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阪大ら、3Dプリントで和牛のサシまで再現できる培養肉作製技術
2021年8月26日 11:43
大阪大学、凸版印刷株式会社、キリンホールディングス株式会社、株式会社リコー、リコージャパン株式会社、大阪工業大学による研究グループは、3Dプリンタ技術を活用して和牛のサシまで再現できる培養肉作製技術を開発した。
2050年には世界の人口が97億人に達するとされるなど、人口増加や食生活の向上にともない、タンパク質の需給バランスが崩れるタンパク質危機が発生する恐れがあるとの予測がなされている。この問題を解決するため、代替タンパク質として培養肉が期待されている。
培養肉は、動物から少量の細胞を取り出し、培養で人工的に増やして作る肉。様々なベンチャー企業などによって実用化が進められているが、ほとんどは筋線維のみで構成されるミンチ様のもので、本来の肉が持つ複雑な組織構造を再現するのは難しかった。
今回研究グループでは、異なる線維組織ファイバーを3Dプリントで作製する「3Dプリント金太郎飴技術」を開発。筋、脂肪、血管ファイバーを金太郎飴のように統合し、肉の複雑な構造を構築するもので、和牛のサシのような構造の再現や、脂肪/筋成分の微妙な調整も可能になるという。
本技術が活用できれば、タンパク質危機への解決策の1つとなるだけでなく、家畜の飼育にともなう大量の穀物/水の消費などの抑制にもつながる。また、培養肉は牛の成長と比べて極めて短時間で得られるため、効率的な生産も可能となることから、細胞培養プロセスも含めた自動化も期待されるとしている。