イベントレポート

【やじうまCOMPUTEX】AMDのHBM搭載ハイエンドビデオカードは簡易水冷を採用

~長さ175mmのコンパクト基板

HBMをオンダイ搭載したGPUを公開するAMD CEOのリサ・スー氏(写真:笠原一輝氏)

 AMDからもう間もなく発表されると見られるHBM搭載ハイエンドビデオカードについて、とあるベンダーからカードに関するいくつかの情報を入手した。あくまでも量産前サンプルをベースとした話のため、発売時には変更される可能性もあるのだが、現状を簡単にお伝えしたい。

ハイエンドながら基板長は約175mm

 一般的なハイエンドビデオカードは、大容量メモリや多フェーズの電源回路の搭載により、どうしてもカード長が長くなる傾向にある。新GPUはビデオメモリをGPUのチップ上に統合するため、ハイエンドながら基板長をわずか175mmに抑えられる。小型PCケースを使うユーザーにとっては朗報と言えるだろう。

高性能だが、発熱はやや多め

 性能については「もちろん期待して良い」とのことだが、その代わり発熱が多いということだった。これはHBMの採用により熱密度が向上したためと見られる。ただし現時点では最終サンプルではないため、TDPなどの詳細は不明。

リファレンスは簡易水冷を採用

 発熱が多いため、リファレンスで簡易水冷クーラーを採用する。ラジエータは120mm角となっている。採用されるファンはサイズからも一般市販されているNidec製の「Gentle Typhoon」で、回転が非常に滑らかであり騒音は少ない。ただし水冷の管はそれなりの長さがあるため、奥行きが短いケースに押し込むと少し窮屈になる。

 なお、AMDでは、「Radeon R9 295X2」でも水冷を標準装備させていた。

オリジナルファンの開発は難しい

 HBMがGPUとともに1チップに実装されているのだが、GPUのダイとメモリのダイの高さが異なり、両方とも完全に密着させるベースの制作が難しい。また空冷とした場合、高いTDPに対応するためにヒートシンクを大型化する必要があり、短いカード長の利点を損なってしまう。

オリジナルPCBの開発も予定なし

 今のところAMDからGPUに関する設計図を受け取っておらず、次期ハイエンドはリファレンスカードのみの提供に留まりそうである。

 以上が、現時点におけるサンプルを元にした情報である。6月15日に発表されることが見込まれており、2年間の空白期間を覆せるインパクトのある製品の登場に期待したい。

(劉 尭)