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モデル兼ゲーマーの黒田瑞貴さん、ZOTACの小型ゲーミングPCでPC配信デビュー
2020年4月9日 11:00
インプレスeスポーツ部の定期配信「喪服は準備したか!?」のレギュラーであるモデル兼ゲーマーの黒田瑞貴さんは、以前から個人でも配信を行なっていた。時々、Twitchのオフィスから行なっていた配信はカメラを使って顔出ししていたが、自宅には配信機材がないので、ゲーム画面のみを映し出していた。
そういったなか、黒田さんから「そろそろPCを使って自宅からも顔出し配信できるようにしたい」と相談を受けた。ということで、ガチくん(格ゲー世界王者「ガチくん」の自宅配信環境をプロ並みの画質・音質に改造してきた参照)、ふ~ど&倉持由香さん(ゲーム配信環境改造計画第2弾。プロゲーマー“ふ~ど”&グラビアアイドル“倉持由香”編参照)に続くかたちで、配信環境改善計画を手伝うことにした。
なお、ご本人の希望もあり、今回はこれまでと違い、配信画質の向上は目指しておらず、PCを使った配信環境の構築が主眼となる。
今回の配信環境の狙い
黒田さんはこれまで、基本的にPlayStation 4(PS4)とスマートフォンでゲームをプレイしており、PS4ゲームプレイ時に内蔵の配信機能を使って配信をしていた。おもなプレイタイトルは、Overwatch、フォートナイト、Apex Legendsなど。これらのタイトルは、マルチプラットフォームであり、PCでもプレイできるので、PCは配信だけではなく、ゲームのプレイも行なうことを想定した。ただし、今後もPS4でもゲームをすることもあるので、PCに完全移行するのではなく、キャプチャユニットを使ってPS4ゲームの画面を取り込んで配信できるようにもする。
PCのスペックについて、ゲームプレイに関しては、快適に動く程度の性能を目指すが、240fpsといったハイエンドまでは目指さない。具体的には、ある程度高画質の設定、フルHD(1,920×1,080ドット)で安定して100fpsくらいだ。一方、女性の部屋に置くので、あまり大型なものは避けたいという要望もある。
そこで目をつけたのが、ZOTACの小型ゲーミングPC「ZBOX Eシリーズ」だ。同製品は、20cm四方という、ビジネス向けコンパクトPCのような小型サイズながら、ゲームも余裕でこなせる性能を凝縮した製品だ。同社担当者に、今回の企画趣旨を説明したところ、「ZBOX EN52060V」を1台ご提供いただけることとなった。
おもな仕様は、Core i5-9300H(4コア、2.4GHz)、メモリ16GB、NVMe SSD 512GB、GeForce RTX 2060、Windows 10 Homeを搭載している。税別価格は178,000円だ。性能については、追って説明する。
セッティングと配信環境の構築
今回は、新規にPCを使った配信環境を構築するが、黒田さんはすでに、ディスプレイ2台、ヘッドセット、USBマイク、キーボード、マウスといった周辺機器を所有していたので、それらはそのまま利用する。
顔出しに使うカメラについて、筆者が普段使っているミラーレスカメラと照明なども持ち込んで試し撮りなどしたのだが、これらを導入すると画質は相当高まるが、同時にコストが10万円ほど上がってしまう。前述のとおり、今回はこれはあきらめ、すでに黒田さんが所有していたUSB Webカメラを使うことにした。小さな三脚もすでに持っていたので、これにWebカメラを取りつけ、サブディスプレイの上部からカメラが覗くように設置した。
配信ソフトは、無料ながら業務レベルでも使える「OBS」を導入した。PCで配信ソフトを使うと、ゲームやワイプ画面のレイアウトやサイズを自由に変更したり、タイトルバナーなどを表示させたり自由なことができる。じっさい、黒田さんは配信時、普段はゲームの画面を大きく映しているが、息抜きのタイミングなどは、ゲーム画面とワイプ画面のサイズを入れ替えて表示している。こういった一工夫も差別化の1つの要素だ。
PS4単体で配信する場合との違いとして、ディスプレイは2台がほぼ必須となることも挙げておく。ゲームをプレイするのがPS4であってもPCであっても、それを映す専用のものと、配信ソフトを表示/操作する用のものが必要だ。ゲーム専用に1台使うのは、配信ソフトの画面にもゲーム画面が表示されるが、これはコンマ数秒~2秒ほど遅延する場合があるからだ。
PS4の画面をキャプチャする用に、AVerMediaの「Live Gamer EXTREME 2 - GC550 PLUS」を新規に購入した。OBSをはじめとした各種配信ソフトで多くの稼働実績がある定番製品の1つだ。実売価格は25,000円程度。
キャプチャユニットについては、ソフトウェアエンコード式のものとハードウェアエンコード式のものがある。GC550 PLUSは前者に属する。ソフトウェアエンコードはPCのリソースを使うが、ハードウェアエンコードのものより表示(取り込み)遅延が少ない。加え、昨今のゲーミングPCに搭載されるGPUは、動画専用のハードウェアデコーダを搭載しているので、結局はシステムに負荷をかけず、遅延の少ないキャプチャができる。
なお、注意点として、GPUのハードウェアエンコーダを利用するには、配信ソフトで適切な設定が必要となる。OBSの場合は、設定→出力→配信のエンコーダで「ハードウェア(NVENC)」を選択する。
以上で配信環境が完成した。黒田さんが使っている機材をおさらいすると、
- カメラ(Webカメラ)
- マイク(USB接続の卓上コンデンサマイク)
- ヘッドセット
- ディスプレイ×2
- ゲーミングPC
- キャプチャユニット
- PS4
となる。マイクについては、高音質なものが手持ちですでにあったのでこれを使っているが、マイクつきヘッドセットでも(音質は下がるが)大丈夫だ。
最高画質でも余裕のあるゲーム性能
ZBOX EN52060Vの性能も簡単に検証した。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)で、3DMarkのSky Diverは28,219、Night Raidは29,283、Fire Strikeは12,413、Time Spyは5,229となった。
ゲーム「フォートナイト」では、フルHD/画質「最高」の設定で100フレーム前後、「Apex Legends」では同様の設定で90フレーム前後と、ちょうど目標とする程度の性能が出ていた。黒田さんが使っているディスプレイは60Hzまでなのでじゅうぶんなフレームレートと言える。もし、144Hzのディスプレイを持っているなら、1段階ほど下げればいいだろう。
加えて、配信による負荷についても見てみた。フォートナイトで110fpsほど出ているシーンで、NVENCを利用した配信を行なうと、ゲームのフレームレートは106くらいに低下した。CPU負荷は平均すると75%ほどで配信前後で大きな変化はない。プレイしていて影響を感じることはないだろう。
これをOBSでのエンコードをソフトウェア(x264)に変更すると、CPU負荷が一気に100%に達した。ゲームのフレームレートは90程に下がり、プレイは大きな支障なくできたものの、これだけCPU負荷が高いと、大事な場面で急にかくついたりする可能性がある。
ZBOX EN52060Vについて1つ特筆したいのがファンノイズの少なさだ。基本的にPCの筐体が小さければ小さいほど、風量を稼ぐためにCPU/GPUファンが小さくて高回転なものとなり、騒音が大きくなる。設置のしやすさからゲーミングPCについては、ノート型も人気だが、配信にファンノイズが乗ってしまうことを考えると、デスクトップのほうがおすすめ。
ZBOX EN52060Vについては、当初、もしかするとノートPCと同じくらいのファンノイズが出るのではと懸念していたが、杞憂だった。底面積については、ノートPCよりも小さく、卓上のちょっとしたスペースに設置できるので、黒田さんは「女性でも導入しやすいですね」と語っていた。
制作協力: ZOTAC JAPAN