イベントレポート

ASUS、キーボードも液晶のデュアルディスプレイPC「Project Precog」

ASUSが発表した、AIを駆使したコンセプトPC「Project Precog」

 ASUSは6月5日(現地時間)、台北市内で記者会見を開催し、ノートPCや周辺機器などの新製品を発表するとともに、キーボード面にもディスプレイを採用するデュアルディスプレイ仕様のコンセプトノート「Project Precog」を発表した。

 UX260 Project Precogは、AIを駆使するために、PCにどういったフォームファクタが必要なのかを考慮してデザインされたという。パネルを開くと上部、下部ともがディスプレイとなっており、双方に情報を表示するのはもちろん、利用形態に応じた表示スタイルをAIを駆使し自動的に変更する。

 たとえば、クラムシェルスタイルの「スタンドモード」での利用時には、下のディスプレイにはスクリーンキーボードを表示するが、AIで手の場所を判断し、スクリーンキーボードの表示位置が自動で切り替わる。また、外部キーボードを接続するとスクリーンキーボードが非表示となり、下のディスプレイ下部にタッチパッドの領域が表示される。さらに、スクリーンにスタイラスペンが触れると、自動的にスタイラスペンモードに切り替わり、即座にペン入力が行なえるという具合だ。

操作時には下の画面にスクリーンキーボードとタッチパッド領域が現れる
物理キーボードの接続を認識すると、スクリーンキーボードが消えタッチパッド領域のみとなる
スタイラスペンが画面に触れると、ペン入力モードに切り替わる
手の位置を認識し、手に合わせてスクリーンキーボードの表示位置が変わる

 ディスプレイを開いた状態で90度横倒しにすると、本を見開きで見るような「ブックモード」に切り替わる。左右に異なるアプリを開いて、快適な作業環境を実現するとのこと。このほか、「テントモード」では前後のディスプレイに異なる情報を表示でき、水平に開いた「フラットモード」では、2画面をフルに利用してゲームも楽しめる。

クラムシェルスタイル相当として利用するスタンドモード
ディスプレイを開いて90度倒して利用するブックモード。左右に異なるアプリを表示でき、快適な作業環境が構築できる
テントモードでは、双方に情報を表示することで対面でのプレゼンなどに便利
水平に開いて利用するフラットモード。2画面をフルに使ったゲームも楽しめるという
Project Precog。上下に2枚のディスプレイを搭載し、AIを駆使してさまざまな形態での利用を可能としている
背面
上部ディスプレイ。ディスプレイ上部には3個のカメラが見える。また下部にはZenBookのロゴがある
下部ディスプレイ。スクリーンキーボードでの操作となるが、利用状況に応じて表示が自動的に切り替わる
ブックモード。左右に異なるアプリの情報を表示している様子
テントモード。両方の画面に情報を表示でき、対面プレゼンに最適
左側面にはUSB Type-CポートとmicroSDカードスロットと思われるトレイがある。USB Type-CはThunderbolt 3対応のようだ
右側面にもThunderbolt 3ポートがあり、電源やボリュームボタンらしき物理ボタン、ヘッドセットジャックなども見える

 Microsoft CortanaとAmazon Alexaをサポートし、多くの操作を音声のみで行なえるため、快適に作業をこなせる。ボイスアシスタントの存在も、Project Precogのスタイル実現に大きくしていると言えるだろう。

Cortanaとalexaに対応しており、ボイスコントロールのみでさまざまな作業がこなせる

 このほかのAI機能としては、インテリジェント充電機能が紹介された。こちらはASUSのスマートフォンZenFoneシリーズにも搭載されているものとほぼ同じ仕組みで、ユーザーのPC利用パターンを学習し、ACアダプタが長時間接続される間はバッテリの充電を80%までにとどめ、外出直前に100%まで充電することで、バッテリ寿命を延ばすというものだ。

 そして、Project Precogには、IntelのMovidius Vision Processing Unitを搭載する。リアルタイムでの顔認識や物体認識といった画像認識処理をはじめ、さまざまなAI処理を高速に処理することで、AIを駆使した全く新しいPCのエクスペリエンスを実現するとしている。

 このProject Precogは、コンセプトモデルとして紹介されたもので、まだ開発途中。ただ、発表会では2019年に登場と発表されたことからも、製品化の見通しはたっているものと考えられる。AIによってこれまでのPCの常識を変える可能性も十分に秘められており、今後の展開に注目したい。

ユーザーのPC利用パターンを学習し、常にバッテリをフル充電しないようにしてバッテリ寿命を延ばす
Intel Movidius Vision Processing Unitを搭載し、リアルタイムでの顔認識や物体認識をはじめさまざまなAI処理を高速に処理する
Project Precogは2019年に発売予定