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MIT、熱に反応して太陽光を遮断し室温上昇を防ぐフィルム

熱遮断フィルム

 米マサチューセッツ工科大学は8日(米国時間)、動作に電気エネルギーを要さずに太陽熱を遮断する「熱遮断フィルム」を開発したことを発表した。ビルのすべて窓をこのフィルムで覆うことで、空調とエネルギーコストを10%削減できるという。

 フィルム内には、32℃以上の温度にさらされると収縮する、相変化素材の一種「ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-メタクリル酸2-アミノエチル塩酸塩」からなる小さな微粒子が配置されており、水が満たされている。これにより、通常時は透明だが、32℃以上の熱に晒されると、半透明に変化する特性を持つ。

 試験では、12インチ(約30cm)四方のガラス2枚にフィルムを貼り、太陽光を模したライトを照射。結果、熱の70%程度を遮断し、フィルムなしではチャンバー内が約38.9℃まで上昇したが、このフィルムを利用した場合、約33.9℃までの上昇に抑えた。

 本フィルムを開発したMITの機械工学博士であるNicholas Fang氏は、調査の結果、日光によって、1平方mあたりに約500Wのエネルギー(電球5つ分相当)が窓を通して屋内にもたらされており、これが屋内の空調コストに大きく影響していることから、フィルムの開発に至ったという。

 液晶素材で透明度を変化させる方式の「スマートウィンドウ」も存在するが、今回開発されたフィルムでは電気エネルギーなどを消費せず、半自動的に熱遮断を行なえる点、製造コストが低く抑えられる点などで優位性があるとしている。

32度を超えると半透明に変化して熱を防ぐ