忘れずに

そのままクローンすると未確保スペースが生じる

 無事にシステムも起動したので安心して、エクスプローラーを開いてファイル残量をチェックしてみたが、なんと変化なし!実はこれは想定内で、先ほど完全なクローニングを行なったため、パーティションサイズがそのままだったのだ。後ろには「未割り当て」状態の大容量スペースがあるのが確認できた。

空き容量に変化がない!というのは想定内。「ディスクの管理」をチェックしてみたところ、換装、移行自体は成功していたが、パーティションテーブルをそのまま使用したため、残りの空きエリアは「未割り当て」として残ったままになっていた

 システムパーティションの後ろ(ディスクの管理画面で言う右側)にこれらの未割り当てスペースがある場合は、未割り当てスペース上で右クリックして「ボリュームの拡張」を使うことで簡単に「未割り当て」をシステムパーティションに統合できる。

 ただ、システムドライブと未使用領域の間に「回復パーティション」が挟まっていると、ボリュームの拡張は使えない。こちらはWindowsのシステムが回復動作時に使用する領域となっており、通常時であれば削除しても問題のない領域だ。ただ、何らかのトラブルが発生した際には使えるようにしておきたいので、削除するか迷った。ちなみに、もう1つの選択肢としては、膨大な未割り当てスペースを新たなディスクとして割り当てるなら以下の作業は不要だ。

回復パーティションを再構築する方法は

 今回はこの「回復パーティション」を1度削除し、膨大な「未割り当て」スペースをシステムに統合してから「回復パーティション」を再構築する手段を試すことにした。

 まずは「回復パーティション」の削除から。後から回復パーティションを復元したい場合には、事前に「ターミナル(管理者)」を起動して、「reagentc /disable」を実行して回復環境を無効化しておくことで、回復パーティション上のイメージファイルがC:WindowsSystem32Recoveryに退避される。この時、同フォルダに正しく「Winre.wim」というイメージファイルが退避されているかを確認すると同時に、フォルダに残された「ReAgent.xml」も一緒に削除しておくことで、後の復元作業時のトラブルが減るので、実行しておきたい。

【15時55分追記】記事初出時、reagentc /disableの記述がなく、正しく退避できておりませんでした。お詫びして追記いたします。

 「回復パーティション」はシステム上で保護された領域のため、そのままだと削除できない。そこでWindowsのメニューから「ターミナル(管理者)」を起動し、DISKPARTを起動。回復パーティションを選択した後、「delete partition override」で強制削除を行なう。

 「ディスクの管理」画面でも「回復パーティション」が削除され、すっきりしたパーティション割り当てになっているのが分かる。次いで「ディスクの管理」から「ボリュームの拡張」を使い、「未割り当て」領域を簡単にシステムの拡張エリアに変更する。

ターミナル(管理者)を起動して、DISKPARTのコマンドで回復パーティションを削除。まずはパーティションの一覧を「list partition」で表示させ、回復パーティション(この場合は4)を「select partition 4」で選択。最後は強制削除の「delete partition override」で削除すればOKだ
ディスクの管理で見ても、回復パーティションが削除されているのが分かる
ディスクの管理から、システムパーティションを右クリックし「ボリュームの拡張」を行なうことで簡単に未割り当て領域をシステム領域に追加できる
回復パーティションはなくなったが、無事システム容量の拡大は完了
エクスプローラー上でも見事に790GBもの大容量の確保に成功!

 「回復パーティション」は不要というのであれば作業はここで完了だ。ただし、こちらについては読者からご指摘があり、回復パーティションのない環境では、Windows Updateが失敗するのだという。こちらではその事象について確認できなかったが、トラブルの原因を減らしたい場合には、以下の手順で回復パーティションを再構築しておくのがいいだろう。

 まずは再び「ターミナル(管理者)」からDISKPARTを使用して、回復パーティションエリアを確保する。事前にシステムパーティションを含むボリュームを選択してから「select volume 0(これはシステムが入っているボリュームを確認)」→「shrink minimum=1063」で回復パーティションのエリアを確保する。ちなみに1063は容量(MB)だが、前述の削除時に容量をチェックしておき、同じサイズにするのが無難だ。

 そして、「create partition primary」でパーティションを作成、最後にフォーマット「format quick fs=ntfs label=Recovery」を実行すれば一段落だ。

 続いて、このパーティションが回復パーティションとして認識されるための固有IDを設定する。コマンドとしては、DISKPART上から「set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac」でパーティションIDを設定する。うまくいかない場合は、「set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac override」で強制的に割り当てればOKだ。そして、回復パーティションの固有属性として「gpt attributes=0x8000000000000001」のコマンドで固有属性を付与する。

 ここまでの作業で「ディスクの管理」側では、拡張後のシステムパーティションの後ろに「回復パーティション」が作成されているのが分かる。後はこれが正常に動作するようにDISKPARTを「exit」で終了し、ターミナル(管理者)で「reagentc /enable」を使って回復環境を有効にすればよい。

再びターミナル(管理者)を開き、DISKPARTから「list volume」でボリューム一覧を表示。Windowsのシステムボリュームを「select volume 0」で選択。「shrink minimum=1063」で回復パーティションのエリアを確保してから「create partition primary」でパーティションを作成、最後にパーティションを選択したらフォーマット「format quick fs=ntfs label=Recovery」すれば回復パーティションのエリアは確保できる
確保したエリアを「回復パーティション」として利用するには固有IDをセットする「set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac」が、エラーが出る場合は「set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac override」で強制的にパーティションIDを設定する。固有属性「gpt attributes=0x8000000000000001」の付与も行なう

 前述の回復パーティション削除の前に「reagentc /disable」を実行してイメージファイルを復元しておき、「ReAgent.xml」ファイルを削除していれば、ここで問題なく作業は完了するだろう。

 ただ最初の作業を忘れ、reagentc /enableにおいて「Windows REイメージは見つかりませんでした。」といったエラーが発生する場合は、再構築した回復パーティション内には「Windows RE」イメージがないため、正常に動作できていない。Windows REイメージを復元してあげればいいのだが、これがインストール後のWindows内には存在していないファイルとなる。そのため、Windowsのインストールイメージからコピーして再構築する必要がある。

 まず、Windowsのインストールイメージを用意する。イメージ内に保存されている「sources」フォルダ内の「install.esd」内にある数字フォルダの中から自身のOSに合ったものを選択する。これについてはフォルダ内の[1].xmlを参照して確認してみたが、Windows 11 Homeが1、Windows 11 Proは3となっていた。2はWindows 11 Educationのようなので自身のOSバージョンをチェックしつつ、どちらかを選択すればいいだろう。

 数字フォルダを選択したらさらに「windowsSystem32Recovery」まで潜るとそこに「Winre.wim」というファイルがあるので、これをローカルの同じ位置(C:WindowsSystem32Recovery)にコピーする。ここで読者からのご指摘があったのだが、このまま作業を進めてしまうと、最終的に構築された回復領域がCドライブになってしまうのだ。確認したところ、先ほど作成した回復パーティション上にこのWinre.wimのイメージファイルを復元するには、以下のような手順が必要となる。

 まず、再びDISKPARTを起動し、先ほど作成した回復パーティションにドライブ文字を割り当てる。コマンドはDISKPART上で「select volume」でボリュームを選択してから「assign letter = R」(Rドライブに割り当てる)。

 次に前述で割り当てたパスに対して、「mkdir R:RecoveryWindowsRE」でフォルダを作成、次いで「xcopy C:WindowsSystem32RecoveryWinre.wim R:RecoveryWindowsRE」でイメージをコピー、最後に「Reagentc /setreimage /path R:RecoveryWindowsRE」で再セットした上で「reagentc /enable」で回復環境を有効化すればよい。

「Windows REイメージが見つかりません」などと表示される場合は、ISOイメージやUSBメモリなどのWindowsインストーラーからファイルを直接持ってくる必要がある。今回はWindows.isoをMicrosoftからダウンロードし、フリーの解凍ツール「7-zip」を使ってISOイメージ内からファイルをコピーした。sourcesフォルダ内の「install.esd」内のフォルダを開いて「Winre.wim」を探す。自身が使うWindowsがHomeなら1、Proなら3を開けばOKだ
数字フォルダ直下のWindowsSystem32Recoveryフォルダに「Winre.wim」ファイルがあるのでこれだけコピーする
自身のPCのシステムフォルダ内のC:WindowsSystem32Recoveryファルダに「Winre.wim」ファイルをコピーする。アラートが出ても気にせずコピーしてOKだ
コピー後は再度、ターミナル(管理者)で「reagentc /setreimage /path C:winsowssystem32recovery」を実行してWinre.wimイメージを回復パーティションにセットする
セット後に「reagentc /enable」でBitLockerの暗号化に関するエラーが出る場合は、設定の「プライバシーとセキュリティ」の「デバイスの暗号化」で「デバイスの暗号化」をオフにする必要がある
暗号化をオフにした状態で再度「reagentc /enable」を実行すれば無事、回復パーティションが有効になる。正常動作を確認する場合は、「reagentc /info」でチェックして有効性を確認すればOKだ

【15時55分追記】読者よりWinre.wimがない場合の回復パーティションの再構築方法のご指摘を頂き、加筆いたしました。ご指摘に感謝するとともに、追記させていただきます。

Clonezillaでシステムドライブの換装に挑戦しよう

 以上、「Clonezilla」を使用したSSDのシステムクローン手順について簡単に紹介した。後半のパーティション再構築の部分では思わぬ苦戦を強いられたが、システム移行の作業自体は非常にシンプルでスムーズに行なえた。正直、フリーソフトでここまでできるとは思っていなかったので、作業を終えた今、改めてClonezillaのすごさに驚愕しているところだ。

 一方でLinuxなどに慣れてない人からすると、やや古い印象を受けるテキストベースのインターフェイスなどは、分かりにくさを感じる面もあると思われる。本稿では詳細に使い方について記載したつもりだが、パッと見て不安を感じた人は市販ソフトを使用するのも一興だ。

 ただ、“1回のシステム移行のためだけに、有料ソフトを購入する”というのは逆にハードル高いのもまた事実。あまりPCについて詳しくない人であっても、本稿をガイドにClonezillaでシステム移行に挑戦してもられば幸いだ。