イベントレポート
Noctua、Core i9-9900Kに対応できるファンレスCPUクーラー
~一般ユーザーが手に届く廉価ラインナップも展開
2019年5月29日 19:21
Core i9-9900Kをファンレスで稼働できるCPUクーラー
日本の自作PCユーザーがもっとも注目を集めそうなのが、Core i9-9900Kの発熱にも対応できるという完全なファンレスCPUクーラーのプロトタイプだろう。現時点では開発段階であり、製品のリリースは2020年を予定している。
このCPUクーラーはファンレスに特化したデザインとなっており、一般的なヒートシンクより厚みがある一方で間隔を大きく採ったアルミニウムフィンを採用。ベース部は銅製で、6本のヒートパイプでベース部の熱を吸い上げてフィンで放熱を行なう。
冷却性能のターゲットとして、完全にファンレスでも、自然放熱に優れたケースであれば120WまでのTDPに対応し、ケース内にファンをつけるなどしてベンチレーションを向上させた場合、180Wまで対応できるとした。
大型ながら周辺との干渉を抑えた設計となっており、高さのあるメモリに対応できるほか、非対称デザインによりビデオカードとの干渉も抑えている。また、新たに開発した「NT-H2」と呼ばれる高性能グリスをバンドルし、最高の性能が発揮できるようにしている。
実際の展示デモでは、Core i9-9900Kを使用し、完全ファンレスのケースに収めた状態でPrime95連続負荷テストを実施。ピーク時でも、100℃という限界温度まであと2~7℃程度の余裕を残していた。コンシューマでの一般的なワークロードでは、Prime95のような高負荷が続くことはまず考えられないため、十分に対応できると考えられる。
ちなみにフィンがかなり厚いため、アルミニウム製ながらかなり重量感があったが、実際の仕様はまだ調整中とのことで、サイズなども含めて改めてリリースを行なうとした。
これまでファンレスをターゲットにしたCPUクーラーは多く存在したが、いずれもケースファンがついていることが前提か、TDPが低いCPUを対象としていた。ケース内の自然対流だけで高性能CPUに対応できる製品は、実質今回のNoctuaが初になる。静音を重視したいユーザーは今後の動向は要チェックだろう。
Noctuaは高くて手が届かない! 茶色は嫌だ! というユーザーに向けたラインナップ
NoctuaのCPUクーラーといえば、ほかに類を見ないほどの高品質で高性能、豪華パッケージで、単なるCPUクーラーとは思えない所有感に満たされるのだが、「Noctuaの性能を体験したいが、CPUクーラーにそこまでお金をかけられない」ユーザーが多くいたのも事実である。そこで新たに用意されたのが「redux line」で、若干の仕様変更と、パッケージの簡素化で低価格化を図っている。
その第1弾が「NH-U12」だ。ベースとなっているのは多くの評価を得ている「NH-U12S」で、ヒートパイプを5本から4本に減らし、パッケージを簡素化。NH-U12Sが60ドル前後の推奨小売価格であったのに対し、40ドル前後へ低価格化される。製品投入は2020年第1四半期。
Noctua製品のもう1つの特徴は、茶色をベースとしたファンとニッケルコーティング処理だけがなされたヒートシンクなのだが、ほかに茶色をベースとしたPC部品はほとんどなく、コーディネートしにくかったのは確かだろう。その色から、なんとなく古臭い印象は拭えない。
そうした声を反映して投入されるのが「chromax line」で、ファンやフィンを含めて完全にブラックとすることで、そうした不便やイメージを払拭している。最初に用意されるのは「NH-D15」、「NH-U12S」、「NH-L9i」の3製品で、2019年第4四半期中に投入予定。これにあわせて、完全なブラックのケースファンも、80mm角から200mm角までフルラインナップを投入する予定。
このほか、Sterroxと呼ばれる液晶ポリマーを採用し、ブレードとフレームのギャップを最小限に抑えたAシリーズファンの140mm角モデル、15mm厚のスリムファンシリーズ、風の直進性を高めたデスク扇風機、NH-D15をNH-D15Sをベースとし、ヒートパイプを1本増やして冷却性能を向上させたプロトタイプなどが展示された。