米Intelは4日(現地時間)、22nm世代のプロセッサで世界初となる3次元型トライゲートトランジスタを採用し、2011年末より製造開始すると発表した。
トライゲートトランジスタは、電流が流れるチャネルが従来までの平面(2次元)ではなく、薄くて高さのあるフィン構造(3次元)となっており、その上面だけでなく両側面にも電流を流すことができる。同社は2002年にその研究発表を行なっているが、今回、2011年末より量産開始予定となっている22nmプロセスのプロセッサである「Ivy Bridge」で採用されることが決定した。3次元トランジスタの量産はこれが世界初。
この3次元トライゲートトランジスタは、フィン構造にすることで、チャネルの幅を狭め、トランジスタの集積度を上げられるだけでなく、より多くの電流を流せるとともに、その制御効率も上げられるため、オフ時の電流あるいは閾電圧が低い、およびゲート遅延が短いといった特性がある。
同社の示す資料によると、22nm3次元トライゲートトランジスタは、現行の32nmプレーナ(2次元)トランジスタより37%性能を高められ(低電圧時)、同じ性能なら動作電力を半分以下に抑えられ、漏れ電流も1/10に低減できるといい、過去のどのプロセス投入時よりも高いレベルの改善をもたらすことができるとしている。
同社はその製造技術をすでに確立しており、22nm 3次元トライゲートトランジスタにおけるウェハの製造コストは2~3%増で済むほか、安定した歩留まりも実現できるとしている。
すでに同社はIvy Bridgeの試作品も開発しており、現地で行なわれた発表会ではその実演デモも披露された。
同プロセス技術は、クライアントからサーバー向けプロセッサだけでなく、先だってプロセス縮小計画の前倒しが発表されたAtomにも適用される。
32nmプレーナトランジスタ(左)では平面になっているチャネルが、フィン構造となっている | トランジスタの模式図 | 電気特性 |
32nmプレーナ、22nmプレーナとのゲート遅延/動作電圧の比較 | 新プロセスはIvy Bridgeで採用 | 将来のAtomにも展開予定 |
発表会でIvy Bridgeのウェハを披露したダディ・パールムッター上級副社長 | Ivy Bridgeの試作品を搭載した実働PCも披露 |
(2011年 5月 5日)
[Reported by 若杉 紀彦]