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6月からの電気代値上げに怯える兄貴たちへ!チョイちょい工夫して節電してみようぜ!

 6月から大手電力会社らが値上げに踏み切った。それぞれ上げ幅にバラつきがあるものの、だいたい30%ほどと考えていい。現在1kWhあたりの電気代が31円なので、30%上がっても40.3円とそれほど打撃がないように思われるかもしれないが、一般家庭でも300~400kWhなので2,790~3,720円の値上げだ。かなり高い! 消費税が10%から30%になったら暴動になるのは火を見るより明らかだが、電気代はあっさり30%値上げなのだ。

電力会社値上げ率
北海道電力平均23.22%
東北電力平均25.47%
東京電力EP平均15.90%
北陸電力平均39.70%
中国電力平均26.11%
四国電力平均28.74%
沖縄電力平均33.30%

 ちなみに今回の値上げは、政府が指定する「規制料金」の引き上げ。これ以上値上げすると国民の財布を苦しめるから「これ以上の値上げ禁止!」というタガがあったのだが、電力各社が「倒産しろってか!? あ゛? 電気止めっぞ!」って政府に申請して、最終防衛ラインのタガを外した。

 「これまでにも電気代上がってるぞ!」というのは「自由料金」という枠で、各電力会社が勝手に決めていい電気料金のことだ。電力自由化で誕生した新電力が軒並み値上げして、電気代が何倍にも跳ね上がったとニュースになっていたところだ。

 大手の上げ幅が少なかったのは、自腹を切っていたため。ちなみに東京電力の場合は昨年度の赤字額は6,509億円!

 電気代は「自由料金」+「規制料金」の2つで構成されているが、規制料金のタガが外れて電気代爆上がり! カンいい方はお分かりの通り「電力自由化」の諸刃の刃が露呈したというのが現状なのだ。

経済産業省 資源エネルギー庁の「電気代負担軽減策」を参照

 その一方で政府から各家庭に電気代に対する支援金が出るという話しだが、発表時点でしばらくしたら半額に絞ることを明言しているぐらいなのでアテにならない。

 これに戦々恐々としているのが、ハイエンドPCでゲームを楽しんでいる皆さんや、自鯖を立ててWebのホスティングやメール、ファイルサーバーや家庭内のメディアサーバーにしている読者のみなさんだ。月500~600kWh使って「俺んち電気代が2万円とか」ざらにいるはずだ。そーなりゃ上げ幅も5,000円オーバー!

 オービス(自動車の自動速度取り締まり装置)を時速30km超えギリギリで通過しちゃって、出頭命令が郵送される1カ月間のように、電気料金のお知らせが届く1カ月、怯えて寝て待つ皆さんの心を少しでも軽くする節電術をご紹介していこう。

省エネ電源はいくら節約できるか実験してみた!
80PLUS GoldとPlatinumの電気代の差はどれくらい?

 パソコンの省エネでまず思いつくのが電源の交換だ。ご存じの通り電源には「80PLUS」という省エネ基準があり、長年親しまれている。市販されている電源で80PLUS認証を取得していない電源の方が珍しいぐらいまで普及しており、ようやく活躍する日が到来!

 改めて80PLUSの規格をまとめてみると、以下のようになる。

115V利用時のエネルギー効率
認定クラス10%20%50%100%
無印***80%80%80%
Bronze***82%85%82%
Silver***85%88%85%
Gold***87%90%87%
Platinum***90%92%89%
Titanium90%92%94%90%

 表は115Vで電源を使ったときに、負荷に応じたエネルギー効率を示している。ちなみにTitaniumだけ10%の負荷が数値化されているのは、Titanium以降に登場したクラスはアイドル時のエネルギー効率も重視されるようになったためだ。

 10%、20%、50%、100%は、電源の出力数(W)に対する消費電力を示している。つまり500W電源の50%なら250W消費しているときのエネルギー効率、800W電源の50%なら400W消費しているというときだ。出力ギリギリの100%で使う場合はまずないので、20%~50%の間が平均的なエネルギー効率と見ていいだろう。

Titaniumの10%は省略

 なおエネルギー効率は、割合が高ければ高いほど省エネ性が高く、電気代が安くなる。ただしコンセントから取った電力を100%の効率で使うことはできない。なぜなら電源内部の部品から電気エネルギーが熱エネルギーとなって放出されてしまうからだ。

 「パソコンは使うときだけ電源を入れる」という方であればそれほど気にする必要はないが、24時間や長時間電源を入れっぱなしという場合は「チリも積もれば」で消費電力が多くなり、1カ月の累積になると電気代にも差が出てくる。

 そこで今回は、750Wの80PLUS Gold電源と、750Wの80PLUS Platinum電源でどれほど電気代が変わるのか調べてみた。

 検証時点では5月だったので、電気代の値上げ前なので31円/1kWhとすると、19.22円差でPlatinumの方が安い。これが4週の1カ月となれば、累積差額は76.88円だ。加えて6月からの電気代値上がりは地域差があるが平均30%の値上げとすると、ほぼ100円差になる。

 1年、そしてちょっと長めだけどマシンの買い替え時の6年間の電気代をまとめたのが次の図だ。

仮に6年間ずっと電力代が高止まりしたと仮定した場合。6年間で8,000円違う。BronzeからGoldやPlatinumなどに入れ替えたら万単位で変わってくる!

 1年では6月移行の電気代値上げを加味してもPlatinumの方がGoldより1,299円安い程度。しかしマシンの買い替え時の6年になると差額は7,796円となる。ワンランク上の電源を買っておけば、たいてい元が取れるという印象だ。

 ちなみにGoldとPlatinumの省エネ性は2%違う程度なので、Bronzeを使っている人だとGoldに乗せ換えるだけで5%向上する。単純計算なら750W BronzeとGoldに乗せ換えたら年間3,250円程度、6年になると19,500円も変わってくるのだ。これだけあったらSSDやHDDを増設できる!マジか!

モニターの明るさを変えるだけでも節電効果アリ!

 電源の交換はお金がかかるうえに、電源系だけとは言え配線のやり直しを考えると面倒臭い。結果SATAのケーブルが抜けディスクが見えなくなったり、フロントパネル系のコネクタが外れてHDDランプが点灯しなくなったり電源が入らなかったなどなどだ。

 そこで誰にでも簡単にできる節電方法をここでご紹介しよう。それはモニターの明るさを落とすことだ。一般的なTVの省エネと同じで、32型のモニターの明るさを最大の半分にすると50%近くの電力を節約できる。つまり電気代に換算すると、1年間730円(値上がり以降は950円ほど)節約できるというワケだ。

出典 : 経済産業省 資源エネルギー庁が発行する「省エネ性能カタログ2022年版」

 ただしこれはモニター本体の明るさ調整で、ビデオカードのプロパティから設定する明るさを変更してもさほど消費電力は変わらない。なぜならモニターのバックライトを暗くすることで、消費電力を押さえているからだ。

ビデオカードのユーティリティソフトで変更できる「明るさ」を変えても電気代は変わらないので注意。モニター本体で調整できる「明るさ」の方

 もし暗くなって見えづらいという場合は、部屋の照明を少し落としたり、モニターの角度を変えてなるべく画面に直射日光が当たらないようするといいだろう。

OSの節電設定も見直してみよう!

 ノートのバッテリを長持ちさせる手段として、OSの省電力を使っている人は多いが、このご時世はデスクトップマシンでも設定したい。詳細をひとつひとつ解説するとそれだけで終わってしまうので、ここではWindows 11の設定を軽く説明しておこう。

(1)スタートボタンでメニューを表示

(2)検索ボックスに「電力の消費」と入力

(3)一覧に表示される「電力の消費と炭素の放出」をクリック

(4)表示されたダイアログボックスから「エネルギーに関する推奨事項」を選ぶ

(5)切り替わったダイアリグボックスから「すべて適用」ボタンをクリック

 HDDやモニターの電源を切る時間、パソコンをスリープさせる時間など細かい設定をしたい場合は、ネットを参照しながらカスタマイズしてほしい。

人も冷却して効率とスコアをアップ!エアコン節電テクニック2選

 PC Watch読者の場合は、自分の冷却よりマシンやCPUの冷却が最優先だろう。しかし人間も冷却しないと、作業効率やスコアが悪くなる。エイムやコードの精度のダダ下がりだ。しかし電気代はできるだけ押さえたいという兄貴たちの節電テクニックがこれだ。

(1)コンビニに行くならエアコンは切らない、サイゼに行くなら切る

 エアコンが最も電力を消費するのは、室温と設定温度が乖離しているとき。つまりエアコンの電源を切ってしまうと部屋の温度は徐々に上がり始め、設定温度との乖離が始まる。つまりそんなに室温の変化がなければ、エアコンはつけっぱなしにしておく方がお得というわけだ。

 その指針が約30分。各エアコンメーカーの最上位モデルには、人感センサーを搭載した機種があるが、これらのエアコンが「部屋から人がいなくなったときに電源を切るタイミング」が各社30分になっているのだ。

エアコンメーカーのダイキンがこと細かく実験した電源「つけっぱなし」と「こまめに切る」実験。こちらから参照できる

 もしエアコンに人感センサーがついているなら、自動運転にお任せすればいいだろう。なければ30分席を外すかどうかが電源を切る分かれ目になる。

 たとえば昼飯を買うのに近所のコンビニに行く場合は、エアコンはつけっぱにした方がいいだろう。ただ北海道のように、近所のコンビニが車で30分という場合は、各自にお判断で。

 もし30分以上部屋を離れるような、たとえばスーパーに買い物に出かけたり、サイゼリアに飯を食いに行ったりするなどであれば、電源を切った方がいい。

(2)対人だけなら扇風機と併用で設定温度を2℃ダウン

 これもTVなどでよく言われていることだが、扇風機やサーキュレータで部屋の空気を攪拌、気流を作ってやると、体感温度が2℃下がるので、結果26℃に設定しているエアコンと28℃に上げたとしても、同様の涼しさを得られる。

 結果として1℃エアコンの設定温度を買えるとシーズンで940円(値上げ以降は1,220円)節約できるので、2℃なら2,000円以上安くなる。

経産省の省エネポータルサイトにはいろんな節電テクニックが記載されているので参考にしてほしい

 ただしこれは対人の冷却に限っての話。なぜなら人間は汗をかくので風で蒸発させることで体感温度が変わるのだ。対PCの冷却であと2℃下げたいという場合において扇風機は無力。ペルチェ素子か液体窒素をオススメする。

パソコンの電力を見える化して自分を戒める

 パソコンの省電力化が難しいのは、消費電力が見えないところ大きい。「電力食ってるな」と感じるのはファンの音ぐらいだ。だから今の自動車や家電のように、電力を見える化するのも手だ。

 コンセントに差し込むタイプは、見ずらいため本体に取り付けるタイプがいいだろう。

 筆者が見つけたのはコレ!

Amazonで見つけた組み込み用電力メーター。Amazonで「DROK AC LCD監視メーター」で検索! 2,600円ぐらい

 サイズはピッタリ5インチベイの高さでスッポリ収まる。配線も簡単で緑の端子にコンセントの100Vを接続し、赤い丸いコイルの中央に電力を測定したい電線の1本だけを通す。

 ちなみにコイルから出ている緑の電線は50cmほど延長しても測定結果に違いがなかったので延長してもいいだろう。

白い電線がコンセントの電源ライン。2本のうち片方の電線だけコイルをくぐらせる

 これでパソコンのフロントには、常に以下の電力情報が表示されるようになる。

  • 電圧
  • 電流
  • 電源周波数
  • ワット数
  • 積算消費電力
  • 力率

 なお、ここに表示される力率は80PLUS認証の力率とは違うので注意。また写真では見えないが、積算電力をリセットするボタンもあるので期間ごとにデータを取るのも簡単だ。

リアルタイムの消費電力が常に見えるので、嫌がおうにも電気代を気にせずにいられなくなる(笑)。あと光るPCとしての楽しみも

 こうして電力を見える化すると、重い処理をさせているときにドン! とワット数が上がり、電気食ってる感が半端ないので怯えながらパソコンを使うようになる。

 なるべくCPU負荷が最適になる50%程を目指して、CPUの演算速度バランスを調整してやるといいだろう。ゲームの場合は、調整しようがないってのが悩みだ。

いつまで電気代の高騰が続くか分からないが、しのぐしかネェ!

 戦争の影響もあり、終わりの見えない電気代の高騰。少しでも電気代を安くするために、OSの設定や電源の入れ替えをしてみてはどうだろう? 特に80PLUS認証BronzeやSilverを使っている人は、Platinumへの買い替えがオススメだ。