イベントレポート
HP、ワコムペン対応14型4K液タブ「HP ZBook x2 G4」をAdobe MAXで展示
2017年10月20日 12:01
Adobe Systemsは10月16日~20日の5日間にわたり、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス市のThe Venetianにおいて、クリエイター向けイベント「Adobe MAX」を開催している。
Adobe MAXでは、別記事で紹介したMicrosoftのほか(Microsoft、Surface Book 2の13.5型/15型をAdobe MAX 2017で展示)、HP、Dellなどのメーカー出展し、クリエイター向けのPCワークステーションなどを展示している。
なかでもHPは、Adobe MAXにあわせ、新2in1型ワークステーションとなる「HP ZBook x2 G4」を発表した(HP、“世界最高性能”を謳うワコムペン対応2in1ワークステーション)。
HP ZBook x2 G4は、CPUに第8世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Kaby Lake Refresh)ないしは第7世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Kaby Lake)を採用。GPUにはQuadro M620(GM107)/2GBを搭載可能で、最大32GBのメインメモリ(DDR4-2133、SO-DIMM×2)、最大で2TBのNVMe SSD、14型4K(3,840×2,160ドット)IPS液晶ディスプレイという、タブレットとしてはモンスター仕様となっている。
また、Bluetoothで接続されている分離型キーボード、さらにはワコムのEMR(電磁誘導方式)ペンを採用しており、ペンを利用してPhotoshopやIllustratorでイラストを描くようなクリエイターに好適な仕様と言える。
カバーキーボードはBluetooth接続で分離しても使え、右手でペン、左手でショートカット操作に最適
今回発表されたHP ZBook x2 G4の最大の特徴は、分離型のキーボードを備えた2in1デバイスという点にある。
この手の製品としてはMicrosoftのSurfaceシリーズなど多数の製品があり、一見するとめずらしいものではないが、HP ZBook x2 G4のキーボードは、Surface Proのタイプカバーキーボードのように本体との接続が必要ない。接続時はポゴピン経由で本体から電力供給されるが、本体とはBluetoothで接続されるので、キーボードを切り離した状態でもキーボードを使い続けられるのだ。
また、ディスプレイの左右にも複数のハードウェアボタンが用意されており、たとえばアンドゥー(やり直し)やタッチ操作オフなどの機能が標準で割り当てられているほか、ユーザーがユーティリティを利用して機能を割り当てられるようになっている。
このため、右手側にペンとタブレットを置き、左手側にキーボードを置いて操作するというクリエイターの多くが実践しているスタイルで使うことが可能だ。
これを見て何かに似てるな……と思い出す人もいるかもしれないが、じつは同じような使い方はVAIOが2015年にリリースしたVAIO Z Canvasでも同様の使い方を訴求していて、このスタイル自体は、VAIOやHP独自というよりはクリエイターの人であれば、一般的な使い方になる。
Surface ProやSurface Bookなどでこのスタイルを採るには、別途キーボードを用意しなければならないが、HP ZBook x2 G4ではそれが必要ないのだ。
デジタイザペンは、一般的なWindows OSの2in1デバイスで利用されているMicrosoft PenやワコムAES方式ではなく、ワコムのEMR(電磁誘導方式)が採用されている。
EMR方式はAESと異なり、液晶部分にEMR層を付加しないといけないため本体がわずかに厚くなるというデメリットはあるのだが、ペンの応答性などに関しては定評があり、クリエイターに支持されている方式となる。
HP ZBook x2 G4に添付されているEMRペンは、ペン先の反対側が消しゴムツールになっているほか、1つのボタンが搭載され、その割り当てに関しても付属のツールを利用して設定することができる。
また、ディスプレイにも大きな特徴がある。スペックだけを見れば、14型4K(3,840×2,160ドット)IPS液晶ディスプレイということで、超高解像度であることを除けば普通の仕様だが、タッチ操作対応であるにもかかわらず非光沢仕様になっており、さらにAdobe RGB 100%の色空間をサポートし、10億色表示が可能になっている。
実際展示されていた製品で確認したところ、ユーティリティを利用してAdobe RGB、sRGB、BT.709、DCI P3、DICOM、ディスプレイネイティブなどのプリセットされている色空間を選択できるほか、キャリブレーションツールを利用して画面を調整することもできる。雑誌向けに写真などの色空間をあわせて調整する必要があるユーザーにとっても好適な製品と言えるだろう。
4コア/8スレッドの第8世代Coreプロセッサなど高い基本スペックを採用している
そうしたクリエイター向けの仕様だけでなく、PCとしての基本性能も高いレベルとなっている。
HP ZBook x2 G4 | |
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CPU | Core i7-8650U/8550U/7600U/7500U、Core i5/8250U |
GPU | Intel UHD Graphics 620/Intel HD Graphics(CPUによる)&Quadro M620(2GB、GDDR5) |
メモリ | 最大32GB(DDR4-2133、SO-DIMM×2) |
ストレージ | 最大2TB(NVMe SSD) |
ディスプレイ | 14型 4K(3,840×2,160ドット)/IPS液晶/アンチグレア/タッチ/EMR対応 |
無線 | Wi-Fi(IEEE 802.11ac)/Bluetooth 4.2/セルラー(LTEないしはHSPA) |
インターフェイス | HDMI 1.4、USB 3.0(常時給電)、USB Type-C(Thunderbolt3/DisplayPort 1.2/USB PD対応)×2、ヘッドフォン/マイクコンボ、SDカード/スマートカードスロット |
指紋認証 | あり |
カメラ | 前面720p HD+IR(Windows Hello対応) |
キーボード | LEDバックライトキーボード(Bluetooth接続、バッテリー内蔵) |
タッチパッド | あり |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 364.5×227×20.3mm(キーボード装着時)/364.5×227×14.6mm(タブレット時) |
重量 | 2.17kg~(キーボード装着時)/1.65kg(タブレット時) |
冒頭で説明したとおり、CPUは第8世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Kaby Lake Refresh)ないしは第7世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Kaby Lake)から選択可能。GPUは内蔵GPUのほかに、NVIDIAのQuadro M620(GM107)/2GB GDDR5メモリが搭載されている。
CPUだけで15W、GPUで30Wの消費電力となり、両者を効率良く排熱するため、左右に冷却ファンが2つ搭載され、ヒートパイプでCPUとGPUが接続されている。タブレットの左右から吸った空気が冷却ファンでヒートシンクを冷やし、上部から吐き出す形になっている。
こうしたデザインであれば、15W+30Wの熱を処理できるだけでなく、CPUがTurbo Boostで動いているときでも、高クロックを維持し続ける余裕がありそうだ。
メモリは2つのSO-DIMMを利用して実装する形になっており、最大で32GB(16GBのSO-DIMM×2)となっている。モバイル向けの製品では低消費電力だが、クロック周波数などがやや低く帯域幅が少ないLPDDR3が採用されていることが多いが、本製品ではDDR4-2133が採用されており、広帯域幅で利用できるのはうれしいところだ。
このほか、ストレージは最大で2TBまで選択することができる点も見逃せない。
なお、電源に関しては90WのACアダプタが付属しているが、Thunderbolt 3に対応しているUSB Type-CポートはUSB PDにも対応しており、USB PD対応のUSB Type-C ACアダプタでも利用することができた。
ただし、Apple製の61WのACアダプタで試したところ、奨励しないという表示が出たのと、純正のACアダプタは90Wの電力を供給していたので、フルパワーで使いつつ充電するには100WクラスのUSB PD対応ACアダプタが必要になるだろう。