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OneDriveの罠に注意!強制同期を切ったり、容量の警告に対処したいならこれをすべし

OneDriveの無料プランの場合、5GBを超える同期で警告への対応が必要になる

 Windows 11でOneDriveのバックアップ機能が議論を引き起こしている。現状、Windows 11にMicrosoftアカウントでサインインすると、OneDriveの契約形態によらず「ドキュメント」「ピクチャ」「デスクトップ」のデータが自動的にクラウドストレージと同期される状況となっており、これに対する不満の声が上がっているのだ。

 データ保護の観点ではメリットがあるが、無料の5GB容量のユーザーにとっては、有料化を検討するか、ひと手間かけてバックアップ機能を無効化するかの選択を迫られることになりそうだ。

いつのまにか自動で有効化

 OneDriveのバックアップ機能は、PCローカルの以下のフォルダを自動的にクラウド上のOneDriveと同期するものだ。

  • ドキュメント
  • ピクチャ
  • デスクトップ
  • ビデオ(オプション扱い)
  • ミュージック(オプション扱い)

 現状、Windows 11のセットアップ時にMicrosoftアカウントでサインインすると自動的に有効化されるように構成されており、無効にするにはセットアップ後の設定が必要になる。

OneDriveのバックアップ機能。現状は自動的に有効化される

 いつ、どのタイミングで自動的に有効化される構成となったのかは不明だが、2024年の2~3月あたりから、バックアップ機能によって容量不足になったという人の不満の声がSNSやニュース記事で取り上げられ、最近、海外の記事をきっかけに、再度話題に上がるようになってきた。

 以前は、初期セットアップの際に、「OneDriveを使用してファイルをバックアップ」画面が表示され、「このPCにのみファイルを保存する」を選択することでバックアップを無効化できた。

 以下のリンクは2024年3月に更新されたVAIOのサポート情報ページだが、この時期まではユーザーに選択肢が与えられていたことが分かる(ほとんどのユーザーは[次へ]で有効化してしまうが……)。

VAIOのサポートサイトに掲載されているOneDriveのバックアップ機能の設定画面。「PCのセットアップを完了させましょう」と表示される場合の対処方法(2024年3月8日公開)

 ところが、今はセットアップ時にこの画面も表示されなくなってしまった。現状はMicrosoftアカウントでのサインインによって自動的にOneDriveのバックアップが有効になる仕様になっている。

最新の23H2のISO(Win11_23H2_Japanese_x64v2.iso)を使ってセットアップした様子の早送り動画。OneDriveに関する設定は特になく、バックアップが自動で有効化される

 もちろん、Windows 11をローカルアカウントでセットアップすることで回避することはできるが(詳細は後述)、そのうちのいくつかは修正され使えなくなってしまった。これにより、セットアップ時点でのバックアップ機能の無効化が困難になってしまった。

容量不足の警告の種類

 もちろん、OneDriveのバックアップは、機能的にはとても便利なものと言える。

 「ドキュメント」「ピクチャ」「デスクトップ」にデータを保存すれば、自動的にクラウドに同期されるため、万が一、PCが故障しても大切なデータを失うことを避けられる。データの共有も便利で、ファイルをほかの人に送ることも簡単にできる。

 しかしながら、OneDriveの無料プランは容量が5GBしかない。

 このため、Microsoft 365(PersonalやBasic)を契約していない場合は、PCをしばらく使っていると、OneDriveの容量が不足し、その警告に悩まされることになる。

 警告は、主に2種類あり、空き容量が半分(2.5GB)を超えたあたりで、タスクトレイのOneDriveアイコンに黄色いマークが表示され、「十分な空き容量がありません」と表示される。

空き容量が少なくなると黄色マークで警告

 さらに使用量が増えて5GBを超え、ついに同期できなくなると赤いマークが表示され、「ストレージがいっぱいです」と表示されるようになる。

5GBを超えると赤マークで警告

3種類のOneDriveトラブル対処方法

 理想は、どちらも表示されない段階で対処することだが、できれば黄色の段階で、次の中から自分に合った方法を選び、対処をしておくことをおすすめする。

【手段1】有料プランを契約する

 Microsoftがおすすめする方法は有料プランの契約だ。思惑通りになるのを嫌う人もいるかもしれないが、結果的には、簡単かつ確実な解決方法となる。

 OneDriveは、Windows PCのデータのバックアップ手段として、最も手軽な方法であり、履歴機能や復元機能によってうっかり削除したデータを以前の状態に戻せたり、PCの買い替え時にもほとんどのデータをクラウドから同期できたりと、メリットも大きい。

 バックアップの仕組みを自前で用意するコストと労力を惜しまないなら話は別だが、そうでないならOneDriveに“すべてお任せ”してしまったほうが確実に楽だ。

 有料プランは、複数種類ある。Officeアプリも必要ならMicrosoft 365 PersonalまたはMicrosoft 365 Familyの契約を検討し(1TB)、OneDriveとクラウドサービスのみの利用でいいならMicrosoft 365 Basic(100GB)の契約を検討するといいだろう。

有料プランを契約することで容量不足を解消できる

【手段2】OneDriveは継続して利用し、バックアップだけ無効化する

 OneDriveを無料プランのまま使い続けたいのであれば、バックアップ機能だけを無効化することができる。

 この場合、バックアップは使えなくなるが、エクスプローラー上でOneDriveフォルダにファイルを保存することで、特定のファイルのみを手動でバックアップしたり、リンクを作成して共有したりすることは可能だ。

 タスクトレイのOneDriveアイコンをクリックして[設定]を開き、[同期とバックアップ]の[バックアップを管理]で、すべての同期をオフにしておけばいい。

同期をオフにすればバックアップが停止する

 ただし、OneDriveにすでにファイルが同期されている場合は、少々ややこしいことになる。

 バックアップを無効にすると、[ドキュメント][ピクチャ][デスクトップ]から、これまで使っていたファイルが消え、各フォルダに自動的に作成された[ドキュメントへのショートカット]などのアイコンから元のファイルにアクセスできるようになる。

 これは、次のような理由だ。Windows 11には、[ドキュメント]などのフォルダが2つの場所にある。1つはローカルのSSD/HDDが保存先となる「C:¥Users¥[ユーザー]¥ドキュメント」(バックアップ無効時用)で、もう1つはクラウド上のOneDriveが保存先となる「C:¥Users¥[ユーザー]¥OneDrive¥ドキュメント」(バックアップ有効時用)だ。

上がOneDrive用、下がローカル用。同じフォルダでも保存先が違う

 OneDriveのバックアップが有効になっている時は、[ドキュメント]の参照先(リンク先)が前者になるが、オフにすると後者に切り替わる。

 このままPCを利用することもできるが、[ドキュメント]や[ピクチャ][デスクトップ]で2つの場所を使い分けるのは面倒な上、アプリによっては以前の場所に保存されたファイルを参照できなくなってエラーが表示されることがある(Outlookのデータファイルなどに注意)。

 このため、[ドキュメントへのショートカット]から、「C:¥Users¥[ユーザー]¥OneDrive¥ドキュメント」にアクセスし、OneDrive用のファイルを、新しい参照先の「C:¥Users¥[ユーザー]¥ドキュメント」に移動しておくといいだろう。くれぐれもミスに注意して操作してほしい。

OneDriveのファイルをローカルに移動しておく

 なお、この操作を実行すると、クラウド上のOneDriveからもファイルが削除される。これにより、クラウド上の容量不足も解消される。ただし、リンクでファイルを共有していた場合、クラウド上からファイルが削除されるのでリンクが無効になる点には注意が必要だ。

【手段3】OneDriveそのものの利用をやめる

 OneDriveそのものの利用を中止したい場合は、タスクトレイのOneDriveのアイコンをクリック後、[設定]から[アカウント]を開き、[このPCからリンクを解除する]を選択する。

 これで、OneDriveからサインアウトし、同期などのOneDriveのすべての機能が停止する。

リンクを解除する

 ただし、この際に注意が必要なのがファイルの同期状況だ。

 エクスプローラーで[ドキュメント]や[ピクチャ][デスクトップ]などの同期対象のフォルダを確認し、雲のマークのアイコンがファイルやフォルダにある場合、そのファイルはクラウド上にのみ保存されている。

 リンクを解除すると、クラウド上にのみ保存されているファイルにアクセスできなくなってしまうので、事前にすべてのファイルをローカルに同期しておくといいだろう。

 不安なら、エクスプローラーの左側の一覧で[ドキュメント][ピクチャ][デスクトップ]を右クリックし、[このデバイス上の常に保存する]を選択して、すべて同期しておけばいい。

アカウントのリンクを解除する場合は、事前にローカルに保存しておく

 また、不要なら、OneDriveのアプリそのものを削除することもできる。[設定]の[アプリ]にある[インストールされているアプリ]の一覧で[Microsoft OneDrive]の右側の[…]から[アンインストール]を選択すると削除できる。

 もちろん、再びインストールしたくなった場合は[設定]の[ホーム]の[OneDriveのインストール]から簡単に再インストールできる。

 ただし、削除する場合は、上記を参考に、事前にアカウントのリンクを解除し、データをローカルに戻してから実施すること。そうでないと、データが失われる恐れがある。

アプリの削除も可能。ただし、同期やアカウント解除など、すべての作業が終わってから実行すること

初期セットアップ時に無効にするには

 OneDriveを絶対に使いたくないというのであれば、初期セットアップ時に無効にすることもできる。

 ただし、これは公式な方法ではないため推奨しない。自己責任で実施してほしい。

 具体的には、ローカルアカウントでWindows 11をセットアップすればいい。Windows 11 Homeではローカルアカウントでのセットアップができないが、以下の記事を参考して「.¥oobe¥BYPASSNRO.cmd」でセットアップすることができる(筆者の環境で検証済み)。

 ローカルアカウントでセットアップすれば、OneDriveは無効のままなので、アプリを削除してから、Microsoftアカウントに移行すればいいだろう。

Windows 11 Homeでも工夫次第でローカルアカウントで設定可能

そもそも5GBじゃ足りない

 以上、OneDriveのバックアップ機能について解説した。OneDriveは、ある程度、仕組みを理解していないと、フォルダの関係などがかなりややこしいので、やっかいだ。

 単純にバックアップをオフにするだけでなく、きちんとデータを戻したり、クラウド上の容量不足を解消したりしないと、根本的な解決にならない点に注意が必要だ。

 しかも、操作の中でデータを移動したり、削除したりする必要があるため、常にデータ消失に注意しながらの作業となる。

 おかしな話だが、OneDriveを無効にする操作をするなら、その前に外付けSSDにでもデータをバックアップしておいたほうが安心だ(それなら有料プランを契約するほうがいいが……)。

 そもそも、無料枠が5GBしかないというのは今の時代に合っていない。5GBを超えたら、1回だけ+5GBしてくれるとか、もう少し、柔軟な救済策を考えてほしいものだ。